「ついた!」
「フッ!!…んぬぬぬぬぬぬぬ〜〜だめだ、しまっちゃってる」
『モモイ、離れてろ』
ドカアアアン!!
「チャティ!?」
『時間が無い、急ぐぞ』
「う、うん」
チャティが拡散バズーカで扉を破壊し、モモイ達は中へ入って行く
こんな事して大丈夫かって思うモモイだが、セミナーを襲撃している時点で手遅れなので気にしないことにするモモイである
「あれでもないこれでもない……鏡どこ!?」
「鏡が入っているUSBは…」
「これじゃないよね」
「流石にそこまで大きいのでは………!」
中に入ったモモイ達が鏡を探していたその時
『……ッ!?』
『先生!こちらに接近する人物が…!!』
「えっ?」
『こちらも確認した、ミレニアムのデータベースを照らし合わせる……』
エアとチャティはお互いに接近してくる者をいち早く察知した
チャティは接近する人物を特定するためにミレニアムのデータベース確認する
『特定できました、チャティ……』
『あぁ』
『接近している人物は、C&C所属 コールサイン00 『美甘ネル』だ』
「嘘でしょ!?」
『早く隠れてください!!』
「隠れるってどこに!?」
『……俺の方に来い』
「……なんだこれ、ドアがぶっ壊されてやがる……ドアの縁に焦げた跡……爆薬を使ったのか?」
「このミレニアムで爆薬を使うなら、アカネしか思いつかねえが……」
そうして、ネルは部屋へと入っていく
「……荒らされてんな、間違いなくここに誰かがいた……が、姿が見えねぇな……てかなんだこのでっけえ武器」
「それになんだァ、このブリキみたいなロボット」
『……』
「……そこか」
そして一番隠れている可能性が高い場所を見つけ、愛用の銃であるダブルSMG、ツイン・ドラゴンを構えて叫ぶ。
「おい、そこに隠れてんだろ……出てこい!」
(ヒィッ!?)
(声抑えて!……うぅ怖い)
(あ、アリス知ってます……あれは、ヤンキーです)
(いや、ヤのつく裏の方の人かも)
(それだけは絶対にないよ!)
「……机の下なんかに隠れたりはしねぇか、本当にどこだ?」
モモイ達は、机の下でもなく棚の上でもない
チャティの後ろに隠れている
少々無理があるかもしれないが、それはLRBや拡散バズーカを積み上手いこと隠している
「ッチ、気配はすんのに場所がわからねえ」
(さ、流石にチャティの後ろに隠れているなんて誰もわかんないよね!勝った!パヴァーヌ編•完!)
(あっ、モモイ、そのセリフはフラグというのでは)
「まさかとは思うが……地面の中か?それとも、このロボットの後ろとかか?」
(ヤベ)
(お姉ちゃんもう喋らないで)
(今回ばっかりは仕方ないじゃーーん!!)
そうして、ネルはチャティの後ろを見ようとした時
「あ、あの!」
「あん?」
「ね、ネル先輩! 大変です!」
その音の主は、ゲーム開発部・部長のユズだった、救いの女神はすぐに現れた
「アンタは……?」
「せ、セミナー所属のユズキです!今、ユウカ先輩とアカネ先輩が、アスナ先輩とノア先輩と戦っていて!!」
「は?なんでアスナとセミナーの奴が味方とやり合って……」
「状況的に助けが必要かと思い……それで、ここにいらっしゃると聞いたので……」
ノアとアスナがユウカとアカネとやり合っているのは事実であるが
別にネルの手を借りる程でもない
だが、ユズはネルをここから離す為に、そう伝える
「仕方ねぇな。場所は何処だ?」
「あ、ありがとうございます! 場所は2Fの……Bブロックでだったはずです……」
「結構広いが……まぁ、アタシが気にする事じゃねぇな、アンタはどうするんだ?」
「わ、私は此処の整理をします。そ、その……戦闘は怖くて……経験もあまり無いですし……」
戦闘に参加しないと聞いたネルは『そうか』と呟き、ドアのない入り口まで歩いていき……そして、振り返った。
「アンタ、覚えておきな。戦闘で一番大事なのは、武器でも経験でもねぇ、度胸だ」
「度胸……」
「その点で、アンタに素質が無いとは思わねぇ、自分がどう思われているかくらい、アタシにも分かってる、アンタが結構ビビりな事も、まあ見てれば分かる、それなのに、初対面のアタシに声を掛けるのは、度胸がないとできない事だろうからな」
「は、はい! ありがとうございます!」
「じゃあな、またどっかで会おうぜ」
ネルは部屋か出ていく、ユズは気が抜けたように力が抜けて座り込む
『助かったぞ、ユズ』
「ナイスだよ!ユズ!!」
「いえ、私は……えへへ」
「よし!これで心置き無く鏡を探せるね!!」
そうして、モモイ達は無事鏡を見つけ、この出来事はモモイ達の勝利で幕を閉じた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「………なるほどな」
