「Gジェネレーションのプレイヤーなら、なんとでもなるはずだ!」
会話でストーリー回したほうがGジェネっぽいなと思いついた作者がいるらしい。
走る。
全力で。
詳しい状況を確認しているヒマは無い。
誰がザニーを動かしたのか? そんなことは、そんな理由は、全部後回しでいい。
まずは状況に対応するための“力”を確保するのが先。
外。
動いている。
ゴーレムが4体、召喚したマイスターがザニーと呼んだ大砲持ちの機体。
「ザクは動かさなかった……動かせなかった? それとも、4人だからザニーを選んだのかな。ザクは3機、ひとり余るなら絶対に揉めるだろうし」
「レオン!」
「ゴードン。いま、どうなってる?」
「格納庫が潰れちまってる、もうメチャクチャだ! マックスたち、アイツら! なにかコソコソやってるとは思ってたけど、ここまで迷惑な連中とは思ってなかったぜクソッ!」
「そうだね。ところで、こんな状況で我らがリーダーは?」
「知らねぇよ! だいたい、アイツが起きてきたとして偉そうにする以外にできることなんてあんのかよ。皆でタワーから逃げてきたときのヤツなら少しは頼りにできたかもしれねぇけどな!」
「同感。とにかくザクを掘り起こそう。胴体にさえ触れれば中に入れるから」
逃げるための時間稼ぎ、か。
暴力しか取り柄のない頭の悪い連中だと思っていたけど、そういうコト考えつく程度には脳ミソあるんだね。
ゴーレムが壊れている可能性は低い。
せいぜい頭の角が折れる程度だろう。
マイスターが召喚したゴーレムは、野盗はもちろんタワーの警備部隊が使ってるポーン系より何倍も頑丈だから心配いらないはず。
この場合、むしろトラックを盗まれたほうが厄介だったまである。
マイスターは2週間ぐらい帰ってこないって言ってたし、スクラップを含めた資源を運べなくなるほうが生活的にキツい。
さて、瓦礫の山は……よし、ザクの上半身が見えてる。
しかもオレのデザートカスタム。
不幸中の幸いってヤツ? たまにはカミサマにも祈りってやつを捧げてみようかな。
拡張空間に入り込み、手早く起動準備を済ませる。
「魔力接続……問題なし。損傷……表面装甲、ほぼ無傷。武装実体化シーケンス……通常モード。視界リンク……OK。レーダー反応……赤、4体。よし、全然大丈夫だね」
『へへッ、なかなか快適じゃねぇか!』
『いくらで売れるか楽しみだな!』
『そう急ぐなよ。買い取りの日までは時間もあるんだ、その前に少しぐらい楽しんだって損はないだろ』
『タワーの連中を少し驚かしてやるってのはどうだ? ムカつく警備部隊の連中を何人かブッ殺してやろうぜ』
「そういうゲスい話をするなら、通信ぐらい切りなよ。せめて範囲指定とか、グループ化するとかあるじゃん」
『レオンッ?!』
『なんでだよ! 倉庫は潰れただろッ!?』
「倉庫そのものがやっすい造りでボロボロだったからね。瓦礫に当たったぐらいで純正ゴーレムが壊れるワケないでしょ」
『あぁ、そうかよ。だがな────』
ザニー4体からキャノン砲が向けられる。
避けるのは難しくない、けど……流れ弾が寝泊まりしてる建物に当たれば大ケガどころじゃ済まないだろう。
『同じ純正ゴーレムならよ? どう考えても俺たちのほうが有利ってヤツだよな?』
「ちょっと……なに言ってるのか、わかんないかな」
『あぁん?』
「だって、どう考えてもさ。同じ純正ゴーレムで勝負するなら────ゴーレムの性能を活かしきれない下手くそクソザコ4人組より、実戦経験豊富なオレのほうが強くて当然じゃない?」
『テメェッ!!!!』
感情の刃が一斉に襲いかかってくる。
これでいい。
あとは外を背中に動き回れば死にはしない。
優先順位を間違えるな、これもマイスターから教えられた言葉だ。
たまにポロッと出てくる“しぼうふらぐ”って単語の意味は良くわからないけど、なんとなく嬉しくない使い方してるのだけはわかる。
戦えるからって、戦いに夢中になって、気がついたら後ろで仲間が死んでいた……なんてことになったら後悔しても遅い、と。
オレの優先順位は?
自分の命は当然だ。
だけど、仲間たちの命だって同じくらい大事だし。
「当ててみなよ。ハンデ、あげるからさ。オレは攻撃しないであげるから、しっかり狙いなよ」
『クソがァッ! 舐めやがってッ!』
『最初にパイロットに選ばれたからってッ!』
『上等だ、まずはテメェからやってやるよレオンッ!』
『ヤロウ、ブッ殺してやらぁッ!』
コイツらの命は……どうでもいい、かな。
だけど、まだ死人は出てないから加減ぐらいしてやろう。余裕が無くなったら別だけど、そのときは悪く思わないでよ?
