「マブラヴってこんなに熱いんだ…!」という新鮮な反応が満載のスタートダッシュ。
本作に登場する団体名「viviON」は実在の会社名ですが、本作の内容はすべて創作です。実在の企業・団体・人物・出来事とは一切関係ありません。
第1話 こまる、推しゲーで青春を爆走! 監視の目とオタクの魂
2025年7月、東京のコンクリートジャングルは夏の熱波に焼かれていた。陽炎が揺らめくアスファルトの上で、株式会社viviONが運営するあおぎり高校の第三スタジオは、まるで戦場の前線のような熱気と喧騒に包まれていた。
世界規模で支部を展開する巨大VTuber支援事務所“NEOENTUM”の旗艦グループ、あおぎり高校。
かつての先輩、水菜月夏希と大代真白が卒業し、新たな風を巻き起こす若者たちが、今、このスタジオを舞台に未来を切り開こうとしていた。
その中心に立つのは、規格外のトラブルメーカーにして自他共に認めるオタク魂の化身、栗駒こまる。
茶髪を振り乱し、拳を振り上げる彼女の声は、空調ダクトを通じて第三会議室まで響いたという伝説が囁かれている。
いや、伝説かどうかはさておき、彼女の情熱は確かにこの閉ざされたスタジオを揺さぶるほどのものだった。彼女の瞳には、推しへの愛と無鉄砲なエネルギーが渦巻き、今まさに新たな物語が幕を開けようとしていた。
「お、おはようございます……! えっと、今日は……始めていきます……『マブラヴ』実況、第1回目~!」
こまるの声は、緊張と興奮がせめぎ合う独特のトーンでスタジオに響き渡った。
彼女の手元には、すでに空になった缶コーヒーと、スナックの袋が山のように積まれている。配信の準備は万端――のはずだった。
巨大なモニターには、夕暮れの校舎を背景にヒロインたちの笑顔が並ぶ『マブラヴ』のタイトル画面が映し出されている。
だが、そのロゴの下に、微妙に不穏な“18歳未満禁止”の警告がチラつく。
「よしッ! ついに――マブラヴ オルタネイティヴ! 実況プレイ、始めるぞぉぉぉおおお!!!」
こまるの叫びは、スタジオの壁を震わせ、空気を切り裂いた。
視聴者チャットが一瞬にして「キター!」「こまるのマブラヴ!?」「やばい、始まった!」と沸き立つ。
だが、その熱狂は刹那にして凍りついた。
「ちょっと待て、栗駒こまる!」
鋭い声が空気を切り裂き、スタジオに響き渡る。
現れたのは、NEOENTUM幹部の一人で、元シュタージヴェアヴォルフ大隊兵士という異色の経歴を持つファルカ・ミューレンカンプ。
ドイツ連邦情報局の諜報員としての過去を背負う彼女は、常にクールで無表情を貫く女傑だ。
だが、今、彼女の瞳は異様な光を放ち、こまるを射抜いていた。
「は? なになに? もう録画ボタン押しちゃったよ? スタート押しちゃったし?」
こまるはキョトンと首をかしげ、モニターに映る『マブラヴ オルタネイティヴ』のジャケットを指差す。
だが、その画面には確かにR18版の警告が、赤々と輝いていた。
「ダメだ! 即刻停止しろ!」
ファルカの声は、まるで戦場での号令のように鋭く、スタジオ全体を震わせた。
「この内容はVTuberとしてのコンプライアンス違反だ! 配信前に確認はしたのか?」「えっ、だって、なんか『マブラヴといえばオルタ』って聞いたし……ジャケ絵もカッコよかったし……」
こまるはしどろもどろで弁解するが、ファルカの視線は容赦ない。
彼女の背後では、スタッフたちが息を潜めて事態を見守っている。
「『オルタネイティヴ』は確かに名作だ。だが、順序というものがある! 『無印』から『アンリミテッド』、そして『オルタネイティヴ』――その道を踏んだ者だけが、白銀武の涙と努力を理解できる!」
ファルカの声には、かつて数多の戦場を生き抜いた彼女の重みが宿っていた。
「オルタから始めるなんて、たった一度きりの奇跡をドブに捨てる行為だ!」
「た、たとえが重すぎるぅ~……!」