呟き、ネルは背中を柱に預ける
部長たるネルが不在の間に受けたセミナーからの依頼。その報告と情報共有。全てを聞き終えた彼女は微妙な表情を浮かべて。
「ゲーム開発部、知らねぇ部活だったが……そいつらにしてやられた、って事だな?……ついでにシャーレの先生にも」
「……申し訳ありません。この依頼を受託して、作戦を準備したのは私です、メイド部の名に、C&Cの戦果に傷をつけてしまいました。罰は何なりと」
「……んなこたぁどうでもいい」
ネルが失敗したアカネ達を責めるわけでもなく、咎めるわけでもなく、ただ『どうでもいい』と言って罰を与えなかった
「それに、あたしが此処に戻って来た時にリオから連絡が来た」
「会長から?」
「あぁ。任務は撤回。無かった事に、だとよ」
「ッ!?」
セミナー・ミレニアムのトップたる存在、調月リオ
その人が直々に任務の撤回を言い渡した、それを聞きアカネ達は驚愕した
「……それは、一体何故……?」
「アタシの知った事かよ……けど多分、リオもヒマリも確かめてみたかったんじゃねぇのか?」
「……ゲーム開発部の力量を、ですか?」
「惜しいな。アイツ等が確かめたかったのはアリスとかいう奴と……シャーレの先生」
「それと、レイヴン」
「レイヴンって、あのAC開発部の?」
「ですが、今回の件に彼の姿は……」
「おそらくだが、あいつの影響力とチャティとか言う最近作られたロボットの力量を確かめてただろうよ」
「ホントかどうか知らんがな」
「アカネ、調べておいてくれ」
「はい?何をですか?」
「ゲーム開発部だ、関係者も纏めてな、勿論シャーレの先生もだ」
「レイヴンについてはどうしますか?」
「あぁ?まぁ一応調べといてくれ」
「リベンジ、ですか?」
「その表現はなんか癪だが……まぁ、ちと興味あってな、一通り情報が洗えたら、そいつ等ん所に行く」
「……はい、望む所です、今頃あの子達は、メイド部に一泡吹かせたと喜んでいるはずです。ふふっ……次にお会いする時、どんな表情を見せてくれるのか……楽しみですね」
「以前の戦闘では役目を果たせなかった。次は、失敗しない」
そうして、ゲーム開発部が知らぬ間にメイド部との再戦が約束された
「所でアスナの奴はどうした?」
「前回の件の反省をさせてもらっています、C&Cでありながらゲーム開発部側についたのですから」
「……そうか」
「♪」(何も分かっていなく、のほほんとしている)
(レイヴン君に会いたいなぁ♪)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
同時刻・ゲーム開発部。何時もなら活気に溢れ、楽しそうな声が飛び交う場であるのだが……
「……こんなに落ち込んだのは……『テイルズ・サガ・クロニクル』のプロトタイプをアップロードした時以来……」
空気はもう完全にお葬式
ミドリもモモイもユズも、全員が全員絶望していた
「あ、あの……モモイ……?」
「ふふっ、ふへへへへ………全部終わった!おしまいだぁ!」
モモイは良くない狂い方をしていた
心配そうに声を掛けたアリスの姿すら目に入っていない彼女はその場で転がりながら叫んでいる
「み、ミドリ? その……大丈夫、ですか?」
「アリスちゃん、ごめん……今は何も話したくない気分なの……」
「そ、そうですか?」
ミドリはモモイよりかはマシだが、さっきクリアしたゲームのステージを何度も何度も繰り返しては失敗する、と言ったような感じになっていた
「えっと、ユズ……」
「嚇怒、破滅、濫觴、糜爛、絶望、虚脱……世界は今、破滅へ向かって……遠くの星が地上を焼き払う……」
「ユズ!?」
ユズはこの中で一番良くない壊れ方をしていた
精神ダメージが重すぎて、普段なら絶対に言わない事を口走り、この世の全てに絶望したような顔を浮べている
「うぅ、アリスにはどうしたいいか……こんな時に先生やレイヴンさん、チャティがいてくれれば……」
『呼んだか?』
そこへちょっと今回の件について色々とお話を喰らっていた先生とチャティ、レイヴンがやってきた、3人はファイルのことを知らないので今何が起こっているのかわからない。
「あ!先……」
『チャティーーーー!!!』
『どうした、みんな落ち着きがないぞ』
「もう何もかもおしまいだよぉーー!!!」
モモイ達が絶望していた理由、それはモモイのゲームデータを犠牲にして手に入れたゲームの聖書ことG.Bible。
メイド部とセミナーと敵対しながらも奪取したヴェリタスの鏡を使用し、パスワードを無事解除できた彼女達は意気揚々ファイルを開いた。
