「わー!!それは食べちゃダメ!クソゲーの中でも神ゲーの部類に入っている貴重な物だから!」
「ぺっしなさい、ぺっ!」
「ぺっ!」
「ぺっ!ってしたカセットが壁に埋まった!!」
アリスは部屋に入り座った後、近くにあった物を手当たり次第に口に入れていた
ゲームのリモコンや雑誌、ゲームの円盤などお構いなしに食べようとしており、モモイ達が止めようとしている
まるで赤ん坊の用だ、産まれたての……
「……で、結局どうするつもりなんだ?」
「? どうするって?」
「アリスはミレニアムの生徒ですらない、このままアリスを部員にしたって、学生証がなければユウカに疑われて一瞬でバレるぞ」
「まぁ、学生証については、私の方で何とかするよ!」
「すごい自信だな……」
「ミドリとレイヴン先輩と先生は、アリスに話し方を教えてあげて!」
「は、話し方?」
「今のままだとレイヴン先輩が言った通り、疑われちゃうかもしれないから……もし、何かの拍子にユウカに『本当にゲーム開発部なのか』って聞かれたとして……」
『肯定、あなたの質問に対し、アリスの回答を提示、私はゲーム開発部の部員』
「……なんて言っちゃった暁には、全部台無しになりかねない」
「それはそうだけど………はぁ、仕方ない、やれるだけやってみるよ」
「よし、じゃあ任せた!」
「ちょっと!?」
「私も手伝うよ」(キリッ)
「信用していいのかダメなのか………いや、今はとりあえず口調を整えるために何か資料を…」
そうして、ミドリはパソコンを開き、教育用のプログラムを調べている
俺とチャティはこのカセットやペットボトルだらけの部屋を掃除をする
このままだと居ずらいだろうしさ
「……? 正体不明のものを発見、確認を行います」
「ん? あっ、そ、それは……っ!?」
「……雑誌?」
「……はい、ちょっと恥ずかしいんですけど、実はその中に、私たちが作ったゲームが載ってるんです……まぁ、すごい酷評されちゃったんだけどね」
「……作っただけ凄いんじゃないかしら?」
「あはは……そう言って頂けると………いや、クソゲーランキング1位にはなっちゃったけど、アリスちゃんがどう思うかは分からないし……」
「……ミドリ?」
「アリスちゃん、私たちのゲーム……やってみない? 会話をしながら進められるから、ゲームをやってみるのも勉強になるかも」
「……? ここまでの言動の意図、完璧に把握しかねます……しかし………肯定、アリスはゲームをします」
「ほ、本当に!? ちょ、ちょっと待ってて、すぐにセッティングするから!」
ミドリは急いでゲームをセッティング、アリスはレイヴンの前に座り準備万端
よし、準備完了!」
「………アリス、ゲームを開始します」
「タイトルから分かるかもしれないけど、このゲームは童話テイストで、色彩豊かな王道ファンタジーRPGなの」
《コスモス世紀2354年、人類は劫火の炎に包まれた……》
「……?」
「えっと、王道とは言っても、色々な要素を混ぜてたりするんだけどね。トレンドそのままでもダメだけど、王道に拘り過ぎても古くなるからってことで」
「…………ボタンを押します」
《これよりチュートリアルを開始します》
《まずはBボタンを押して、目の前の武器を装着してみてください》
「Bボタン……」ポチッ
ドカアアアアン!!
