ヤタガラス探偵事務所・帝都支部 ――デビルサマナーは大正の夜にバグを穿つ――』   作:ガチャガチャクツワムシ

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漂流する遺物、自律の胎動

 セイリュウの背に乗り、大正の空を切り裂いて到着した廃村。

 神代駆は、地に降り立つなりCOMPを叩き、四神以外の仲魔を数体呼び出した。

「……お前ら、村の外周を固めろ。ネズミ一匹通すな。それから、俺の許可なく誰も中に入れるなよ」

 影のように散っていく悪魔たち。駆は振り返り、同行した煉獄、実弥、義勇、天元の四柱へ告げる。

「悪いが、柱の皆さんはここで待機だ。少し離れた位置で様子を見ていてくれ。……何かあったら合図する。その時は、迷わず駆けつけてくれ」

 駆の瞳にあるのは、かつての任務の延長線上にあるプロの警戒心だ。柱たちはその徹底した警戒心に同意し、互いに頷き合って外周の監視へと回った。

 一人、静寂の廃村へと足を踏み入れる駆。その背後には、セイリュウ、ビャッコ、スザク、ゲンブの四体が静かに周囲を警戒しながら従っている。

 数十年は放置されているであろう家屋は、屋根が崩れ落ち、壁は腐り、辛うじて立っている木材もシロアリと苔に蝕まれている。村を貫く道は完全に草むらに没し、風が吹くたびに、乾いた木の葉がこすれ合う音だけが、虚しく響く。

 村の深部、崩れかけた家屋の影。そこに、泥にまみれた一体の人形が転がっていた。駆はその造形を目にした瞬間、忌々しい記憶が蘇る。

「……やっぱり、これか。あの時、俺と一緒に次元回廊に吸い込まれやがったんだな」

 それは、元の世界で対峙したダークサマナー『人形師(パペッティア)』が操っていた人形そのものだ。主である人形師はあちら側に残り、この「作品」だけが、駆と同じ漂流者としてこの世界へ吐き出されたのだ。

 駆がその個体を解析すべく一歩踏み込んだ、その時。

 ガチリ、と硬質な音が静寂を切り裂いた。

 背後に操り手の気配はなく、外部から供給されるMAGの糸も繋がっていない。にもかかわらず、機能停止していたはずの人形が、その瞳に赤黒い魔力を宿し、ゆっくりと立ち上がる。

「……野郎、人形の中にまだあいつのMAGが残ってやがったか。主不在で暴走たぁ、野良の悪魔以上に性質が悪いな」

 同時に、人形周辺の空間にノイズが響き始める。人形の起動に呼応するように、人形の周囲から人形を守るように影が蠢きだしたのだ。仲魔たちが、それらを迎え撃つべく戦闘態勢に入る。

 駆はガンプのホルスターに手をかけ、不敵に口角を上げた。

「あの時に倒し損ねた奴らもいたのか。四神の初陣の相手にしちゃあ、ちょうどいい動く標的だ。……野郎ども、バラバラに解体してやれ!」

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