ハイスクールD×D 四天龍の王   作:DECADE

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 まずは一言。ごめんなさい。

 前回に一気に書き進めてから、話の先をあれこれ悩むうちに一月以上経ってしまいました。

 このお話も、思っていた以上に長くなりそうなので、二つに分けることにしました。


Life.27 悪魔、修行します。

 ライザーの件から数日後……。あれから、部長が俺の家に住みだした。

 

「下僕との交流を深めたいのよ」

 

 などと言って、両親への話もあっさりと通った。

 

「まあ、どうしましょう。アーシアさんにリアスさん。娘が二人もできちゃうのね」

「うんうん。男の夢だよな。女の子がいっぱいって! 俺の若いときの夢をお前ならかなえるのかもしれないな!」

 

 二人とも、こんな感じで大喜び。特に親父はやっぱり俺と親子だと思い知らされた。

 

 そういえば、婚約の件は公式的に破談になったらしい。部長も喜んでたし、よかったよかった。久々の婚約クラッシュだったけど、我ながら会心の結果だ。

 

 ライザーのやつは、初めての敗北がショックで寝込んでしまったらしい。戦ってるときにも思ったけど、あいつ打たれ弱すぎだろ。

 不死身の特性で防御がおろそかになるってのはよくあるけど、あいつは特別脆かった気がする。物理的にも精神的にも打たれ弱い不死鳥ってどうよ? まあ、あいつのまとってた炎が攻撃兼防御だった筈だろうから、それを赤龍帝の炎で焼き尽くしたからそう感じるだけかもしれないけど……。

 

 炎といえば、俺の左腕はドラゴンのままだ。日常生活に支障をきたすので、部員の皆が全力を尽くして解決策を探してくれた。その結果が……結構アレだったりするんだけどな。ムフフ……。

 

 まあ、何はともあれ、騒動も納まって比較的平和に暮らしている……筈だったのに。

 

 

 

「何で起きたらこんなところにいるんだあぁぁーーーーーッ!」

 

 眼を覚ました俺は、だだっ広い石造りの部屋にいた。休日の目覚め方としては最悪すぎる。頬を抓るまでもなく、これが現実だと察せられるくらいには勘がいいのは幸いだろうか?

 

 わかってるとも。こんな事する人は一人しかいない!!

 

「どこですか神さん! 今度は何をさせる気ですか!!」

「即決で俺か。まあ、その通りだけどよ」

 

 叫んだ途端、文句を言いながらも珍しく素直に師匠が顔を出した。

 ……俺の腹から。

 

「なに霊体になってるんですか。それよりここどこです?」

「……いきなりでその反応か。別な場所に移されたくらいで叫んでるくせに、相変わらす変に肝が据わってるな」

 

 神さんに鍛えられればそうもなりますって。いちいち腹から人の顔が出てくる程度で驚いてる暇はないですから。後、寝たときと起きたときの場所が違うインパクトを舐めないでいただきたい。本気でビビリますって。

 

「ここは次元の狭間。ソードの世界に存在していた塔をモデルに俺が作り出した部屋だ。この格好もそれに習っただけさ」

「ソードさんの世界の?」

 

 俺に暗黒魔闘術を教えてくれたハンサムな魔王ソード。あの人の世界の建物なんて、一体何のために……まあ、修行の為であることには違いないんだろうけど。

 

「その塔は、もう一つの暗黒魔闘術、裏暗黒魔闘術を習得する為の場所。ここでお前に、裏暗黒魔闘術を極めさせる」

 

 裏暗黒魔闘術……!