「?????」
<GAME OVER>
「!?!?」
「え……終わり?」
「あはははははっ! 予想できる展開ほどつまらないものはないよね! 本当はここで指示通りじゃなくて、Aボタンを押さなきゃいけないの!」
「お姉ちゃん……? 学生証を作りに行くって言ってなかった?」
「行ってきたんだけど、遅い時間だったからか誰もいなかったの。また明日行くことにするよ……それはさておき、あらためて見てもこの部分はちょっと酷いと思う」
「酷いというか、意味が分からなかったんだけど」
フロムでもここまで酷いことはしないぞ
「…………も、もう一度始めます……再開……テキストでは説明不可能な感情が発生しています」
「あっ、私それ分かるかも! きっと興味とか期待とか、そういう感情だと思う!」
「ポジティブな思考……手伝おうか?」
「い、いえ、これは…アリスがやると決めたことなので」
「分かったよ」
――ゲームを開始してから2時間が経過
「……電気処理系統、及び意思表示システムに致命的なエラーが発生……」
「頑張ってアリス、ここさえ乗り越えれば待望のクライマックスだよ!」
ゲーム開発部が作り出したゲーム、テイルズ・サガ・クロニクルははっきり言ってクソゲーを超えたバカクソゲーだった。
「……質問。どうして母親がヒロインで、それでいて実は前世の妻で、さらにどうしてその妻の元に、子供のころに別れたきりの腹違いの友人がタイムリープしてきているのか……………………エラー発生、エラー発生!」(泣)
「前世の妻が今の母親でヒロインで、その母親に子供…あれ違う、前世の妻の子供……タイムリープ…で………」
『アリス、思考が混乱している』
「が、頑張ってアリス!クライマックスまでもう少しだから!」
さらに数分後、ついにアリスはゲームをクリアした
「すごいよアリス! 開発者二人が一緒とはいえ、三時間でトゥルーエンドなんて!」
「そ、それもそうだけど……もしかして、本当にゲームをやればやるほど、アリスちゃんの喋り方のパターンがどんどん増えてる……!?」
「……勇者よ、汝が同意を求めるならば、私はそれを肯定しよう」
「ほら、やっぱり!」
……機械的は無くなったとは言え、なんか悪化している気がする
「うーん……確かにそう、かも?」
「ゲームからそのまま覚えたせいで、ちょっとまだ不自然だけど……言葉を羅列してただけの時よりは、かなり良くなったと思う! レイヴン先輩もそう思うでしょ?」
「…………まあ……」
なんも言えんな……
「と、ところでその………こういうのを面と向かって聞くのは、緊張するんだけど……」
「……?」
「「わ、私たちのゲーム、面白かった!?」」
「……………説明不可」
「え、えぇっ!? なんで!?」
「……類似表現を検索……ロード中」
「も、もしかして、悪口を探してる……? そんな事無いよね……?」
「……面白さ、……それは、明確に存在……」
「おおっ!」
「プレイを進めれば進めるほど……、まるで、別の世界を旅しているような…………夢を見ているような、そんな気分…………もう一度……もう一度…………」
アリスはコントローラーを放さずじっと見つめる、すると
「……」ポロッ
アリスの目から涙がこぼれ落ちた
「えぇっ!?」
「あ、アリスちゃん!? どうして泣いてるの!?」
「決まってるじゃん! それぐらい、私たちのゲームが感動的だったってことでしょ!」
「い、いくらなんでもそれは……」
「ありがとうアリス! その辺の評論家の言葉なんかより、その涙のほうが100倍うれしいよ!」
ガチャ……
モモイそう言ったあと、ロッカーが開きそこからユズが出てくる
「ユズ……?」
「……ちゃ、ちゃんと、全部見てた」
「ユズ!」
「ユズ?」
「えっと、あの、その……あ、あ、あ……」
「あ……?」
「……ありがとう、ゲームを、面白いって言ってくれて……もう一度やりたいって言ってくれて……」
「……泣いてくれて…………本当に、ありがとう」
「?????」
「面白いとか、もう一度とか……そういう言葉が、ずっと聞きたかったの」
ユズはアリスの手を握りながらそういい、アリスはキョトンとしながらそれを見ていた
その様子を、俺、チャティ、先生は暖かく見守っていた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あらためまして、……ゲーム開発部の部長、花岡ユズです、この部に来てくれてありがとう、アリスちゃん……これからよろしくね」
「よろ、しく……? ……理解、……ユズが仲間になりました、パンパカパーン!……で合ってますか?」
「あ、うん、大体そんな感じ、かな」
