「クリア……周辺一帯の制圧完了」
「……嫌に静かだ」
廊下を進むアリウスの部隊、彼女達は最低限の警備で固められている筈のセーフハウスへと足を踏み入れていた
僅かな光源、そして人気のない室内
廊下を巡回しているはずの正義実現委員会の部員すらおらず、彼女達は困惑を隠せずにいる……情報と違った現象が、今起きていたからだ
「セーフハウス、クリア……しかし、これは」
「……もぬけの殻です」
「先客がいたか」
「恐らく」
「……」
声には、僅かな落胆が混じっていた
部隊長の指先で扉を指し示しながら告げる
「……プランを切り替える、周辺の探索に移れ」
「了解」
「合流予定のスパイは?」
「それが、未だ連絡が………」
ドカアアアアアアン!!
「なっ、爆発!?」
「別の部隊がやったのか!?」
「いや、だとしたら爆発の範囲が……」
予期せぬ爆発音に、アリウスの部隊はたじろぐ
ドカアアアアアアン!!
「……まさか、計画がバレたというのか!?」
「クソ、アズサ……裏切ったのか!?」
『あぁ、そういう事だ』
『早く終わらせて、試験を受けなきゃいけないから、正義実現委員会には既に報告が向かっている、逃げるなら今の内だ』
「何を馬鹿なことを……お前一人で、我々に勝てるとでも?」
『確かに私一人だったら難しいかも』
「ならば……」
『話は最後まで聞いたほうがいい』
『一人だったら……って言ったでしょ?』
「裏切り者のお前に、いったい誰が……いったい誰が協力をしていると言うのだ!」
隊長は、侵入中にも関わらず、感情に身を任せ声を上げる
普通ならば許されない行為だが……状況が変わりすぎて焦っていた
『大事な友達と、頼れる最高の人』
「そんなもの……そんなもの! どうせ……」
『虚しいだけ…もう、それは聞き飽きた……来るなら来い私は……いや、私たちは……合宿所の体育館、そこにいる』
「……誘っているのか?それに釣られるとでも」
『来るか来ないかはそっち次第……じゃ』
そうして、アズサは通信を切る
「どうしますか……」
「行くしかないだろ!でなきゃ私達は!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ドカアアアアアアン!!
「……」
ドン!ドン!ドン!ドン!
「………」
ドドドドドドドドド!!
「……………………」
集中出来ねえ………!!!!!!
なんで常時喋るように設定したのさチャティ!?
すごい集中できませんけど!?
『どうした戦友?動きが鈍いぞ?』
「COMが常時喋るせいで集中できない」
『それは……ムゥ……頑張ってくれ……』
『数分でも騒ぎを起こせばいい、耐えてくれ』
「…………」チクショウメ
現在、俺とラスティはトリニティー総合学園近くでACでの模擬戦(実弾)をしている
理由としては、騒ぎを起こせば正義実現委員会は動く
そうなれば、アリウスは焦って動きが活発になるはず
計画がバレたと
そして、アズサ達が合宿場までアリウスをおびき寄せ、聖園ミカ諸共叩き潰すという作戦である
『大丈夫か?気を抜くと持っていかれるぞ?』
「気を抜くって言うか、抜かれているんですけど?」
とまぁ、主任によって集中力がめちゃくちゃ切れてます
でも、ネクストの機動力もあってか、普通に避けてますがね
『アズサ達はちゃんとやれているだろうか……』
「大丈夫だと思いたいが……一応、念の為こちらから増援を回してはいる」
『……さっきから気になるんだが、戦友の言う増援はなんだ?』
「……回線を開こう、もうそろそろ動いているはずだ」
そうして、俺は回線を開く
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「クソ、アズサめ……」
アリウスの部隊は、アズサがいるとされている合宿場の体育館へと移動していた
その時だった……
ドカアアアアアアン!!
「グォアアアア!?」
「隊長!?」
一部隊の隊長は何者からの攻撃を受けた
「……スナイパーだと!?」
「隠れろ!」
ほかの部隊の1人が言うが
ドカアアアアアアン!!
ドカアアアアアアン!!
