ハイスクールD×D 四天龍の王   作:DECADE

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Life.82.5 更に、夢、見ました。

 お前はあの少年に似ている。馬鹿っぽく、可能性を感じさせ、どこか他者を引きつける魅力を持っている。

 

 異なるこの地にてワシにできることは所詮、力の切っ掛けを授けてやる程度……。

 

 如何なる力をも屈服させる、無間(むげん)の意思の持ち主よ。

 

 全ては、お前次第だ。

 

 

 

 いくぞ、クソガキ気取りの馬鹿女。お前に、痛みを教えてやる――兵藤一誠

 

 

 

 使命だの運命だのなんて大層な言葉は一切ない。要はガキの癇癪さ――白い吸血鬼

 

 乱暴な物言いながら、それは真実を付いていた。

 

 

 

 癇癪などでさえない。あれはただのヒステリー女じゃろう――妖拳の女宿

 

 女達の容赦無い指摘は止まらない。

 

 

 

 自分の力を自覚しながらも、抑える気もなければ真っ当に敵対する気概もない……貴女は厄災でもなければ子供でさえ無い。ただ力が強いだけの赤ん坊だ――裏切りの完璧なる騎士

 

 強大な存在を前にしても、その心はひたすらに強かった。

 

 

 

 居場所が欲しいなら、やることがちがうだろ!!――普通の女子高生

 

 説教も何も聞かなければ、実力行使以外にはない。

 

 

 

 もういい! お姉ちゃんだってもういらない!! みんな仲良く滅びちゃえ! アハハハハハハハハハハハハハハハ!!!――青き死

 

 無邪気からの残酷な言葉も、その内面は悲しみに満ちていた。

 

 

 

 俺は信じている。たとえ何がどうなろうと、お前はおっぱいに帰りつくとな――榊神

 

 師の信頼は、揺らぐこと無く弟子を支える。

 

 

 

 つくづく思う。人の強さに限界は無いということを――サーゼクス・ルシファー

 

 敵でなくて本当に良かったとはこのことである。

 

 

 

 赤龍拳帝殿の懐の深さには、舌を巻くばかりですね――ミカエル

 

 色んな意味で、到底真似できない。

 

 

 

 そもそも俺は、十七歳のガキに全盛期なんて言葉を使う時点でどうかと思うがな――アザゼル

 

 それでも、彼に頼る他に道はない。

 

 

 

 何から何まで大喜びでバカスカ食い漁って……なのに、ああも哀れにしか見えないとはね――風見幽香

 

 フラワーマスターの眼には、泣きながら食べ物を頬張る子供しか映らない。

 

 

 

 ねえ、イッセー……やっぱり童貞頂戴?――マラコーダ

 

 貞操の危機はまだ存在していた。

 

 

 

 我らは一つ――白き支配

 ただ主へ身を捧ぐ――赤き闘争

 一介の武具に過ぎぬ――黒き飢饉

 

 彼らはひたすら、主に従い振るわれる。

 

 

 

 勘違いするな。単なる腹ごなしだ――コカビエル

 

 偶にはこういうのも悪くはない、か――クロウ・クルワッハ

 

 強敵達の求める場所に、彼はまだ立っていない。

 

 

 

 ……お腹すいたでしょう? ご飯、食べに行きましょう――ガブリエル

 

 今度の涙は、どうか喜びでありますように――

 

 

 

 お前なんか、嫌いだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!――終焉の奏者

 

 きっと大丈夫よ。信じましょう。それが今の私達に出来る、最大の助力だから――リアス・グレモリー

 

 皆が笑って幸せになれる。そんな、ハーレム王に俺はなる……だから、今はお前をぶっ飛ばす!!――兵藤一誠

 

 

 

 ハイスクールD×D 四天龍の王 終焉下校のトランペッター

 

 

 

 

 

「――ッセーさん。イッセーさん」

「ん……」

 

 眼を開けて横を見ると、アーシアが俺の肩を揺すっていた。ああ……確か一端家に帰ってから、早めに部室に一番乗りして、ソファーに座って血を飲んでたとこまでは覚えてるんだけど……そのまま寝ちまったのか。また変な夢を見た気がする。

 

 見れば、既に皆が集まって……あれ? 生徒会のメンバーまでいる。ていうか、何その引きつった顔?

 

「皆……どうかしたんですか?」

「いや、お前それ……」

 

 そう言って匙が俺の足元を指さしたので、視線を下げると……。

 

「うわ」

 

 思わずそんな声が出てしまう惨状だった。空っぽの輸血パックが、山のように足元に積み重なっている。ていうか、よく見れば部室中に血液パックが散乱してた! え、これ……俺だよな? 寝ぼけてからも血を吸って、ここまでやったっていうのか!? 百以上はあるぞ!?