「ふふっ、その様子だと、本当に私たちのゲームを楽しんでくれたんだね」
「RPGを面白いって思ってくれたなら、私がおすすめのゲームを教えてあげる」
「ちょっと待ったぁ! アリスにおすすめするのは私が先!良質なゲームをやればやるほど話し方も自然になって、私たちの計画の成功率も上がるんだし!」
『……ゲームの種類は多い、俺も手伝おう』
「チャティ、ほんとですか?」
『あぁ、それに、色々と面白いことも教えよう』
「チャティの……面白いこと」
『あぁ、アリスなら気にってくれるはずだ』
「……わかりました、アリス、ゲームを再開すると同時に、チャティから色々と教わります」
それからしばらくチャティは、ゲームをやるアリスに付ききっきりで部室に残り、アリスと一緒にゲームをしていた
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ……
「うわっ、アリス、読むスピード早くない……? 会話が出力されるとほぼ同時に読み終わってるみたいな……」
「アリスちゃん、次は伝説のオークバトルやろう! ターン制バトルの面白さを教えてあげる!」
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ……
二時間後
「……」Zzz
日も暮れ、時間帯は深夜となっている
モモイとミドリ、ユズ寝落ちして
レイヴンは作業場へと戻り(戻った直後、ノアに『眠らせ君』を撃ち込まれ、寮へ連行された)
それでも、チャティとアリスは起き、会話を交わしている
『俺には、ボスがいた、いつも笑って、楽しい事をする人だ』
「なるほど、と言うことはチャティはその部下っと言うことですか?」
『……それに近い感じてはあるな』
「その人に会うことはできますか?」
『…………ボスはいつも作業で忙しい、会うことは難しいだろう』
「そうですか、残念です……」
さらに数時間後
「レイヴンさんとは一体どういう人ですか?」
『……ビジターは『笑えるヤツ』だ』
「どのように……ですか?」
『残念ながら、俺にはそう言った感情は分からない』
『だが、ボスはビジターとつるんでいると楽しそうに見える』
「いつか、分かるといいですね」
『……そうだな』
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その後も、アリスとチャティはゲームをやり続け、気づいたら日が昇っていた
「ん〜むにゃむにゃ……はっ!」
「えっもう朝!?」
「……ようやく気が付いたか……無事に目を覚ましたようで何よりだ、君は運がいいな」
「え……アリスちゃん?」
寝起き早々、昨晩のアリスとは比べものにならないレベルの変化を目の当たりにしたミドリは、戸惑ったような声を出した
ちなみに、俺も戸惑っている
なんだその台詞……
「……えっと、アリスちゃん、調子はどう? 色々と覚えられた?」
「君の言葉を肯定しよう、必滅者よ」
「な、何か偏った台詞ばっかり覚えてない!?」
「ふぁ……みんな、おはよう……」
「おっはよー!」
続いてユズが起床し、そしていつの間にか起きていてどこかに行っていたらしいモモイが、妙なハイテンションで部室に入ってきた
「おっ、またさらに口調が洗練されてるね」
「洗練っていうか、レトロゲームの会話調そのものだけどね……」
「それより、はい!アリス!」
モモイはアリスに何かを渡した
よく見ると、それはミレニアムの学生証である
「学生証……?」
「この学生証は、私たちの学校の生徒だっていう証明書。生徒名簿にもヴェリタスがハッキ……いや、登録してくれたから、もうアリスも正式に私たちの仲間だよ」
「……今、ハッキングって言いかけた?」
「気のせい気のせい」
「仲間……なるほど、理解しました……パンパカパーン、アリスが仲間として合流しました!」
「話し方はもう大丈夫そうだね! ……あとは、武器かな」
「武器?」
「よし、アリス、せっかくだから案内するよ」
「案内……?」
「そう! 私たちの学校、ミレニアムを!」
そうしてモモイ達は、部室から出てアリスにミレニアム内を案内する
「チャティ、ありがとうな」
『問題ない、アリスとは仲良くなれそうだ』
「そりゃ良かった、お前にも、『友人』ができたといえば、カーラは大喜びするだろうな……」
『……そうだな、ウォルターがビジターに『友人』が居ることをボスに伝える時も、嬉しそうだったぞ』
「……そうか」
それは俺ではない、621の方だ、だが、ウォルターが嬉しそうで良かったよ
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モモイ達一行は、エンジニア部に訪れていた
