ハイスクールD×D 四天龍の王   作:DECADE

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 オリジナルの呪文が出ます。苦手な人は注意。後、超イッセー無双です。

 少し改訂いたしました。


Life.26 赤き修羅

 パーティーは表に会場を移して続行している。

 そして俺は今、急遽特設された会場上空の戦闘場でライザーと対峙している。

 

「それじゃ、始め」

 

 神さんの号令で、ライザーは炎の羽を生やして飛び上がる。

 

「小僧! ここまで舐められたのは生まれて初めてだ!! 師の分もお前に償ってもらうぞ!!」

 

 自業自得の癖に、なにを開き直ってやがる。とてもさっきまでOrzしてたやつと同一人物だとは思えない。けどな……腹に据えかねてんのはお前だけじゃねえんだよ!!

 

Explosion(エクスプロージョン)!!』

 

 投げつけられた炎を紙一重でかわし、目にも留まらない速度で接近してライザーの顔面に拳を叩き込んで、機先を制す。勢いに乗って連撃を決め、腕に覇気と魔力を込めて叩き込む!

 

「暗黒魔闘術奥義、魔神烈光殺!!」

 

 真っ二つになった胴体はすかさず炎でくっつくが、再生が終わった瞬間、ライザーの胸部に突きを叩き込んで、貫通させる。そして、拳に握られたあるものに対し、譲渡の力を使う。

 

Transfer(トランスファー)!』

 

 力を増したそれを、引き抜く一瞬の間にライザーの体内で握りつぶし、すぐに離れる。

 

「うがぁぁぁぁぁあああああああああーーーーーーーッッ!!」

 

 直後、凄まじい叫び声を上げてライザーがもだえる。おまけに、さっきまでは胴体を真っ二つにされようとすぐさま回復していた筈が、俺があけた胸の傷が未だに回復していない。

 

 少ししてゆっくりと立ち上がったライザーが、苦悶を貼り付けた形相で問いかけてきた。

 

「き、貴様……何をした!?」

「聖水を強化して、それをお前の体内にぶちまけただけさ。さすがの不死鳥も、身体の中は弱かったってことか」

「ぬっ……ぐっ……」

 

 葛藤しつつも、ライザーは勝負前に神さんの説得という名の脅迫を装った命令によって持たされた、フェニックスの涙の一つをとりだして飲み干した。すると、聖水のダメージによって弱っていたやつの炎が一気に勢いを取り戻した。

 

「おのれえぇぇ!! 下級悪魔の分際で、どこまでも不愉快なガキだ!!」

「……これでいい」

「あっ?」

 

 怪訝な顔をするライザーに、俺はヤツに話すでもなく、心情を吐露する。

 

「わざわざアーシアに頼んで聖水なんて用意してもらったのは、あの状況でも俺がもっと準備しておけばお前に十分対抗できたことを証明する為だ。いや、そもそも俺自身にもっと力があれば……負けたのは、部長や皆のせいじゃない。俺の油断のせいだったんだ」

 

 バオウの理解を得て、力を手に入れるためには必要な過程だったのかもしれない。

 

 それでも、俺自身がもっと強ければ、部長を泣かせずにすんだ。

 

「……あのゲームのときに、俺にもっと覚悟があれば……お前らに苦戦することなんてありえなかったんだッ!!」

 

 かみ締める奥歯が軋む。体中にイカレそうなほどの力が満ちていく。あふれ出す覇気を抑えきれず、体中から噴き出る赤いオーラが闘技場に蔓延していく。

 

「なんだ……なんなんだお前は!?」

 

 ――なんだって? 決まってんだろ。

 

「ドラゴンがくっついただけの、単なる下級悪魔、兵藤一誠だよ」

 

 

 

 

 

 私は、目の前の光景に目を奪われていた。朱乃も、裕斗も、小猫も。レイヴェル・フェニックスやライザーの眷属も。グレモリー、フェニックス両家の関係者も。お兄様とグレイフィアですら、空中に映し出された映像から目が離せなかった。

 

 最初こそ、ゲーム終盤で圧倒されたとはいえ、最終的に勝利したことから、周りの上級悪魔はライザー有利の予想を立て、イッセーがどれだけ食い下がれるかという話題ばかりだったというのに、今では誰もがイッセーに目を奪われている。

 

 上空の闘技場から漏れ出した闘気が、龍のように蠢き、炎のように燃え上がる。ただそこに立っているだけのはずのイッセーの姿は、雄雄しく、神々しく、禍々しく、凄まじく、その有様を、全員の心に焼き付けさせていた。

