貴殿転生 元の知識で本気出す 作:MENOUENOTANKOBU
目が覚めると俺は真っ白な空間にいた
俺、また死んだのか?
アリエルは無事なのか?
俺は本当に死んだのか?
まだやりたい事もあった
色々な事が頭をよぎる
「やあ、初めましてヘルス君」
声が聞こえた
どこかおちゃらけたふざけた声
声がする方へ顔を向けると人がいた
真っ白な空間にさらに真っ白な人、いや人間なのか?
おまえは誰だ?
「僕は神様、人神だよ」
なんだって?神様?信じられないな
「信じなくても別にいいよ、本当のことだしね」
なんか腹立つ神様だな
もっとこう神様は、慈愛に溢れた優しい奴なんじゃないのか?
「それは君の勝手な妄想だろ、本当の神はこんな感じさ」
自称神はよく顔が見えないが、にやにやしてるってのは分かる
じゃあそんな神様が俺に何の様ですか?
もしかして死んだ俺を迎えにきたとか
「いや〜違うよ。まず君、死んでないしね」
え?俺はまだ死んでないのか?
「イェース、まだ君の肉体は死んでないし、君は助かるよ」
そうか、まだ助かるのか、よかった
そう思って無意識に手を見る
ん?俺の手ってこんな大きかったっけ?
脚も少し筋肉と脂肪がいい感じについている
何だこの体
「それにしても君の体と精神は面白いね、まさかこんなにも違う体になっているなんて」
この体、おそらく前世の肉体なのだろう
前世の記憶が蘇る
懐かしいな
「精神体を拝んでいるところ悪いけど、僕が君を呼んだのは、君に助言をしてあげるためなんだ」
助言?そんなはいらない
「もちろんこの助言は僕が勝手にするだけだから、聞かなくたって構わないよ。ただ、助言を聞けば君はさらに幸せになれるけどね」
人神はさらに口角を上げている感じがする
どっかの宗教勧誘かよ
「とりあえず聞くかい?助言」
正直言ってこいつは信用できない、初めて会ったからって言うのもあるが、こいつのどこかふざけているところが何か気に食わない
だけど助言というものは気になる
分かったよ、聞くだけ聞くよ。
「素直だね。断られると思ったよ」
別に聞くだけだからな、俺が不利になるわけじゃないし。
「そうかい、じゃあ助言を授けましょう」
「コホン、ヘルスよ、あなたはいずれフィットア領のロアの町に訪れるでしょう。
そこで、1人の少年と関わりを持つでしょう、その少年と親睦を深め絆を作りなさい。さすればあなたはさらに幸せになるでしょう」
そうやってエコーがかかりながら、俺の夢?かはわからないがその真っ白な空間から俺の意識は消えていった。
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目が覚めると俺はベットの上にいた。
ここは……医務室だろうか?
ヒトガミ、あいつの助言でいくと俺は望み通りロアの町に行けるらしい。
あいつの助言を聞くのはなんか嫌だが、俺も元々にロアの町に行く気だったし、ちょうどいい。あいつの助言が本当に俺を幸せにするのか試してみよう
俺はゆっくりと上半身を上げ周りを見渡す。
周りには誰もいない。
自分の手を見てみた。
そこにはまだ10歳にも満たない少年の手だった
前世の肉体はヒトガミのいるところだけか
手から目を離そうとした時、俺の膝あたりに倒れている金髪の少女が目に入った。
アリエルだ。
無事だったのか、良かった。
しっかりと整えられている髪の上に手を乗せると、その頭がビクンと跳ねて動き、やがて頭を上げた。
「ヘルス……?ヘルス!」
アリエルはその言葉を言い終える前に俺に抱きついてきた
お互い何も言わずに30秒くらいが過ぎただろうか
「アリエル、痛いぞ」
「あ、すいません」
アリエルはキツくしめていた手を緩めてまた横の椅子に座った
それと同時に扉が開いた。多分アリエルの声で駆けつけたのだろう
「アリエル様!どうかされましたか?、ヘルス!目が覚めたのか」
そこに現れたのはデリックだった
「あぁ、まだ少し体がだるいけど」
「当たり前だ。お前を刺した剣には、猛毒が仕込まれていたのだからな」
気を失う前に見たあの男の勝ち誇った顔、そういう意味だったのか
「アリエル様、ヘルスとは少々したい話もあります故、ピレモン様を呼びにいってもらえませんか?」
「私だってヘルスとまだ話したい事があります!」
「アリエル、デリックの言うことを聞いてくれないか。その後でたくさんお話ししよう」
アリエルは顔を膨らませ怒りつつも
大人しく呼びにいってくれた
