ACを作りたい少年とセミナー書記   作:雨垂れ石

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私は…………私は………!!


後悔していた

 

「アハッ☆……『あたしの番』? さっきまでボッコボコだった人の言うセリフ?」

 

「あぁ、漫画でもよくあるじゃねぇか、ボロボロ状態の主人公が覚醒して、相手を倒す展開がよぉ」

 

「主人公か……私は悪役かな?」

 

「少なくとも、悪役じゃないと思うがな」

 

「レイヴン君……なんでそう言えるの? ここまで何を聞いてたの?」

 

ボロボロながらも、互いに歩み寄って間合いに近づく2人

ミカは既に前腕と左下腿を骨折して左大腿骨にもヒビが走り始めており、対するネルは右第二肋骨を砕かれ、肋間筋と広背筋に重度の挫滅、左右の腓骨を損傷していた

 

「(右前腕……たぶん橈骨、左足は脛骨を骨折……か〜まあ、一戦分の我慢くらいはできるんだけどね)」

 

「骨……折ってしまったな」

 

「……あなただって重症のくせに……私は右腕と右足だけ、あなたは?」

 

「多分、右の第二肋骨が完全に折れちまって、心臓か肺に刺さりそう……腕と足は、ヒビが入っている程度だな」

 

「……こっちは折れてるのに、ずるくなーい?」

 

「体は頑丈な方だ」

 

「……ふーん……出血も止まってないくせに無理しちゃって」

 

「お互い様だろ」

 

骨折しているのに、ヒビが入っているのに、この2人は何故ここまで平然と立って、平然と話しているのか……ヒフミは、もはや理解と思考を諦めるしかなかった

 

「話を戻して……私が悪役じゃないってどういうこと?……これだけのことやってるのに?」

 

「その自覚がある時点で悪役じゃないと思うがな、悪いことをしてる自覚がある悪役って、そうそういない」

 

「……私が私の立てた計画に、罪悪感とか……自己嫌悪とか、心を痛めてるって思ってるの? もしそう思ってるなら、呆れるほど呑気だね☆」

 

「悪いか?好きなように生きて、好きなように死ぬ、誰の為でもなく、それが俺のやり方なんだけどな……」

 

「だが、呑気にやっていかないと、人生楽しくないんだよ、それに心が痛んでないか?……ならなんで……」

 

「俺を見た時、悲しそうな顔をしたんだ?」

 

「…ッ!」

 

「……今こう話している間も、悲しそうな顔をしているんだ?」

 

レイヴンがそう言った瞬間、ミカが前に飛び出し、言葉を強引に遮るために拳を放つ

ネルは割り込みブレードを振る

 

「てめぇ、殴る相手を間違えていんじゃねえよ……!」

 

「……うる……さいよ」

 

「…………」

 

「私は悪い子、魔女なの……だから、だから!」

 

ミカはもう一本の手で拳を作り、再度接近してレイヴンを黙らせるために拳を振るう

ネルはブレードをミカの拳を受け止める

 

「先生は……レイヴン君は、私を退治しないとダメなの⭐︎!」

 

「………」

 

「そして私は、レイヴン君や先生を倒さないといけない……だってそれが……悪役だもんね!」

 

ミカ距離を取り、高くジャンプし、ネルに向けて落下しながら足を振る

 

「オラッ!!」

 

ネルも、足のパイルバンカーを起動し、ミカに向けて蹴りを入れる

お互いの足がぶつかり合い、パイルバンカーの衝撃でミカは後ろへ飛ばされるが、普通に着地する

 

「………どうして!?」

 

ミカは、再びレイヴンに殴りかかる

ネルはミカの拳をブレードで弾き、ミカの身体に追撃を入れる

回避できなかったミカはブレードの連撃を受け、後ろに下がる

 

「なんで、見捨てないの⁉」

 

「………」

 

「ほっといてよ、詰なじってよ、文句の一つくらい浴びせてよ!!」

 

「……」

 

「そうじゃないと私……私は!……おかしく……なっちゃうよ…!」

 

ミカは、罪の意識と孤独に耐えかね、押し潰されそうになっていた

友を殺し、裏切り、傷つけたことへの罪悪感と後悔が、彼女の心を縛って離さない

 

魔女と言われ……自分が完全なる悪となり、レイヴン達に倒される……それならきっと楽になれただろう

 