 

「超直球な名前ですね」

「俺が知るか! 暗黒魔闘術の開祖が、自分で編み出した裏暗黒魔闘術を極める前に死んじまって、名前も付けてなかったから周りが適当に言っていた呼び名をそのまま名前にしたんだとよ」

 

 なるほど。名付けって大事だな。

 

「……といっても、お前は既に半分以上、それを体得しているといってしまってもいいんだがな」

「へ?」

「裏暗黒魔闘術は精神力で魂を具現化させる武術。具現化に耐えられる強力な魂と、それを扱える強靭な精神力を持った魂。二つの魂がなければ到底極めるには至らない――んだが、お前の場合は三体の天竜の魂を体に納めているし、ほぼ魂の具現化もできているしな」

 

 というと、もしや……。

 

雷龍帝の脚甲(ライディング・ギア)のことですか?」

「そうだ。赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)を介しているとはいえ、あれはバオウの力と魂を具現化させてた代物といえる。ゆえに、お前は裏暗黒魔闘術を使えるといえば使える。元々錬金術でイメージの類は得意だしな」

 

 なるほど。無我夢中でやっていたから、俺自身、詳しい原理は気にしてなかったけど、そういうことだったのか。部長に駒を解放してもらってから雷龍帝の脚甲が安定したのは、俺の魂の力が上がったからなのかも。

 

「そして、裏暗黒魔闘術を完全に習得すれば、雷龍帝の脚甲はもちろん赤龍帝の篭手もより自在に変化、変形させられる。術の幅も広がるし、天竜の魂を具現化した技も使えるだろう。そこで……」

 

 周囲に感じる殺気。周りを見渡せば、暗闇に爛々と光る眼。聞こえてくる、多種多様な息遣いと唸り声。

 

 ……コレは疑いようもない、いつものパターン!!

 

「いつもどおり、命がけでの実践あるのみ。とにかくドライグとバオウの魂を感じて、イメージしろ。ここは魂を具現化しやすいように細工してあるが、慣れればどんな場所でもできるようになる。じゃ、がんばれ」

 

 そういって神さんが姿を消した途端、周りの殺気が更に跳ね上がる。

 

 ――この手の派手な技を習得するとき、神さんがやる王道パターン。

 

 まずは基礎をある程度教えるか、場合によっては実践で掴ませる。

 

 その後は無数の敵の中に放り込むか、ありえない強敵と戦わせて経験を積ませる。

 

 ヤバくなったら回復薬などを与えて、限界の十歩先ぐらいにいくまで続けさせる。

 

 いままで俺は、ずっとそうやって強くなってきた。

 

 もちろん、育て上げてくれた神さんに対する感謝の念はある。

 

 ……ただ、毎度のことだけどこれだけは言わせてください、師匠。

 

「呪ってやるぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーッ!!」

 

 叫びながら、俺は神器を具現化させて構えを取った。

 

 

 

 

 

 ……魔獣をなぎ倒し、何とか裏暗黒魔闘術を修めた時、現れた扉をふらふらと吸い寄せられるように開き、通った先は俺の部屋だった。窓の外は既に夜。俺が起きたときがまんま朝だとしたら、十数時間は戦いっぱなしだった計算になる。

 

 やばくなったときに突然現れた神さんが回復薬を投げつけまくって立ち直らされた。ははは、いつもどおりの回復地獄だったな。

 

 ……腹、減ったな。とりあえず、風呂に入って汗を流してから、何か食うか。夕飯が残っていることを祈ろう……。

 

 ガラ

 

 全裸になって、風呂場に入ろうとドアを開けた、そのとき。

 

「「あ」」

 

 ―――――……はッ!!

 

 一瞬、意識が別次元へ飛んでいってしまった!! なんか刀持って口から何か出してる俺が見えた気がする!

 

 いやいやいや、そんなことはどうでもいい! あ、あ、あ、あ、あ、あああアーシアが、素肌を晒すアーシアが浴室内にぃーーーッ!!

 

 まずい、疲れきってて誰が入ってるかなんて確認するの忘れてたぁぁぁぁぁーーーーーーーッ!!

 

 お、おおおおおお! いけないと思っていても、アーシアの体が眼に入ってしまう!!

 

 官能的にぬれた金髪。キュッと締まった腰。小ぶりなお尻に理想的なふともも!!

 

 そして、俺が妄想するしかなかったおっぱいが! ああ、アーシアって着やせするんだな……。

 

 混乱しているうちに、アーシアの視線が下に下がって……。駄目だ! それはアーシアの綺麗な眼と心には毒だ!