こまるは顔を真っ赤にして縮こまり、両手で頭を抱える。
スタジオのスタッフたちが、堪えきれずにクスクスと笑い声を漏らす。
その時、モニターに新たな映像が映し出された。
NEOENTUM幹部のもう一人、ニコラ・ミヒャルケだ。
軍服を思わせるデザインのアバターで、ジト目でこまるを見つめる。
《栗駒こまる、オルタからやろうとしてたのか?》
ニコラの声は呆れ気味だ。彼女の言葉に、スタジオの空気がさらにピリつく。
「うん……パッケージ見て『これがラスボスか……』って思って……」
こまるが指差したのは、『オルタネイティヴ』の戦術機のシルエット。
視聴者チャットが「え、ラスボス!?」「こまる、さすがに草」とざわめく。「それ、敵じゃないぞ?」
ニコラが即座に訂正し、スタジオに笑いが漏れる。
《第一に、無印を端折ってオルタをプレイするのは、『ガンダム』で最初から『逆襲のシャア』を観るようなものだ。わかるか? 白銀武の一歩一歩、純夏の青春があってこそ、オルタの深みが生きる!》
「うっ、それは……確かに……」
こまるは肩を落とし、しゅんと項垂れる。
だが、その瞳にはまだオタク魂の炎が宿っていた。
「わかりましたッ!!」
バン!
こまるが両手を机に叩きつけ、立ち上がる。
「やりますよ、無印から! こうなったらタケルちゃんの青春、まるっと全部見届けてやろうじゃないですかぁあああ!!!」
「その意気ですよ。…こまるさん」
ファルカが小さく頷き、初めてその口元に微かな笑みが浮かぶ。
視聴者チャットが「こまる、覚醒!」「無印から行くの!? 応援する!」「ファルカさん、かっこよすぎ」と一気に盛り上がる。
数分後
「お、おはようございます……! えっと、改めて……始めていきます……『マブラヴ』実況、第1回目~!」
仕切り直しの挨拶を、こまるは若干の緊張を滲ませながら口にする。
手元には再び缶コーヒーとスナックの山が復活し、モニターには『マブラヴ』のタイトル画面が映る。
夕暮れの校舎とヒロインたちの笑顔が並び、視聴者チャットが「こまるやらかしたw」「無印きた!」「これが正しいスタート!」と早くも盛り上がる。
ファルカはモニターの端で監視の目を光らせ、副調整室ではニコラが冷静に様子を見守っている。
「なんか……こう……ギャルゲっぽい! ていうか、普通に明るいじゃん!? ホラーとか戦争とか言ってたの誰よ!?」
こまるがゲーム画面を指差し、テンションが急上昇。視聴者チャットが「こまる、フラグ立ててる?」「まだ平和なパートだよ!」「ホラーってw」と反応する。
「言ってません、まだ何も始まってませんから」
ファルカの冷静な声が、こまるの軽率な発言をピシャリと遮る。
彼女の視線は、まるで戦術機の照準のようにこまるを捉えている。
実況画面に、白銀武の部屋が映し出される。そこへ、無遠慮に飛び込んでくる少女――
『おはよう、タケルちゃん!』
鑑純夏の元気な声が、スタジオに響き渡る。
「うわっ!? いきなり幼なじみ来た!! なにこの“テンプレ”!!」
こまるの目が輝き、身を乗り出してモニターに食らいつく。視聴者チャットが「純夏ちゃんキター!」「テンプレ最高!」「こまるのテンションw」と盛り上がる。
「そこがいいんですよ」
ファルカが即座にツッコミを入れる。
「鑑純夏はこの物語の“原点”です。忘れないでください、彼女がすべての始まりです」「ええー、でもこの子、いきなり部屋に入ってくるし、距離感ゼロだし……あっ、でも……なんかかわいいかも」
こまるの声が、徐々に柔らかくなる。
彼女のアバターの頬が、ほのかにピンクに染まる。
「その“なんか”の積み重ねが、後にあなたの心臓を引き裂くんですけどね」
ファルカの言葉に、スタジオが一瞬静まり返る。
視聴者チャットが「ファルカさん、めっちゃ重い!」「心臓って……大丈夫ですよね?」「なんかドキドキしてきた~」「こまるちゃん、騒ぐ前にゲーム進めろ」と一気に加速する。
