今回のお話には私の東方観が大いに混ざっており、カップリングも大変主観的になっておりますので、ご了承ください。
ズド!
「いてっ!」
スキマから地面に仰向けで投げ出され、背中を床に叩きつけられ、思わず痛みの声が漏れ出た矢先、顔に影がかかる。目を開けてみると、紫色の服を着た金髪の女性が覗き込んできた。
「まったく、無意味に抵抗なんかしちゃって。あなたの動きくらい、事前に計算済みなのよ。まあ、本当は最初で落とせてたはずなんだけどね。そこは褒めてあげるわ」
「紫……さん」
いつも持っている傘で手をパシパシと打つその憮然とした様子。多分あの傘の柄をベルトに引っ掛けたんだろうなぁ、と場違いにも思えるような感想をいだきつつ、変わっていないようで一安心する。
境界を操る程度の能力の持ち主。得体の知れないスキマ妖怪。そして、俺の師匠の一人。
八雲紫その人に、間違いなかった。
「久しぶりだって言うのに、随分逃げてくれたじゃない。ゆかりん悲しい」
とぼけた態度に、魅惑の峰を目の前に阻まれた怒りが再燃し、バッと立ち上がって顔を突き合わせ、腹の底から怒りをぶつける。
「いきなり異空間に落とそうとした人の言う台詞か!? 大体俺にああいう場合の反射的行動を仕込んだのはあんただろ!!」
「そこはそれ。空気を読んでキチンと一発で落ちなさい。そんなんじゃ東方M-1本戦なんて夢のまた夢よ」
「知らねえよ! ていうかなんてことしてくれたんだ、このスキマァァァァァッ!!!」
大声で叫んだ後、膝を折り、がっくりと四つんばいになって、久々の畳と直面する。藍さんの掃除が行き届いてるおかげか綺麗だった。
「せっかく……せっかく鎧姿の変人二人をくっつけて、ようやく念願の部長のオッパイに触れられると思ってたのに……チクショオオオォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーッ!!!」
滂沱のごとく涙を流す俺に、紫さんが生暖かい視線を向けているのがわかるけど、そんなものじゃ、苦労の末にたどり着いた
「……悪魔になったと聞いて、どうしているかと気になったから今回の宴会に呼んだんだけれど、変わってないみたいで少し安心したわ」
「紫様、何の声……って、イッセーじゃないか!」
「……え゛?」
不意に聞こえた第三者の声に横を向くと、一瞬で喜→驚という顔の変化を見た。
大妖怪の式、これまた大妖怪の九尾の狐との再開は、鼻水、涙、涎まみれだった。
顔を洗った後、場所を紫さんの部屋から居間に移して、茶菓子と緑茶で一息ついた俺は、近況を報告する。
二人は面白おかしく笑い、はたまた我がことのように憤ったかと思えば、沈痛な面持ちで頷いたりもしてくれた。
「それはまた、悪魔になったばかりだというのに、随分波乱万丈だったな」
「いやいや、グルメ界でサバイバルしていた頃のことを思えば、まだマシですよ」
「肉体的には、そうでしょうね。でも、悪魔になってから今日までの体験で、貴方を成長させなかった出来事は、一つもないはずだわ。
挫折してもあきらめても、そこからまた立ち上がれるのが、あなたの一番の強さなのだから」
普段飄々とはしていても、しめるべきところはしっかり締めてくれる。だからこの人は凄いと思える。
「――後は、常人はおろか神々すら超越した性欲の強さね。貴方はその力でどんな敵も打ち倒してきたくらいだから」
「常人の色欲と比較して、イッセーの煩悩を計算してみたときは驚きました。まさかこの私が答えを出せないとは……」
……そしてきちんとオチをつけるのもさすがといっておこうか。ていうか藍さんなにしてるんですか。
「なんにしても、今日は久々の幻想郷でしょ。宴会まで少し時間があることだし、ぶらついてきたらどう? 宴会の場所は博麗神社だから、八時くらいになったらそこへ行くといいわ」
「はい」
……あれ? 腕時計へ目を移すと、今は三時半くらい。つまり、宴会までは四時間半の合間がある。
………………。
「部長のオッパイ揉めたじゃねえかあああああーーーーーーーッ!!!」
激高のあまり、篭手を出して殴りかかろうとした俺を、紫さんはあっさりとスキマに落とし、退場させた。
こんちくしょおおおおおおおっ!!
