そしてハイスクールD×DDX1巻発売!
これからも頑張って行きたいです!
「皆も大分身体が出来上がってきたし、今日からチャクラ式忍術の修行を開始する」
修行場の中の開けた森林にて、地べたに座るオカ研メンバーの前に黒板を錬成し、チョークを走らせる。
「まず……チャクラ式忍術は、名前の通り『チャクラ』と呼ばれる力が要になる。これを持って全身を構成する膨大な細胞から取り出される身体エネルギーと、修行や経験によって蓄積される精神エネルギーをつなげて練り合わせる事で増幅し、術を発動させる」
「……私達にも、そのチャクラっていうのは得られるんですか?」
小猫ちゃんの質問に、ニヤリと笑う。
「皆には既に日々の組手の中で、俺が微量のチャクラを体内に叩き込んであるし、内外からの肉体改造も手伝ってそれに合わせる形で、チャクラの通り道である経絡系も定着している。本当はもう少し時間が掛かるんだけど、皆思ったよりも頑丈だからハイペースにしてみた。特に一度も大事に至る事もなくここまでこれてよかったよ」
リアスが恐る恐る手を上げる。
「いやあの確か、皆それぞれ致命的なダメージが入ったことが何回かあったと思うんだけど……」
「はっはっは。そのくらい平気平気。俺の時は経絡系が定着するまでに軽く三十回以上は三途の川を渡りましたよ」
しまいには三途の川前に専用の待合席まで設けられた上で蘇生まで待機させられたりした。鬼灯様に言わせると、何度もクソ真面目に三途の川を渡ると減刑対象になるかでもめかねないのでどうせ帰るなら大人しくしてろとの事。
「……アーシア。私はいつか、デュランダルに相応しい使い手になると同時に、達人の領域に踏み入れたいとも思っていたんだ。もし、もしそうなったら……私もああなってしまうのだろうか」
「多分、大丈夫かと。イッセーさんのようにはなれませんよ、絶対……」
ゼノヴィアとアーシアが引きつった笑顔を向け合う中、俺は両手を合わせた。
「まずは身体エネルギーと精神エネルギーを練り合わせ、チャクラを練るところから始めよう。感覚としては魔力や魔法力を増幅させる事に似てなくも無い。自分の中に渦巻く力の内、そうだと思うものをそれぞれ汲み取って混ぜ合わせるんだ」
俺に倣って両手を合わせた皆は、目を閉じて自分たちの中の力を探りだす。
万華鏡写輪眼を発動させて皆を見ると、既に少量ではあるがチャクラが練れ始めている。おお、流石にセンス抜群だな。それとも何度か生死の境を彷徨ったせいで身体エネルギーと精神エネルギーを感じやすくなっているのか。
とにかく、上手く行っている事には違いない。
「じゃあ、今度は体中にチャクラを巡らせてみよう。血管の中を駆け巡る血液の様なイメージでやってみてくれ」
今度もまた、すぐに上手く行った。この才能には頭がさがるよ。
「……よし。一旦止め」
指示を聞いた皆は目を開けて合掌を解くなり、大きくため息をついた。やっぱり幾ら出来が良いからって、新体験の能力なんだからそりゃ疲れるよな。
「ふぅ……なあ、イッセー。私達が忍術を扱えるようになるまで、大体どれくらい掛るんだ」
ゼノヴィアの問いに、腕を組んで考えてみる。
「ん~、そうだな。皆はチャクラ量も中々だし、センスもあるから……基本の術はすぐに出来るだろうし、大体一ヶ月もあればある程度の実戦的な術は身につくと思う。例えば……土遁・土流壁」
ドドドドド!
横を向いて目にも映らぬ速さで印を結び、チャクラを練り上げて地面に手を当て、巨大な岩壁を少し離れた場所へせり上げる。
再び高速で印を結びながらチャクラを練り上げ、口の前に右手で輪っかを作り、岩壁へ狙いを定める。
「火遁・豪火球の術」
ゴオッ!!