「相変わらず、広いね〜」
AC開発部も同じぐらいあるが、ACが無いからだろうか、より広く感じる
「おや、君達はゲーム開発部の二人……それに、レイヴンにチャティ、先生もいるじゃないか」
「ウタハ、相談なんだが……」
レイヴン、説明中……
「………なるほど、大体把握出来たよ、新しい仲間により良い武器をプレゼントしたい、と」
「そうなんです」
「そういうことであればエンジニア部に来たのは素晴らしい選択だね、ミレニアムにおける勝敗というのは優れた技術者の有無に大きく左右されてしまうものだ・……そっちの方に私達がこれまで作って来た試作品が色々と置いてある、そこにあるものであればどれを持って行っても構わないよ」
「ありがとうございます」
「やった!ありがとう先輩!」
「どういたしまして、可愛い後輩の頼みだからね」
そうして、アリスは武器を選んでいく
「アリス、何かいいものあったか?」
「はい!アリスはこれが気になります!」
アリスが指をさしたのは、人の背丈よりも大きいなにかだった……
「でっか」
「エンジニア部は今、ヘリコプターや汎用作業ロボットに続いて宇宙戦艦の開発を目標としているのです!このレールガンはその最初の一歩で、大気圏外での戦闘を目的として開発された実弾兵器!これはミレニアム史上明らかに類を見ない試みです!」
「まぁ、レイヴンのACと比べたら雀の涙だがな……」
「……」
「かっこいい・・・・・聞いただけでワクワクしてくる!」
「流石ミレニアムのエンジニア部!今回は上手く行ってるんだね!?」
「ふっふっふっ、勿論です!…………と言いたい所なんですが、今は中断してまして」
「えええっ!?なんで!期待したのに!」
「いつもの事ながら技術者達の足を引っ張るのは何時の世も想像力や情熱の欠如では無く予算なんです……このレールガンを作るだけで下半期の予算の70%も掛かったのに宇宙戦艦そのものを作るには果たしてこの何千倍の予算が掛かる事やら……」
「そんなの計画段階で分かる事じゃん!どうしてこのレールガンの完成まで持って行っちゃったのさ!?」
「愚問だねモモイ……ビーム砲はロマンだからだよ」
「その通りです!ビーム砲の魅力が分からないなんて、全くこれだからモモイは」
「バカだ!頭良いのにバカの集団がいる!」
モモイの言葉はエンジニア部には届かないだろうな……
「そしてエンジニア部の情熱が注ぎ込まれたこの武器の正式名称は……光の剣:スーパーノヴァ!!」
「おー」
「ひ、光の剣!?」
「あ、アリスの目が輝いてる!?」
「わぁ、うわぁ〜〜!」
「アリスちゃんがこんなに興奮してるの初めて見たかも」
「………これ、欲しいです」
「……え?」
「偉大なる鋼鉄の職人よ、あの龍の息吹が欲しいのだ」
「うーん、そう言ってくれるのは嬉しいのだけど……」
「申し訳無いのですがそれはちょっと出来ないご相談です!」
「何で!?この部屋にある物なら何でも持って行って良いって言ったじゃん!」
「やっぱり丹精込めて作った物だから人に渡すのはいや?」
「いやぁそうでは無くて……」
「いや、お金の問題では無くてもっと単純な理由さ」
「お金より単純……?」
「この武器は個人の火器として使うのは大きすぎて重過ぎるのさ」
「なんと基本重量だけでも140kg以上!さらに光学照準器とバッテリーを足した上で砲撃を行うと瞬間的な反動は200kgを超えます!」
「………つまりめちゃくちゃ重いって事?」
「そうです!」
カラサワみたいない感じなのかね……
「1回、持ってみます」
アリスはスーパーノヴァに近づき
ヒョイ
軽々と持ち上げてしまった
「「「「「えっ?」」」」」
ここにいる全員、びっくりして固まってしまった
『さすがだな、アリス』
チャティは普通にアリスを褒めている
「ま、まさか、持てるとはね……」
「まぁいいさ、アリス、1回点検するからこっちに……」
「えっと、ボタンは……」
「まて、アリス……」
「光よ!!」
ポチ……
アリスはトリガーを押すと、スーパーノヴァが起動し、チャージされていく
「えっ、えっ!?」
「と、止められません!?」
「ウタハ先輩!どうしましょうこれぇぇ!!」ブンブン
「アリスストップ!振り回しちゃダメ!」
「せめて撃たせればなんとかなるはず……」
「……」
「アリス」
「?」
「俺に向けて撃て」
「えっ!?!?」
『レイヴン!?』
「まてレイヴン!スーパーノヴァの威力は桁違いだ!危険すぎる!!」
「そうだよレイヴン君!危ないよ!!」
先生とウタハが必死に止めに入るが、なら他に方法があるのか?