ズダンッ!
今度はしっかり着地を決め、辺りを見回そうとした俺の視界に、極めて見覚えのある紅い建造物と、巨大な門が映った。
……とりあえず、紫さんのことは横に置いておこう。
折角幻想郷に来たんだ。何はともあれ、『師匠』に挨拶しないとな。
そう思って門へ近づいたが、門の脇にいたのは赤毛に緑のチャイナ服を着た門番ではなく、複数の妖精メイドだった。
「あれ? イッセーさんじゃないですか! お久しぶりです!」
そのうちの一人、俺と一緒に本来の門番に稽古を付けられていた、確か副メイド長の一人の妖精メイドが俺に気づいてよってきた。副メイド長というのは、優秀な妖精メイドの中から何人か選出された、他の妖精に指示をだす、中間管理職だ。
他の妖精たちも歓迎してくれるが、俺の頭は一つの疑問で埋め尽くされていた。
「美鈴さんは?」
俺の質問に、副メイド長が優雅な物腰で応対する。
「はい。美鈴さんは現在、休暇を取られております。それで、私達メイドが交代で門番に当たっているのです」
「休暇? それで、どこに?」
「……わかりません。お嬢様やメイド長が尋ねられても、昔の知り合いに会いに行くの一点張りでしたそうで」
レミリアや咲夜さんに聞かれてもその答えじゃ、誰が聞いても同じだっただろう。
……用事があったわけじゃないけど、久々に顔が見れると思っただけに、少し惜しい。
「まあ、何はともあれ、ようこそ紅魔館へ! とりあえず、お嬢様達にお会いしてください! きっと喜ばれますよ」
俺の手を引く彼女の顔には、ほんの少しの気遣いと、再会の喜びが見えた。
……なんていうか、ありがとう。
屋敷の中に入るなり、横に現れた気配。これに驚かなくなったとき、俺はここに慣れたんだと痛感した。
「久しぶり、咲夜さん」
「ようこそ紅魔館へ。久しぶりね」
相手が顔見知りの俺だから、口調は少し気安いけど、副メイド長以上に優雅な物腰で頭を下げて上げる。さすがは完璧に瀟洒なメイド。一つ一つの動作が綺麗だ。
「レミリアやフランに挨拶したいんだけど……」
「お二人はお出かけ中よ。戻り次第私が知らせに行くから、先にパチュリー様やこぁに会って来たら?」
「じゃあそうします」
そう答えた瞬間、彼女は消えた。見知った相手の前でも時間停止を忘れない辺りは、流石だな……。
すたすたと図書館へ向けて足を運んでいると、途中何人もの妖精メイドとすれ違う。極普通に仕事をしているようだったが、二人以上の場合は大体噂話をしていた。
話題はもちろん、美鈴さんのこと。基本的にあの人は誰からも好かれるし、妖精メイドのなかには美鈴さんに武術を習っていたやつもいたから、そういう子たちは特に気になって仕方ないだろう。副メイド長くらいにまでなると、心配を通り越して信頼しているから大丈夫だろうけど。
本当に、どこへ行ったんだか、あの人は。休暇までとったってことは、相手は幻想郷以外のところにいるってことだよな? まさかサーゼクス様ってことは……ありそうで怖い。
そうこうしているうちに、図書館までたどり着いた。ここもなんの変化もなく、凄まじい数の本と本棚に圧倒される。
本棚を上に見上げていくと、不意に上のほうに動いているものを見つけた。大図書館の司書、小悪魔。通称こぁだ。
……可能な限り音を立てず、慎重に移動し、見事小悪魔の真下をとった。上を見上げ、そこにあった光景に思わず涙しかける。悪魔の名を関しているにも関わらず、白。見事だ……。
ドゴ! ゴドンッ。
魅惑のウォッチングは、突然のこめかみへの衝撃によって打ち切られた。
落下音に下を見てみれば、ハードカバーの頑丈そうなつくりに、俺の頭くらいの厚さの本。落ちたときの音からしても、相当な重量を誇るだろう。完全に鈍器じゃねえか!
