貴殿転生 元の知識で本気出す   作:MENOUENOTANKOBU

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69話 会議

 

 

 

「ちょっとルーデウス!朝から抱き付かないでよ!」

 

「ごめん、エリスの抱き心地が最高で……」

 

「そ、そうなの?なら…別に構わないわ!」

 

エリスはそう言って離れた俺を引っ張り、自分の胸に俺の顔をつけて来た。

 

あら嫌だ、なんて積極的な子なんでしょう!?

 

 

 

オルステッドとの戦いが終わった後、俺はエリスを3人目の妻として娶った。

 

もちろん。その前に色々と話し合った。

 

お互いに勘違いしていた事や、間違いを認め合い、全てを受け入れあった上で娶ったんだ。

 

そしてエリスは俺と会う前に、なんとヘルスとも会っていたというのだ。剣の聖地で修行をしていた際に突如として現れ、エリスと、エリスと同等の実力を持つ二人と同時に戦って、見事勝利したんだという。

 

ヘルスはちょっと前まで、パウロに一本も取れなかったはずなのに、いつの間にそんな実力をつけたんだろう?

 

「てやあぁぁぁ!」

 

「ッぶねぇな!」

 

俺とエリスがしばらくベットの上でイチャイチャしていると、庭からイチャイチャとは程遠い叫び声が聞こえて来た。

 

「ルーデウス、私、今からギレーヌ達のところに行かなきゃ……」

 

「あぁ、そうなのか、じゃあすぐに行こう!」

 

そうして俺達は名残惜しそうにベットから出ると、すぐに私服に着替え、庭へと出る。

 

 

庭では、二人の剣士が練習試合をしていた。

 

「ッふん!!」

 

人でも殺すのかってぐらいの速度で木刀を振っているのは、剣王ギレーヌ・デドルディア

 

既に40歳は超えているのだろうが、その肉体に変化はなく、数年前と変わらない鍛え抜かれた完璧な体だ。

 

「おっと!」

 

そして、剣王である彼女の剣捌きを、先程から軽く受け流しているのは、父であるパウロだ。

 

二人は俺達が家から出てきたのを確認すると、静かに礼をし、木刀を地面に置いた。

 

「ルディ、もう行くのか?」

 

「ええ、今日も重要な話があるので」

 

「そうか……けどよ、昨日も言ったがあいつの事は……」

 

「はいはい分かってますよ、信用するな……でしょ?」

 

ため息まじに言うと、パウロは大きく頷いた。

 

「パウロ、お前はルーデウスを甘くみすぎていないか?」

 

ギレーヌが苦笑しながらパウロの肩を叩く。こうしてみると、まるで夫婦だな。

 

「子供のいない私にはよく分からんが、ルーデウスはもう一人前の大人だ。一人でも十分に生きていけるだろう?」

 

「それはそうだけどよ……あいつはやっぱり信用ならねぇよ」

 

いや、違うな、夫婦というよりは、我儘を貫こうとする子供と、それを宥める母親だ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

不満を残すパウロ達に挨拶をした後、俺は再びオルステッドの所へ訪れた。家にはエリスやギレーヌ達もいるし、最近召喚した守護魔獣、レオもいるから、家族の安全は保証されている。

 

「……来たか」

 

「はい!ルーデウス・グレイラット、只今参上しました!」

 

「ああ、早速話を始めよう」

 

「あ……はい」

 

俺のユーモア溢れる挨拶にも反応せず、オルステッドはいつもの怒り顔で対応した。雰囲気を良くしようとしてるんだから、もうちょっとぐらい愛想よくてもいいんじゃないか?