 

「俺の言ったことが実感できたか? リアス・グレモリー」

 

 お兄様のすぐ傍で、酒瓶を傾けながら問いかける彼の師匠。

 

 あの日、イッセーが堕天使の根城に乗り込んでいる時。朱乃を伴って公園に来た私に、堕天使の羽を渡した人物。イッセーの関係者だと語り、そのまま姿を消した彼が、お兄様が時々漏らしていた友人と聞いたときは本当に驚かされたわ。

 

 その人物が、ゲームの敗因は私の戦略ミスだと指摘した。あの時は納得できなかったけど。今はとてもよくわかる。

 

 私が犯した最大のミスが。

 

「お前があのゲームで優先するべきだったのは、相手の戦力を減らすことでも、敵戦力の分散でもなく、できる限り消耗させずにイッセーをライザーのところへたどり着かせることだったんだよ。そうすれば、相手が何人いようが、フェニックスの涙をいくつ持っていようが関係ない。それだけで勝利の可能性は大いに上がったと言い切れる」

 

 そのとおりだ。イッセーはああ言っているけれど、覚悟が足りなかったのはむしろ私のほう。

 

 それこそ、私自身が囮になってでも、イッセーをライザーと戦わせる。危険な賭けだけど、私自身がライザーと戦うよりもよほど勝算は高かったはず。

 

 最大の敗因は私にある。イッセーの力を推し量れず、信頼し切れなかった私の責任だ。

 

(イッセーは私のために、あんなになるまで戦い続けたっていうのに……。私は最後になって、イッセーの姿をもう見ていられないと思ってしまった)

 

 申し訳なさに涙がにじんできそうになるのを、ぐっとこらえて空を見上げる。

 

 今もイッセーは戦っているというのに、私が泣いている場合じゃない。

 今度こそ、私の兵士(ポーン)が戦う姿を目に焼き付けなければならない。

 

 そうでなければ、私は(キング)として、先に進めないと思うから。そう決意した瞬間、イッセーは私を呼んだ。

 

 

 

 

 

「部長! この場でプロモーションすることを許してください!」

 

 俺の叫びに、空中に映し出された部長が頷く。

 胸が鳴り、部長の許可が出されたことを感じる。

 

「『プロモーション、女王!!』」

 

 更に力があふれ出す。俺はライザーに向かって歩き出しながら、部長に語りかけた。

 

「部長、俺に木場みたいな剣の才能はありません。朱乃さんみたいな魔力の天才でもありません。小猫ちゃんみたいな格闘センスもなければ、アーシアの治癒の力もありません」

 

 徐々にスピードを上げていき、走り出す。

 

「それでも俺は、最強の『兵士(ポーン)』になってみせます! あなたの為なら、神だろうが魔王だろうが、それ以上の存在でも倒してみせます!! 俺の中の『天竜』の力と共に、俺の唯一の武器で、あなたを守りますッッ!!!」

 

 飛び上がりながら、篭手を頭上に高々と掲げる。宝玉から赤い光が輝き、俺の周り一切を照らし出す。

 

「輝きやがれぇぇぇぇぇッ!! オーバーブーストォォォォーーーッッ!!!」

Welsh(ウェルシュ) Dragon(ドラゴン) over(オーバー) booster(ブースター)!!!!』

 

 ――懐かしい感覚が、俺の全身を包み込む。

 赤いオーラが俺の全身を包み込み、次々に全身に鎧のパーツが現れ、俺の身体に装着されていき、最後に兜を被ると、最早小型のドラゴンのような姿となる。

 

 ドラゴンを模した、鋭角的なフォルムの赤い全身鎧(プレートアーマー)に身を包み、身体の奥底から湧き上がる力に心身が満ちていくのを実感する。

 

 宝玉は篭手だけでなく、両手の甲、両腕、両肩、両膝、胸部中央にも現れている。

 

 背中にはロケットブースター同然の推進装置もついている。

 

 ……昔と何も変わってない。あの頃のままの力だ。

 

 ドライグ、どれくらい持つ?

 

『ざっと十分といったところだ』

 

 十分ね。ボンボン一人ボコるにはお釣りが出るな。

 

『ああ、やつだけじゃない。下にいる悪魔共、魔王、お前の主や仲間にも見せ付けてやれ。相棒の力をな』

 

 ライザーは声も出せずに震えている。おいおい、上級悪魔様がそんなんでいいのかよ?