周囲をキョロキョロと見回すと、机の上に大量の本を置き、読書にいそしむ動かない大図書館、パチュリー・ノーレッジを見つけた。
本を拾って机に近づくと、わざと音を立てるように本をドガッと机に置いてやる。が、知識と日陰の少女は気にもしない。相変わらずの集中力だな……。
「パチュリー? パッチェさん? もしもし、お~い」
「……そんな何度も声をかけなくても聞こえているわよ。何か?」
久々にも関わらずこの態度。さすがは知識と日陰の少女。
「なにかって……本を投げつけておいてその反応はないんじゃ……」
「ああ、あれね。ただの挨拶代わりよ。それに投げてないわ。魔法で飛ばしただけ」
「変わんねえよ! ていうかあんな鈍器そのものな本でいきなり攻撃って、どんな挨拶ですか!?」
「ここは幻想郷。常識には捉われないわ」
「とらわれてよ! お願いだから挨拶くらい!」
バタン。
パチェは本を閉じると、ジト目でこっちを睨みつけてきた。
「……人の恋人の下着を覗き見るような輩には、ふさわしい挨拶だと思うけど?」
ぐっ。やっぱり見てましたか……。
「ばれないとでも思ったの? むしろ本程度で済ませてやって、感謝して欲しいくらいだわ。友人でなければ、即消し飛ばしてるわよ」
……相変わらずお熱いご様子で、結構です。
パチュリーは話は終わりといわんばかりに読書を再開し、少し困ったところへ小悪魔が降りてきた。
「あ、やっぱりイッセーさんだったんですね。ちょうどよかった。本の整理が終わったんで、お茶にしようと思ったんですが、ご一緒にどうですか?」
「あ、じゃあ、お言葉に甘えて……」
「すぐに用意するので、少し待っててくださいねー」
そういい残してその場を去ったこぁ。残された俺は、無言のパチュリーと共に、本を読んで茶を待ち望むことにした。
「私と同じ悪魔になっても、全然変わりませんねー」
俺が悪魔になったことに対する、こぁの感想は簡潔だった。一方、パチュリーは。
「魔力が碌に扱えないのは非常に貴方らしいわね。まあ、その代わり常識はずれの根性と性欲はそのままなのだし、地道にがんばれば?」
超投げやりに打ち捨てられた。やっぱりまだ怒ってるみたいだ。
「そういえば、イッセーさんは羽生やせるんですか、羽」
「ん? ああ、一応」
背中からバッと翼を出してみせる。感情が高まると勝手に出てくる辺り、こっちも扱いこなせてないんだよな。覇気でどこにでも足場を作れるから、今のところ不便に感じたことはないけど。
「は~~。悪魔に成り立てなのに、立派な翼ですね。私ももう少し大きければなぁ」
そう言って自分の羽をピコピコ動かすこぁ。可愛らしいけど、確かに今まで見てきた悪魔の翼じゃダントツで小さい。レミリアやフラン、ぬえとかもその気になれば翼の大きさを変えられるみたいだけど、こあは無理なのかな?