「ヘルス、まずはアリエル様を護衛してくれたこと、感謝する」
「当たり前だよ、俺は守護術師だからな」
「だが同じ守護術師である俺は、そんな危機的状況を守る事ができなかった。みっともない事だ」
「俺だって奇跡的に守れただけだよ、最終的には俺もやられてしまったし」
本当に奇跡だった
もしあの時、あの3人がもう少し強かったら、俺とアリエル両方死んでいたかもしれない
そういえば、あの3人はなんだったのだろうか
「アリエルを襲った3人はなんだったんだ?」
「あいつらは暗殺集団の一員だった。お前が戦っていた3人のうちの生きていた1人がそう言っていたし、お前が寝ている間も何度かその様な襲撃があったから間違いないだろう」
生きていた1人ということは、俺は他の2人を殺していたのだろう
そう考えるとまたよく分からない気持ちの悪さが襲った
最後の1人を殴った時、あの柔らかい肉の感触が思い出される
「本当に大丈夫か?顔色が悪いぞ」
「ごめん……俺、人殺して、それで」
「あぁ、そういうことか、あれは仕方がない。それしか言えないな。
相手はお前とアリエル様を殺そうとしていた。ならば殺されても文句は言えないはずだ」
確かにその通りだが、そんな言葉で俺の心の濁りは消えない
「兎に角、本当に生きていてよかった」
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しばらくすると
部屋の外から走ってくる音が聞こえてきた
「ヘルス!目が覚めたのか!?」
部屋を開ける前にその声は聞こえた
父だ
父は部屋を開け、俺を見ると涙目になりながら俺に抱きついてきた
「おぉヘルス!すまない、すまなかった」
「父上!痛い痛い痛い!」
そんなことお構いなしに父は俺をさらに強く抱きしめてきた
しばらくしてようやく解放された俺は、治癒魔術をかけてもらいながら話を聞いた
どうやら俺はあの戦いの後、1週間命の危機に晒されていたらしい。
解毒魔術と治癒魔術をかけられ続けてようやく安定して俺が目が覚めた時には2週間が経っていたらしい。
その間アリエルは俺の見舞いによくきてくれたらしい。自分も狙われているって言うのに
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歩ける様になったのはそこから数週間後の事だ
その間に俺の10歳誕生日パーティーが行われたが、流石に危険なのでアリエル陣営の貴族とノトス家だけで行われた
そしてリハビリ中に、俺はルークとよく話していた
何でもルークは俺の変身魔法に心を打たれたらしく
すごい熱心に俺の変身魔法についての話を聞いていた
話しているとルークはかなりの女たらしらしく
同年代の子を次々と落としているそうだ
ノトス家は元々女たらしが多いらしいが、ルークのその才能はずば抜けている。
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そして、、そこから4年が経った
すごい時間が飛んだだろうが
その間に特にすごいハプニングは起こらなかった
俺は魔術も上級を使える様になったし
格闘技に関しても中級剣士までなら倒せるほどの実力はついた
まあこの4年で一番すごい出来事といえば
アリエルがサディスト、ドSになってしまった事だ
アリエルは自分が幾度も暗殺されかける事で、新たな性癖に目覚めてしまったのだ
ある日、俺が朝アリエルの部屋に行くとメイドが全裸で掃除をしていた
メイドは自らが望んでやったと支離滅裂なことを言っていたが、その横で興奮気味になっているアリエルを見れば、それはやらされていたと言うことが一発でわかった
アリエルは俺がそれを目撃した時、とても気まずそうにしていたが、俺がそれを咎めたりしないことを知ると、俺がその場面を目撃しても、何食わぬ顔で続け始めた。
俺は別にアリエルのその性癖を否定はしない
そうなってしまった原因が何度も暗殺されかけたからって言うのもあるが
性癖なんてだれでも持ってるものだ
それにアスラ王国にはそういう輩がたくさんいる
幼女を誘拐し、自分のものにするとんでもない男が、このアスラの上級貴族であるという噂もある。
それに比べれば、メイドに全裸で掃除をさせたり、鞭で小間使いの少年を打ったりするなんて、
いや酷いな
でもまあ、アリエルがそれで満足するならそれでいい。
しかし、何で俺とデリックにはしないのだろうか?
