転生したらスライムだった件 × ELDEN RING:惨劇編 作:願望ちゃんねる
「……来たか。救いようのない、愚か者共が」
テンペストの東方境界。地平線を埋め尽くすのは、ファルムス王国が再編した数千の傭兵団と、異世界の狂気に侵された「指に見えぬ獣」の混成部隊だ。対するは、わずか数百の「ジュラ・テンペスト騎士団」。
「総員、構え。——剣より先に、まず盾を」
ローデイル騎士団長の号令が響く。進化した彼らの大盾は、リムルの魔素を受けて白銀と黄金の混じり合う神々しい輝きを放っていた。
敵軍の魔導師たちが一斉に火炎魔法を放つ。空を焦がす熱線の雨。しかし、騎士団は微動だにしない。
「『黄金樹の守り』——否。今は『嵐の守護』よ!」
大盾を合わせた重装歩兵の陣形から、半透明な嵐の障壁が展開される。着弾の衝撃をすべて無効化し、爆炎は文字通り「盾」に弾かれて霧散した。
「次は我らの番だ! カッコウの魔術、赤獅子の炎を以て応えよ!」
盾の隙間から、カッコウの騎士たちが輝石の杖を掲げる。放たれるのは、テンペストの魔石技術で強化された「大輝石の彗星」。さらに赤獅子の兵たちが放つ、重力魔法を帯びた火矢が敵陣のど真ん中で爆発した。
防御は鉄壁、攻撃は苛烈。
敵軍が混乱に陥ったその瞬間、陣形が左右に割れた。
「嵐の足跡を以て、逆賊を討て!」
中心から飛び出したのは、風を纏った失地騎士と、雷を帯びた剣を振るうローデイル騎士の突撃部隊だ。
彼らはもはやバラバラの軍勢ではない。盾が敵のスタミナを削り、魔術が退路を断ち、最後は「嵐」がすべてを薙ぎ払う。
「ひ、卑怯だ! こんな戦い方があるか!」
絶望に叫ぶ敵将の前に、騎士団長が立つ。
「我らは盾を掲げる。愛すべき日々と、我らを『人』として迎えた王を守るために。貴公らの野心など、この壁を穿つにはあまりに軽い」
一閃。黄金の雷霆が戦場を貫き、侵略者の野望は灰へと帰した。
惨劇の暗雲を切り裂くような、新生騎士団による圧倒的な初陣の勝利だった。
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聖教会の戦慄と、嵐の夜の祝祭
「……報告は以上です。ファルムス連合軍、および我が教会の派遣部隊は、文字通り『消失』しました」
西方聖教会の秘密会議場。報告を行う伝令の声は、隠しきれない震えに満ちていた。
枢機卿たちは、手元の水晶板に映し出された戦場の惨状を直視できずにいた。そこにあるのは、蹂躙という言葉すら生温い、完全なる「拒絶」の跡。
「あり得ん……。あの重装歩兵の陣形、そしてあの黄金の雷。まるで古い伝承に語られる、神の都を守護したという『神の盾』そのものではないか」
「魔王の元に、あのような気高き騎士団が集うなど……。奴は魔物だけではなく、失われた神話の断片までもを掌握したというのか」
彼らが抱いたのは、単なる敗北感ではない。自分たちが掲げる「正義」よりも、さらに古く、重厚な「騎士道」を突きつけられたことへの根源的な恐怖。
聖教会は、ジュラ・テンペスト騎士団を『神の盾の再来』と定義し、対魔王戦略の根本的な修正を余儀なくされた。もはや、生半可な戦力ではあの黄金の壁を傷つけることすら叶わないのだ。
一方、その「神の盾」と恐れられた当人たちは、全く異なる空気の中にいた。
「お帰りなさい! ジュラ・テンペスト騎士団!」
「すごい、怪我一つしてないなんて!」
テンペストの門を潜る騎士たちを、溢れんばかりの住民たちが歓声で迎えた。
かつて狭間の地で「亡霊」や「敗残兵」と呼ばれ、主を失い彷徨っていた彼らにとって、これほど温かな眼差しは初めての経験だった。
「……おい、ローデイルの。兜を脱げ。そんな強面のままでは、子供たちが怖がるぞ」
失地騎士が笑いながら、隣を歩く騎士団長の肩を叩く。
「ふん、余計なお世話だ。……だが、そうだな」
騎士団長が兜を外すと、そこには少し照れくさそうに微笑む一人の男の顔があった。
その夜、街はかつてない規模の祝杯に沸いた。
「さあ、みんな飲んでくれ! 今日は俺の奢りだ!」
リムルの景気のいい声と共に、最高級の酒が次々と運ばれてくる。
「……信じられんな。戦いの後に、これほど穏やかな風が吹くとは」
赤獅子の騎士は、ゴブリンの子供たちに自分の大弓を見せびらかしながら、名酒を喉に流し込む。
隣では貴腐騎士たちが、シュナ特製の薬膳料理を「腐敗の苦しみが和らぐようだ」と涙ぐみながら口にしていた。
「騎士団長、あんたたちの盾、本当に凄かったぜ。うちの連中も刺激を受けてる」
ベニマルが杯を差し出すと、騎士団長はしっかりとそれを受け、打ち鳴らした。
「リムル様。我らが盾は、もはや石の都を守るためのものではございませぬ。この温かな喧騒を、この笑顔を守るための『壁』。……それこそが、我らが新たな誇りです」
黄金の鎧が、街の灯火を受けて柔らかく輝く。
惨劇編という過酷な時代において、テンペストは今、狭間の地の強者たちという最強の守護者を得て、不落の要塞へと変貌を遂げたのだった。
一方、その「神の盾」と恐れられた当人たちは、全く異なる空気の中にいた。
「お帰りなさい! ジュラ・テンペスト騎士団!」
「すごい、怪我一つしてないなんて!」
テンペストの門を潜る騎士たちを、溢れんばかりの住民たちが歓声で迎えた。
かつて狭間の地で「亡霊」や「敗残兵」と呼ばれ、主を失い彷徨っていた彼らにとって、これほど温かな眼差しは初めての経験だった。
「……おい、ローデイルの。兜を脱げ。そんな強面のままでは、子供たちが怖がるぞ」
失地騎士が笑いながら、隣を歩く騎士団長の肩を叩く。
「ふん、余計なお世話だ。……だが、そうだな」
騎士団長が兜を外すと、そこには少し照れくさそうに微笑む一人の男の顔があった。
その夜、街はかつてない規模の祝杯に沸いた。
「さあ、みんな飲んでくれ! 今日は俺の奢りだ!」
リムルの景気のいい声と共に、最高級の酒が次々と運ばれてくる。
「……信じられんな。戦いの後に、これほど穏やかな風が吹くとは」
赤獅子の騎士は、ゴブリンの子供たちに自分の大弓を見せびらかしながら、名酒を喉に流し込む。
隣では貴腐騎士たちが、シュナ特製の薬膳料理を「腐敗の苦しみが和らぐようだ」と涙ぐみながら口にしていた。
「騎士団長、あんたたちの盾、本当に凄かったぜ。うちの連中も刺激を受けてる」
ベニマルが杯を差し出すと、騎士団長はしっかりとそれを受け、打ち鳴らした。
「リムル様。我らが盾は、もはや石の都を守るためのものではございませぬ。この温かな喧騒を、この笑顔を守るための『壁』。……それこそが、我らが新たな誇りです」
黄金の鎧が、街の灯火を受けて柔らかく輝く。
惨劇編という過酷な時代において、テンペストは今、狭間の地の強者たちという最強の守護者を得て、不落の要塞へと変貌を遂げたのだった。