「おい、そこの君?君だよ君」
何も無いまっさらな空間、そこに気が付けば私はいた。
いや、何も無いは少し違うな…
とても大きな扉と、白い人のような影があった。
そしてその影が私になにか言っている。
仕方ないし私もなにか返答しよう。
「誰?あなたは…」
「私は君たちが神と呼ぶ存在…私はあるいは世界、あるいは星、あるいは宇宙、あるいは全、あるいは一、そしてあるいは君だ…」
何を言っているかさっぱり解らない、この白い影は…
「第一私はどうしてここに居るの?」
「君は覚えていないのかい?君は生け贄にされたのさ…『賢者の石』のね…」
「は?」
白い影は答えた。
賢者の石、それはおとぎ話などで出てくる不思議な石。
あるいは不死身の力を手に入れたり、あるいはどんな物でも造り出すことができたり…
とにかく、不思議な石らしい。
それの生け贄?私が?てか生け贄ってなに?
「可愛そうに、とでも言うと思ってるのかなぁ?まあ、取り合えず概要だけ言うよ」
そう、白い影が説明し始めた。
「『賢者の石』の作製には人間の魂が必要だ、それも一つや二つでは足りない。最低でも五つの魂が必要だ。つまり強力な『賢者の石』を造ろうと思えば、それだけの魂が必要だ。そのために君は生け贄にされたと言っていいね、おk?」
「おk、つまり…私死んだ?」
白い影が頷いた。
嘘…私死んだの?嘘だ、私まだしたいこと沢山あるのに!
嘘だ嘘だ嘘だ!!
「嫌、イヤァ!!」
「まあこうなると思っていたよ、大丈夫だよ、転生させてあげるから」
そんな…私…え?
「本当…つまり、私生き返れる?」
「転生の意味が解っているなら話が早い、助かるよ。良いかい?本当なら君は『賢者の石』にされ死ぬことはなく、『賢者の石』のエネルギー原の一つにされ、魂が擦りきれるまで酷使され、そして死後の世界の門…つまりここに来ることもなく、この世界から消えてしまう筈だったんだ。ところが君はここに私が気が付いたらいた。」
「つまり…どういうこと?」
「イレギュラー、君はね。そしてこうなった以上普通に死後の世界に送るわけにもいかない。そのため君には転生してもらい、普通に死んだ後にもう一度来てもらうってことだ」
つまり…
①賢者の石の材料にされた
②普通なら賢者の石にされた時点でガメオベラ
③何故か私はここに居る
④イレギュラーだから死後の世界に遅れない
⑤結果、転生させたあと死んでもらって死後の世界に送る
でいいのかな?
「その解釈でいいよ、あと心読めるから声に出さなくても解るよ大体」
ツッこませてくれない…理不尽だ。
「ご勝手にどうぞ、さてと…君には私の趣味でだけどもそう簡単に今度は死なない体にしてあげるよ。そっちの方が見てるこっちも楽しめそうだしね」
白い影は何かとても楽しそうな口調でそう言った。
なんか勝手に決められてる…不安だ…。
まあ良いか…どうせ私は元の世界ではなく、別のファアンタジー的な世界に放り込まれるんでしょう。
二次小説とかだったら、こういう展開あり得そうだし。
私、二次小説や虹小説大好きだし…
自分が受けるはめになるとは思ってなかったけど…
「よし!じゃあ君には特別に『ワタシ』の力を全て貸してあげよう!ついでに『賢者の石』の力もね…容姿はそうだな…そこら辺の神達のゲームや漫画から持ってくるか」
ますますなんか物騒な言葉が聞こえてきた…不安でしかない。
「う~時代と世界はそうだな…リリカルなのはのと言う物の世界で、超古代でいっか…面白そうだし」
白い影はニマッと笑った。
瞬間私の背中に強烈な悪寒が走る。
つい私は後ろを見てしまった、そこには白い影の後ろにある大きな扉と同じものが、いつの間にかあって、それが開いていて…
ギョロッと扉の中から白黒の瞳が艶かしく輝いた。
「ひっ!!な、何これ!やだ止めて止めてぇ!!」
そして扉から黒色の、黒色の手が手が私を掴んで、私を扉に引きずり込もうとする。
恐い、恐い!やだ、やだよ恐いよ…何なのよこれ!!
「ああ、安心して…君を向こうへ返す扉だから、さあ…君の新しい物語を私に見せてくれ…」
「た、たすけ…て」
「あ、そうだ…君は生まれ変わるわけだから、新しい名前を君にはあげるよ…『ルナ』、『ルナ・ホーエンハイム』何てどうかな?」
それが私が聴いた最後の声だった。
そのまま、私の意識はゆっくりと…飲み込まれるように、闇に溶けていった。