デリックはそういうアリエルの性癖に否定的だ
デリックの言い分としては、アリエル様はいずれ王になるお方、そんな方がメイドや自分の身の回りの事をしているものをいじめている、なんて噂が広がったらどうなるか、という事らしい。噂でもなく事実なんだが
しかしアリエルは自分が王になる事に興味がない。
諦めているって言う方が正しいかもしれない
自分より早く政界へ出た兄や姉に勝てるはずがないと思っているらしい
俺もそのアリエルの姿勢に賛成している
アリエルを王にする名目で守護術師になったので、決して周りにはそんなこと言えないが
俺はアリエルには幸せに生きてほしい
自分の身内と殺し合いなんかせず、毎日お昼に外で紅茶と甘い物をつまみながら、俺とデリックと他愛のない話をして、結婚相手を見つけて、俺とデリックでその相手を一緒になって冷やかす。そして子供を作って、孫をみて、幸せな一生を過ごしてほしいのだ
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アリエルの10歳の誕生日パーティーが終わってしばらく
俺はいつもの様にアリエルとデリックと新しく守護騎士となったルークと庭でお茶会をしていた
ルークとアリエルは年が近いと言うのもあり、アリエルともすぐ打ち解けた。もっぱら話しているのは自身の性生活についてだが
そうやって4人で仲良く話をしていると父ピレモンがやってきた
「父上、お久しぶりです」
「ヘルスにルーク、デリックとアリエル様、お久しぶりですね」
「あらピレモン、あなたもお茶をしに?」
「そうしたいのも山々ですが、今日はヘルスに用がありましてな」
「どうしたのですか?父上」
「ヘルス、お前はあの約束を覚えているか?」
約束、その言葉で4年間頭から抜けていた事が引っ張り出された
「はい、6年間アリエル様をお守りする事ができれば、剣王ギレーヌに剣術を教えてもらえると」
「そうだ。アリエル様の10歳の誕生日パーティーの時、その話をちょうどきていたフィットア領のフィリップに伝えてな、その返事が来たんだ」
「それで、フィリップ様はなんと?」
「一年間、お前を居させてやっても良いとの事だ」
「本当ですか?是非行かせていただきたいのですが、」
俺はアリエル達の方を見る
確かに剣王ギレーヌと会いに行ける、それは嬉しい。
だが俺には今アリエルの護衛の任務が残っている
約束をした当初はそんな任務すっぽかせばいいと思っていたが
今の俺にとってこの3人は仲間、親友に近い存在だ。
「行ってきてもいいんじゃないか?」
最初に言ったのはデリックだった
「俺もそう思います、兄上、あなたにも休暇が必要かと」
ルークも賛同してくれた
そう言えば、俺はこのアリエルの護衛で休みというものがなかったな
別に苦しいものでもなかったので気にしてはいなかったが
「アリエル様はどうお考えなされますか?」
父が問うと、アリエルはきょとんとしていた顔から何かを考える顔になっていた
「そうですね、私は確かにヘルスやデリックに休みを上げていませんでした。申し訳ありません」
「いやだと思ったことはないよ、むしろ俺はこの護衛を楽しんでるさ」
「私も同意見です」
「ならいいんですけれど……そうですね。ではヘルス、あなたが一年間フィットア領に行くことを許可します」
「本当か!?」
「えぇ、ただし、一つ約束があります」
「約束?」
「はい、フィットア領には私と同い年のフィリップの女の子がいると聞いています」
「そういえばそうだったな、確かこのアスラ王国にいたけど、凶暴すぎてフィットア領に送り返された奴だったって話だよな」
そいつは最近きた家庭教師のおかげで随分丸くなったって噂もある様だが……
「浮気しないでくださいね」
『!?』
アリエル以外の全員が俺の事を見た
浮気?俺が?俺に彼女はいないぞ?
「冗談です」
アリエルは頰を少し赤くしてそう言った
「ですがフィットア領が居心地が良くて、王都に帰りたくない、なんて言わないでくださいよ」
「そんなこと言うわけないだろ」
「どうでしょう」
アリエルと俺は笑った
多分この調子なら大丈夫だろう
俺の代わりにはルークがいる
手遅れかもしれないんですけど一応
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戦闘描写たくさん
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話し合い、イチャイチャたくさん