ハイスクールD×D 四天龍の王   作:DECADE

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 ついに登場します。オリジナル神器!


Life.22 『金色』、いきます!!

 俺は旧校舎の玄関から、小猫ちゃんと並んで出て来た。

 目指すは体育館。そこで間違いなく、一戦交えることになるだろう。

 通信を通して、部長の声が届く。

 

『いい、イッセー、小猫。体育館に入ったら、バトルは避けられないわ。指示通りに頼むわね』

「「はい」」

『裕斗、準備はいい?』

『問題ありません』

『朱乃は頃合いを見計らって、お願いね』

『はい、部長』

 

 一泊置いて、部長が唱えた。

 

『では……作戦開始! 私の可愛い下僕たち、相手は不死身のフェニックス家の中でも、有望視されている才児ライザー・フェニックスよ。さあ、消し飛ばしてあげましょう!』

 

 部長の宣言を受けて、俺と小猫ちゃんは体育館へ走り出す。木場と朱乃さんも動き出しただろう。

 

 見せてやるぜ、グレモリー眷属の力を!

 

 

 

 

 

 体育館の裏側から入って、演壇の裏側に出る。

 

 小猫ちゃんは身を隠して様子を伺う体勢になり、俺もその後ろで身をかがめつつ、周囲を見回す。こりゃ凄いな。後で本物でしたって言われても信じそうだ。

 

「……敵」

 

 小猫ちゃんが呟くと同時に、体育館天井のライトが一斉に点灯する。同時に、体育館の中に女の声が響き渡る。

 

「そこにいるのは分かっているわよ。グレモリーの下僕さんたち。貴方たちがここへ入り込むのを監視していたんだから」

 

 やっぱりだ。部長よりゲーム経験豊富なライザーが、こんな重要な拠点に目をつけない理由はない。そこに対して監視の目を光らせる程度はやるだろうさ。

 

 ばれているのなら、躊躇することはない。堂々と壇上に姿を晒した。

 

 体育館のコートには四人いる。

 チャイナドレスの中国拳法の女と、棍棒使いのミラって呼ばれていた少女。

 それに、体操着ブルマの双子。……絶滅危惧種発見! 特等席で色めき立ってる神さんが目に浮かぶぜ! 

 

「戦車さんと、あのときの兵士さんね。改めて、私は戦車の雪蘭(シュエラン)

「ミラよ。属性は兵士。この前の借りを返させてもらうわ」

「兵士のイルでーす!」

「同じく兵士のネルでーす!」

 

 戦車と兵士か。戦術的な必然か、こっちとまったく同じ編成。とはいえ、向こうの兵士は三人。数の上では倍。それに加え……

 

「あの雪蘭っていう戦車、結構な使い手だな」

 

 達人級とまでは言わないけど、それなりには手ごわそうだ。

 

「……はい。戦闘力だけで言えば、女王レベルかも」

 

 小猫ちゃんもそう評する。他の三人も、それほど弱いってわけじゃないけど、あいつはそれ以上だ。

 

「……私は戦車を相手しますから、イッセー先輩は兵士達を……」

「あ、ちょっとまって」

 

 小猫ちゃんを制止すると、振り向きながらも中々迫力のある目で睨まれた。その威圧感をかわしつつ、部長に通信をつなぐ。

 

「部長。たった今、体育館で小猫ちゃんと、敵の戦車一人と、兵士三人に遭遇しました」

『そう。やっぱりライザーもそこを狙ってきたわね。なら、戦車の相手は小猫が。兵士の三人はイッセーが戦いなさい』

「小猫ちゃんからもそう言われました。そこで一つ相談したいんですけど……全員、俺に戦わせてもらえませんか?」

『えっ!?』

「……!?」

「「「「?」」」」

 

 敵からは怪訝な顔をされ、小猫ちゃんはさっきより凄い目で俺を睨んでくる。

 うん。言いたい事もわかるけど、まずは聞いてほしい。

 

「実は俺、あの合宿中で師匠にあってるんです。そこでいくつかの新技と、『新しい力』を手に入れまして。その『新しい力』を試したいんです」

『な……』

 