「別にいいじゃないの。悪魔は魔力で飛行するから、翼の大きさは関係ないし、大きいと図書館の業務にも支障が出るわ」
「うぅ。ですけど、私にも悪魔としての矜持というものが……」
いじけて脚で床にのの字を書くこぁ。そんな部下にため息をつくと、再び本を閉じる大図書館。そして、小悪魔を手招きで引き寄せると、ぐっと顔を近づけ……
ちゅっ。
短くキスをし、真っ赤になったこぁをパチュリーが見つめる。
「羽が大きかろうが小さかろうが、貴方は貴方。この図書館の司書で、私の大切な恋人よ。それに、あまり大きかったら一緒に寝られないでしょ? 羽を消す魔法をかけるのなんて手間だわ」
「……パチュリー様」
「…………ご馳走様」
色々な想いを込めた一言を呟き、可能な限り無音に近い形で図書館を出た。
少し歩いて庭に出ると、下を向いて、両手を膝に置き……
「ゴパァッ!!」
ドザーーーッ。
口から大量の砂糖を吐き出した。
うおおおおおおお!! 人前、しかも男の前でなんて百合百合しいことやってんだあの二人!! 甘すぎるわ! お陰で久々に砂糖吐いちまったよ!
甘すぎる事態に遭遇した際、体内の糖分を砂糖に練成して口から吐き出す、幻想郷的には『砂糖を吐く程度の能力』とでも言ったところのこの癖。
あー、久々にやったけど、やっぱり猛烈に腹が減るな。
「イッセー」
突然の声に対して顔を上げると、またしてもいつの間にか横に咲夜さんが立っていた。
「あ、はい」
「お嬢様たちがお戻りになられたわ。二階のテラスにいらっしゃるけれど、パチュリー様達には……会ってきたようね」
俺の足元にできた砂糖の山をみて、察してくれた様子だ。指を打ち鳴らすと、どこからともなく妖精メイド達が集まってきて、箒とちりとりでその砂糖の山を片付け始めた。
「それじゃ、いらっしゃい」
背を向けて歩き始めた咲夜さん。俺も口元を拭い、妖精メイドたちに軽く頭を下げ、ついていった。
「すいません。久々に来て早々、やらかしちゃって……」
「別にかまわないわ。パチュリー様とこぁの破壊力が凄まじいのは周知の事実よ。伊達にこの間の『第二十八回幻想郷バカップル決定戦』で優勝してないわ」
ああ、あの会場どころか幻想郷全体が物凄い甘気に包まれる大会か。毎回審査員に選ばれてたけれど、判定が縺れ込んだら俺の吐いた砂糖の量で優勝が決まるんだよな……。
「霊夢と魔理沙や、妹紅と慧音。河城にとりと鍵山雛、比那名居天子と永江衣玖といった歴代王者に加え、今回は寅丸星とナズーリン、村紗水蜜と雲居一輪、多々良小傘と封獣ぬえ、豊聡耳神子と物部布都等の大型ルーキーも加わって、誰が優勝してもおかしくない勝負だったわ。当然審査も揉めに揉めて、皆、こんな時こそイッセーがいればと口を揃えて言っていたのよ? おかげで大会後に振舞われる甘味もいつもよりも味気なかったんだから」
「……前から言おうと思ってたんですけど、あんな甘ったるい空気でよく更に甘いものをとれますね。ていうかやっぱり俺の砂糖を調理に使ってたんですか!」
通りで舌になじむ味だと思った! だって元々俺の糖分だもん!
「貴方の吐いた砂糖、かなりの高値で取引されてるのよ? 赤龍帝の砂糖。捕獲レベルは25で、遭遇した場面が甘ければ甘いほど質の高い砂糖になるって。」
あの砂糖がそんなに!? 俺は知らず知らずの内に結構な高級食材を提供してたってことか!