けれど、レイヴンはミカを倒すのではなく、ミカを止めるために動いていた

ある人の約束の為に

 

「もういっそのこと…私を……1人にしてよ!友達なんて……いらないから……1人でも平気だから!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふざけるな」

 

 

 

「……ッ!?」

 

「1人にしてくれ?友達なんていらない?1人でも平気?……それでミカがこの先、普通に生きられるとは……絶対に思わない」

 

「くっ……!」

 

「1人がいい人はいる……俺だってそうだ、だがな、『孤独』とは違う1人でもいいのは、それでも幸せだって思える人生を生きられる人だけだ……少なくともミカは違う……違うはずだ」

 

「私のことを何も知らないくせに……なんでそんなこと言えるの!?」

 

「ミカ、1年前言ったよな、俺がキヴォトスの外で何をしていたのか」

 

これは……言ってもいいのだろうか……

いや、この際だ、少しぐらいならいいだろう

「俺は、外で学生をやっていてやらかしてやめたとか言ったな」

 

「あれは嘘なんだ」

 

「……俺は……学生なんかじゃない、ロボット技術者で働いていたんだ」

 

「……えっ?」

 

「自分の夢、『ACを作ること』を実現する為に、必死に勉強してロボット技術者なった」

 

「だが、『夢の見すぎだ』とか『技術の無駄』とか夢を馬鹿にされて続けてきて、辞めさせられたんだ」

 

「……」

 

「その後だって、俺は孤独だった、家族からは散々言われて縁を切って、友人も遠くへ行ってしまった」

 

「俺にはACがあった、だがそれは単なる誤魔化しに過ぎない」

 

「俺には、何も残ってなかったんだ」

 

夢を馬鹿にされ続けて、居場所も無くされた

外に出ても、俺の居場所なんてなかった……

 

「……俺は、誰も俺の様な事は経験させたくない」

 

「だから、ミカ、ある人の約束を果たす為に、君を助ける」

 

『孤独』そういう物を感じさせないためにも

悲しき顔から、決意を示す顔になったレイヴン

 

ミカはそれを見て……

 

「(……何も残ってない、それは違うよ、あなたにはまだある)」

 

「……あーあ……レイヴン君と私が同い年だったらなぁ……きっと、何か違ったのかも」

 

「……もうレイヴン君は止まらない……なら、私だって、もう止まらない」

 

ミカは立ち上がり、アリウス部隊を見回した……そして、指示を下す

 

「何をボーとしているの?早く補習授業部を制圧して」

 

「……了解」

 

「ミカ……」

 

「ごめんね……!色々言ってくれて嬉しいけど、もうこれしかないや!何が何でも……勝たないといけないから!!」

 

アリウス達は、俺たちに銃を向ける

 

「アリス、チャティ……」

 

『了解だ、ビジター』

 

「はい!アリス!戦闘態勢をとります!!」

 

チャティとアリスは、戦闘態勢になり、アリウス達を相手する

 

その時だった……

 

体育館外のどこからか、破壊音が鳴り響いた

その音の発生源は、響く轟音に交じる発砲音とマズルフラッシュとともに、次第に近づいている

 

「何、爆発……?」

 

『こ、此方チームⅧ!包囲部隊が攻撃を受け……ガァッ!?』

 

「……は、なに…?包囲部隊に攻撃?何で?ティーパーティーの戒厳令に背く人たちなんて、もう……」

 

「それは少々、甘い考えですよ……ミカさん」

 

唐突に、体育館の入り口から無数の弾列が飛来した

号令のもと、補習授業部達を外した的確な射撃がアリウス生たちを直撃する

ミカは、銃声が聞こえた方角へと振り向いた

 

「……歌住サクラコ」

 

「……夜分遅くに、随分と騒がしいではありませんか、ミカさん?」

 

凛とした姿、修道服に身を包んだ幾人もの生徒達

十字架に酷似したヘイローを輝かせながら、彼女達はアリウスの前に立ちはだかる

 

トリニティ総合学園、大聖堂に本部を置く一大派閥……

『シスターフッド』

 

彼女らが、増援にやってきた

 

「彼女達が……シスターフッド……」

 

「こうしてお会いするのは初めてですね、先生、シスターフッドを取り仕切っております、歌住サクラコと申します」

 