そこに書かれていたのはただ一言
『ゲームを愛しなさい』
ただこれだけだった
「いっそのこと嘘って言ってくれた方がまだマシ! うああああん! 終わった! 私達はもう廃部なんだ!ふえぇぇぇぇん!」
何か特別なことを知れると思ったモモイ達はその中身の内容に落胆し絶望、もう自分たちは終わりだと叫びながらチャティに頭を撫でられ泣き続ける、
「にしても……Keyってファイルのことは何もわからなかったんだ」
「もうそっちはどうでもいいよ!……もう……もう終わりだよぉ…」
モモイの弱々しい声が部屋に響く、ミドリやユズも同じように啜り泣いている、そんな3人を見て悲しくなってきたアリスは、クッと顔を引き締めていう
「諦めては―だめです!」
「ごめんねアリスちゃん、私たちだけの力じゃ……いいゲームは作れない……」
「いいえ、アリスは『テイルズ・サガ・クロニクル』をやる度に思います、あのゲームは、面白いです」
「グスッ……アリス?」
「感じられるのですモモイが、ミドリが、ユズが……このゲームをどれだけ愛しているのかを、その沢山の想いが込められたあの世界で旅をすると……胸が、高鳴ります、仲間と一緒に新しい世界を旅する、あの感覚は……夢を見るというのが、どういう事なのか、その感覚をアリスに教えてくれました」
「………」
「だから、待望のエンディングに近づくほどに、あんなに苦しんだのに、思ってしまうのです、この夢が、覚めなければいいのにと、アリスは、そう思うのです」
『そうだな諦めちゃダメだ、主人公達は絶対に諦めない、そうだろ?』
「主人公……」
『アリスこのゲームを好きなように、俺もこのゲームはいいと思う』
『周りからクソゲーと、内容が絶望的と、俺やアリスからすればこのゲームは、神ゲーだ』
「チャティ…アリスちゃん」
「作ろうよ、みんなで。作りたいものを……最後まで諦めずに。私も、手伝えることは全部手伝うから」
「先生……」
「……私の夢は、私達が作ったゲームを皆に面白いって言ってもらう事。だから、これ以上は欲張りかもだけど……叶うなら、私はこの夢がこの先も終わらないでほしい。このゲームを面白いって言ってくれた人たちのためにも、頑張りたい!!」
ユズの叫び、それが心に響いた才羽姉妹は手を出し、ユズと共に二人の上へと手を重ねる。
「まだ時間はある、やろう、やってやろう!私たちの作りたいものを最後まで、作っちゃおう!」
「うん!」
「うん」
「はい!」
「ゲーム開発部……『テイルズ・サガ・クロニクル2』の開発、始めよう!」
「おーー!!」
こうして、ゲーム開発部は大切な居場所を守るための最後の戦いが始まった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お姉ちゃん、まだ!?」
「ま、待って、急かさないで! あとこれだけ入力すれば終わりだから……!」
「あと2分だよ!? 急かさずにはいられないって!」
『正確には96秒だ、そう言ってる間に残り92秒……』
「わ、分かった分かった! もうできたから焦らせないで!」
早く早く早く!!と急かすミドリとチャティにモモイは『わかったって!』と叫びながらパソコンを素早く操作する
今日はミレニアムプライスのエントリー締切日、アリスの言う通り、なんともう残り1分半が差し迫っている
「こっちは簡単なテストだけやって……、……うん、エラーは出てない、モモイ!」
「オッケー! ファイルをアップロード、完了まで予想時間……15秒! アリス、あと何秒!?」
『残り19秒だ』
「お、お願い……!」
デバック作業も終了、最後の確認も終わり。あとはエンターキーを押すのみ……そしてモモイが勢いよくそれを押すと
【ミレニアムプライスへの参加受付が完了しました】
画面にその文字が表示された時、皆は一様に大きな安堵の溜息を吐いて肩の力を抜き……そして、その喜びを嚙み締めた
「間に合ったあぁぁぁ!」
「ギリギリ……心臓止まるかと思った……」
『皆んな、お疲れ様だ』
「何とかなったな」
「うん!先生もチャティもレイヴン先輩もありがとう! あとは……3日後の発表を待つだけ、だね」
「そうだね……3日後には、このままこの部室にいられるのか、そうじゃないのかが決まる」
「う、一気に緊張してきた」
ミレニアムプライズへ参加して終わり、では無い……ゴールは成果として何らかの賞を受賞する事、これが絶対だ
皆が緊張している中、モモイがある提案をした
「でも、3日後って結構長いじゃん? そこで提案なんだけどさ……先にWeb版の『テイルズ・サガ・クロニクル2』をアップロードしてみるのはどう?」