 

「これが、具現化された龍帝の力。赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)禁手(バランスブレイカー)、『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』。――俺を止めたきゃ魔王様に頼め。それでもどうなるかは知らねえけどな!!」

 

 こいつの能力は、使い手の能力を極限まで強化すること。消耗の少ないマキシマム・ドライブみたいなものだ。そもそもマキシマム・ドライブは禁手が封印されることを見越して用意した機能だ。予想以上に大活躍してたけどな。

 

「――今、守るべきもの為……我は赤き修羅となる!!」

 

 ライザーの真正面に移動し、あわてて攻撃しようとするヤツの腹に、パンチを一発入れる。強化も何もされていない、ただの一撃だ。それだけでやつは身体をくの字に曲げて、表情を苦痛一色に染める。

 

 前かがみになったライザーの顔面を殴り、吹っ飛んだ所を追って両手でぶん殴る。

 

 ドゴォォン!!

 

「十……二十連! 覇皇連衝拳!!」

 

 ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!

 

 床に大の字でへばりついたところへ、追い討ちをかける。あの時と同じ攻撃、回数だが、今は一発一発の攻撃力が段違いだ。破壊力は比べ物にならねえ!

 

 ドゴォォォ!!

 

 あ! 衝撃で床が崩れてライザーごと落ちていく!

 

 それを追って床の穴から飛び出し、背中からのジェット噴射で落下するライザー以上の速度を得ると、勢いのままにライザーに蹴りを叩き込んで、そのまま会場へ落ちていく!

 

 ドゴォォォォォォォォン!!

 

 落下地点付近の招待客が大急ぎで退避した後、俺はライザー共々地面に激突する。踏ん付けたライザーの衣服に足を引っ掛け、頭上に放り投げながら上空の闘技場を指差して、神さんへ大声で要望を伝えた。

 

「派手にやりますから、もっと丈夫にしてください!」

 

 叫んだ後、全身のバネを使って頭上のライザーを思い切り蹴りあげる!

 

 サッカーボールみたいに吹っ飛んでいくライザーの後を追って、こちらに見えた腹へもう一発叩き込みつつ、また新しい穴を開けて闘技場に舞い戻る。

 

 闘技場に戻った途端、穴は綺麗に修復された。流石は神さん、仕事が速い。

 

 俺と一緒に戻ったライザーは、床に這い蹲りながらも涙を取り出し、飲み干す。

 背中から再び炎の翼が舞い起こり、飛び上がる。

 

「小僧! 認めたくはないが、今の貴様はただの化け物だ!! 主のリアスの前で散れぇぇぇッ!」

 

 炎の翼が大きく広がり、相当な熱気を発する。だが、俺はこれっぽっちも恐怖を感じなかった。

 

 ドライグ。お前の炎は、間違いなくあいつより遥かに上だよな。

 

『当然だろう』

 

 じゃあ、その炎も寄越せ。

 

『ほう……なるほど。ヤツと同じことをやれというのか』

 

 できるだろ? 格は違っても、同じ天竜なんだから。

 

『ふふ、言ってくれる。既にあの男から種はもらっているし、きっかけもある。やってみろ!』

「火の鳥と鳳凰! そして不死鳥フェニックスと称えられた我が一族の業火!! その身で喰らって燃え尽きろぉぉッ!!」

 

 火の鳥のシルエットの炎を纏って眼前に迫るライザーに対して、俺はあくまで無防備でいた。炎を纏ったライザーの拳が俺の顔面に突き刺さる。

 

「ははは! 怖いか! 動けないほど俺が怖いか! 当たり前だ! お前はブーステッド・ギアがなければただの屑だ! その鎧がなければ、お前の拳が俺に届く前に消失している! お前からその篭手をとったら、何の価値もない!!」

 

 調子に乗ってベラベラとくっちゃべるライザーを、マスク越しににらみつける。

 

「ごちゃごちゃうるせえぞ、焼き鳥が。お前如きのチンケな炎で、俺がどうにかなるわけねえだろうがッ!!」

 

 手のひらをライザーに向けて、叫ぶ!!

 

「イグルガ!」

 

 ゴオオオオオオッ!!

 

「ぐ!? うぐぁぁぁぁぁぁぁああああーーーーーーっ!!」

 

 俺の手のひらから飛び出た炎のレーザーが、ヤツの顔面に直撃する。その炎はフェニックスの炎すらも燃やし、やつの顔を焼いた。

 

「アム・イグルク!」

 

 両手に炎を纏い、野郎の顔面を殴り飛ばす。

 

 そのまま腹をぶん殴り、至近距離から呪文を連発する!