「やっと来たか」

 

「独立傭兵レイヴン……遅くなってしまい申し訳ありません、ここからは……我々が」

 

「今日も平和と安寧が、皆さんと共にありますように」

 

「すみません、お邪魔します……!」

 

歌住サクラコ、若葉わかばヒナタ、伊落マリー

シスターフッドを率いる三名が、自身の愛銃を構えて告げる

その宣言と同時に、百名余りの銃口がミカとアリウスを捉えた

 

「その傷……大丈夫ですか!?」

 

「美甘ネルさんですね、若葉ヒナタと申します……どうぞこちらへ」

 

以前顔を見た生徒であるマリーに加え、特徴的なカバンを手にしたシスター・若葉ヒナタの二人が、ネルに駆け寄る

 

「ティーパーティー・ホスト、聖園ミカさん、他のティーパーティー・ホストへの傷害教唆及び傷害未遂で、貴女の身柄を拘束いたします……そして、他学園の生徒への暴行及び傷害の容疑と併せて」

 

「……あはっ、流石にシスターフッドと戦うのは初めてだなぁ、今までずっと知らん振りを決め込んでいたのに、今更動くとか、どんな風の吹き回しかな?ホント、想定外だよ」

 

「……まぁ、どうせホストになったら大聖堂も、その周りの五月蠅い連中も掃除しようと思っていた所だし……うん、一気にやれるチャンスだと思う事にしようかな」

 

「……よし!それじゃあ、やれる所までやってみよっか♪」

 

「……あくまで、戦うつもりですか?この状況、自分の劣勢が分からない貴女ではない筈です」

 

「うん、そうかもね……でもさ……だからって諦められる筈なんてないんだよ、『もう嫌だ』なんて投げ出すことは、最初から許されなかった」

 

「結局最初から全部、こうなるしかなかった、私は行く所まで行くしか、ないんだから」

 

ミカは羽を広げ、ネルとの戦闘により穴が空いた体育館の天井、大口を開けたその上に広がる空を仰ぐ

 

「シスターフッドも、補習授業部も、先生も、全部薙ぎ倒して、私がティーパーティーのホストになる、そしてゲヘナを殲滅して、綺麗になったキヴォトスでアリウスと協力して、新しいトリニティを作るんだ……!」

 

「そんな事を、一体誰が望むと云うのですか……!?」

 

「私と、アリウスだよ、首長の私が発言すれば、パテル分派も味方になってくれるかもね?」

 

「けれど、そんな事は重要じゃない、誰が望むかなんて大切じゃないんだよ……大丈夫、ゲヘナが居なくなれば、きっと全部上手くいくから……きっと、そうなる筈だから」

 

「貴女はまだそんなことを…!」

 

「悪いけど……こうしなきゃ、私は私じゃいられない、これ以外に何も思いつかない、私は弱いからこうしないと自分を保てないんだ……先生、レイヴン君……ごめんね?」

 

臨戦態勢に入ったシスターフッドが銃口をミカに集中した瞬間

 

ミカが空に手を掲げる……

直後、ミカが手を翳した先……月明かりを隠していた雲の中で、何かが光を放った

その雲が次第に晴れていく中で、『何か』がこちらへ降ってくるのが……分かった

 

その場にいる全員が、その光景に戦慄した……

 

「嘘でしょ……隕石!?」

 

空から降ってきたのは、紛れもない隕石だった…着弾地点は、体育館だ

 

「な、な、なんですかあれぇぇぇぇ!!?!??」

 

「そんな、まさか……ミカさんが、あの隕石を降らせたというのですか…!?」

 

「あんなの降ってきたら、みんな死んじゃう!!ど、どこかに逃げないと…!?」

 

「神秘の力なのか……!?だとしても、規格外がすぎる!!」

 

「私達も巻き込んで、自滅する気なんですか!?」

 

「アッハハハハハ!!その通りだよ!もう、これしかない!!」

 

その隕石の大きさは、約10m

ミカは、残った神秘のほとんどを使い……自らの能力スキルを発揮して、隕石を降らせた

 

「これはどうするのかなぁ!?あれはもう止まらないよ?私の神秘を使い切ってまで顕現させたんだもん!!」

 

「当然、この状況じゃ誰一人、加害半径ダメージレンジからは逃げられない……そして何より、私はここから動かない!!」

 