 部長の今の心境は痛いほど分かる。だから、次の言動も予測できる

 まずは俺の正気を疑って、次に戦力的な話をして、最後は命令で占める。完璧な説得コンボだ。だから、一気にたたみ駆ける。

 

「なんで修行中に試さなかったんだ、とか、事前に言っておかなかったんだってのは、まだ安定して使えなかったんです。でもさっき、部長に駒の封印を解いてもらって、これならいけるって確信したんです」

「……」

『……』

「「「「……」」」」

 

 部長も小猫ちゃんも、黙って話を聞いてくれている。敵さんも、律儀に待ってくれている。まあ、実際どうしたら良いのか迷ってるんだろうけど。

 

「だからお願いします。俺に、コイツを扱いこなす機会をください。それでようやく、ライザーを倒せる確信が持てるんです」

『………………――わかったわ。許可しましょう』

 

 長い沈黙の後、部長からお許しが出た。よし!

 

『小猫は待機していなさい』

「…………了解です」

 

 小猫ちゃんは少し不満げだった。毎度毎度、色々とごめんね。今度ドーナツでも作ってくるから。

 

『ただし、イッセーが不利と見たら、遠慮なく参戦しなさい。――イッセー。そこまで言った以上、結果を出して見せなさい。万が一にも、こんなところで貴方を失うわけにはいかないの』

「はい。グレモリー眷属の底力、見せ付けます」

 

 ゆっくりと壇上からコートに降りると、待たされただけではない苛立ちを相手から感じる。

 

「……悪魔になりたての貴方が、たった一人で私達四人と戦う? 新しい力を試す? ははは、ここまでの侮辱を受けたのは初めてよ……舐めるのも大概になさい!!」

 

 激高の一言と共に、結構な魔力が雪蘭の身体を包み込むと、脚へと集中し、炎となって噴出した。そういえば、部室で戦ったあの時に、足技使ってたっけ。他の三人も、得物を構えて表情を引き締めている。おいおい、あの双子のチェーンソーなんだよ。ビジュアルとあいまって妙に怖可愛いよ。なんだよ、ポップホラーって。どこの新ジャンルだ。

 

 にしても――なめるなってのは、こっちの台詞だよ。

 

 俺は、高々と右脚を上げ、その脚に意識を集中させる。

 

 神器を具現化させるために重要なのは、イメージ。自分が最も強いと思ったものを頭に思い浮かべるのがいいといわれているけど、この場合、思い浮かべるべきなのはアイツしかいないだろう。

 

 さあ……力を貸せ! 『雷龍帝(ヴェロシティ・ドラゴン)』!!

 

「バオウッ!!」

『バオオオオオオオオオォォォォォォォォーーーーーーーーッッッ!!!』

 

 俺の全身から圧倒的な咆哮が沸き起こり、その直後、

 

 ヴァゴォォォォォォォォォ!!!!

 

 ―――閃光。

 

 眩い金色の閃光が、俺の全身から溢れ出し、好き勝手に荒れ狂う。体育館内の壁や床を破壊しまくる雷が収まると共に、光は俺の両脚を、つま先から膝まで覆い、やがて形を成したそれを、上げていた足ごと体育館の床にたたきつける。

 

 ガゴォン!

 

 金色に輝く具足が、轟音を立てて床にひびを入れた。

 ちゃんと具現化できてる。うん、やっぱり駒を開放してもらった影響で、しっかり発動できるようになった。次からは、こんな派手な登場もいらないだろう。

 

「待たせたな。これが俺の新しい力……新神器『雷龍帝の脚甲(ライディング・ギア)』だ!!」

Dragon(ドラゴン) Ride(ライド)!!』

 

 くるぶしの辺りにはめ込まれた、赤い宝玉から音声が聞こえると共に、俺の身体にブーストとはまた違った力が満ちる。

 

『Ride』

 

 左手にも『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』を纏いながら、啖呵を切ってみせる。

 