 

俺は近くにあった椅子に腰掛け、オルステッドの方を向く。

 

「では、昨日伝え損ねた、アリエルを王にする為の手順について話すとしよう」

 

「はい」

 

「まず、王都についてだがーーー」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「……ここまでが、俺の作戦なのだが、何か異論はないか?」

 

「いえ、ヘルスとルークを生かしてくれるのならば、俺から言う事はありません」

 

「そうか……」

 

オルステッドの作戦はこうだ。

 

まず、ペルギウスをどうにかしてアリエルに協力させる。それが第一条件。

 

その後、ペルギウスの転移魔法陣を使い王都へと帰還し、ノトス家当主であるヘルスにサテラの病を治せる事を伝え、こちら側に寝返ってもらう。

 

ノトス家という巨大な力を手に入れは事ができれば、こちら側もスムーズに行動できる。

 

 

 

そして、ここで二つ目の絶対条件、ダリウスの弱みを握る人物、トリスティーナ・パープルホースを見つける事だ。

 

彼女は幼い頃にダリウスによって攫われ、奴の性奴隷として生活していた。いくら凄い権力を持っているからと言って、貴族の娘を誘拐し、性奴隷にしていたという事が公にでれば、ダリウスは死罪……とまではいかないだろうが、築き上げて来た地位は確実に落ちるだろう。

 

そんなダリウスの弱点とも言える彼女だが、現在は何処にいるのか、まず生きているのかすら分からない状況。

 

しかし、老デウスの日記で、それに近しい人物が王都周辺にいる事が書かれていた。希望はまだある。

 

 

最後に、相手側の戦力を整理をしよう。

 

ダリウス側についている強力な戦力は、水神レイダ、北神三騎士、水王イゾルデ、そして戦う事はないと思うが、北王ヘルス。

 

彼らの他にも、数多くの剣士達がいるだろうが、大物だけでいうと、この6人だけだろう。

 

 

 

 

「後一ヶ月程すれば、アスラ王が病に倒れたという知らせがここにも届く筈だ。それまでには、お前も準備を整えておけ」

 

「分かりました」

 

準備か……王都への初勤務、初出張だ。気を引き締めていかねばなるまい。

 

装備や魔力付与品(マジックアイテム)、その他諸々を集めなければならないだろうが、一先ずはアリエルに協力する事をみんなに報告しないと。

 

「では、俺はこれで失礼させてもらいます。アリエル達に、この事を報告しにいかなきゃならないんで」

 

「ああ、ただし、俺の名はあまり使わない方がいいぞ、信用を失う」

 

「そんな卑屈にならなくても……」 

 

オルステッドは意外に繊細なタイプなんだろうか?昨日のパウロの事といいい、結構気を遣ってくれてんのかな?見かけによらず、優しい人だ。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「俺はアリエル様の手助けをしようと思います」

 

夜、俺は家族全員をリビングに集め、今日の事を話した。一応、オルステッドの事情を隠して。

 

俺が話し終えると、リビングはしばらく沈黙の時間が流れていた。

 

 

 

「危ないからやめときなよ!」

 

最初に口を開いたのは、アイシャだった。

 

「確かにお兄ちゃんは強いし、頼りになるけど、他人の為にそこまでやる事はないよ!」

 

「そうだな、アイシャ、でも俺は、今までシルフィの面倒を見てくれたアリエル様に、恩を返さなきゃいけないんだ」

 

「恩って……」

 

「アイシャ」

 

アイシャの正面に座っていたリーリャが静かに睨む。その気迫に負けたのか、アイシャは黙り込んでしまう。

 

「まあリーリャ、アイシャだってルディの身を心配してくれてんだ。もうちょっと優しくしてやれよ」

 

「しかし旦那様、アイシャは……」

 

「俺にとっては、どっちも大切な家族だ。なあアイシャ」

 

パウロはそう言って、アイシャを手繰り寄せ抱きしめる。

 

「お父さん……」

 

アイシャはもう涙目だ。

 

 

 

「ゴホン!」

 

「あ、すまんノルン、お前もするか?」

 

「結構です!」

 

「あうぅ」 

 

ノルンの方は少し不満げにしていて、隣に座るゼニスの介護をしている。

 