「まあ、みんなを逃がして、最低限生き永らえさせるかもね……けど私は絶対に無理!さあ、どうするの!?先生は生徒の皆を守るんでしょ!?この状況で守りきれる!?私が死んじゃったらパデル派はどんな動きをするのかな!!アッハハハハハ!」

 

ミカは自滅する気満々だった……

自分が死ねば、パデル派はリーダーを手に掛けたと思い、反乱を起こす可能性がある

 

この隕石がまともに喰らえれば、いくらキヴォトスの人でも、タダではすまない

それをここにいる全員が理解し、慌てている

だが……

 

たった一人だけ、平然を装っている

 

「……あのサイズだと……そうだな」

 

「レイヴン君!?何をやってるの、早く逃げないと!?」

 

「アッハハハハ!レイヴン君も自滅する気なんだね!」

 

「いや、別にあれならぶっ壊せると思って

 

「……えっ?」

 

「確かに生身では厳しいだろうが……俺達にはACがある」

 

「……さぁ、派手にやっちまいな、ラスティ!!

 

手に持っている無線に叫ぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ……任せろ!!戦友!!!」

 

 

 

 

 

 

「EMLモジュール全点接続……」

 

《不明なユニットが接続されました》

 

「エネルギータービン全開……出力80……90……」

 

《システムに深刻な障害が発生しています》

 

「緊急弁全閉鎖……リミッター解除!!」

 

《直ちに使用を停止してください》

 

「『HUGE CANNON』最大出力!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで決める……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

HUGE CANNONから放たれた弾頭は、ミカの隕石に当たり

大爆破を起こし隕石はバラバラに砕け散った

 

 

 

「ふう、腕は訛ってないようだ……」

 

「しかし、この『HUGE CANNON』……本当に馬鹿げた兵器だな」

 

ミカの隕石を狙撃したラスティは、安堵し、そういう

 

オーバードウェポンを使用した事により、スティールヘイズの負荷がかなりヤバくなっている

 

ジジジジ……

 

「ん?」

 

 

HUGE CANNONは火花を出し、煙が上がっている

 

「……まずい!」

 

すぐにパージをして、距離をとる

 

ドカアアアアアン!!

 

「……さすがに耐えれないか」

 

まだ試作のオーバードウェポン

しかし火力は本物に値するほとんどだった

 

 

 

 

 

 

「…………………………………………………………」

 

「サ、サクラコ様の目が完全に開いている…!?こんなに大きく開眼してるところ、初めて見た……!」

 

「驚きすぎて、何も言えなくなっている……!」

 

「レ……レイヴン君……今の、なんなの?」

 

「『HUGE CANNON』遠距離攻撃用の超大口径多薬室砲。右肩に砲身、左肩にジェネレータを装備、超高速で核弾頭を発射するとち狂った兵器

 

「凄まじい弾速と威力を持ち、爆風も発生するので当たったらもちろん『避けても相手は死ぬ』

 

「絶対に生徒には使わないでね!?」

 

「……………善処はする」

 

「……………………………………」

 

 

 

「信じられない……ありえない……」

 

「レイヴン君!貴方はなんなの!?」

 

「ACを心から愛している傭兵(レイヴン)だ」

 

 

「…ハ……ハハ……ハハハッ…」

 

そして隕石を降らせたミカは、絶望していた……自分の中にある力のほとんどを使い隕石を降らしたのにも関わらず

レイヴンが開発した兵器によって簡単に破壊された

 

敗北、認めたくなかった失敗、それが自分の体にひしひしと伝わり……笑い声も出てしまう

 

「ミカ……次は、なんだ?」

 

「ッ!」

 

「なんでもいいぞ……どんな手を使っても、どんな手段を使っても……俺達はACを使って止める」

 

「……ッ!!」

 

「それとも……もう、終わりにするか?」

 

「……」

 

 

「……うああああああッ!!」

 

「レイヴン!避けろ!!」

 

焦り、恐怖、溜まりに溜まったその感情に身を任せて飛び出したミカは、レイヴンの顔に向かって拳を放つ

彼は、生身での戦闘は素人当然

誰もが避けると思っていた……だが……

 

 

ドゴォ!!