『……レオン。返事、できるか?』
「ん、余裕。なにか、そっちでもトラブル」
『ザクが一体、トラックごと足りない。ついでにリーダーも……マステマのヤツも消えた。スコットとホリディが叩き起こしに行ったけど、荷物ごと……ってな』
「バカ4人は囮……って、コト。主犯はあっち、コイツらは置いていかれたワケね」
『行き先を聞いたところでマックスたちが知ってるとも思えないし、そもそも聞いたところでって感じだからな。いま、みんなを避難させる準備してっから』
「わかった。それまでは大人しくしてる」
『……悪ィ。イヤな役目、押し付けるみたいになって』
「気にしなくていいよ。弱いのに引き金を引いたアイツらの自業自得だから」
本気で命乞いをするなら、武器は手放さなければならない。
反撃の可能性がある相手を許すのは難しい。
ヒトは、戦える手段があると逃げることに集中できない。
武器を出にするなら、自分がどんなつもりでも、相手側の都合だけで殺されることも覚悟しなければならない。
なぁ……オマエたちは、さぁ。
どんなつもりでゴーレムに乗ったのかな?
「ねぇ。いい加減、一発くらい当てなよ。4人いるんだよ? トレーニング、サボってたのは実力があるからなんでしょ?」
『レ……オン……ッ! て、めぇ……ナマイキ……言ってんじゃ……ハァ、ハァ……クソッ、なんで……ッ?!』
この声はテッドかな。
4人の中では体力自慢だったっけ。
ザニーのキャノン砲は装甲車を一撃で吹き飛ばせる高火力。
つまりそれだけパイロットの魔力を食う。
こんだけ弾薬バラ撒いてりゃ、息切れもするだろうさ。
『レオンッ! 避難準備、オッケーだッ!』
「了解。でもコッチも終わりそうだよ。肺活量、足りてなかったみたいだね」
『なんだって? 肺活量って……あ、そういうコト。うーん、夜で、倉庫だから、みんな無事だったし……』
「命までは、ね。それでいいと思う。ペナルティは大きなヤツが必要だろうけど」
『マステマに裏切られたってことでキレ散らかしそうだけどな。とにかく適当にあしらって────終わりにするのはムリそうかも』
「レーダーに反応? バイオセンサーのアラーム……ありゃま。このタイミングで“蟲”がわいてきちゃったか」
昼間、ユリアンが言っていた「ゴーレムは生きている」ってのはあながち間違いってワケでもない。
何度も繰り返された戦争。
そのたびに増えるゴーレムの残骸。
なかには混ざり物も沢山あったはず。
とにかくそういうのがイロイロと……変化が起きたんだろう。
企業連や国際なんちゃら機関とかは【インセクト】だの【パラサイト】だの気取った呼び方してるけど、まぁ、蟲で伝わるからソッチのが簡単だ。
「どーすんの?」
『自己責任ってコトで。けっこうな数が集まってきてるし、助けてる余裕なんてねーよ』
「ゴードンのそういうサッパリしてるとこ、頼りになるね」
『自分にできること、できないことを知ってるだけ。タワーとは逆方向の、無人の廃墟あっただろ?』
「オッケー。適当なタイミングでオレも逃げる」
『おぅ! またあとでな!』
「さて……と。少し、予定は変わったけど結果は同じかな? テッド、聞こえる?」
『なんだァ……テメェ、余裕のつもり』
「蟲が集まってきてるんだけど。もしかしてバイオセンサー、アクティブにしてないの?」
『は……? インセクトが、いま……オイッ! レオンッ! は、早く追い払って』
「いやー、オレもう疲れちゃってさー。ほかの皆も逃げる準備は終わってるからさ、先に行ってるね?」
『な──ふざ、ふざけ……ッ! テメェッ! レオォォォォンッ! ふざけんな、俺たちを見捨てんのかよッ! 裏切り者がよォォォォッ!!』
「ハハッ。その冗談、面白いね。テッドにはエンタメの才能あるよ。向こうの集落で待ってるから、頑張ってたどり着いてね」
「レオォォ────」
ポチッとな。
通信切断。
どうせ下らない悪口が延々と飛び出してくるだけだろうし、マステマのことを教えてやる必要もないし、問題ないだろう。
このままゴードンたちと合流を、の前に。
さぁ、遠慮はいらないよ。
最後の弾丸、撃ってきな。
敵意か、悪意か、その両方か。ギリギリまで生き残るために足掻くよりも、感情任せに魔力と資源の無駄遣いを選んだらしい。
その判断には……そうだね。感謝してもいいよ。
下手くその流れ弾はどこに飛んでいくかわからないんだ、避難中のトラックにまぐれ当たりなんてしたら笑い話にもならない。