吹き出した巨大な火球が命中した岩壁が瞬時に燃え尽きた後、俺は再度説明を開始した。
「とまあ、今みたいな性質変化の忍術が扱えるようになれば、一人前の忍は名乗れるかな」
そう告げた途端、部長が立ち上がって俺の手を取り、固く両手で握りしめる。更には普段強気で美しい双眸を少年のごとくキラキラ輝かせ、感動に打ち震えながら俺の顔を見上げてきた。
「――サムライにしてニンジャだなんて。イッセー……貴方と出会えて、本当に良かったわ」
……そう言えばこの人、割りと日本文化勘違いしてるんだった。もうなんか、お目々がキンキラキンで眩しいくらいだよ。ヴェリタス・イラを見せた時のシーグといい勝負だ。
つーか忍者はともかく侍って……いや、ヴァーリとの戦闘の時に龍一文字振るってたし、そう思われても無理はないか。
「と、とにかく、今後は忍術を含めたチャクラの修行を行っていきますんで、そういうことで」
「ええ、わかったわ……ニンジャになれるというのなら、どんな修行も耐えてみせるわ」
そう言った部長がガッツポーズを決める中、俺は手裏剣を数枚取り出し、地面を蹴って木遁で丸太状の的を出現させる。
「じゃあまずは、手裏剣術の修行と行こう。何事もまずは基本からな」
ズババババン!
「ギャスパー、あと四周だ! 気張れぇぇぇぇぇ!」
「ヒィィィィィィィィィィ!!!」
自分の胴とロープで繋がったタイヤに座る影分身の俺に幾度と無く鞭でシバかれながら、ギャスパーが爆走する。うんうん、やっぱり名門の吸血鬼ってのは伊達じゃないな。アーシアより少し強めにぶっ叩いてもなんともねえや。
数日前から修行に参加した日から、ギャスパーは始まりから終わりまでこうして走らせまくっている。基礎体力的には既に合格ラインなんだが、精神的な面での強化がもう少し必要と踏んだためだ。
いざという時の男気と精神力は中々なんだが、問題は気弱さからくる普段の腰の弱さ。という事で、こうして粘り強さを得るために単純明快な走り込みをさせている。
「イッセーせんぱぁぁぁぁぁぁぁい! もう肺が破裂しそうですぅぅぅぅ! 足が折れちゃいそうですぅぅぅぅ!」
「俺たちゃ吸血鬼だ! その程度、一瞬の間もなく再生できる! 問題はない!」
「そんなの先輩だけですよぉぉぉぉぉぉ! 僕はもっと時間がかかりますぅぅぅ!!」
「じゃあ……俺が
「字がぁぁぁぁぁぁぁ! 今絶対字が違いましたぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「泣き言言えてるうちはまだ大丈夫だよ! そら走れぇ!!」
ババババババシィン!
高速の鞭打でツボを刺激され、ギャスパーの肉体が主の意思とは関係なしに活性化する。鞭そのものに大した痛みは無くとも、否応なしに元気を取り戻させられるのは相当恐ろしいと俺も分かっているので、涙目のギャスパーが次にどんな声を上げるかも把握できる。
「鬼ぃぃぃぃ! 悪魔ぁぁぁぁ! じぇろにもぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ああ、吸血鬼で悪魔だけどそれが何か?
「既にお前や皆は、勇気を持って俺という崖から飛び降りたんだ。後はどこまでも、達人の世界へ墜ちるのみ! 例え死んでも辿り着くから安心しろ!」
「もう何度か死んでますよぉっ! その度にとんでもない技とか器具とか薬で蘇生させられて……僕のっ僕の人権はどこへ行っちゃったんですかぁぁ!!」
「はっはっは……人だろうが悪魔だろうが天使だろうが堕天使だろうが吸血鬼だろうが関係あるか。弟子は弟子だ。それ以上でもそれ以下でもない。手っ取り早く言うと……んなこと言ってる元気があったら一キロでも速く走れオラァ!!」
ズバァァァァァン!!
「ピギャァァァァァァァ!」
生存本能全開で突っ走るギャスパーを応援しつつ、アーシアを合気で投げ飛ばす。
「きゃぅん!」
一回転して背中から地面に落ちるも、見事に受け身をとって立ち上がるアーシアに感心しながら頷く。
「アーシアもかなり動けるようになってきたな。受け身と体勢の立て直しに関してはもう黒帯級だよ」
「それはもう……日に何千回も投げられてたら、そうでもないと死んじゃいますよ」
「うん。最初の頃は何度か死にかけたよね。さ、練習練習!!」
「段々諦めが早くなっていく自分が、とても怖いです……」
達観した感じのアーシアを再度空へと放り投げつつ、他の修行役の木分身と意識を同期させる。
「「チェストォォォ!」」
ズドォン!
