転生したらスライムだった件 × ELDEN RING:惨劇編   作:願望ちゃんねる

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ローデイルの騎士

「……報告します。テンペスト北西、ジュラの大森林境界線上に、未確認の重装騎士団が出現。その数、およそ五十」

ソウエイの報告に、リムルの眉が跳ねた。

「騎士団? ファルムスの生き残りか、それとも西側諸国評議会の刺客か?」

「いえ……彼らは一切の敵意を見せず、ただ、押し寄せる『黄金の魔獣』たちの前に立ち塞がっています。その戦い様は、我々の知るいかなる軍勢とも異なります」

リムルが現地へ転移した時、そこは既に地獄と化していた。

空を裂き、大地を焼くのは、エルデンリングの世界から漏れ出した狂気——「指に見えぬ獣」の群れだ。テンペストの警備隊が苦戦を強いられる中、その「壁」は黄金の輝きを放っていた。

「引くな! 我らが背には、未だ芽吹かぬ命がある!」

号令と共に、黄金の鎧に身を包んだ騎士たちが一斉に一歩を踏み出す。

ローデイル騎士——かつて黄金樹の都を守護した精鋭たちだ。

彼らの戦術は特異だった。リムルが知る騎士道とは、鋭い剣で敵を討つこと。しかし、彼らは違った。

「剣より先に、まず盾を構えよ」

その大盾のフレーバーテキストに刻まれた古き教えの通り、彼らはまず巨大な黄金の盾を掲げ、敵の猛攻を正面から受け止める。

凄まじい衝撃波が森を揺らすが、彼らの陣形は微塵も揺るがない。

守るべきもののために、自らを不動の楔とする。その精神性は、どこかテンペストの面々と通ずるものがあった。

「お前ら、加勢するぞ!」

リムルの号令でベニマルたちが動こうとしたその時、ローデイル騎士の一人が振り返った。その兜の奥で、静かな意志が燃えている。

「魔王よ、案ずるな。我らは黄金樹の守り手。この地が我らが故郷に似ているならば、それを守る理由として十分だ」

彼は再び前を向き、雷を纏った槍を突き出した。

盾で防ぎ、耐え、敵の勢いが削がれた瞬間にのみ放たれる鋭い一撃。

それは、凄惨な侵蝕が続くこの「惨劇編」において、初めて見えた希望の光だった。

「……かっこいいじゃねーか。あいつら、うちの聖騎士団(ホーリーナイツ)にも見せてやりたいな」

リムルは呟き、暴食之王(ベルゼビュート)を発動させる。

黄金の盾が作る安息圏。その内側から、反撃の狼煙が上がった。

 

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「馬鹿な……何なのだ、あの黄金の壁は!」

ファルムス王国の連合軍、そして西方聖教会の司祭たちは、目の前の光景に戦慄していた。

テンペストの住民を蹂躙し、魔物の国を灰にするはずだった彼らの進軍は、わずか五十名足らずの騎士たちによって完全に阻止されていたのだ。

彼らは魔法の矢を射かけても、重騎士の突撃を敢行しても、ただの一歩も退かない。

むしろ、攻撃を加えれば加えるほど、その巨大な黄金の盾は神々しさを増していく。

「退け! 邪魔だ、出来損ないの亜人どもめ!」

聖教会の騎士が叫び、霊銀の剣を叩きつける。だが、ローデイル騎士は一言も発せず、ただ「剣より先に、まず盾を構える」という狂信的なまでの鉄則を遂行していた。

その沈黙は、攻め手にとって死の宣告よりも恐ろしかった。

盾の隙間から覗く彼らの双眸は、敵対者を「倒すべき敵」としてすら見ていない。ただ、背後にある避難民という「守るべき芽」を守護する、不動の彫像のごとき意志。

やがて、ソウエイの影から合図の狼煙が上がった。

——住民の避難、完了。

その瞬間、戦場の空気が一変した。

それまで岩のように静止していた黄金の騎士たちの肩が、わずかに動く。

「……時が来た。我らが使命、防衛の刻(とき)は終わりだ」

先頭に立つ騎士が、腰に佩いた「ローデイルの騎士剣」をゆっくりと引き抜いた。

その刀身には、彼らが信仰する黄金樹の輝きが宿り、雷光がパチパチと火花を散らす。

「貴様ら、何を——」

絶望に顔を歪めるファルムス兵の言葉は、雷鳴にかき消された。

「これよりは、黄金の怒りを知れ」

それまで「盾」であった者たちが、一転して「雷霆」と化した。

構えられた剣から放たれるのは、古き竜の信仰に基づいた黄金の雷。

盾による徹底した防御で敵のスタミナと戦意を削りきった直後、最も無防備になった喉元へ、神速の刺突が突き立てられる。

避難が終わるまで、彼らは一歩も引かなかった。

そして避難が終わった今、彼らの前を塞ぐものは、ただの「排除すべき障害」に過ぎなかった。

戦場に響き渡るのは、肉を裂く音ではなく、天から降り注ぐ雷の轟音。

鉄壁の守護の後に訪れたのは、一方的なまでの蹂躙——。

リムルですら息を呑む、完成された「守護者の戦法」がそこにあった。

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