「ッ!?」
「ど、どうして?」
「3日間も待てないよ! それに、審査員の評価より先にユーザーの反応を見たくない!?」
「うーん、でもちょっと怖いかも……低評価コメントも心配だし」
ネットのコメントも言うのは全部が全部いいコメントだけとは限らない、必ず一つや二つは低評価のコメントがつく、ミドリはそれを恐れていた
「何言ってるのさ! ……自信をもって、見てもらおうよ! 私たちはベストを尽くしたんだから!」
「そ、それはそうだけど……」
「……うん、アップしよう」
「え?」
「私は……みんなに遊んでもらいたい、低評価コメントも……怖いけど、……みんなが一緒なら、大丈夫だから……」
「ユズちゃん……」
「それじゃあ今すぐアップロードー!」
「ああっ! ま、待って! 心の準備が……!」
「転送完了! プレイして感想が貰えるまで少なくとも2、3時間はかかるだろうし、後はしばしの休憩ってことで!」
それからしばらく経った頃
ピコン
と、パソコンから音が鳴りモモイ達は『ビクッ!』と体を震わせた。
「あっ、初コメ」
「何て!? 何て!?」
「えーーと…………」
<hermet021:わお、これ前回クソゲーランキング1位を取った、あれの続編? もうゲーム作りはやめたと思ってたけど、懲りないねぇ>
「…………」
そのコメントは、確実にゲーム開発部達と心を抉り、才羽姉妹はそのコメントが目に入った瞬間少し泣きそうになった
「……修正が必要だ」コーラルを放出
『悪いが笑えない』LRBを装備
「ダメダメダメダメ!」
「チャティもレイヴン先輩もシャレにならないから!」
「……大丈夫。ゲームをやってもいない人の発言だから……気にしないで、ね?」
ピコン
ピコン、ピコンピコン。
その後も続々と、テイルズ・サガ・クロニクル2への反応が寄せられてきていた。
「うわあぁぁ……! 無関心じゃなければ良いな、くらいに思ってたのに! ここまで数が増えると急に怖くなってきた!」
どんなに小さなコメントが来たとしても、誰かの目に入り、興味を持ってくれればそれで良い、それで満足だとモモイは思っていた
そう思ってた時だった
ドカアアアン!!
「うぎゃぁぁぁぁああああ!?」
「な、何!?、」
『遠距離攻撃を確認、部室正面に対して11時の方角!距離、約1km……!』
「ぜ、前回の仕返し!?」
「反撃を開始します!」
「ううん、アリス、一旦出よう!このまま戦ったら私達の部室が壊れちゃう!」
「そ、外に生徒会の人達も……!鏡の件の報復……!?」
「ちょ、ちょっとは申し訳ないと思ったけど……」
『とりあえず、ここは危険だ、避難するぞ』
「うん!」
俺たちは、ゲーム開発部から避難をし
全力疾走をするうちに彼女達は旧校舎の廊下まで辿り着いていた。
たが、そこで待ち受けていたのは……
「C……&C!な、なんでここに?」
「えぇ、リーダーの指示で」
「リーダー?」
「本当は、このようなことをしたくは無かったのですが……」
モモイ達を待っていたのはC&Cのメンバー、そしてその後ろからやってきたのは一人の少女
「アタシの指示だ」
メイド服の上から龍柄のスカジャンを羽織り、両手にサブマシンガンを構えた少女は、堂々とした佇まいで一歩前に出た、彼女こそミレニアム最強、美甘ネル
「君は……」
「初めましてだな先生…メイド部ことC&C部長、美甘ネルだ」
「あれが、C&Cのコールサイン00……」
『ビジター、奴から強烈な力を感じる』
「……」
「な、なんのようですか?生徒会からの依頼はキャンセルされてるはずです……」
「……なに、用があるのはあんたじゃない。……そっちのバカみたいにデケェ武器持ってる奴と、先生、あと、レイヴン」
「アリスと?」
「私?」
「……俺?」
「そうだ、てめぇには用がある。……アスナをてめぇの方に引き込ませた程だからな……ちっと面貸せや」
「一応言っとくが、別にC&Cに一発食らわせた分の復讐ってわけじゃねぇ」
「違うんですか?」
「いやまぁ、何も思わなかった訳じゃないが……、あくまで正当な依頼の中での出来事だからな……別にそこに恨みはねぇが……俄然、興味が湧いてきてな」
「つまり手合わせを願いたいと?」
「そう言うこった……先にどっちからくる?」
「悪いが、俺達は今戦う気分じゃない」
「そうか……」
ネルは勢いよう地面を蹴り
俺の目の前まで迫ってきた
「その気にさせてやるよぉ!!」
「オラァ!」
ネルは蹴りを入れてきた、ACなら余裕回避できるが……
バキッ
生身では話が違う
頭では反応できても、体は反応が遅れ
そのままモロに食らってしまった
ガッシャン!!