『Boost』

『Ride』

「!! これ以上力を上げさせるな! ここで仕留めるわよ!」

 

 叫びだし、攻めかかってくる連中に対し、俺は篭手と脚甲の力を同時に解き放った。

 

Explosion(エクスプロージョン)!』

Ignition(イグニション)!』

 

 緑と赤の宝玉からの聞こえる声。全身に染み渡る力を感じながら、正面から突っ込む。

 

「!?」

 

 あまりの速さに、声も出せずにいる戦車のわき腹に、渾身の右フックをかます。これで確実にあばら数本はいった。

 直後、至近距離からけりが来るが、遅い。横に跳んでかわし、すぐさま次の相手に突撃する。

 

 根使いは既に俺の攻撃を予測していたようで、高速の突きを繰り出したが、遅すぎる。滑り込むように懐に入ると、根をつかんで握りつぶし、一瞬無防備になった腹に、蹴りをくれてやる。

 

 双子がチェーンソーを構えて左右同時に突っ込んでくるが左は篭手。右は脚甲を盾に防ぎ、左足の回し蹴りで纏めて吹っ飛ばす。

 

 ここまでの攻防に、ざっと十秒もかかっていない。

 

「貴方、なにをしたの?」

 

 戦車がわき腹を押さえ、よろめきながらにらみつけてくる。

 

「前に戦ったときは、ここまでの速さじゃなかった。あの時に貴方が見せた強化が十六倍。なのに、今の貴方は四倍しかない。幾ら修行を積んだと言っても、あまりに速すぎるわ」

 

 ……相手にベラベラ話すのもどうかと思うけど、小猫ちゃんへの説明も込みで教えてやろうか。

 

「『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』は持ち主の能力を倍にする。そして、この『雷龍帝の脚甲(ライディング・ギア)』は、持ち主の速度を倍にするんだ。本人にしか効果がないから、赤龍帝の篭手の強化を一気に上げるなんて真似ができないのが玉に瑕だけどな」

「……なるほど。あなたはやっぱり、危険すぎる。この場で倒れてもらう!」

 

 叫ぶと共に、業火を伴ったとび蹴りを放ってくる。見事なタイミング、そして、必殺の気迫だ。

 それに対し、脚を相手に向けて、叫ぶ!!

 

「ザケル!!」

 

 ドガァァァァァンッ!!

 

 閃光と轟音を伴った電撃に包まれ、戦車は床に倒れこんだ。

 

「一つ言い忘れてたけどな。こいつのもう一つの能力は、この中に封印されたドラゴンの力を、呪文を唱えることでいろんな形で開放できるんだ。今のは一番基本的な、電撃を放出する呪文さ」

 

 とはいえ、流石というべきかすぐに起き上がってくる。

 

「こ、このぉ……」

「こんな男に負けたりしたら……」

「ライザー様に怒られちゃう!」

 

 ほかの三人も身を起こし、得物に炎を纏わせ、向かってきた。そろそろ決めるか。

 

 四人の合間を縫うように動き、全員の身体にタッチする。すると、俺の魔力で形作られる、小さな魔法陣が刻まれる。その魔法陣には、俺のあるイメージが刻まれている。

 

 ……これで条件は整った! 四人へ向くと、左手を高々とあげると、振り下ろすと同時に打ち鳴らす。

 

「くらえ! 『洋服破壊(ドレス・ブレイク)』!!」

 

 パチン。

 

 この体育館にきてから、俺が立てた音の中で最も小さいであろうその音を合図に、四人全員の服が弾け飛ぶ!

 当然、下着もだ! 生まれたままの、あられもない姿を俺の目前に晒す!!

 おおおおお!! 戦車のグラマーな身体もいいけど、三人の発育の足りない身体も十分魅力的だ!

 

「見たか! 俺は特訓の最中、女の子の裸を延々と――そう、延々と妄想し続け、玉ねぎやジャガイモ、バナナで修練を積み、もてる魔力の才能の全てを、女の子を裸にすることのみに注ぎ込んだのだ!!」

 

 魔法陣として彼女たちに刻んだ裸のイメージを媒介に、相手の衣服を全て剥ぎ取る。

 その全ては、今俺の目の前に! あはははは! 白い肌が眩しいぜ!