「グエッ!?」
「ガアッ!?」
「クソ!なんて言う威力と、精度してやがる!」
「一体、誰が……情報ではあれ程の威力を持ったスナイパー持ちはトリニティーにはいないはず……」
とある建物の屋上
「こちらコールサイン02……目標の一部隊を確認した」
「今、足止めをしている、一気に片付けてくれ」
「(……あのレイヴンからの依頼とは、以外な事もあるんだな…………)」
「……どこだ、どこにいる!?」
アリウスの部隊は必死に探すが……
スナイパーが見当たらない
「あっ、いたいた!」
「あら、こんな所に隠れていたんですね」
「なっ、誰だ!」
そう振り向くと、目に入ったのは、メイド服を着ている生徒だった
「メイド……服……?」
「ふふ、あなた達がアリウスの……なるほど、1つの大きな学園を襲撃をしようとは……ただの能無しか、またまた……」
「まぁそんなことより、早くレイヴン君に頼まれた事終わらせようよ!久しぶりにレイヴン君に会いたいし!」
「それもそうですね、ではお掃除をはじめましょうか」
そうして、メイド服の生徒達は銃を構え
「コールサイン03 室笠アカネ、参ります」
「コールサイン01 一之瀬アスナ!行っくよーー!!」
『……C&Cか!』
「そう、この手の物ならお手の物かなって」
『ミシガンが来るかと思っていたが……』
「ミシガンは、ゲヘナのレッドガン部隊の事で忙しい」
「それに、歩兵相手にACは分が悪すぎる」
『……確かに……そうだな』
「……そろそろ頃合いだな、ラスティ!時間だ!」
『……了解した』
そうして、俺とラスティは離脱し、ACを隠し、先生達と合流するために動く
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ドカアアアアアアン!!
「よし、行け!!」
『了解!』
合宿場・体育館
扉が爆弾で破壊されてアリウス生が次々と雪崩込み、一帯をクリアリングする
すぐに隊列を作り、その中にいた影に銃を向ける
「ここまでだ……白洲アズサ!」
「待ってた」
隊長は周りを確認、アズサ含め、5人、うち1人は大人あれはシャーレの先生だと思われる……何がしたかった?なぜここに呼び込んだ?
「たった5人で我々に勝てるとでも? 慢心でもしたか?」
「戦いにおいて慢心はしない」
「ならその態度はなんだ」
「これは慢心じゃなくて……余裕って奴だ」
「フッ、ほざけ、どうせここから更に増援が来る、お前たちは袋の鼠だ」
「総員、構え!」
そうしてアリウス達が銃を構えた時
「あーあーごめん!1回ストップ!」
突如として、声がかかる
コツ……コツと、ハイヒールの音が体育館に響く
アハハッ☆…と、聞き覚えのある声が聞こえてくる
「……やっぱり、ミカちゃんなんだね」
「あれ?もしかしてバレてた?うーん、せっかく隠し通せたと思ったのに……」
「それよりも、久しぶり先生!また逢えて嬉しいなぁ……って言っても、二週間位?あはは、久し振りって程でもないかな?」
「でも、ずっと逢いたいな~って思っていたからさ!」
「こんな形で会いたくなかったけどね……」
「うーん、それは私も……それよりさ、どうして真の裏切り者が私ってわかってたの?」
「前々からレイヴン君が気づいてたよ」
「そっか〜……あのレイヴン君は、敵に回すと厄介だね」
「そうだね、それは私もそう思っているわ」
普通の人間が、人間を半分やめている人と
バカでかいロボットに勝てるわけがない
ロボットもののアニメでよく見たっと先生は思い出す
「まあとりあえずさ?……ナギちゃんを何処に隠したか教えてくれるかな?私も、時間が無くってさ~」
「答えるわけないよ」
補習授業部は固唾を呑んだ
何処までも飄々と、いつも通りに振る舞うミカ
その表情は余裕に満ち溢れている……それもそのはず、引き連れたアリウス生徒の総数は100人を超え、対して補習授業部は顧問の先生を含めてもたった5名しかいない