「なんか怖い言い方やめてよ!?」
こまるが叫ぶと、スタジオに笑い声が響き、視聴者チャットの勢いは止まらない。
数十分後、ゲームは新たな展開を迎える。
窓から日本刀を持った美少女、御剣冥夜が登場する。
「あっ、なんか日本刀を持ってる美少女が窓から入ってきた! だれこれ!? お姫様!? 添い寝!?」
こまるが興奮でモニターに身を乗り出し、両手で画面を指差す。
視聴者チャットが「冥夜キター!」「こまる、落ち着けw」「添い寝ってなんだよ!」と爆笑。
「あー、その人は御剣冥夜ですよ」
ファルカの声が冷静に響く。
「彼女も重要人物です。後々、泣かされますよ」
「また泣くの!?」
こまるが叫ぶと、スタジオにいた魂子が「え、どんだけ泣くゲームなの!?」と便乗して叫ぶ。
視聴者チャットが「魂子も巻き込まれたw」「冥夜推し増える?」「こまる、叫びすぎ!」とさらに盛り上がる。
「むしろ、泣かないなら感情が壊れてます」
ファルカの辛辣な一言に、スタジオが爆笑に包まれる。
視聴者チャットが「ファルカ容赦ねえw」「こまる頑張れ!」「泣く準備しとこ」と反応する。
さらにゲームが進み、彩峰慧が登場。
クールな雰囲気を漂わせる彼女に、こまるの目がキラキラと輝く。
「ねえねえ、この彩峰慧って子、めっちゃツンとしてて良くない!? こまる、こういうクール系けっこう好きかも……!」
こまるがテンションMAXで叫ぶと、副調整室でモニターを見ていたニコラが思わず絶叫する。
「まさかの彩峰慧推し!? いや、でもわかるが……分かるけどな!!」
ニコラのアバターが、軍服の襟を正しながら興奮気味にコメント。
視聴者チャットが「慧推し!? マジ!?」「ニコラも慧推し!?」「こまるの推し語り最高!」と反応する。
「なんかね、こう……冷たいけど、実はちゃんと見てる子って感じ? えっ、これ……もしや恋……?」
こまるが勝手に妄想を膨らませると、ファルカが即座に割って入る。
「実況でフラグ立てないでください」
ファルカの一喝に、スタジオが再び笑いに包まれる。
副調整室のニコラが苦笑しながら呟く。
「ファルカ、一応念のために聞いておくが、マブラヴは乙女ゲームじゃないよな?」
「そう願いたいですけど、こまるさんの手にかかれば何でも恋愛ゲームになるんですよ、たぶん」
ファルカが珍しく冗談めかすと、視聴者チャットが「こまる、恋愛ゲー化しすぎ!」「慧ちゃん、確かにカッコいい……!」「みんな楽しそう~」とほんわかな雰囲気に包まれる。
風呂シーンとファルカの警告ゲームはさらに進み、武が風呂から上がるシーンへ移る。
『ちょっ、そこはカットでいいってば!!』
純夏の慌てた声が響き、こまるが目を輝かせる。
「いやでも、なんかこの日常パート、めちゃくちゃ楽しいね! キャラも面白いし、ツッコミどころ満載だし!」
こまるが実況を続けるが、ファルカが即座に割って入る。
「そのまま風呂シーン実況しないでください! あとで編集でカットしますから!」
ファルカの警告に、こまるが「え、でもちょっとくらいなら……!」と食い下がる。
視聴者チャットが「こまる、危ないw」「風呂シーンキター!」「ファルカの監視ガチすぎ」と盛り上がる。
「――コンプライアンス、栗駒。忘れるな」
ファルカの声は冷たく、まるで氷の刃のようだった。
スタジオが一瞬静まり、こまるが「は、はい……!」と縮こまる。
視聴者チャットが「こまるやばいw」「ファルカ怖え!」「コンプライアンス最強」と爆笑。さらに視聴者チャットが「こまる、ファルカさんの監視舐めるなよ」「でも、この日常、ずっと続いてほしいね!」「この雰囲気、なんか青春って感じ!」「風呂シーンも、なんかほのぼの~」と天然コメントで溢れる。
だが、その瞬間、ファルカとニコラの声がピタリと止まる。
「……こまるさん」
ファルカの声が、どこか重く響く。
「うん?」
こまるがキョトンと振り返る。