 

「イグル! イグル! イグルガァァーーーッ!!」

 

 ゴウン、ゴウン、ゴオオオオッ!!

 

 拳から噴出した炎がヤツをふっとばし、空中で体勢を立て直したところへ追撃する!

 

「ゴウ・イグルク!!」

 

 巻き起こる炎が全身を包み込み、ブースターとあわせて凄まじい速度で突撃し、やつの身体を壁にたたきつけた!

 

 ドゴォォォッ!!

 

 俺が着地した後、大量の血反吐を吐いて床に落下するライザー。やつはよろめきながら立ち上がり、俺を見た。

 

「な、何故だ……炎を司るフェニックスを燃やすとは……それはまさか……」

「ああ、そうさ。これは紛れもない赤龍帝の炎。たとえ不死身のフェニックスでも、炎すら焼き尽くすこの炎には耐えられないだろ?」

「馬鹿な! 幾ら天竜の神器を宿してはいても、直接にその力を使うなど……」

 

 そうだな。肉体ごと直接俺の身体に封印されていて、ドライグの神器を介して神器として力を出しているバオウと、神器に魂を封印されているドライグじゃ、事情が違う。今までだって、覇皇焔滅赤龍波みたいな必殺技の時に、少し借りられる程度だった。

 

 でもな、ドライグと俺がもっと直接的にリンクを持てば、話は別だ。

 

 ライザーは口をあけたまま、俺の左腕を凝視する。気がついたか。全身鎧のほかの部位と、生きているかのごとく脈動を行う左腕との違いを。

 

「篭手に宿るドラゴンに……自分の腕を……!!」

「ああそうさ。一時的な禁手化と引き換えに、左腕を差し出した。もうこの腕は俺の腕じゃない。だからこそ、ドライグの炎を引き出すことができる!!」

「しょ、正気か貴様!? そんなことをすれば、二度と元には戻らないんだぞ!?」

「それがどうした。相手は長年俺のなかにいた相棒だ。今更腕の一本二本くれてやって惜しい相手でもねえ。それに……俺の腕一本で部長が戻ってくるんなら、安い取引だ!!」

 

 全身から覇気を噴出す俺に心底恐怖したのか。大急ぎで涙を取り出すと、それを一気に飲み干し、三度飛び上がる。

 

 空高く舞い上がると、ヤツは炎をやたら滅多らにとばして、必死で俺を近づけないように飛び回る。

 

 遠距離なら勝てるって踏んだのか……甘いぜ、お坊ちゃま!

 

「ラージア・ザケル!」

 

 バシュウゥーーーーッ!!

 

 大きく飛び上がって、足から出た電撃が炎を消し飛ばす。ライザーが動きながらも驚いているのがよくわかる。

 

「この状態で、電撃の呪文が使えないなんていった覚えはねえぞ!!」

 

 まあ、ライディング・ギアの能力までは無理なんだけどな!

 

「ジャウロ・ザケルガ!!」

 

 雷の輪から十一本の電撃がライザー目掛けて放たれた。流石の高機動力で何とか避けるが、それでも数本はよけきれずに直撃する。

 

 電撃で一瞬動きが止まったスキに、至近距離まで接近し、ほうけるライザーに特大の電撃を放った。

 

「テオザケル!」

 

 ドガラァァァッ!!

 

「ぐああああああっ!」

 

 電撃で吹っ飛ばされたライザーに狙いを定め、一撃を当てる!

 

「バオウ・ザケルガ!!」

『バオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォーーーーーッッ!!!』

 

 雷龍帝が不死鳥を捉え、強大な電撃の牙が不死の炎を砕く。

 

「ぬぐあああああーーーーーーッ!!」

 

 ガガアアアァァァァァァァァァァァァァンッッ!!!!!