 

「きゃーーーッ!」

 

 何で悲鳴上げてんだよ、俺! アーシアが顔を真っ赤にして背いちゃったじゃん! うおおおお……!! 数秒前の俺を激しく殴りたい!!

 

「ご、ごめん! 俺、出て行くから!!」

 

 そういって、風呂場を出ようとする俺の腕を、アーシアが引っ張った。弾みで、咄嗟に掴んだドアを閉めてしまった。

 

 な、なにがどうした?

 

「す、すみません……男性の……を見たのは初めてだったので……」

 

 そりゃそうだろう。ここで見たことあるなんていったら俺は泣くぞ。

 

「い、いや、元はといえば俺が悪いんだし、さ。それに、俺も……アーシアの……色々みちまったし……」

 

 幾ら疲れきっていたとはいえ、油断しすぎた。この家には最近二人も、しかも女の子が増えたんだから、カギがかかっていなくて、明かりがついているんなら確認すべきだった。

 

 まあ、今見たものは脳内に保存するけどね。それとコレとは話が別です。

 

「いえ、分かっています。皆さんから日本のお風呂のルールも教えてもらっていますから、へ、平気です……」

 

 ルール? 風呂から出たら牛乳とか……じゃないよな?

 

「日本では、は、裸の付き合いというものがあると、聞きました……お、お風呂で交流を深めることでお互いを知り合うと……」

 

 !?

 

 だ、だだだ誰だ!! アーシアにこんな嬉し、いやいやけしからん情報を仕込んだのは!?

 

 確かに違っちゃいないけど、同性同士という前提が抜けてるだろ!

 

「た、大切な関係になりたい人と深めるべきだと……言われました。わ、私は……イッセーさんと深め合いたいです。だから、私と裸のお付き合いをしてくれますか?」

 

 ――――。

 

 汗も何もかも尽き果てていることが、今は幸いだったかもしれない

 もう少し血が多ければ、間違いなく鼻から出て行っているはずだ。

 

 清純で純粋なアーシアが、裸の付き合いなんて言葉を口にすると、こうも破壊力があるものなのか。

 

 う、うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉッ!

 

 いやいやいや、落ち着け! これはあれだ。アーシアはただ純粋に俺と仲良くなりたいだけなんだ! ならば俺も、鋼の精神で無心となって望めば……。

 

 ……………………。

 

 無理に決まってんだろおおおぉぉぉぉぉ! 金髪美少女と一緒に風呂に入って、落ち着いていられるほど人間できてないんだよ、俺は! ていうか悪魔だよ! なおさら無理だ!

 

 だが、俺が狼になって押し倒したとしても、アーシアなら許してくれる―――けど。

 

 そんな純粋な子に何かできるわけないだろおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!

 

 俺はもてる限りの精神力を振り絞り、アーシアに向き合いながらもなんとか興奮を抑え、白い肩に手を置き、綺麗な瞳を見つめ、説得を始める。

 

「アーシア。いいか、裸の付き合いって言うのは確かにあるが、基本は同性同士で風呂に入ることを指すんだ。そもそも男が風呂に入ったら、もっと防衛的な――」

 

 ガラ

 

 ……ガラ?

 

「お邪魔するわよ、アーシア……」

「アーシアちゃん、リアスさん。バスタオルここに置いて――」

 

 聞こえてきたのは、風呂場の扉が開く音。

 

 横を見てみれば、裸の部長と、バスタオルをもった母さん。

 

 ……二人から見れば、裸で向き合う俺とアーシア。

 

 停止した面々の中で一番最初に動き出した母さんは、機械的な動きで出て行くと、叫び声を上げた。

 

「お、お父さーーーんっっ! ま、孫ができるわよーーっっ! 二人も!!」

「ラウザルク!!!」

 

 裏暗黒魔闘術を修めたことによって、呪文によっては神器なしでも使用可能になった。

 俺は自分の身体能力を数倍に増加させると、全裸で風呂場を飛び出し、自分の部屋に飛び込み、即行で服を着ると、座禅を組んだ。

 