 

 

受け止めなかった

彼はコーラルを放出し、パルスアーマーを生成してミカの拳を防いだ

 

 

ミカは、滲む視界の中でぼやけるレイヴンに拳を振るう

だが、全てパルスアーマーによって防がれるが

依然として、レイヴンは何もしない

普通なら反撃できる場面だ、たがレイヴンは何もしない

ただただ、その身に降りかかる暴力を許す

ミカを押し潰す恐怖を、孤独を、拳を介して吐き出させている

 

「ねぇ!なんで反撃しないの!」

 

「……」

 

「シールドで防いでいるんでしょ!なら攻撃出来るじゃん!!」

 

「………」

 

「黙ってないでないか言ってよ!!」

 

「さっきから、ずっと……言ってるよね!??私は悪い子だって!!悪役だって!もう戻れないって!!!」

 

『レイヴン!離れてください!このままではパルスアーマーが……!』

 

エアにそう言われるが、それでもなお動かず何もしない

ミカの拳がパルスアーマーに当たり、コーラルが飛び散っている

 

「なんで、なんで反撃しないの……!?シールドで守られているなら!」

 

「おそらくレイヴンさんは、ミカさんの気持ちを……全てここで、吐き出させるおつもりなのでしょう」

 

「溜まっているものを全て、自分自身で発散させている……言い方を変えれば……」

 

「人間サンドバッグ……か」

 

ミカは止まらず、レイヴンに殴りかかる

こんな長時間も殴り続ければ、パルスアーマーの耐久値も減る

だが、それでもレイヴンは動かない

 

その時

 

バチッ!!

 

ついにパルスアーマーガ剥がれ、レイヴンに攻撃が通るようになってしまった

 

『レイヴン!!』

 

ミカはそのまま手を……レイヴンの胸ぐらをつかみ

そのまま押し倒し、馬乗りになるようにまたがる、咄嗟にシスターフッドやネルが動き出そうになったが……

 

バチバチバチバチ……

 

レイヴンはパルスプロテクションを発動させ、ミカとレイヴンを囲う

 

「何を、やっているの、これだと私がレイヴンを攻撃した時……」

 

「……ミカを守るためだ」

 

「……なんで、そこまで、レイヴン君はまだ私が戻れるって、本当にそう思うの!?」

 

「……あぁ」

 

「……優しい……なぁ……ホントに……でもレイヴン君がそうでも、周りはどう感じると思う!?」

 

「俺達が何とかする」

 

「……ナギちゃんは、きっと……私を許してくれないよ」

 

「それは無いな、ナギサはミカの良き友人だから……」

 

「なら……騙された正義実現委員会は?そこのシスターフッドは?公会議は?フィリウス派やサンクトゥス派はそれで納得するの!!?」

 

「先生と俺達が何とかするさ」

 

「……何で、そこまで私を気に掛けてくれるの?……なんでみんなを傷つけた私にそこまで言ってくれるの?……なんで……なんで、なんで!!」

 

「なんで……どうして………」

 

ポツリポツリと、ミカは涙を流す

レイヴンは、体を起こし、ミカと視線を合わせ

手を伸ばし、頭を撫でる

 

「なんでか……それはミカは俺の友人だからだよ」

 

「えっ……」

 

「それに、ある人との約束だからな」

 

「……ある人って……誰なの……」

 

「ミカのよく知っている人だ……なっ?セイアさん

 

「えっ?」

 

パルスプロテクションを解除し、俺はある方向に目線を移す

ミカがその方へ見ると……

 

ありえない

あの時、死んだと思っていたはずの友人がそこにいたのだ

 

「全く、君っていう人はこうも騒ぎ起こすのが得意だね」

 

「……あ……あぁ……」

 

ミカは大粒の涙を流し、セイアを見る

 

「セイア……ちゃん……どう……して……」

 

「殺されたって……聞いたのに……」

 

「殺されてはいないさ、この通り生きている」

 

「確かに、私はあの時襲撃されて、ヘイローを破壊されかけたが、何とか生きて夢の世界に閉じこもってたって言った方がいいのかね」

 

「……本来は、もう少し後になってから目覚めようかと思っていたが」

 

「レイヴンに心を動かされてね、レイヴンにお願いしたのさ」

 

「君を助けてって」

 

「……あぁ……あああ……」

 

セイアさんはミカの所に寄り、優しい口調で言う

 