 

 バオウに貫かれ、黒焦げになったライザーが瓶を取り出し、飲み干す。……これで、フェニックスの涙は尽きた。

 

Maximum(マキシマム) Drive(ドライブ)! DriveⅡ(ドライブツー)!! DriveⅢ(ドライブスリー)!!!』

 

 全身から噴出す力が、大気を震わせる。俺自身でも恐ろしくなりそうな力を前に、ライザーが悪あがきのように炎を飛ばす。

 

「イグル!」

 

 簡単に相殺された自分の炎を見て、ライザーは震えだし、俺に向かって叫ぶ。

 

「ま、待て! わかっているのか!? この婚約は、悪魔の未来にとって必要で、重要なことなんだ!! お前のような何も知らないガキが、どうこうするような問題じゃないんだぞ!!」

「難しいことはよくわかんねえ……けどな、お前に負けて倒れそうになったとき、うっすらと覚えてることがある。――部長が泣いていたんだ!! 俺がお前を殴る理由は、それで十分だ!!」

 

 ドオオオオオオォォォォォンッッッ!!!

 

 闘技場全体を覆い尽くす程にあふれ出る覇気を溜め、一気に開放する。爆発のような覇気が俺の周囲を吹き飛ばし、俺が立っている場所を除いて床が消し飛んだ。

 

「こ、こんな事が……お、俺が……」

「お前は俺を……怒らせた!!」

 

 突撃し、まずは一撃で宙へ浮かし、動きを取れないライザーに、覇気と魔力を込めた全力の連打を叩き込む。

 

「おおおおおおおおおッ!!」

 

 目の前に落ちてきたライザーをアッパーで殴り飛ばし、上空高く打ち上げる!!

 

「おりゃあぁッ!!!」

 

 左腕に全ての覇気、魔力を集中させ、確実に止めをさせる力を放つ!!

 

「いでよ、天竜!! ドライグ・イグルガァァァァァァァーーーーーーーーーッッッ!!!」

『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーンッッッッ!!!!』

 

 炎、覇気、魔力。三つの力で生み出されたドライグの化身が、ライザーの身体を貫き、そのまま更に上空まで持っていく。

 

「轟覇! 機神拳!!」

 

 ドガアアアアアアアアアァァァァァァーーーーーーーーーンッッ!!

 

 上空で凄まじい爆炎が巻き起こり、爆風はここまで届く。数十秒後、ボロボロになったライザーが闘技場に落下してきた。既に意識は、ない。

 

 ライザーに近づくと、飛んできたレイヴェル・フェニックスが俺の前に両手を広げて立ちふさがる。が、その身体は僅かに震え、眼にも怯えの色がある。

 

「……アム・イグルク」

 

 拳に炎を纏い、レイヴェルへと突き出す。レイヴェルは眼を瞑るが、俺は拳をレイヴェルの目の前で止める。恐る恐る眼をあけたヤツに、俺は言った。

 

「文句があるなら俺のところへ来い。いつでも相手になってやる!」

 

 レイヴェルは、僅かにうろたえたように思えた。炎で照らされてるせいだろうか、顔も赤らんだように見えた。

 

 そうこうしているうちに、闘技場が崩れ始めた。レイヴェルはライザーを抱えて飛び去り、俺は自由落下して地面にぶつかる直前にジェット噴射で勢いを殺し、着地する。

 

 鎧を解除し、鱗で覆われたドラゴンの腕を見つめていると、ドライグが話しかけてきた。

 

『相棒。リミット前に禁手化を解いたから、まだ少しだけ力が残っている。何かあったときに使うといい』

 

 そうか……ありがとうな。ドライグ。

 

『礼を言われるようなことはなにもしていない。俺は等価交換を行っただけだ。お前こそ、これから一生このドラゴンの腕を抱えていくんだぞ?』

 

 あーっ……まあ、どうにかなるさ。

 

『ふっ、そうか。さて、愛しのお姫様が待ちかねてるみたいだぞ。俺は寝ているから、後は好きにしろ』

 

 ……ドライグの声が途絶えて、俺は部長に近づき、笑いながら言った。

 

「部長。帰りましょう」

「イッセー……」

 

 少し悲しげな部長の視線を受けながら、部長の隣に立つ、部長のお父さまに深く頭を下げた。

 

「部長を、俺の主であるリアス・グレモリー様を返してもらいます。勝手な振る舞いをしてしまって、大変申し訳ございませんでした。

 ――でも、これだけは覚えていてください。今度同じことがあれば、俺は何度でも同じことを繰り返します。左腕がドラゴンになったんだから、右腕だろうが足だろうが両目だろうが同じことです。全身がドラゴンと化したんなら、今度はその力を使います。何度でも、部長を取り返します。それじゃ、部長はつれて帰ります」

 

 部長のお父さんは何も言わず、眼を瞑った。

 

 部長の手をとって会場の外へ歩いていき、グレイフィアさんからもらった紙を取り出して、裏側の魔方陣を向ける。

 

 魔方陣が輝き、そこから大きな翼を生やした四足の獣が現れた。グリフォンか……これに乗ればいいのかな。俺が乗り込んだ後、部長が前に座り、俺が手綱を握った。

 

 キュィィイイイイイ!

