ヤタガラス探偵事務所・帝都支部 ――デビルサマナーは大正の夜にバグを穿つ――』   作:ガチャガチャクツワムシ

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断罪の焔と、嫉妬の最期

「……さて、仕上げだ。しのぶちゃん、カナヲ、伊之助!」

 駆がガンプのトリガーを引き、スルトの持つ終焉の魔剣「レーヴァテイン」の輝きを、三人の日輪刀へとバイパスした。

 その瞬間、しのぶは自らのシステムに残された全てのMAG(マグネタイト)を、一点の躊躇もなく刀身へと注ぎ込んだ。

 召喚師として、そして鬼殺隊の柱として。彼女の全霊が、駆の提供した終焉の焔と混ざり合い、日輪刀を紫電と火炎が渦巻く「裁きの光」へと変貌させる。

 「……あ、あはは……熱いなぁ。ボクの体が、溶けてなくなっちゃうよ」

 能力を封じられ、剥き出しの「空虚」となった童磨が、初めてその虹色の瞳に焦燥を浮かべる。それに対し、しのぶは慈悲のない、しかし晴れやかな微笑みを向けた。

 「これで終わりです。あなたの偽りの救済も、ここで蒸発して消えなさい」

 しのぶの合図と共に、三人が同時に地を蹴った。

  「蟲の呼吸・蝶ノ舞『真・戯れ』!」

「花の呼吸・終ノ型『彼岸朱眼』!」

「獣の呼吸・拾ノ牙『円転旋牙』!」

  伊之助の両刀が童磨の両腕を切り飛ばし、カナヲの鋭い一閃が防御を切り裂く。そしてその隙間を縫うように、全MAGを込めたしのぶの刃が童磨の頚へと深く突き刺さった。

  レーヴァテインの理と、しのぶの全MAG。それらが童磨の体内で臨界点に達し、内側から「存在そのもの」を否定する大爆発を起こす。再生の理すら焼き尽くすその熱量は、童磨の肉体を分子レベルで分解していった。

 「……熱い。……ああ、これが『感情』というものなのかな……」

 崩れゆく童磨の脳裏に、かつてない激痛と、それゆえの充足が走る。

 だが、その感慨に浸る時間すら、極限まで高められた焔は許さなかった。

 首から崩れ落ち、塵となって消えていく童磨。その消滅を完全に見届け、MAGを使い果たしたしのぶは、静かに刀を納めて天を仰いだ。

 「……姉さん。終わりましたよ」

  産屋敷邸で悪魔を指揮しているはずのカナエへ、その想いが届いたかのように、無限城の重苦しい空気が一瞬だけ華やいだ。

「ブラボー! ブラボー!!」

 支配者の間。人形師は、上弦の弐という巨大な欠片が、人間の意志と異界の焔によって「跡形もなく消滅」した光景に、狂わんばかりの喝采を送った。

「完璧だ、神代駆! 絶望という名の氷を、君という太陽が全て溶かしてしまった! さあ、三つの舞台が同時に幕を閉じた。残るはたった一柱──鬼の始祖、鬼舞辻無惨のみだ!」

  人形師の手元にある全てのモニターが、中央の「最深部」を映し出す。

 そこには、三つの戦場を蹂躙し、合流を果たした駆、ライドウ、人修羅、そして満身創痍ながらも輝きを失わない柱たちの姿があった。

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