「信じろ、アリス」
「1度生まれたものは……
そう簡単には死なない」
バチバチバチバチ……
コーラルを散布させ、コーラルシールドを生成する
放出しているコーラルの量が多く、シールドの耐久は高い
問題は無い
「……ッ!」
「わかりました!」
「アリスちゃん!!」
『まて、先生』
「チャティ!でも!」
『ビジターがそう言っている、大丈夫だ』
「……」
スーパーノヴァにチャージが完了し
アリスは構え……
「行きます!」
「光よ!!!!!!」
ドゴオオオオオッ!!!
ドカアアアアン!!
ビームはコーラルシールドにぶつかり、煙が舞い上がる
沈黙が流れるが……
「ほらな」
煙からレイヴンが出てくる
「言っただろ?」
「「「「「レイヴン!!」」」」」
「レイヴン、怪我はないか!?」
「あぁ、全くない」
「そっか、良かった……」
『……レイヴン、無茶しすぎです、ヒヤヒヤしましたよ……』
「ハハ、すまんな」
「レ、レイヴンさん……」
心配な眼差しでアリスが近寄ってくる
「気に入ったか?」
「……はい!」
こうして、アリスの武器選びは幕を下ろす
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「疲れた〜〜!!いきなり試験だなんて聞いてないよ〜〜」
「アリスちゃんのおかげで助かった、ありがとう!」
「いえ!二人のサポートがあってこそです!」
エンジニア部から試練のようなものを出され、それをなんとかクリアし無事アリスの武器を調達し帰ってきたゲーム開発部一行、部室へと戻ってきた彼女たちは……
「さてっ、もう廃部の危機は免れたんだし、安心してゲーム三昧できるね!」
「いやダメでしょ」ドンッ
「そうだよ! ちょっと、気を緩めるには早くない!?」
「それにユウカちゃんに何かいうんじゃなかったの?」
「もちろん言ったよ! 今日の午後にアリスの資格審査に来るってさ」
「資格検査?」
「いやいやいや、初めて聞いたんだけど!? 資格検査って何!?」
「うーん、私もよく分かんないけど、大丈夫でしょ! アリスの準備についてはもう完璧なんだし」
「………ほんとに大丈夫かな」
「アリス、自己紹介を!」
「私の名前はアリス・ザ・ブルーアイ、ドワーフ族の槍騎士。使用武器はガンランス『火竜の牙』、出身地は……」
「いや、ゲーム内アバターのプロフィールじゃなくて、アリス自身の!」
「俺は日本へ、こいつは鈴木1等水兵……」
『チャティ・スティックだ』
「レイヴン先輩もチャティもふざけないの!!」
「すまん!悪かった!」
『すまない』
「あ、間違えました……私の名前はアリス、ミレニアムサイエンススクールの1年生、最近転校してきたばかりで受講申請のタイミングを逃してしまったため、まだ授業の登録ができていない状態なのですが、来月から正式に授業へ参加する予定です」
「おおそれっぽいね」
「た、たしかに大丈夫そうだけど……」
「完璧じゃん! これならいけるって!」
「ううっ、本当に大丈夫かな……」
「…噂をすればやってきたね」
扉が開けられ、ユウカが入ってくる
「……あり得ないわ、ゲーム開発部に新入部員が入ったなんて、あり得ない……」
「ふっふっふ、残念だけど、事実だよ!」
「ユウカちゃんおはよう」
「……?」
「あなたが噂のアリスちゃんね。ゲーム開発部に入った、4人目のメンバー」
「……」
「……ふーん、ミレニアムの生徒ならほぼ全員把握してると思ってたけど……」
「全員…流石はユウカちゃん」
「もちろん、先生が無駄使いした金額も」
「ヒエッ……」
ユウカは怪しそうにアリスの顔をじっとみる。
「……私がこんなに可愛い子のことを知らなかったなんて、ちょっと信じられないわね」
「ユウカちゃん、なんか基準がおかしくない……?」
「……(ビクッ)」
「……??? ……よ」
「よ?」
「妖怪が現れました!!」
「妖怪!?い…今この子、私のことを妖怪って言ったわよね!?」
「か、勘違いだよ! 妖精って言ったのを聞き間違えたんでしょ、もう、アリスは嘘がつけないんだからー」
「くっ……悪役には慣れてるとはいえ、まさか初対面の子に妖怪扱いされるだなんて……良い度胸してるじゃない」
「ユウカ落ち着け、誰でも間違うことはある」バッ!