 

 一鳴きすると、グリフォンは翼を羽ばたかせ、空へと飛び立った。

 グリフォンを何とか操り、会場へと向かわせ、上空から見えた仲間たちに大声で声をかけた。

 

「先に、部室で待ってるからなーーーッ!」

 

 

 

 

 

「あのグリフォン。いざというときの逃げ足として用意したのだがな」

 

 空を見上げながら、サーゼクスが呟き、グレイフィアが嘆息するが、その口元はうれしそうだ。

 

「……そうなっていたら、大変でしたよ」

「だが、そうはならなかったわけだ。父上もフェニックス卿も反省していたよ。残念ながらこの縁談は破談が決定した」

「そういう割には、残念そうに見えないが?」

 

 会場からくすねたワインを呷りながら言うと、サーゼクスは楽しそうに笑った。

 

赤龍帝(ウェルシュ・ドラゴン)。あれがこちら側にくるだなんて、思いもよらなかったよ」

「イッセーがアレを抱えていなければ、そうはならなかっただろうな。これも運命か」

白龍皇(バニシング・ドラゴン)と出会うのも、そう遠くはないのかもしれませんね」

 

 白龍皇ね……まあ、イッセーなら大丈夫だろう。ヴァーリが歴代最強なら、イッセーは歴代際弱だが、歴代最高でもある赤龍帝だ。最強程度が最高にかなうわけがない。きっとあいつは、ヴァーリを超える。

 神も魔王も超えて、いつかは無限と夢幻も越えるだろう。

 不完全とはいえ、あいつは『無限と夢幻』を抱えているのだから。

 

 

 

 

 

 顔に当たる風を楽しんでいると、部長が頬に手を触れてきた。

 

「馬鹿ね。私なんかのために、こんな事をして」

 

 部長は左腕をさすりながら、沈痛な表情をしていた。

 

「お得ですよ。俺なんかの左腕一本で、こうして部長が戻ってきたんですから。それに、おかげでドライグの炎も使えるようになりましたし」

 

 なんていって笑って見せるけど、部長の表情ははれない。

 

「もう、この左腕は戻らないのよ?」

「あー、石膏か何かで隠して、骨折したように見せりゃ、何とかなりますかね?」

「アーシアも、きっと泣くわね」

「……聖水を受け取るときに、泣かれました」

「……今回は破談にできたかもしれないけど、また婚約の話がくるかも知れない。そのときに、こんな事を続けていたら――」

「あのときに言ったとおりですよ。右腕でも足でも両目でも差し出して、また何度でも、何度でも助けに行きますよ。だって俺……リアス・グレモリーの兵士(ポーン)ですから!!」

 

 ―――。

 

 部長の顔が、目の前にある。首の後ろに、腕が回されている。

 ……唇が、触れ合っている。やわらかい感触が脳へと届き、一分ほどして部長の顔が離れた。

 

 …………。

 

 キス?

 

 キ、キスゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!?

 

 ぶ、部長と? 誰が? 俺が!!

 

 うおおおああああああああああああああああああッッ!!!!

 

「私のファーストキスよ。日本では、女の子が大切にするものよね?」

「ええ……って、ファーストキスぅぅぅぅ!? い、いいいい、いいんですか、俺なんかで!?」

「あなたはそれだけの価値のあることをしてくれたのだから、ご褒美よ」

 

 あああああああッ! なんてもったいないお言葉!! それだけで、がんばったかいがあります!!

 

「ファーストつながりだけど、私の処女、そんなに欲しい?」

「欲しいです!! あっ」

 

 反射的に答えちまった! いや、本音ですけど。

 

「……まったく、エッチなことにも正直な子ね」

 

 困ったように部長は笑う。ああ、エロくてすいません。

 

 ……興奮冷めやらない。ここは――景気づけにいくか!!

 

「ドライグ・イグルガ!! バオウ・ザケルガ!!」

『ギャオオオオオオオオオオオオオッ!!』

『バオオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

 二匹の龍が、冥界の空を飛んでいく。

 ……勢いで出したにしては、今までのなかで一番威力がありそうだ。やっぱり俺って、エロのほうが心の力も出せるんだな。




 ここからしばらく、短編の方になります。オリジナルも入るかもしれません。
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