そのまま蹴り飛ばされ、置いてある荷物にぶつかる
「えっ?」
「なんだ、アスナに気に入られるから強ぇ奴かと思ってたが、期待はずれだな……」
「さて、次は誰か……」
ネルが次の獲物を見定めている時
ドゴオオン!!
ネルに向けて拡散バズーカが撃ち込まれるが当たらず
「おっと、次はブリキのお前か?」
『……』
「チャティ!?無茶だよ!」
『奴はビジターを傷つけた、あってはならない事だ』
『消えてもらう』
「はっ!それはどっちだ?」
ネルは高速で接近し、チャティは拡散バズーカやマシンガン、LRBを撃つが……
「遅え!!」
軽々と回避し、マシンガンをチャティに撃ち込む
『……ッ!?』
『機体損傷……』
ズガンッ!!
チャティにも蹴りを入れそのまま吹き飛ばす
「チャティ!!」
「さて、次はアリスか?」
ネルは次の獲物をアリスにし、ツインドラゴンを構えた時
「リーダー、何をやってるの?」
「あ?アスナお前反省中じゃ……」
「……ッ!?」ゾワッ
ネルの目線の先には、今までに見た事もない程ブチ切れているアスナがいた
アスナの周りには黒いオーラが見えている
「ねぇ、どうしてレイヴン君が怪我をしているの?」
「どうしてチャティが壊れているの?」
「ねぇ、どうして?」
「もしかして、リーダーがやったの?」
「あっ、いや、それは……」
1歩、1歩と近づいてくるアスナ
ネルは今まで抱いたこともない気持ちを感じた恐怖を
思わず目を逸らしてしまうネル
ネルの目の前まで来ると、アスナはネルの顔を掴み目を合わせるように向ける
「ねぇ、目を見て話して、リーダーがやったの?」
その目にはハイライトなく、黒く染まっていた
「ハイ、ヮ、 ワタシガヤリマシタ」
ネルは涙を流しながら白状する
ついに耐えれず
ガクッ……
気絶してしまった
「……」
「リーダー!?」
「アスナ、さすがにやりすぎじゃ……」
「……どこが?」
「……とりあえず、アスナはレイヴンの方に行って、リーダーは私達がやるから」
「……わかった」
アスナはレイヴンの方へと歩いていく
「初めて見た、あんなに怒ったアスナと、泣いているリーダーの姿……」
「……なんか、すごいものを見た気がする」
「うん、下手なホラーゲームよりも怖かった……」
「てか、それよりもチャティ!」
ゲーム開発部は急いでチャティの方へと向かう
C&Cのリベンジマッチはとんでもない形で終わった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ごめんね!本当にリーダーがごめんねぇ!!」
ミレニアムの医務室
手当てをされ、アスナに抱きつかれ泣いている
幸い大きな怪我もなく、ただ荷物にぶつかった時にできた傷ぐらいである
チャティはウタハ達に修理され、モモイ達の方にいる
しかしだ、あのアスナがブチ切れるとは思ってもいなかった
一応C&Cからは公式に謝罪を、チャティの修理費、俺の治療費は負担してくれるそうだ
「大丈夫だから、泣くな……」
「うああああああああん!!!!」
こりゃ時間かかるな……
……そういえば、ノアに話って行ってないだろうな
バタンッ!!