「そう言いながら羽交締めしないでレイヴン!チャティもシールドを貼らないで!私が見境なしに暴力を振るう女に見えますか!?」
「ソンナコトナイゾ」
『ナイトオモウゾ』
「なんで片言なの!?」
「と、とにかく! 部の規定人数は満たしたよ! これでゲーム開発部は存続ってことでOKだよね?」
「存続……確かにそうね……この子が本当に、自分の意志でここに来た部員だったら!……の話だけど」
『ギクっ』
「本来は部員の加入を申告すれば、それだけでよかったのだけれど……脅して無理やり加入させていると言う可能性もある」
「人聞き悪いよ!私達はそんなことしてないもん!」
「そーだそーだ!」
「だまらっしゃい!……とりあえず、アリスちゃんには簡単な取り調べ……あら、思ってもない言葉が……じゃあ、いくつか簡単な質問をするわねそんなに時間はかからないわ」
「………せ、選択肢によっては、バッドエンドになることもありますか?」
「バッドエンド……まぁ、そういうこともあるかもね。それじゃあ……アリスちゃん……質問を、始めるわ」
「アリスちゃん、あなたがゲーム開発部に来たきっかけは何?」
「え、えーと……」チラッ
アリスはユウカの背後にいるチャティのカンペを読む。
「えっと、魔王城ドラキュラがやりたくって……それで、ゲーム開発部の存在を知って……」
「…なるほど」
(よし、このまま行けば大丈夫だな)
「でもここはレトロゲーム部じゃない、あくまでもゲーム開発部。……つまり、あなたもゲーム作りに参加するということよね? 何を担当するの?」
「タンク兼光属性アタッカー……じゃなくて!プログラマラスです!」
「……プログラマーじゃ無くて?」
「え」
(おい、チャティ!?)
『……』キュキュキュッ
「あ、あれです!緊張で間違ってしまいました、えへへ…」
「……そう」
『(すまない、ビジター)』
(はぁ……)
「ふーん、プログラマーねぇ……すごく難しい役割だと聞くけれど」
「はい、そ、そうです。プログラマーは大変です、過労で意識を失ったりもします」(カンペ読み)
「な、なんですって!」
「それでも大丈夫です!」(カンペ読み)
「いや、大丈夫じゃないでしょ……ちゃんと休みなさいよ」
「宿屋で寝るか、聖堂にお金を払えば、仲間と一緒に復活できます!」(カンペ読み)
『(しまった……)』
「そ、そんなわけないでしょ!?」
「……あー」
「そんなわけないのですか? 常識のはずですが……もしかして、『英雄神話』や『聖槍伝説』をご存じないのですか? 神ゲーですよ?」
『(アリス、これだ)』
「ファイナル・ファンタジアというゲームもありまして〜」(カンペ読みじゃない)
『(俺のカンペを見ていない、まずいぞビジター……)』
完全にスイッチの入ったアリスは、熱気の入った言葉で言う
「アリスちゃん、ストップストップ」
「ダメです! まだ、ファイナル・ファンタジアについて語っていません! あの名作を語るには、もっと時間が必要なのです!」
「……いえ、もういいわ」
「そうですか……?」
「アリスちゃん、あなたのことについては概ね理解できたわ……」
「(もうダメだぁっ!?)」
「(どうしよう……!?)」
「ちょっと怪しいところはあるけれど、……ゲームが好きだってことは十分伝わったわ」
「ということは?」
「……そうね、認めましょう。ゲーム開発部の4人目のメンバー……」
「え……?」
「っていうことは……!」
「規定人数を満たしているので、ゲーム開発部を正式な部活として認定するわ……」
「やったぁ!」
「良かったぁっ!」
「そ、そしたら部費も貰えるし、このまま部室を使ってもいいんだよね!?」
「……そうね、今学期まではね」
「……え?」
「な、な、なんで!?」
「それと、部費なんて出る訳ないじゃない」
「……あの、今学期までって言うのはどういう」
「あら、知らなかったの?部活の存続は規定人数だけじゃなく、同時に部としての成果を証明しないといけないのよ、その期間は今月末まで! 結果を出せない部活は、たとえ4人いても400人いても、廃部になるのよ」
「嘘だ、あり得ない!」