いくらC&Cが一部隊を抑えているとはいえ
多勢に無勢、多くのアリウス達がこの体育館に集まっているのである
「まぁ、此処に居る全員を消し飛ばしてから、ゆっくり探しても良いんだけれど……それは面倒でしょ?無駄は省くに限るよね、だから、さっさと吐いてくれると嬉しいなぁって……」
「まあ、そうさせてくれなさそうな人が目の前にいるんだけどね?」
「……ミカちゃん、貴女を止める前に……一つ、聞いておきたいけど……」
「なぁに、先生?」
「どうして……こんな事を?」
「ん~? 聞きたい? まぁ、先生に聞かれちゃったら仕方ないなぁ」
仮面のように張り付いた不気味な笑顔を作り、ミカは頷いた
彼女にとっては、話すしかない
「理由はね、そんな難しい事じゃないんだよ?とっても簡単でシンプルなんだ、私はね、ゲヘナが……大っ嫌いだからだよ‼」
「げ、ゲヘナが……?」
「……嫌い、か」
「うん、そう! 大っ嫌い!」
体育館中に響き渡るほど大きく、クーデターの主犯とは思えないほど、ミカは大声で叫ぶ
ヒフミが目を瞬き、思わず呟いた
「うん、そう、私は本当に、心から、心の底からゲヘナが嫌いなの」
「……だから、エデン条約を阻止しようと? そのために、ナギサちゃんをを……」
「まぁその通りだよ、だってナギちゃんがエデン条約だなんて変な事しようとするからさぁ……ゲヘナと同盟? 和平?」
「あんな角が生えた奴らと平和条約だなんて、冗談にもほどがあると思わない?……考えるだけでゾッとしちゃうよ」
「……」
「絶対裏切られるに決まってるじゃん? 背中を見せたら、直ぐに刺されるよ、きっと……まぁ、そんな事をさせないために、私はここまで来たんだけどさ」
ゲヘナ嫌い
それはトリニティではさほど珍しくないことだが……
ミカはその中でも、極度にゲヘナに対する反感が強い生徒だった
角が生えた生徒とは、顔を合わせることも、口を利くことも毛嫌いしている
そんなゲヘナを信頼し、長きに渡る対立に終止符を打つための講和条約を締結する……
ミカにとって、それはもはや反吐が出るほどの悪夢であり、連邦生徒会長とナギサが計画したエデン条約についても、ミカの目には『粗暴なゲヘナ生との馴れ合い』を目的とした条約にしか見えていなかった
「ナギちゃんもほんと、優しいっていうか、甘すぎるっていうか……創作の中の明るい学園物語じゃないんだしさぁ~そんな都合の良い話、現実には存在しないって……」
「私たちはこういう、もっとドロドロした世界の住人だって事、そろそろ分かってくれても良い頃なのにね? そう思わない?」
「……で、そういう訳だから! ナギちゃんの事、返してくれる?大丈夫、痛い事はしないよ、まぁ残りの学園生活は、卒業まで全部檻の中かもしれないけれど!」
「それを聞いて、大人しく渡すと?」
「……そっか、じゃあ仕方ないよね」
「やっちゃって……」
そうしてミカが指示を出すと、アリウス達は一斉に構える
「……ミカちゃん」
「もう、こうするしかないの、私は戻れないからね」
「……さよなら、先生」
ミカが合図を出した瞬間だった……
『こちらチームⅣ、襲撃を受けた……ッ!』
突如として、アリウスの通信が着く
「襲撃?」
ミカは首を傾げる
『こちらチームIII、こちらも襲撃を……なんだこい……』
通信が切れた
その時だった……
ドカアアアアアアアン!!
体育館の壁が爆発し、そこからある1人の人物が飛び出して来る
「オラオラオラオラッ!!」
ドドドドドドドドドドドド!!
その生徒は、ミカ向けてサブマシンガンを撃つ
「危なッ!?」
ミカは辛うじて回避をする
「もーう、誰なの……!?」
そうミカが前を見た時
「ニャー」(•ω•)
「……えっ?」
「ね……猫ちゃん?ここに居たら危ないよ?」
ミカがそう言った時
ドヒャアッ!ドヒャアッ!!ドヒャアッ!!!
「えっ?」
ドカアアアアアアアン!!