「まあ、だから次の大会は必ず顔を出して頂戴。あの庭の砂糖もありがたく使わせてもらうわ。お嬢様、お待たせいたしました」
雑談が終わると同時に、テラスに到着した。なんか、こういうちょっとしたことでも咲夜さんが能力を使ったんじゃないかと思えるんだよな。
主に使ってるのは停止だけど、加速と遅延もできるんだよな……唯一無理なのは巻き戻しだっけ。確か、極短時間しか無理だとか。
そういえば、俺も加速だけはできるようになったんだよな。咲夜さんみたいに自由自在とは行かないけど、
「イッセー、ちょっとこっちに来なさい」
ツラツラと考え事を並べていると、妖精メイドに日傘を差させながら、レミリアが手招きしている。近づいてみると、手を取られて、掌を血が出るくらいに軽く引っかかれた。少し痛い。
爪についた血をペロッと舐めると、少し怪訝な顔を見せる。
「……前に比べて、かなり血が薄いわね。大分弱まったみたいじゃない」
流石は吸血鬼って言うべきなんだろうか。血を舐めただけで俺の弱体ぶりを量れたらしい。
「何をやったのかは知らないけれど、相当な無茶をしたらしいわね。でもまぁ、悪魔の血も悪くはないわ。後で献血していきなさい」
悪魔が吸血鬼に献血か。もう何がなんだか。
「イッセー、悪魔になったのに全然変わらないね」
クッキーを摘みながら、フランが無邪気に笑いかけてくれる。
「まあ、貴方の数奇な運命にはなんの変わりもないし、今までどおり全力で突き進めばそれでいいのよ」
運命を操る紅い悪魔。俺より遥かに長い時間を生きてきた存在の言葉だけに、身につまされるものがある。あれ? そういえば。
「悪魔と吸血鬼って、そんなに仲良くはないんじゃなかったっけ?」
「ええ。そもそも普通の吸血鬼は、純血以外の全てを見下しているくらいだから。むしろ冷戦状態といったほうがいいくらいね」
「じゃあ、なんで
「スカーレット家は、大分前に吸血鬼の社会とは縁を切ったからね。なによりかっこいいじゃない」
理由はまともっぽいけど、多分最後の一言が主なんだろうな。流石はレミリア。
「それはそうと、咲夜。宴会の準備はできた?」
「はい。食材の仕込みもほぼ終わりましたし、お酒も全て搬送済みです」
「結構。後はメインデッシュだけね」
「はい。というわけでイッセー、お願いね」
「は?」
状況がまったく飲み込めず呆ける俺に、咲夜さんが事情を説明してくれる。
「実はメインディッシュとして用意してもらった三百年物のガララワニが、ノッキングが浅かったらしくって逃げ出してしまったの。それを捕まえてきて欲しいのよ」
「三百っ!」
グルメ界のバロン諸島の主! 普通の捕獲レベルは5だけれど、年を取ればとるほど強くなっていって、三百年ともなると捕獲レベルは八にもなる!!
「可能であれば生け捕りでお願いしたいけれど、無理なら仕留めても構わないわ」
「いやいやいや、何で自然に俺が行くことになってるんですか!」
俺、一応お客さんだよ!? 久々に来た幻想郷で、あんな恐竜紛いの爬虫類と戦うって何!?
「餅は餅屋。グルメ食材は美食屋よ。ちゃんと報酬は支払うから、お願いね」
「期待してるわ」
「頑張ってね~」
瀟洒なメイドからは、正論とビジネスを語られ、吸血鬼姉妹からは声援を送られ、もう行くしかない空気。
……うん、行くか。
「どうしても、駄目?」
「ええ、貴方と私は、生まれたそのときから決別しています。私は貴方の家族でもなければ、友人でも、知人でも、他人ですらない。貴方と敵対する気も無いですが、味方する気もない」
「そう」
「わかっていた筈なのに、どうして今更私を呼んだりしたんですか?」
「最後の確認。これで駄目なら、あの者達への協力をすると決めた」
「……あんな連中と手を組んでも、碌な事にはなりませんよ」
「構わない。静寂、取り戻せるのなら」
「相変わらずですね。それじゃあ。……ああ、一つ言い忘れました」
「何?」
「貴方が静寂を望むのは勝手ですし、目的を達成する為に何をするのも自由です。ただ――それで私の大事なものに災いが及ぶのならば、今度こそ、私の持てる全てで貴方を滅ぼします。それだけは覚えておいてください。『
「わかった。『