 

「すいません! すぐに片付けます」

「そんな事より……イッセー、大丈夫なの? なにか、病気だったりしない?」

 

 素早く輸血パックを拾い集め、ワームホールへ放り込む俺に、部長が心配そうに言う。

 

「いや、俺も吸血量が気になってライリに聞きましたけど、少なくとも吸血の量が増えるのは吸血鬼としては悪いことじゃないって言われて、そのまま……多分、俺の変化が最終段階に近いからって話ですけど」

「たらふく食ってそのまま寝る……まるで猛獣だな」

 

 ゼノヴィアの言葉に反論は出来ず、大人しく部長へ頭を下げる。

 

「お騒がせしてすいませんでした」

「いいのよ。それで、イッセー。ソーナが話があるらしいの」

 

 手を差し伸べられて、会長が眼鏡を上げながら口を開く。

 

「兵藤くんは、確か近々、ローレンスさんとブラウンさん、それに美剛さんと決闘を行うそうですね」

「はい。なんでもレクナがそれを条件にして、転生の話を持ちかけたらしくって……」

 

 戦って勝てば女が手に入る。私の時と同じじゃん。とはあいつの弁だが……んな単純に行くか。殴れば惚れるとかどんだけだ。一応は上下関係にあるけれど、立場を利用して迫るってのもキャラじゃないし、面倒くさい。

 

 ていうか、俺って現状でも色々あるからなぁ……日本では最上位の神で、名が通った達人、鍛冶師、錬金術士、魔術師。更には上級悪魔への昇格がほぼ確定してると来てる。それでいて女好きとくれば、実際金と地位が好みの女からしてみればいい鴨だろう。あいつらが違う事は重々承知してるけどね。

 

 とは言え、あの三人の逞しく美しい肢体が欲しいかと言われればそりゃまあ、ね?

 

 それに性欲云々を抜きにしても、一度は最強の頂にも立った武人として、正面から挑まれる挑戦をはねのける理由はどこにもない。

 

「それで、良ければその戦いを私達にも見学させていただければと……特A級以上の達人の戦闘など、あまり見られるものではないので」

 

 成る程。全力の達人戦となると相当な眼力が無いと傍から見てもわけわかんないだろうけど、達人の戦いを肌で感じるのは確かにいい経験になるだろう。

 

「ん~、俺は別に構いませんけど、あいつらが何て言うか……ちょっと聞いてみますね」

 

 手元に通信の魔方陣を出して、レクナへ渡した魔導書へ向けて発信する。三人が近くにいるのかは分からないけど、仮に別行動でも俺よか連絡は取りやすいだろう。

 

 魔方陣が数回点滅すると、すぐにレクナの声が聞こえてきた。

 

『はーい。なに、どうしたのイッセー? 私の声でも聞きたくなった?」

「なら直接聞きに行くに決まってるだろ。……ていうか水音がするんだけど、今何やってんだよ」

『いやぁ、私も眷属抱えたじゃない? となると先立つ物が必要なわけで、とりあえず妲己達も連れてグルメ界で食材集めしてるんだけどさ。そこそこ食材も集めたから、いま温泉に浸かってるところ。いっそ今から来て、一緒にはいろうよ』

 

 絶対コイツ、俺の周りに人がいるの分かってて言ってやがる。最近氷美神につられて俺に向ける殺気がやたらと鋭い部長と氷美神の圧力がおっかないので正直やめやがれ。別に個人通信モードでお互いにしか聞こえないよう話してもよかったんだけど、もう後の祭りだ。

 

「行きたいのは山々だけど、謹んで遠慮させてもらう。それはそれとして……ちょっとミルドレッドとマーマデューク、あと美剛に聞いてほしいことがあるんだ」

 

 私闘を見学したいという者達がいるという旨を告げると、返事はすぐに帰ってきた。

 

『構わないけど、むしろ見学にもなるのかだって』

「達人戦の空気を肌で感じるのは無駄にならないさ。じゃあOKってことでいいな。要件はそれだけだ。食材集め頑張れよ」

『うん。イッセー、愛してる♥』

「俺もだ。じゃあな」

 

 魔方陣を消して顔を向けると、会長はなんとも言えないような面持ちをしていた。

 

「今聞いてもらったとおりです。場所はあいつらに任せてあるんで、当日になったら改めて連絡します」

「はい……わざわざありがとうございます。では、私達はこれで。行きますよ皆」

 

 用件が済むなり、そそくさと部屋を出る会長と生徒会メンバー。匙はなにやらぶつくさ文句を言っていたが、とりあえずスルーしておく。そんな事より、部長たちを宥めることを考えなければ。