「Oh MY GOD」
ドアの方を見ると、スッゲェ慌てた顔をしたノアがいた
俺を見るなりすぐに涙目になり
「うええええええええええん!!!!」
ドゴォ!
「グエッ……」
勢いよく飛びつき、俺の体に直撃した
「そんな大したことじゃないのに……」
『それだけ愛されているって事ですね』
そうなのかね……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この日ミレニアムプライスの開催日である
モモイ達はゲーム開発部部室でテレビに釘付けになっている
チャティもアリスを抱え一緒に見守っている
俺は、扉付近でもたれかかるように見ている、ノアもアスナも一緒だ
「ミレニアムプライス、始まったね」
「もし受賞したらクラッカー鳴らそうか、お祝いにケーキも買ってさ」
「でも、もしそうじゃなかったら……」
「……うん、直ぐに荷造りしないと、私達はさておき、ユズちゃんとアリスちゃんは……」
ミドリの心配そうな声、それに対する言葉を、彼女達は持ち合わせていなかった、だが先生とチャティは違う
「大丈夫だよ、絶対に大丈夫よ」
「先生…」
『お前達の自信を信じろ、俺も信じている』
「……そうだよね、うん!信じる!」
『これより、ミレニアムプライスを始めます! 司会及び進行を担当するのは、ミレニアムサイエンススクールのエンジニア部所属、豊見コトリです!』
「あ、コトリちゃんだ」
『今回は、これまでのミレニアムプライスの中でも最多の応募数となりました。恐らくは生徒会セミナーの方針変更により、部活動維持のための成果が必要となった影響かと思われます!』
「ふむふむ……最多か、それ結構まずいんじゃ?」
「うぅ、確かに困る…」
応募数が多くなるという事は、それだけ倍率が上がるという事。頭の中にもしやと言う顔がモモイ達に現れるが
「ここで一位になったら、自慢できるね」
そう先生が暖かい言葉をかける
『前回の優勝作品である生塩ノアさん著の思い出の詩集は、その形而上的な言葉の羅列がミレニアム最高の不眠症に対する治療法として評価されました』
「そういえばそうだったな」
「えぇ、少し恥ずかしいですが……」
『尚、これは本来の意図とは少し違ったようですが……今回も歯磨き粉と見せかけてモッツァレラチーズが出る持ち歩きチーズ入れ、ミサイルが搭載された護身用の傘、ネクタイ型モバイルバッテリー、光学迷彩下着セット、ちょうど缶一個なら入る筆箱型個人用冷蔵庫……』
「どれも癖が強いのばかり………光学迷彩下着セット?」
「あれやっぱり気になりますよね」
「色々大丈夫なのかな…」
『そして!今キヴォトスのインターネット上でセンセーショナルを巻き起こしているスマホでマルチプレイが楽しめるレトロ風ゲーム、テイルズサガクロニクル2などなど、今回出品された三桁の応募作品のうち、栄光の座を手にするのはたったの7作品!』
「いよいよだ…」
「ゴクッ…」
『それでは7位から受賞作品を発表します!』
そうして、どんどん順位が言われていくが、ゲーム開発部のゲームは未だに発表されていない
「なんか、どんどん不安になってきたんだが……」
「だ、大丈夫なはず、信じましょう……」
『それでは!1位の発表です!』
「ゴクリ……」
『栄えある第1位は……』
『新素材開発部の……』
バンッ!バンッ!バンッ!