「きゃあああ!?」
ミカにアサルトアーマーをぶっぱなした
『……』唖然
ここにいる全員が、驚愕する
何を隠そう、この山猫の正体は
約1億人の罪なき人を殺し、それ以降も彼は多くの屍の山を築き上げ、『人類種の天敵』と称されるほどの虐殺を行い続けてきた『イレギュラー』である
アサルトアーマーをモロに受けたミカだが、少し傷付いただけで普通にピンピンしているが……
「何この猫ちゃん!?怖いんだけど!?」
「えっ、ヤマネコちゃん……えっ?」
「……な、なんだよ……あの猫……」
みんなが、首輪付きに驚いている中
「アッハハ!やるじゃねぇか、ネッコ!」
「ニャー」(✧ω✧)
「へっ、またせたな先生」
「ネルちゃん!」
「レイヴンからの増援ってC&Cだったんだ!」
「あ?なんだてっきり知ってるかと思ってたんだが、レイヴンから知らされてないのかよ」
「……うん、それより、ネルちゃんなんか変わった装備つけているよね?」
「ん?あぁ、それはお楽しみっていうわけだ」
ネルは『まぁそんな事より』っと言い、ミカの方をむく
「とりあえず、こいつをぶっ飛ばせばいいだな?」
「う、うん、やりすぎないようにね、戦闘不能にするだけでいいから」
「……わーかったよ」
ネルは渋々承諾した
どこまでやっていいのかあまりわかっていない
「……不意打ちとは卑怯じゃんね」
「こんな大量な仲間連れて来たやつが言えるか?」
「まぁ、んな事どうでもいい、さっさと始めようぜ」
「アハッ☆後悔しないでね?」
ネルは地面を蹴り、ミカへと接近する
ミカは、銃を向けると……
ドドドドドドドドド!!
「なっ!?」
「私ってさ、普通じゃないんだ〜」
そしてミカが引き金を絞った瞬間、ミカの愛銃から放たれた弾丸は煌びやかに光り輝き、ネルの進路上に弾幕を張る
ネルは回し蹴りで破壊するが感じたのは違和感……
普通のホローポイント弾よりも何倍も硬く、1発1発が重く……
いや、単なるフルメタルジャケット弾よりも硬い
サブマシンガンとは思えない威力に、ネルは困惑した
「クソッ、なんだありゃ!?」
「キヴォトス人ってさ、神秘……ってのがあるらしいんだよね……それで、私はその神秘がすごく濃いらしいの」
「じゃあ、この弾丸は……」
「うん、多分……神秘によって強化された弾丸……かな?」
「初めて見たな……」
「ほらほら、続き行くよ!」
ドドドドドドドドド!!
ミカは止まらずサブマシンガンを撃ってくる
「へっ……そうこなっくっちゃぁおもしろくねえ……」
ネルは地面を蹴り、左右に飛びながらミカへと迫る
この動きはACのQB似たもの、レイヴンのACの動きから着想を得ている
「わーお☆早いね!」
「でも……」
地面を蹴り、ネルへと接近するミカ
「えーい!!」
「うおっ!」
回し蹴りをするミカ
辛うじて回避するネル
「速いな……」
「あなたも速いね〜でも、見えるよ?」
「へッ」
ネルは上へと飛び、落下しながら、マシンガンを撃つ
「オラオラオラオラッ!!」
ドドドドドドドドドドドド!!
「アハッ、いい動きをするね!」
ドドドドドドドドド!!
「そんな殺る気の無い攻撃など!!」
ネルは弾丸の隙間を縫うように回避をして
ミカの死角へ入り込む
「ヤバっ……」
「オラッ!!」
ガシャンッ……
ネルは蹴りをミカに入れるために足を振る
すると、ネルの足に取り付けられた機械が作動し
ズガンッ!!
「ウグッ!?」
蹴りが入ったミカ、後ろに吹き飛ばされ着地をするが
「イッタイ……何これ……」
「へぇ〜大した火力だなパイルバンカーは」
ネルの両足に取り付けられるた装備は、小型のパイルバンカーである
小型ではあるが、火力はミカが悶絶する程の火力を持っている
パイルバンカーの直撃を受けたミカは、膝を着き悶絶する
「嘘、私……結構体は頑丈な方なんだけど……」
「なら効果は絶大だな」
ネルはもう一度パイルバンカーをぶち込もうと接近するが
「させないよ!!」
ミカは回避をしてネルの足を掴む
「ゲッ……」
「それー!!」
ネルを体育館の壁の方まで投げ飛ばす
そのまま壁に激突し、煙が舞い上がる
「……クソッ、ボールみたいに投げやがって」
ネルはすぐに飛び出し、マシンガンを撃つ
「うーん、やっぱりあれじゃ大して効果なかったか〜」
ミカも反撃にサブマシンガンを撃つ
その時
ガキンッ!!