「君のやった事は間違っていた、だが……前のように君たちと仲良く紅茶を飲みながら話せるように、私は全力を尽くすよ」

 

「だから、ミカ……ゆっくり休んでくれ」

 

ミカは、誰も殺してなどいなかった

 

ミカは、人殺しの重みを、罪を、背負ってなどいなかった

 

ミカは友人を……失ってはいなかった

 

「ごめ…ん…ごめんね…!!ぐすっ、ぐすっ……こん…な、にぃ…しちゃ……ってぇ…ひぐっ」

 

「……気にしてなんかないさ」

 

「こんなはず…じゃ…えぐっ…なかっ…たの…!」

 

「……本当に、殺すつもりなんてなかったの…!」

 

「……それは、わかっている」

 

「……は、ぁぅ、ぁ、ぅああ……あああぁッ……!」

 

我慢の限界だったミカは泣き叫びながら、レイヴンの体に飛び込み、抱きつく

ミカは、堰を切ったように、これまで逃れられなかった苦痛を吐き出すように、体育館に響き渡る声で泣いた

 

レイヴンは、少し戸惑いながらも、優しく頭を撫でる

 

「……思う存分泣けばいい、涙を流すって事はそれだけ思いがある」

 

セイアも、ミカの所により、優しく背中をさする

 

「……レイヴンの言う通りだ、泣いても恥ずかしくはないからな」

 

そのままミカは、子供のように泣き続けた

 

「……我々の、勝利です」

 

「や、やった……やった、やったぁぁぁぁーっ!!やりましたぁぁぁ!!」

 

「やった〜〜〜〜!!」

 

「ヤッタ……!!」

 

ハナコが勝利宣言した瞬間、ヒフミ達は歓喜の声を上げながらに飛び跳ねるしばらく泣き続けていたミカは、そんな様子を見て、レイヴンに呼びかける

 

「行ってあげて……」

 

「……だが」

 

「もう大丈夫だから……ありがとう」

 

「……あぁ」

 

レイヴンはミカから離れ、ヒフミ達の元へと歩く

座っているミカの元に、アリウスの生徒達がやって来る

 

「……聖園ミカ」

 

「アハハッ…ごめんねみんな………負けちゃった……このあとは、好きに」

 

「我々は……シャーレの先生、レイヴンに投降する」

 

「……え?」

 

「あんな兵器を見せられて、戦う気力が無くなった」

 

「そ、それはそうだけど……いいの?」

 

「……このまま帰っても、どうせ死ぬだけだ、なら……大人しく、牢に入っていたほうがいい」

 

「尋問とか……すごいよ?うち」

 

「どうせ、我々は大した情報を持っていない」

 

そう言ってアリウス生徒達は武器を地面に捨て、セイアの方を向き、ミカの近くへと座る

 

「……百合園セイア………今更、許してくれとは言わない……けど、これだけはわかってくれ……我々も…やらなければ……」

 

「それは重々理解している、君たちを咎める事はない」

 

「………手引きしたのは私、手を下したのはそっち……どっちも悪いよ」

 

「………『レイヴン』……か」

 

「?」

 

「自由意志を表す一種の思想・象徴」

 

「何もかもを黒く焼き尽くす、死を告げる鳥」

 

「……どちららにしろ……彼と先生なら……アリウスを助けてくれるかもしれないな」

 

「そうだね……」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「勝ちましたね!」

 

一方レイヴンサイド

勝利した事を補習授業部のみんなで祝ってた

 

「……あぁ、何とかなったな」

 

「あの、レイヴンさん」

 

ハナコがもの言いずらそうに言う

 

「レイヴンさんって……キヴォトス外では……大人だったんですか?」

 

「……違うぞ?」

 

「えっ?でもロボット技術者として働いていたって……」

 

「あれは、嘘だ、ミカの気持ちを揺さぶるための」

 

いいえ嘘ではありません

完全に外では大人でした

でも、それは絶対に言わない

言えるわけが無い

 

「まぁでも……夢を馬鹿にされてきたのは本当だ

 

「………」

 

「……それより、試験は大丈夫か?」

 

「あっ、そうでしたね!」

 

「急いでむかわなきゃ!」

 

「……あぁ……急いで………………………」

 

次の瞬間、レイヴンは力無く倒れた

 

「レイヴン君!?」

 