発表された瞬間、モモイ自身の銃でテレビをぶち抜いた
「きゃあっ! お姉ちゃん!?」
「どうせ全部持って行かれちゃうんだし、もう関係ない!」
ミレニアムプライスの受賞作品、その7つの内にゲーム開発部の名前は入っていない……つまり
「うえぇぇん! 今度こそ終わりだぁぁぁぁ!」
「うぅ……結局、こうなっちゃうなんて……」
「落ち着いて、お姉ちゃん、ユズちゃんも―」
「分かってるよ!」
モモイは腹から声を出し、大きく叫んだ……それも悲しそうに。
「全部が否定されたわけじゃない、へこたれる必要なんて無いって!……ネットでの評判も悪くなかったし、クソゲーランキング1位のあの時から、私達はちゃんと成長した!これからも、私達は成長していける!もっと面白いゲームを作れる!次はもっと良い結果を出して、今より立派な大きい部室だってもらえるはず!」
モモイ自身達成感はあった、ネットでの評判もめっちゃクチャに悪いわけではない。クソゲーランキング一位を取ったあの日からは確実に成長している、努力が無駄だったわけではない……が。
「ユズと、アリスは……ッ!」
ゲーム開発部が廃部になる現実は変えられない
居場所を失ったユズは寮に帰らなければなくなり、アリスに至っては帰る場所すらない、一応シャーレで預かることはできる……しかしそれで解決にはならない……
「……心配しないで、モモイ、ミドリも……私、寮に戻る」
「えっ……」
「もう私の事を、クソゲー開発者って呼ぶ人は居ないと思う。ううん、もし仮にいたとしても、大丈夫……今の私には3人と先生とレイヴン先輩とチャティさんがいるから、もう、怖くないよ」
ユズは泣くのを我慢し、笑顔で先生と俺、チャティの方を見る
「ありがとうございました、先生、レイヴン先輩、チャティさん」
「待って、まだ終わってないよ……まだ何か方法が…だから」
「先生とレイヴン先輩とチャティがこの部室に来てくれた時から、私達は大きく変わる事が出来ました。ずっと優しく見守ってくれて、信じてくれてありがとうございます、ただ、アリスちゃんは……」
アリスの方を見ると、アリスは涙を流していた
「……もう、皆とは一緒にいられないんですね」
「ッ……ごめんね……ごめんね、アリスちゃん! 私、絶対毎日会いに行くから! また一緒にゲーム作ろう!」
「ううぅ……! や、やっぱり嫌!こんなに仲良くなれたのに離れ離れになるなんて寂しいよ!」
「わ、私も……皆と一緒が良い……!」
「……」
「レイヴン君……」
「ノア、セミナー特権で延長はできないのか」
「……残念ですが、学園の決まりなので」
無意識に、コーラルが放出されている
感情が乱れているな
だが、抑える理由がない……
チャティも……黙ったままだ、あいつにとってゲーム開発部のみんなは『友人』だ……
それが別れてしまうのは……チャティにとっても辛い事だろう……
そう……辛いことを考えていた時
不意に部室のドアが開き……駆け足で、満面の笑みで部室に上がり込んできたのはユウカだった
「モモイ!ミドリ!アリスちゃん!ユズ!」
「それに先生!レイヴン!チャティ!!」
「おめでとう!!」
『……』
この場にいる全員が黙る
えっ?『おめでとう』?
今はそんな雰囲気じゃねぇよ
「待てユウカ、それってどういう意味なんだ」
「……え?結果、見てなかったの?」
「……結果?」
「……私達、7位以内に入れなくて……」
「…どゆこと?」
「ちゃんと見てなかったの?」
「お、お姉ちゃんがディスプレイを吹っ飛ばしちゃって……」
「本当に何してるのよ……ほら、スマホ貸してあげるからちゃんと見てみて」
そう言って差し出されたスマホの画面には
『ミレニアムプライスはこれまで、生徒達の才能と能力で作られた作品に対し、実用性を軸に据えて授賞を行ってきました。これはより良い未来を求め、実現していくという趣旨に基づいています』
『しかし』
『今回の作品の中には、新しい角度から実用性を感じさせてくれたものがありました。その作品は懐かしい過去を鮮明に思い出させ、未来への可能性を感じさせてくれたのです。よって、私達はこの度、異例の選択をする事にしました』
「それって……」
『特別賞、受賞作品……ゲーム開発部、テイルズ・サガ・クロニクル2です!』
「ええっ、嘘ッ!?」
「な、何が起きてるの……」
2人の疑問を置き去りに、審査員はコメントを綴る
『レトロ風という時代を超えたコンセプト、常識に縛られず次々と想像を超えていく展開』
『一見してそれらとマッチしそうにない不可思議な世界観。最初は困惑の連続でしたが、新しい世界を旅して、一つ一つ新たな絆を結びながら、魔王を倒しに行く……そういったRPGの根本的な楽しさが、しっかり込められた作品だと思います』
『プレイしながら、かつて初めてゲームに夢中になった幼年期の頃を鮮明に思い出す事ができました。そういった点を評価して、この作品に……今回、ミレニアムプライスの特別賞を授与します』