リアスの正拳突きと朱乃の貫手が腹筋へと叩き込まれ、三戦立ちに佇む俺の身体を衝撃が突き抜ける。
「――よし。今の調子だ! リアス、朱乃! もう一度掛かって来い!」
「「はい!」」
威勢よく声を上げる二人に負けじと、他の三人も気合が滾る。
「ふっ!」
「流石、体重の乗せ方がかなり上手くなってるな! けど、まだ重心がぐらついてるぞ! これじゃあ剣術と足技の両立には程遠い! 鍛錬あるのみだ!」
「はい、師匠!」
手に刃を潰した剣を持ちながら放たれる木場の蹴りをガードしながら、隙あらば強烈な一撃を叩き込む。
最も、受けるダメージが一番大きいのは……。
「ぐああああ!」
「まだまだまだまだ!! 気血を送り込み、肉体を鋼と化せ! 最後は気が勝負を決めるんだ!」
「応ッ!」
敢えて徒手空拳で組手を行うゼノヴィアは、既に何度も昏倒しては起こされているが、その闘志には少しの衰えも無い。これぞ脳筋ってな!
そして最後、小猫ちゃんは誰よりも熱が入っていた。
「……ッ!!」
「冷静に、ざわめく心を研ぎ澄ませ。ただ、感情を否定しろとは言わない。宥め、抑え、飲み込み、制御して力と成すんだ。でなければ、気の開放は成し遂げられない」
「……はい!」
シラットの
……周りの急成長が気になるか。俺も、その気持ちは良くわかる。そして、そんな焦燥感も向上心として飲み下せれば、立派な力に出来ることも知っている。
だからこそ、今はそこに触れはしない。これは小猫ちゃん自身が乗り越えなければならない問題で、俺が手助け出来るとすれば、それは小猫ちゃんが向き合った後だから。
さて……俺も弟子達に負けてはいられないな。
ヴワッ!
遠方の分身との同機を一旦切り離し、眼前に五十メートル前後の威容を晒す九尾の狐と同サイズの完成体須佐能乎を形成する。
「それじゃあ妲己。もう一度手合わせ頼む」
「御意に」
「一応、皆が修行してる場所とは離れてるけど、くれぐれも巻き込まないようにな」
「ふふふ、存じておりまする。しかし恐れながら、私も妖狐の頂点にある身です。加減せずに範囲を狭めるくらいは造作も無きこと。イッセー様こそ、熱が入りすぎてこの空間を消し飛ばさないようお気をつけを……」
分かってる。これはそう言う修行でもあるのだから。
重龍皇の鎧の能力をほぼ掌握した俺は、次に須佐能乎を極めることにした。
繰り返し使用した事によって細胞に対する負担はほぼなくなり、形成速度も徐々に速くなっているが、未だに完成体を形成させるのに三秒はかかる。理想は0.1秒を切る事だが、まだ先は長い。
つまりはいつもどおり反復練習あるのみってことで、それは俺が一番得意な修行法だ。
バシュ!
左手にチャクラの弓を作り出し、オーラの矢を番えて引き絞り、妲己の足元へ放つ。
ドオオオオオオン!
着弾と同時に爆発を起こす矢を置き去りに空を駆ける妲己へ、背後の両腕を翼に変えて飛行することで肉薄し、十の気当たり分身と共に一斉に襲いかかる。
九本の尾が巧みにこちらの攻撃を受け止め、捌く間に妲己は無数の魔方陣を分身を含めて俺を覆い尽くす様に展開させ、全魔方陣から一発一発が山も消し飛ばす威力の砲撃が雨あられと撃ち込まれる。
ズズ。
砲撃が須佐能乎に命中する直前、ワームホールを通って妲己の背後をとった俺は須佐能乎でフライングフォークを連射するが、妲己はあっさりと避けてみせた。
マイクロ秒で開けるようになったワームホールでの瞬間移動で虚を突いたつもりだったが、読まれていたか。流石は最強の九尾の狐。幾多の伝説を残した大妖だけの事はある。
今の砲撃、古今東西の多種多様な魔法、妖術と仙術に加えて、魔力も混ぜ込まれてた。既に魔力の扱いもとんでもない高レベルに達してやがる。それぞれが相乗し、破壊力を収束させた今の攻撃は、直撃していれば須佐能乎を容易に貫いて俺に大ダメージを与えていただろう。防御をあと一撃で崩せるというタイミングにぶちかました点も流石という他ない。
間一髪で何とか逃げられたが、次もそううまく行くわけがない。けれど、あれだけの威力と数の一斉掃射。如何に妲己でも力を溜める時間は必要になる。そして既に、妲己は再度チャージを始めている。
とくれば……先手必勝! 須佐能乎の両手にチャクラで作り出した数枚の手裏剣を投げつけ、四方八方あらゆる軌道から妲己へ向かう手裏剣に対して日留来を持って術を発動する。
「手裏剣影分身の術!!」
ババババババ!