「あり得るの!この間、全体の部長会議で説明した内容なんだから!」
「ってことは、ユズが聞いてるんじゃないのか?」
「……いいえ、ゲーム開発部部長のユズは参加してなかったわ」
「え!?…あっ」
「そうだよ…こういう場合ってお姉ちゃんが代わりに参加するって事にしてたんじゃないの!?」
「え、えっと…その日はちょうど……ゲームのイベントがあって…」
「お姉ちゃんの馬鹿!!」
ここまでの話をまとめるとユウカの話によると現在は部の存続の条件として成果の証明をしなければいけなくなったらしい
では何故それをゲーム開発部が知らなかったというとモモイがゲームのイベントを優先して部長会議をサボリ、その決定を聞いてなかったからだ
そういえば何故かゲーム開発部だけいなかったのはそう言う事だったのか……
全く……
「……正直なところ、アリスちゃんの正体も怪しいし、本当ならすぐに退去を要請しようかとも思っていたのだけれど……正体はさておき、ゲームが好きだっていうのは分かったわ、猶予を与えたのは、その気持ちが本物だと思ったからよ……」
「まぁ、新しいメンバーも増えたことだし、前よりもちゃんと面白いゲームが作れるんでしょうね?」
「つ、作れる……はず…です」
「それじゃあ、楽しみにしてるわよ」
そう言って、ユウカは部屋から出ていった
「結果的にまだゲーム開発部は存続の危機・・・・って事だよね」
「ごめん、私が部長会議に参加出来なかったせいで………」
「ユズちゃんは悪くないよ!色々訳ありなんだし……そもそもお姉ちゃん一人に任せっきりだった私も私だし…」
「本当に…ごめん」
「先生、レイヴン先輩、チャティさん……今まで手伝ってくれてありがとうございます」
「……」
「ここからは……私達が責任を持ってやります…私たちがやらかした事なので!だから、その……先生はこれで…」
「まだ早いよ」
先生はゲームのカセットを持ち、それを見ながら話す
「私はここゲーム開発部を助けるために来たの、なのに何も解決しないで帰るなんてダメよ」
「け、けど、これは私たちの責任で」
「確かにユウカちゃんの話を聞いて、正直自業自得では?と思ったけどね」
「うぐっ」
「けど、それでも……皆んなを見捨てるなんて事、出来ないから」
「…どうして……そこまでやってくれるんですか?」
「困ってる生徒は放って置けないのよ」
「……」
俺もゲームのカセットを持ち、モモイ達の方へ向く
「ゲーム開発部……」
「レイヴン先輩?」
「お前達の『夢』はなんだ?」
「それは、最高のゲームを作ること……」
「……」
「前に、ヒマリに言ったことだが……」
「夢の見すぎだとか…つまらない物だとか…くだらないだとか…」
「夢を否定されてきた…けど…たとえ不可能だと言われても…」
「道のりは長いかもしれないが、それでも俺はやる」
「夢は、叶えられるものだと」
「もしも、お前達の夢を馬鹿にする奴がいるなら、」
「腕をへし折って、二度と口を聞けなくしてやる」
「「「「……」」」」
「お前達の夢を叶えられるように、協力する、だからそんな事を言うな」
前の俺にはなかった事、夢に協力する事は……
『ビジターの言う通りだ』
『自分達でどうにかしようとも、難しい事が多い』
『人の手を借りる事も、必要な事だ』
「……本当に、協力してくれるの?」
「あぁ」
「……」
「ありがとう!!」
「私頑張る!諦めずにもっと争ってみる!みんなと一緒に!」
「私も!」
「アリスも賛成です!」
「わ、私も…頑張る!」
ゲーム開発部と先生、レイヴン、チャティは今一度頑張ることを決めた、そして
「ほんと、優しい人ね……」
「レイヴン君は、そう言う人ですからね、誰かの夢に寄り添う」
「ヒマリ先輩の時も、そうでしたね」
私には……寄り添ってくれるのかな……
ゲーム開発部の部室の扉から少し離れた所で、ユウカとノアはその様子を見ていた
ノアは、少しゲーム開発部に妬けていた
彼女の夢とは、それは彼女自身しか知らない
アリスと一緒にゲームをやっているチャティ
なんかいいよね
チャティとアリスは何かと気が合うかもしれない
このゴールデンウィーでこれを含め3つ書きましたので短期間で投稿します