「ん?ゲッ!」
ネルのサブマシンガンが弾切れを起こした
「クソッ、あの雑魚どもに使いすぎたか……!!」
「あれ〜?弾切れなの?」
「じゃあもう戦えないね、チェックメイトかな?」
そうして、ミカはネルに銃を構える
万事休すかと思っていたが……
こんな事では怖気付いていない
「……へっ」
ネルの背中につけられている装備が稼働し
「レイヴンは扱いづらいって言ってたが!!」
ネルは自身の銃、ツインドラゴンを投げ飛ばす
「こんなカッケェ武器が負けるわけねぇだろ!!」
背中にある、装備に手を伸ばし……引き抜く
「行くぞおおおおおおおおおおッ!!!」
ネルが装備していた物は
『A11 Vendetta』
少し改造が施されていて、腕をそのままに、武器だけを取り出せるようにしている
左右一対の巨大な刃を用い、対象を両断する
ネルは、その武器を持ち、ミカに突っ込んでいく
「何それ!?!?!!」
ミカも思わず驚いてしまう物であった
「オラッ!!」
ミカに向けてブレードを振り回す
「わわっ!?」
「まだまだあぁッ!!」
更に突っ込んで来る
「もう!途中から脳筋になったの!?」
マシンガンを構えるが、間に合わず
「オラッ!!!」
ガギンッ!!
「グッ……」
ブレードでサブマシンガンは弾かれ、そのまま破壊してしまった
「へっ、これでお互い近接だけだな」
「武器があるのはそっちなんだけど……?」
「……これじゃ、埒が明かないね」
「補習授業部を制圧して……」
「了解……」
「なっ、てめぇ!!」
「よそ見してもいいのかな〜?」
「クソッ……先生!逃げろ!!」
アリウス達は、補習授業部を取り囲むように移動し、銃を構える
「ミカちゃん……」
そう先生が呟いた時、ピロンっと端末から音が鳴る
「……こんな時に」
先生が確認すると……
「みんな、私から離れないで……」
「えっ、でもこれだと……」
「いいから」
「は、はい……」
そうして、補習授業部の全員は先生の方に固まる
その時だった
「光よぉぉお!!!!」
ドカアアアアアアン!!
『グアアアッ!?』
アリウスに向けて、何かが撃ち込まれる
「えっ何!?」
「今の声、もしかして……」
打ち込まれてきたとされる穴から、勢いよく何かが飛び出してきた
『……対象を確認、排除する』
パシュッ……
ドカアアアアアアン!!