大量に数を増した手裏剣の嵐が妲己の防御魔方陣に防がれる中、太刀を持たせた須佐能乎を正面から突撃させ、全力の居合い斬りを首目掛けて振るう。
ギィィィィィンッ!!
防御を切り裂いた刃を金属の如く硬化した九本の尾で防いだ妲己は、再び俺の周囲に魔方陣を展開しだす。
魔方陣が輝き、その力を解き放つ――直前に、峰を蹴った俺の刀が九尾ごと妲己の首を刎ねた。
「――ふう」
須佐能乎を解除し、一息ついた俺の目の前で、首無しの巨大な妖狐が首無しの女の姿へ一瞬で变化し、瞬時に失った首を再生させる。当に俺の手で吸血鬼となった妲己からすればあの程度は大した事じゃない。
口元を覆って笑う妲己は軽い足取りで近づいたかと思えば、上目遣いで身体を預けてきた。
「相も変わらず才の欠片も感じられないというに、またしても壁を打ち壊し続けますか。あの巨人の動き、そして剛剣の冴えときたら……御身は幾度、私の身も心も惹き付ければ気が済むのでしょうか」
「それをお前が望む限り」
芝居がかった台詞に付き合ってやると、妲己は艶っぽく上気した顔で、着物の帯に手を掛けた。
「イッセー様……少し火照ってしまったのですが……久方ぶりに、鎮めるのにお手を煩わせてもよろしいでしょうか?」
「首を斬り落とされてそれかよ……まあ、大歓迎だけどさ」
というか、せめて了承を受けてから結界張って欲しい。別に断る理由がないのは事実だけどさ。
はらりと着物を脱ぎ捨てた妲己の身体へ、俺は手を伸ばした。
「はああ……いい塩梅でしたわ。何度も極楽が見えました……」
妲己と共に、飛行する須佐能乎で皆のところへ戻る最中、いきなり横の雌狐はとんでもなくエロい声でとんでもない事を言い出した。
「……そういう言い回しも慣れたけどさ。単なる指圧とマッサージだろうが」
そりゃ、吸血もしたけど。
ふわりと柔らかく腕を抱く妲己は、胸元に指を引っ掛けて美術品のようなおっぱいの谷間を垣間見せてくる。
「ふふふふ。体と体のふれあいには変わりないでしょう? どうです? 初心な娘も周りに増えていることですし、そろそろ私で経験を積んでみては……傾国と謳われたこの妲己が見いだせし房中術の全てを修めれば、どんな女もたちまち雌に出来ますよ?」
あからさまな物言いに、谷間を脳内保存しながらもため息をついてしまう。
「お前は俺をどうしたいんだ」
その一言に、妲己の纏う空気が一変する。妖しい色香を全て霧散させた妲己が、優しく微笑みながら言う。
「それは勿論――あるがままの貴方を欲し、愛します。強く優しく全てを欲する、強欲で謙虚な我が君を」
反射的に背筋を伸ばしてしまうような清らかで澄み切った声色に目をむいて驚くが、数瞬後には既にいつもの妲己しかいなかった。
……女は百面相と誰かが言ってたが、こいつはその典型であり極致だな。歴史に名を刻み、俺を徹底的に拷問した傾国の毒婦も、今のこの場でこうして愛を告げる恋する乙女も、全てが本物であり、本心だ。
あの捕らえられていた時も、こんな感じで予想だにもしないような表情を見せてきたことが何度もあった。そして今、目の前で二つの顔を見せるこの女に対して、俺はこう思っている。
こいつの全ての顔も心も、俺のものにしてしまいたいと……。
これが妲己の狙った反応なのかとか、そんなことはどうでもいい。重要なのは今、妲己は俺の手の届く場所にいて、手を出されることを望んでいるという事実。そして、色々な理由から今童貞を捨てるのは問題が多いという現実……。
表面下で欲に悶える俺がよほど笑えたのか、妲己は上機嫌にコロコロ笑う。
「ふふ、本当にもう……魅せがいのあるお人ですわ」
楽しそうに笑い続ける妲己につられて、微かに微笑むと、皆の修行場へ到着した。全ての分身を消してチャクラを回収し、大声で叫ぶ。
「これにて、今日の修行は終了! 夜食作るからそれまで休憩!」
『はい、師匠!』
返事の後、滝のように汗を掻いて座り込む皆を余所に、厨房へ近づいた俺は中華鍋に油をひいて火にかける。