 

「ルディがアリエル様に協力してくれるのは嬉しいけどさ、なんでいきなりそんな事しようって思ったの?恩返しって言っても、そこまでやらなくてもいいと思うんだけど……」

 

「シルフィ……」

 

こういう時、シルフィは人一倍敏感だ。俺が言ってほしくない事を流れる様に聞いてくる。

 

「どうせ、オルステッド関連だろ?」

 

「オルステッド……!」

 

パウロがそういうと、リビング内の空気は一気に緊張に変わる。

 

「そうなの……ルディ?」

 

「ま、まあ、そんなところかな?」

 

「じゃあやめとこうよ!」

 

シルフィが俺の腕を掴み、心配そうな顔で訴えて来た。

 

「オルステ……あいつは、ルディを殺しかけたんだよ!?そんな奴がいきなりアリエル様の協力をしろだなんて、都合が良すぎるよ」

 

「確かに、あいつがルーデウスを使って、何かよからぬ事を企ててるかも知れん。私も反対だな」

 

「ギ、ギレーヌまで……」

 

これはまずい、やめようみたいな流れになってる。なんとかしないと……

 

 

仕方ない……ここは少し嘘をついておこう。

 

「シルフィ、大丈夫さ」

 

「え?」

 

「俺はオルステッドに従ってるんじゃない、反撃の機会を伺ってるんだ」

 

「……そうなの?」

 

「そうさ、それにオルステッドに従うフリをしていれば、サテラを助けられる」

 

「そ、それは本当なのか?ルディ!?」

 

パウロが跳ね上がる様にして椅子から立ち上がった。

 

 

「俺がアリエル様に協力する代わり、サテラを助ける。そうすればヘルスはまたここに戻って来ます。そこでもう一度、疲弊しているオルステッドに戦いを挑む。そういう作戦です」

 

「流石ルーデウス!!凄いわね!」

 

エリスは打倒オルステッドと聞いて興奮冷めやらぬご様子だ。

 

「それにギレーヌ、アリエル様に協力すれば、サウロス様の仇をとれます」

 

「なんだと……?」

 

ギレーヌは少し垂れていた耳をピンと立て、俺の方を見つめた。

 

「ダリウス・シルバ・ガニウス、アリエル様と敵対関係にあり、サウロス様を処刑に追い込んだ人物です。彼を失脚させる事が出来れば、その後は仇討ちを簡単にできます」

 

 

 

「ダリウス……あのゲスか……!」

 

ギレーヌの握りしめる拳からは、ダラダラと血が流れている。

 

「……そういう事ならば、分かった。私も喜んで協力しよう」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

よし、なんとかギレーヌからの協力はできた。エリスもなんか乗り気だし、ついて来てくれるだろう。

 

「まあ言いたい事は色々あるけどよ、お前が行くってんなら、俺も行くしかねぇか」

 

「そうだね、僕もアリエル様を助けるのには賛成だったし、とりあえずはルディを信じるよ」

 

「みんな……」

 

パウロとシルフィも、多少は不満があるようだが、俺を信じてついて来てくれるらしい。俺は幸せもんだな……

 

グイ

 

何かに服を引っ張られた感覚がして後ろを向くと、お腹が膨らんでいる、いかにも妊婦っぽい体型をしたロキシーがいた。

 

「ルディ、あなたにも事情があるのは知っていますが……嘘は程々にしておいてくださいね」

 

「……バレてましたか」

 

どうやら、家族は騙せても、我が神(ロキシー)の目には全てお見通しらしい。

 

でも彼女も一応黙ってくれてるみたいだし、問題はないだろう。

 

「では、明日にでもアリエル様のところへ行って、協力するという旨を伝えましょう」

 

 

 

こうして、夜中に開催された緊急家族会議は、静かに幕を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手遅れかもしれないんですけど一応

  • 戦闘描写たくさん
  • 話し合い、イチャイチャたくさん
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