ゲーム開発部はランキングには載らなかった……しかし、特別賞という結果を手に入れた
「本当におめでとう!……その、実は私もプレイしてみたの。決して手放しで面白かったとは言えないけど……良い作品に出合えた後の、あの独特な感覚が味わえたわ」
プルルルッ…
『モモ! ミド! あたしもTSC2やってみたよ! すっごい面白かった! 今ネットでも大騒ぎだよ! ヴェリタスの調べだと、有名アイドルの名前よりTSC2の検索数が多くなってるってさ!』
「ほ、ほんとに……?」
部室に転がり込んできたユウカから話されても、スマホから連絡が来たマキから話されても、頭が処理できず困惑したまま
『確認した、3時間前にアップしたテイルズ・サガ・クロニクル2は、先ほどまでダウンロード7705回、計1372個のコメントが付いていた』
『ミレニアムプライスの発表以降、約26秒間でダウンロード回数が1万を超えている』
『コメントも約500個追加』
『言葉のニュアンスからして否定的・疑惑的なコメントが242件、肯定的・期待のコメントが191件。残りは不明、もしくは評価を保留にしているコメントだ』
「こ、これってつまり、廃部にはならないんだよね!?」
「えぇ、そうよ……あ、でも、あくまで臨時の猶予だから、正式な受賞ではないし、生徒会セミナーとしてはまた来学期まで、ゲーム開発部の部室の没収及び廃部を保留する事にしたの」
セミナー側が予期した賞を授与したわけではないが、かといって後出しで特別賞を無効にするのは筋が通らない、これによりゲーム開発部の廃部は保留という形になった
「えっと、それから……ごめんなさい、レイヴンの言う通り此処にあるゲーム機は開発者や遊ぶ人の思いが詰まっているのにガラクタって言って……ちょっとキツくいったりもして、あなた達のおかげで思い出したわ、小さい頃に遊んだゲームの事……だから、ありがとう」
ユウカは笑顔でゲーム開発部に礼を言う
「それじゃ、部室の延長申請とか部費の受付処理とかは必要だから、落ち着いたら生徒会室に来てね、じゃ、また後で!本当におめでとう!」
そうして、ユウカは部屋を出ていき……
『やったな』
「やったぁぁぁぁぁ!」
「良かった……! 本当に良かった……!」
「やった……嬉しい……!」
「……? え、えっと……?」
状況をいまいち飲み込めていないアリスの手を、ミドリは涙混じりの満面の笑みを浮かべながら握って
「アリスちゃん! 私達、特別賞を受賞したんだよ! この場所も、私達の部室のまま!」
「えっと、つ、つまり……アリスはこれからも……皆と一緒にいて、良いんですか……?」
「うん! 勿論!」
「これからも、よろしくね……!」
「そして……先生!レイヴン先輩!チャティ!」
モモイ、ミドリ、ユズは先生とチャティに抱きつく
「ありがとう!!一緒に廃墟に行ってくれて、鏡の時も頑張ってくれて!」
「私達に励みの言葉をずっと投げかけてきてくれて」
「わ、私たちを…信じてくれた…」
「ありが…とう…」
「……どういたしまして、よく頑張ったね!」
『あぁ、本当によく頑張った』
「あ、アリス……アリスも…いきます!!!」
アリスも先生とチャティに抱きつく
「レイヴンさんも!」
「いや、俺は……」
『ビジター、こういうのは皆んなで祝うものだ』
「はあ……」
俺もチャティ達の方に行き、抱きつく
「よく頑張った、お疲れ様だ」
「うん!ありがとう!」
『フッ……』
「あっ!チャティが笑った!!」
『アリス、俺も分かってきたかもしれないな、この気持ちが』
「良かったです!!」
こうして、ゲーム開発部の廃部の危機はこれにて幕を下ろす
だが、彼女達の物語はまだ終わらない
─データ復旧率、98.00%。
─システム作動……準備完了
─プログラムをセット……Divi:Sion
─AL-1S……いえ……アリス……
─私の、大事な…… @#$%^&*(!@$!!
―強化人間 C4-621『レイヴン』…………
『自由意志を表す一種の思想・象徴』
『何もかもを黒く焼き尽くす……
……死を告げる鳥』
………………イレギュラー
―大きすぎる……修正が必要だ
―再起不能…並びに
―――排除を…検討
パヴァーヌ編第一章はこれにて幕を下ろします
ですが、続けて第二章もやりますのでよろしく
チャティってなんかモモイ達のお兄ちゃんみたいになっている気がしなくもない……
ていうか、ガチギレアスナ……怖いよね……
個人的怖さランキングベスト5
5位ユウカ (シンプルに怖い)
4位ネル(普通怖い)
3位アスナ(レイヴン絡みになるとネルすら気絶する程ガチギレする)
2位ノア(本能的な恐怖を感じる)
1位レイヴン(ガチギレすると腕をへし折ったり、致死量のコーラルを浴びせようとする)
みんな怖くね?