その横でエプロン姿の妲己が食材をざっと切って置いていくと、突如伸びた手が手付かずのローズハムを一枚取って、そのまま口へと運んだ。
「つまみ食いはいいですけど、手ぐらい洗ってくださいよ、アザゼル先生」
顔も見ずに苦言を呈する俺へ、先生は笑って手を振った。
「固いこと言うなよ。並みの奴じゃあお目にかかることすら難しい、グルメ界の食い物だぜ? こんな美味いもん腹一杯食えるってんだから、お前の弟子も幸せもんだな」
「まあ、ほぼ死にまくっては蘇生の極限状態ですけどね」
「精神面でのケアが万全なら、悪くない選択だと思うぜ? 指導内容も流石の一言だ。よく勉強してるってのが見て取れた」
そう言ってもらえると、結構嬉しい。
皆には基本となる武術をそれぞれ教えこみながら、他の武術の個人に適している技や技術も習得させる方法をとっている。
リアスと朱乃は空手。今までの修行から見るに、リアスは突き、朱乃は貫手が向いていると見えたので、その特色を活かしつつ、防御を真髄とする空手を仕込み、全体的に防御を重点的に教えている。二人が元々強気に攻め入るスタイルだという事と、
木場は剣術との兼ね合いを考えて、戳脚門をベースに足技主体。
逆にゼノヴィアは、剣術とは切り離した上でムエタイを教えている。何故なら、あいつは正真正銘の脳筋、ある意味木場以上の天才だからだ。
あいつは会得したものを自分の中で混ぜあわせ、自己流にアレンジして扱うのが非常に上手い。俺が散々苦労して得た器用さを、最初から持ち合わせているんだ。現に一度デュランダルを持たせて立ち会った所、あいつは極当たり前に剣術とムエタイを併用して来やがった。まだ粗は目立つが、それも技量を高めていけば解消されるだろう。
アーシアは、身を守ることを最重要かつ大前提として合気の類を基本とした柔術。いざという時の逃げ方は教えたし、逃げ足も走りこみで鍛えた。防御と逃げならすでにまあまあと言っていい。
そして小猫ちゃんはプンチャック・シラットを基本に、あらゆる武術を徹底的に叩き込んでいる。生身が武器であり、優れたセンスと気やオーラの扱いに置いて類稀な素質を持っている小猫ちゃんならではの険しい道だが、小猫ちゃんならきっとやり遂げるだろう。
ちなみに皆の気のタイプは、リアス、朱乃、ゼノヴィアが動。木場、小猫ちゃん、アーシアが静となっている。当たり前だが、まだ基礎練習のギャスパーはそこまで至っていない。既に木場と小猫ちゃん、そしてゼノヴィアは気の開放に足がかかっていて、リアスと朱乃も発動をほぼ習得している。アーシアは若干苦戦気味だが、俺よりは遥かにスムーズに進んでいる。
「かわいい弟子の為ですから。師匠業も日々精進です」
「師は弟子を育て、弟子は師を育て、か……それじゃあ俺も、夏休みに向けてとびきりのプランを練っておかないとな」
「神器関係の修行ですか?」
「ああ。体力、精神力、武術の修行じゃあ俺が出る幕はないが、魔力や魔法力、そして神器と来れば俺に任せとけ。イッセー、お前にも最高の修行を用意してやる」
先生の眼がギラリと危険な輝きを見せる。ああ……やっぱこの人も神さんの友達だわ。あの楽しそうに人を死地へ放り込む算段をつける様子とかもう重なりまくって目を覆いたくなる。いや、今じゃ俺も同類か……。
さて……それはともかく飯ができた。まずは食おう。
「じゃあ、先生。話はこれくらいにして、料理運ぶの手伝ってくださいよ」
「はいはい。――おお! 豪華に中華か。しかも希少な食材がこんなに!」
「口より先に手を動かしてください」
急かされた先生と俺が予め敷かれていたシートへ次々と皿を運び、大体の準備が終わったところで皆がやってくる。
シートへ上がって全員で輪になり、俺の動きに合わせるように、全員で両手を打つ。
「この世の全ての食材に感謝を込めて、いただきます」
『いただきます』
一斉に皆が箸を伸ばして食事が進む中、リアス達と談笑する妲己の笑顔に、俺は目が離せなかった。