「レイヴンさん!しっかりしてください!!」

 

「うわーん!レイヴンさんが、屍になってしまいました!!」

 

「物騒な事言わないでアリスちゃん!?」

 

急にレイヴンが倒れた事によりあたふたしている中

 

『大丈夫だ』

 

「チャティ?」

 

『ビジターは重度のコーラル不足で気を失っているだけだ、じきに目覚める』

 

「そうですか!良かった……」

 

『ここは、俺とアリスに任せろ、先生達は急げ』

「あっそうだね、チャティ!任せたよ!!」

 

そうして、先生は補習授業部のみんなを連れて、試験会場へと向かった

 

『……お疲れ様だ、ビジター』

 

「……ったく……心配されるのは私だろ……」

 

ネルはシスターフッドに治療されながらそう言う

 

『……確かに、心配するのはネルだと思うが、最優先はビジターだ』

 

「……主には絶対ね……よくできた忠犬だ」

 

『…………俺にはボスがいる、ビジターはビジターだ』

 

「そうかい、とりあえず、病室まで連れて行ってくれ、動けそうにもねぇ」

 

ネルがそう言った時、体育館に他のC&Cのメンバーとラスティが入ってくる

 

「終わりましたか……リーダー……その傷は……」

 

「かなり食らっちまった、すまねぇが病室まで運んで行ってくれるか?」

 

「えぇ、わかりました」

 

アカネは、ネルをヒョイっと持ち上げ、歩いていく

 

アスナは、急いでレイヴンの所に駆け寄る

 

「チャティ!レイヴン君は大丈夫なの!?」

 

『大丈夫だ、疲れて寝ているだけだ』

 

「……そっか……良かった〜」

 

チャティも、レイヴンを病室まで運んで行く

 

 

 

 

 




ネルVSミカの第2ラウンドは?
あぁ……レイヴンとラスティが全部持っていったよ

サラッとレイヴン、オーバードウェポンを開発しているの怖くね?
そして……はい、ミカの脳を焼きました
本当にレイヴンは罪な男や

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総合評価:1151/評価:6.38/連載:62話/更新日時:2026年07月05日(日) 00:10 小説情報

楽しい銃社会の生き抜き方(作者:WEVE)(原作:ブルーアーカイブ)

ミレニアムサイエンススクールに所属するキヴォトス唯一の男子生徒『居待(イマチ) ウツキ』がなんやかんやありながら学園生活を満喫(?)する話▼今後必須以外タグ追加の可能性があるので苦手な方はブラウザバックを推奨してます▼大体許せるよって方は是非読んでいってください!


総合評価:381/評価:6.56/連載:36話/更新日時:2026年07月07日(火) 15:30 小説情報

夢を見ているだけの『反転』少年(作者:歯茎king)(原作:ブルーアーカイブ)

ブルアカ世界に反転した生徒を生み出しました▼もともとヘイローを持っていなかったが、突然自身にヘイローが身についた!▼そんな少年がいろいろなトラブル・事件に巻き込まれたり、巻き込まれに行ったり…▼ちょびっと不憫な少年の物語▼そんな少年は今日も夢を見る▼P.S.▼最後まで男か女かで迷ってました


総合評価:476/評価:6.5/連載:14話/更新日時:2026年06月29日(月) 12:10 小説情報

キヴォトスでひっそりと生きる少年(作者:オーバジン)(原作:ブルーアーカイブ)

ブラックマーケットの奥の方には一つの飲食店が営まれている。そこには一人の少年がひっそりと暮らして生きている。少年は周りの優しい大人の手を借りながら生きていて、最近ようやく一人で過ごせるぐらいになった。▼そんなキヴォトスで暮らす少年の生活を覗いてみようじゃありませんか。


総合評価:264/評価:7.5/連載:3話/更新日時:2026年07月05日(日) 03:20 小説情報

青い空と赤い星(作者:(눈_눈))(原作:ブルーアーカイブ)

一般男子高校生が死んで目が覚めたらバルファルクの力を持ってキヴォトスにいた。▼なおオリ主の身体能力は古龍の謎パワーでキヴォトスの中でも上澄み、なおかつ体もバカ硬い。▼毎日22時更新してます。


総合評価:622/評価:7.69/連載:17話/更新日時:2026年06月18日(木) 22:00 小説情報


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