「ウオアアアッ!?」
アリウスにグレネードが撃ち込まれる
『またせたな、先生』
「先生!!私が来ました!!」
チャティが勢いよく飛び出してきて、アリスはチャティの背中に乗っている
「チャティ、アリスちゃん!?」
「……メイド服?」
「はい!勇者からメイドにジョブチェンジしました!」
「やっと来たか!遅えぞチビ!!」
「うわーん!!チビメイドに怖い事言われました!」
「誰がチビメイドだゴルァ!!」
「てめぇこそチビメイドじゃねぇか!!」
どっちもどっちやろ
そう思う面々だったが……
「待ってチャティ!?本物のチャティか!?」
『……?』
「あっあぁ……本物だ……本物だ!!」
そんなのお構い無しに……
アズサは今までに以上に興奮している
「そっか、アズサちゃん、チャティに会いたがっていたんだっけ……」
『……そうなのか』
「うん、レイヴンからチャティの人形を貰った時からずっとだ!」
『……ビジター……いつの間に……』
これ以上人気者にされるとさすがに疲れる
チャティは疲れるがあるか分からないが、そう感じる
俺も、変わって来たんだなっとチャティは心の中で少し笑う
「えっ、チャティの人形を貰ったんですか!?ずるいです!!」
「まぁまぁ……そんな事よりも……アリスちゃんとチャティはどうしてここに?」
「今のアリスはアリスじゃありません!!」
「えっ?」
「今のアリスは『レイヴン』です!!」
「戦う事を自ら選び、その度に強く羽ばたいていること」
「アリス……いや、『レイヴン』として戦っています!!」
「な、なるほどねぇ……」
あの時レイヴンに言われた事が、アリスをここまで変えたんだなって先生は思っている
「……さてさて、果たして『レイヴン』の名にふさわしいのかね」
「ちなみに『レイヴン』という名はACパイロットの事を指すけどな」
「……レイヴン君!?」
アリスとチャティに続き、レイヴンが入ってくる
「まだ『レイヴン』と名乗るにはレベル不足じゃないか?」
「うう、まだ先は長いみたいです……」
「まぁ、頑張れよ」
レイヴンはアリスにそう言い、ミカの方にむく
「1年ぶりかな、ミカ」
「久しぶりだね、レイヴン君……こんな形で会いたくはなかったけどね〜」
「それは同意見だ」
もっと違う形で会い、紅茶を飲みながらでも話したかった
そう思うレイヴンとミカ
「ミカ、1つ聞きたい……」
「なに?」
「セイアさんを襲撃したのも、あんたの指示だったんか?」
「セイアちゃん? あぁ……あはは、そうだよ、 あれも私の指示、だってセイアちゃんってば、いっつもへんな事ばっかりいって、楽園だの何だの……難しい事ばっかり並べ立てて、私のこと馬鹿にしてくるからさぁ」
「……」
「……けど勘違いしないでね?」
「……でも、ヘイローを破壊しろとはいっていないの、私は、人殺しなんか指示していない」
「……」
「ただ卒業するまで檻の中に閉じ込めて、ちょっとだけ窮屈な思いをさせてやろうって、そう思っただけなんだよ?でも……何でか、あぁなっちゃった」
「……」
顔を上げ、引き攣った笑みを浮かべたミカはアズサを見た
「それ以上は当事者に聞いた方が早いんじゃないかなぁ?ねぇ……白洲アズサ」
「ッ……!」
「何だか一部誤解があるみたいだし、私の代わりに説明してくれない?」
「………」
「セイアちゃんがさぁ、あんな事になっちゃったのが、ここまで事が大きくなった原因なんだよ?」
「……あの時からもう、色々な事がどうしようもなくなっちゃたわけだし……その辺、どう思う?」
アズサは言葉に詰まり、視線を伏せて銃を握り締める
その指先が、震える
その震える手を持つのは…他ならぬ親友のヒフミ
「ひ、ヒフミ…」
「大丈夫、大丈夫です……信じるって、決めましたから」
「………」
「……いいなぁアズサちゃんは……私と同じ裏切り者なのに……いいなぁ」
「……ミカ、今からでも遅くはない……引き返せ」
レイヴンは、ある人の約束を思い出しながらミカにそう言う
けれどミカは……聖園ミカは、止まる気は無い
「それは無理な相談かな……」
「どうしても……か……」
「そりゃそうじゃん……友達を裏切って、挙げ句殺しちゃって……自分について来てくれた人たちや、信頼してくれていた人を裏切って……今更、どうやって……」
「今更どんな顔して戻ればいいのさ!!」
「……」
「あ……ご、ごめん、こんなこと、君に言うことじゃないよね……うん、八つ当たりは、良くない」
レイヴンは確信した
ミカはもう、自分を止められない
止まれなくなってしまった……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……さーて、そろそろ続きやろっか☆」
「……へっ」
「そしてここからはね………本気だよ」
「……!」
突如として、ミカの気配が変わり、別の雰囲気が彼女から漂う
ネルは即座に戦闘体制に入り、ミカの目に視線を合わせた
「ハイヒールは……もういいや☆」
「(ハイヒールを捨てた……?)」
ミカはハイヒールを投げ捨てると、軽くジャンプを行う
先ほどよりも動きが軽くなり、上機嫌になっているミカ
「ふふ、私を本気にさせちゃうだなんて……」
「ね?」
「はっ?」
ミカはネルの真横に、一瞬で移動した
そのことに周りが驚いていたのも束の間
ドゴォッ!!