 

「最低!」

「ケダモノ!」

「女の敵!」

 

 兵士の三人が口々に罵ってくるが、そんなものはこの技を考案した時にとっくに思いついたわ。この桃源郷を目にする為ならば、その非難、甘んじて受けよう! 戦車の非難する視線もな!

 

「……見損ないました」

 

 グサッ。小猫ちゃんからの心のそこからの軽蔑の念は、流石に痛い。

 

『イッセー、小猫。状況は?』

 

 耳に部長からの通信が入る。俺はもう一度周りを見回して報告する。

 

「問題ありません! 試した新しい力も、新技も絶好調です!」

『それは何よりね。朱乃の準備が整ったわ。作戦通りにね』

 

 部長の指示を受けて、小猫ちゃんと視線をかわし、体育館の外へ走る。

 

「逃げる気!? ここは重要拠点なのに!」

 

 ああ、そのとおりだ。ここは新旧の校舎をつなぐ大事な場所。お前らがあわてるのも無理はない。

 重要拠点だからこそ意味がある! 予想通り、お前たちは集まった。まんまとこの『囮』に引っかかって!

 

 カッ! ドォォォォォォォォォォンッ!!

 

 俺たちが体育館を離れた直後、巨大な雷の柱が体育館を貫き、一瞬のうちに消し飛ばしてしまった。

 

撃破(テイク)

 

 空に浮かぶ朱乃さんが、ニコニコと笑顔を見せながら呟いた。右手には、パチパチと電気が迸っている。

 

『ライザー様の「兵士(ポーン)」三名。「戦車(ルーク)」一名、戦闘不能』

 

 グレイフィアさんのアナウンスが聞こえる中で、朱乃さんはとても色っぽくSな笑みを浮かべておられた。

 

 この一撃を見て改めて思うけど、朱乃さんは本当に凄い。ザケルとは比較にもならない威力だ。最も、切り札なら勝てるだろうけど。

 

 それにしても、神さんきっと向こうで大笑いしていることだろう。そしてこのゲームの映像を録画したがるだろう。そういう人だ。

 

 

 

 

 

 

 次元の狭間の特設空間から、この冥界の城の一室に送られてくるリアスのゲーム模様は序盤ながらも興味深い展開を見せている。しかし、その中でも異彩を放つ、妹の眷属にして友人の弟子には強く興味を惹かれる。客分として招かれ、自分と同じ卓につく友人に視線を移すと……

 

「ハハハハハハハハハハハハハ!! ハァーッッァハハハハハハハ!! ヒー、ヒーッ!」

 

 テーブルに突っ伏し、大声で笑い続ける彼を周囲が注視しているのは理解しているが、それもしょうがないと思える。むしろ自分も許されるのならば、同じように笑いつくしたいと思えるほど愉快だった。

 

 行動一つ一つが悉く予想を大きく上回り、まったくと言っていいほど先が読めない。ゲーム開始前に彼から「面白いものが見られる」といわれたが、その面白いものとは女性を脱がす技でもなければ、あの新しい神器ですらなく、彼自身だったのだと思い知らされている。

 

 そんな人物が、妹の眷属として悪魔となってくれたことに、私は年甲斐もなく胸が躍っていた。彼は、この冥界に新しい風をもたらしてくれる。いや、それどころかもっと素晴らしいものを見られるかもしてないとすら考えられた。

 

 ハーレムが目標と聞いたが、他の誰かが言えば大して興味をそそられなかったであろうそれにすら、何かしらの期待を持たせてくれる。だからこそ……。

 

「夢をかなえたければ、魔王の期待に応えてくれたまえよ。新米悪魔君」

 

 紅髪の魔王(クリムゾン・サタン)、サーゼクス・ルシファーの期待に、ね。




 登場がショボい気もしますが、ゲーム中にもっと活躍させますので、ご期待ください。
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