「その言葉、ちゃんと覚えておいてください」
副調整室からニコラが続ける。
「数週間後、貴様の叫び声がTwitterのトレンドに入ることになるからだ」
「なにそれ怖っっ!!」
こまるの悲鳴がスタジオを震わせ、視聴者チャットが「トレンド予告w」「こまるの叫び声楽しみ!」「マブラヴ、ヤバそう……!」と大盛り上がり。
ゲームは『マブラヴ Extra』のクライマックス、純夏の告白シーンへ。
夕暮れの校舎で、純夏が武に想いを伝える。
切ないBGMが流れ、スタジオの空気が一変する。
「ここ! このシーンが青春の全て! 純夏の気持ち、めっちゃ伝わるよ……!」
こまるの声が震え、彼女のアバターの目にはキラキラした涙が浮かぶ。
まるで純夏の心とシンクロしているかのように、彼女の声は感情に満ちていた。
視聴者チャットが「純夏ちゃん、武のこと大好きなんだね……なんか、泣けてきた」「この雰囲気、なんか心にくるね~」「純夏はいいぞ~」「いいぞ!もっとやれ!」「純夏たん、ハァハァ」と共感と熱狂で埋め尽くされる。
ファルカが「感情的な反応は良いが、配信の品位を保て」とコメント。
だが、こまるが「この青春が後でUnlimitedで……!」と叫びかけると、「その先は言うな!」と即座に制止。
ニコラが「栗駒、純夏の気持ちをちゃんと伝えろ。オルタの重さは、そこから始まるんだ」と助言する。
視聴者チャットが「こまるの涙リアルすぎ」「ファルカGJ!」「純夏の告白、ヤバい……」「オルタの重さって何!?」と共感と期待でさらに盛り上がる。
配信終了後、スタジオは興奮の余韻に包まれていた。
こまるが「『マブラヴ』、みんなハマったでしょ! 次はUnlimited編、SFパートがヤバいんだから!」と意気込む。
スタジオの片隅にいる萌実が「ファルカさんの監視怖かったけど、めっちゃ盛り上がってたね! 私、ゲーム買ってみようかな! 純夏ちゃん、応援したい!」と笑いつつ決意を語る。
エトラが「次は選択肢の戦略、任せなさい。次も楽しみ~! お菓子持ってくるね」とほんわかな雰囲気で宣言。
ファルカが「初回としては悪くない。ですが、こまるさん、軽率な行動は控えてください。次回も監視します」と厳しく評価。
ニコラが「無印をしっかり味わえよ。オルタの感動は、そこにかかってる」と付け加える。
こまるは「はい! ファルカさん、ニコラさん、絶対後悔させません!」と敬礼し、拳を握りしめる。
視聴者チャットで「次もこまるの実況見たい!」「エイレーン呼んでカオスに!」「純夏推し増えた!」とコメントが流れ、萌実が「エイレーン!? それは……いつかね!」と笑う
副調整室で、ニコラがモニターを見つめながら呟く。
「あのテンションで、ほんとに“あのルート”まで行けるのか」
ファルカが苦笑する。
「VTuberは、どんなにバカでも、自分の好きなものを叫ぶからいいんです。彼女、たぶん本当にハマると思いますよ」
ニコラが「それは……そうかもしれないが」と微笑む。
こまるがスタジオの中央で叫ぶ。
「過去を振り返るより、未来を突き進むよ! あおぎり高校はもっとすごくなる!」
ファルカが画面外で「その意気は嫌いではない。だが、『マブラヴ』の深みを理解しろ」と呟き、ニコラが「青春も戦場も、両方味わえよ」と付け加える。
あおぎり高校第三スタジオには、今日も笑い声と悲鳴と、ほんの少しの狂気が満ちていた。そしてこの日から、栗駒こまるの“長い夏”が始まる。恋あり、涙あり、死別あり。『マブラヴ』実況という名の精神の旅路を、彼女はまだ、何も知らずに歩き出したばかりだった――。
ENTUM23の続編、アオギリズエース!!!遂に始まりました!!
そもそもアオギリズエース!!!とは何だ?と思う方はいると思いますが、これはですね…あおぎり高校のアルバムCD『あおぎりキャンパス』に収録されてる『アオギリズエース!!!』という曲が元ネタです。