「グォ……!?」
ミカはネルに攻撃を当てたと同時に移動し、また別の角度から切り込む形で攻撃を仕掛ける
さらに攻撃を当てるたびに、威力とスピードを指数関数的に跳ね上げていき……
「アッハハハハ!!どうしたの〜?反撃、全く出来てないじゃん!!」
ネルをどんどん追い込んでいった、瞬間移動に等しい移動速度と攻撃速度で蹴りと殴りを組み合わせるミカに、ネルは遂に反撃を封殺され、防御とダメージコントロールに手一杯となる
ベギッ!バキッ!
その体からは、人間の肉体からは鳴ってはいけない音……骨格を、関節を、急所を、臓物を破壊し、容赦なく命を削る音が、絶えず響いていた
「い、一撃一撃の音が違う……あれでは……」
「……」
「……ネルちゃん」
ミカの猛攻を食い続けるネルは、防御を貫通するほどに威力を増した連撃の前に、腰、脇腹、鳩尾、肋、頭を打たれ、深刻なダメージを負っていく
「このままじゃ、何も出来ないまま負けちゃうよ?ほら!!」
「(ヤッベッ……)」
「これで……おし…まい!」
ミカは構えた脚に溢れんばかりの力と神秘と溜め、ネルの肋へ向かって蹴りを放った
ネルは両手のブレードでそれを防ごうとするものの、ミカの攻撃はほんの数秒ほど、ネルの防御より早かった
構えた両手をかすめた爪先がネルの胸部を捉え、心臓まで響く衝撃を伴った渾身の一撃が突き刺さる
攻撃を喰らったネルは、地面にぶつかりながら吹き飛び、壁へ激突した
「(あークッソ、骨何本かイったな……これ)」
「ふふっ、結構な数、骨をへし折った感触がしたね……しかも複数箇所⭐︎……あーあ、殴ったり蹴ったりしたところがいったいな〜?」
余裕そうに自分の足や手を見ながら、砂埃を払うミカ
ミカ自身に外傷はほとんど見えておらず……額が少し赤くなっている程度
「そんな……ネルちゃんが…ま、まけ……」
「負けてねぇよ」
「えっ?」
「先生、ネルのコールサインの意味を忘れたか?」
「『約束された勝利の象徴』だぞ?」
「……随分とこの子のことを信頼してるんだね、でも現実見ようよ」
「多分肋骨と……腕、それと足の骨にも深くヒビが入ってるはずだよね……例え骨が無事でも、筋肉だけで防げる攻撃じゃない、血管も神経もズタズタだよ? そんな状態で、まともに人が動けると思う?」
「確かに、普通なら動けねぇよなぁ」
「……なんで」
ネルは頭や腕から血を流していたが、傷を意に介さず、まるで何事もなかったかのような涼しい顔で立っている
「……骨折ったよね?」
「折られたな」
「ならなんで立ってるの?攻撃できたの?」
「……あたしの骨を折ったってほざいてたが……そっちは大丈夫か?」
「……なんのこと?」
「気づいていないのか?手と、足、違和感ねぇのか?」
「……んっ!?」
突然来る痛み
「何……これ……」
腕や足が切れ、血が流れ出る
「嘘、なんで……」
「あたしはずっと防御してた訳じゃあねぇ」
「あんたの見えないところで攻撃ぶち込んでいたんだよ」
実はネル、ミカの攻撃を受けた反動で、ブレードを振り、ミカに当てていた
殺意は乗っていないため、気づかれない
それにミカはハイになっていたため気づいていなかった
「……折れてる……嘘でしょ?神秘ってやつで、結構強化したと思ってるんだけど…」
骨折していた
完全に平等な条件から、再スタートだ
「さあ、第二ラウンドだ」
「……ッ」
「今度は……あたしの番だ!!」
ネルVSミカの対戦カードは見てみたい
とは言っても実際のところどちらが上なんでしょうね?
なんかネルってダウンギャンブル化してしまいましたが、まぁネルがノリノリならそれでいいでしょう