羯諦羯諦(ギャーテーギャーテー)波羅羯諦(ハラギャーテー)波羅僧羯諦(ハラソーギャーテー)……ぐあぁっ!!」

 

 そうだ、座禅はともかく、さすがにお経まで唱えたらダメージがあるに決まってるじゃん。アーシアの様子とかみてたのになにやってんだ。あやうく自分で自分を成仏させるところだった。

 

 ああ、色々ありすぎて疲れた。もう飯も風呂もいいや。寝ちまおう……。

 

 

 

 目の前におっぱいがあります。

 あ……ありのまま今起こった事を話すぜ!

 

 俺は疲れて一人で布団に入って寝たと思ったら、ふと目を開けたら目の前に見覚えのあるおっぱいがあった。

 

 な……何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何があったのかわからない……

 

 頭がどうにかなりそうだ……写真集とかDVDとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ

 

 もっと凄まじいものを、目に焼き付けているぜ……

 

 ――うん、あわてながらふざけたら少し落ち着いた。

 視線を少し上に動かすと、思ったとおりの寝顔があった。

 

 静かに寝息をたてているのは、やっぱり部長だった。

 

 ……なんで俺のベッドに……しかも全裸で。翼まで出てるじゃないですか。無防備すぎますよ。

 

 ていうか俺も起きろよ。最近野生から遠ざかってるとは言っても、鈍りすぎだ。これは今度の長期休みで、すこし野生の勘を取り戻す必要があるかな……。

 

 まあ、どっちにしてもこの乳の前に無力なことは変わらないけどな!

 

 部長が俺の頭を抱きかかえるように寝てらっしゃるから、鼻先におっぱいの感触が……やわらかいです!

 

「ふぁぁ……あら、イッセー」

 

 感触を味わっているうちに、部長が目を開け、欠伸を一つ。

 

「ぶ、部長……この個人的に非常にうれしい状況は一体……」

 

 部長は俺の頭を、動物をあやすようになでなでしながら言った。

 

「さっき、あなたがお風呂から自分の部屋に駆け込んだ後にお風呂に入って、しばらくしてきてみたら寝ていたから、ついお邪魔させてもらったの。迷惑だった?」

「そんなのありえません!」

 

 脊髄反射。コンマ秒のレベルで返答した。

 

「で、でも……なんで全裸になってるんですか? 風邪引きますよ?」

「私は裸じゃないと眠れないの。それに枕やぬいぐるみを抱いて寝ると最高ね」

 

 は、は、裸ぁッ!!? うおおお……部長のお嬢様気質が、こんなところにも顕著に現れているとは……それにしても、枕かぬいぐるみの代わりになるほど俺の抱き心地がいいとは思えないけどな。

 

 部長が俺の顔をマジマジとみつめてくる。なんで?

 

「……イッセーは女の子の胸がすきなの?」

「はい! 大好きです!!」

 

 再び脊髄反射。当然だ。

 俺は男だ。変態だ。エロ学生だ。胸が好きかという問いに否と答えるなんて嘘、つく気もなければつけるわけもない。

 

 部長は蠱惑的に微笑むと、俺の耳元に口を寄せ、そっと呟いた。

 

「私の胸、触ってみる?」

 

 !!!

 

 女子に言われたい台詞トップテンに食い込む一言と、芳しいシャンプーの香りが、俺の煩悩を刺激する。

 

「答えは決まってるわよね。じゃあ、私のお願いを聞いてくれるかしら?」

「はい!」

 

 何ですか! そのおっぱいにさわれるんなら、何だってします! 

 

 ――が、俺はあまりに平和的な日々に、忘れていた。部長は俺なんかより何枚も上手な、由緒正しき上級悪魔なんだってことを。

 

 ピンク色のお花畑とかした俺の脳に、厳しい現実と共に、その言葉が突きつけられた。

 

「契約を一つ、とってみなさい」




 今回、感想でも言われていた裏暗黒魔闘術を修めさせられました。

 後、裏暗黒魔闘術の名称云々は適当です。

 では、また。
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