タイミング。
いま。
「カメラ部分の色がくすんで消えかかってる。4人とも魔力欠乏で終わったかな? 吐き気を我慢して走って逃げれば────いや、蟲が怖くてゴーレムから降りるのはムリか。可哀想にね」
さて、無事に無駄弾も避けられたことだし……カモフラージュ用に適当な方向に足跡だけ残しておこう。
これだけ派手に騒げばタワーの警備部隊も調査にやってくるだろう。ザニーの残骸からオレたちが純正ゴーレムを持っていることにだってすぐに気づく。
もう、ここにはいられない。
新しい居場所を探す旅が始まる、ってワケだ。
マイスターは……まぁ、大丈夫だろ。
一緒に出かけたヤツらは少し大変かもしれないけど、あのヒトもけっこうなお人好しだからね。
心配しなくても見捨てたりはしない、と信じるしかない。
『いよぅレオンちゃ〜んッ! お疲れお疲れぃ! スコット様がわざわざ出迎えに来てやったぞ、感謝しながら荷台に乗り込みなぁ!』
「ん、ありがと」
『どうした、や〜けに素直じゃねぇ〜の。もしかして、どっか直撃でもくらっちまったんかぁ? アクセル全開で皆のトコ急ぐか?』
「まぁ……ちょっと、疲れたかな。アイツらのこと、好きじゃないしキライだったけど、あそこまでバカだとは思ってなかったからさ」
『あー、そりゃあ……なんだ、ホレ。疲れてる本人に言うこっちゃないのかもしんねぇ〜んだけどよ? レオンちゃんに対するコンプレックスっつーか。金に目が眩んだってのもあるかもしんね〜けど……多分、よ?』
「でもトレーニングには参加しなかったんだね」
『頑張りたくはない、でもチヤホヤされてぇ。自分たちはこんなに真面目に悩んでるのに、なんでレオンちゃんばっかりズルいぞぉ! ってな感じだったんじゃね〜の』
「ゼロから100まで迷惑な逆恨みでウケる」
『そうそう、そういや〜よ? マステマ、見つけたぞ。それとトラックも。ザクはキレイさ〜っぱり見当たらなくて、代わりに額のトコに丸っこい焦げ穴が残ってる我らがリーダーが転がってたよ』
「……本当に、バカしかいないね。っていうか、ザク、盗まれちゃったか。マイスター、怒るかな?」
『さぁ〜てね。ま、正直にゴメンナサイするっきゃないっしょ。それで弁償しろ! って言われたら、そんときはそんときだ。管理させてくれって言い出したの、俺らだしよ? でも』
「でも?」
『マイスターはたぶん、怒らね〜んでねぇの? 優しい人だし、善い人なんだろうけど……俺らに対して責任とか、そういうの感じてないぜマイスターは。助けてはやるけど、あとは勝手にしとけ〜ってさ。だから、まぁ、大丈夫だろ』
「……かもね」
同情なんかじゃない。
マイスターのオレたちを見る目は、もっとわかりやすい好奇心とかそういうヤツだった。
それが逆に信用できる。
ゴーレムを手にしたオレたちがどんな生き方をするのか知りたいだけだから、なにかを押し付けてくるようなこともしない。
夜明けが近い。
ゴーレムを手にしてから少しだけ生活が楽になった、それだけの変化だと思ってたけど……まさか、否応なしに新天地を求めて旅に出るハメになるとはね。
「ねぇ、スコット。マイスターについてった子たちとの連絡、どうしよう?」
『生きてりゃ再会のチャンスはあ〜るだろ。ま、俺ゃマイスターがなんかヘンテコなモン錬成するなり召喚するなりしてパパッと解決しても驚きゃしね〜けんど?』
「……あはっ。それ、確かにありそう」
〚Mission CLEAR〛
☆作者主観Gジェネ的モビルスーツ評価☆
【ザニー】
古参プレイヤーにとってはある意味フェニックス系より看板モビルスーツ。初期生産リストのメンツだけあって機体の性能はお世辞にも強いとは言えないが、キャノン砲は実用レベル。ザクはもちろんグフやドムにもそれなりのダメージが入るし、ムサイやギャロップ相手なら射程外から攻撃もできる。
一応万能型ではあるものの地形適性が低過ぎて展開力は皆無。しかし長射程の支援機は母艦の近くで待機して、エネルギーが切れたら帰艦する運用になるのでそこまで問題にはならない。
ジムとザクのお父さん。ここから開発の長い旅が始まる。ザニーの発展性は実際とんでもなく、特に初代は開発ルートが作品を越えてとんでもなく広がっている。いちいちザニーから開発することは無いかもしれないが、Gジェネの魅力はこの機体の開発ロードマップに詰まっているといっても過言ではない。