 

 バタン、と扉の閉まる音がやけに大きく聞こえる中、いきなり床の魔方陣が輝き出す。

 

 そこへ向けて朱乃さんが手を伸ばして確認を取ると、俺に声をかける。

 

「これは……イッセー君が呼び出されていますわ」

「はい。じゃあ行ってきます」

 

 場所を聞いて、そこへ向けて全速力で自転車を走らせることおよそ五分。人気のない河川敷に、一人の男が佇んでいた。刀を携えフードを深く被った、両頬に傷のある青年だ。顔立ちは結構整っているが、全身からは濃い血の匂いを立ち上らせる、典型的な人斬りだった。

 

 自転車を適当なところへ止めて近づく俺を見て、男はチラシと俺を交互に見比べる。なんかあからさまに怪しんでいるが、まあ無理もないよな。

 

 ある程度近づいたところで、俺は男へ声をかける。

 

「えーっ、俺を呼び出したのは貴方ですよね? どうも、グレモリー眷属の兵藤一誠です」

「……噂には聞いていたが、本当にうぬがあの、最強の達人と謳われた超神帝皇なのか?」

「一応。その呼び名は俺も最近知ったんですけどね」

 

 帝皇の呼び名は何度か呼ばれたことはあるが、いつの間にか超神とか付いてたのは本当に最近ようやく知った。

 

「ふむ……やはり、噂は噂と言う事――」

 

 ゴオッッッッ!!!!

 

 殺気を混ぜた気当たりを爆発させると、男は腰に挿した刀を抜刀して上段に構えた。ふむ……大体、中の上位の達人級(マスタークラス)ってところかな。

 

「ほぉ……最近の挑戦者はこれだけで気絶するような雑魚しかいなかったけど、久々に骨のあるのが来たみたいだな」

 

 最近、俺を呼び出す契約者は半数近くが武術家だ。名を上げる為、腕試しの為に強者を求める輩というのは数知れない。悪魔の契約としては契約者と戦う事も望まれれば不可能ではないが、生半な腕の持ち主相手に多大な対価を受け取っておいて瞬殺では俺としても気分が悪いので、最初にこうやって気当たりでふるい落としておくんだけど……耐え切った奴は最近じゃこの男が初めてだ。

 

 ちなみに、当然闇討ち同然に襲いかかってくるような奴も少なくはないけれど、そういうのはもう手っ取り早く物理的に地獄を見せておくようにしている。

 

「……失言を詫びる。兵藤一誠殿。改めて、貴殿に一対一の果たし合いを求めよう」

 

 携帯機器を弄り、願いの内容を入力して表示された対価を男へ晒す。

 

「その場合なら、ざっとは必要ですけど」

 

 問われて、男は懐から三十センチ程の長さの風呂敷包みを取り出し、投げよこしてきた。

 

「出来れば刀での勝負を願いたい……それで足りぬならまだだそう」

 

 広げて中を確認すると、数本の金ののべ棒が現れる。確かに十分だな。

 

「確かに。これで契約は成立……では、望み通りに」

 

 ブーステッド・ギアから龍一文字・八百万を出して即篭手を消し、腰だめの構えで柄に手をかける。

 

「――飛天御剣流、朧流、共に皆伝。兵藤一誠、推して参る」

「件派一刀流、八段目指南免状、流龍太郎(ながれりょうたろう)……参る!」

 

 ダッ!

 

 距離を詰めて、正面からの振り下ろし。単純極まりないがゆえに必殺の気迫が込められた鋭い一閃は、大抵の特殊合金なら楽に切り裂く一撃だろう。

 

 ザッ。

 

 しかし、その一太刀は空振りに終わり、俺はすれ違った流の背後から、声をかける。

 

「それほどの腕を人斬りで費やすのは、少しもったいないな。俺が言うのも何だけど、あんたは若い。やり直しだってきくだろう。腕っ節が求められて、万年人不足でうまい飯が食える職業なら心当たりがあるぜ」

 

 チン。

 

 遅れて響く、納刀時の鍔の音。それに合わせるように居合い斬りで切断された流の刀が、半ば辺りから地面に突き刺さった。

 

「この結果にあんたが恥じる要素はひとつもない。ただ単に……俺が強すぎただけの事だ」

 

 ドサ!

 

 横に倒れた流へ近づいて、手早く応急処置を行う。まあ、高い金払ってもらったんだし、これくらいのアフターケアはね。契約としては美味しいし、こういう達人ってもっと増えねえかなぁ……。

 

 治療を終わらせた俺は途中、襲撃者を返り討ちにしながらも、嫉妬吹き荒れているであろう部室へと帰還を果たした。

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