賢者にされた少女の見聞録   作:エーベルヴァイン

2 / 2
#2 いきなりの自滅、1回目の死亡!?

目が覚めると、そこは見渡す限りの砂漠でした。

これが私が体感した生まれ変わった世界だった。

……ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑ!?

ちょ、おま!?

一体…どうしたと言うのだこの光景。

見渡す限りの砂、砂、砂。

いや一ヶ所だけ四角形の建物らしきものがあるね…あれに人が住んでいると良いけど…

て言うか神様(?)、いきなりこんなところとか死ねと言うのですかぁ!!

四角の建物までの距離もかなりありそうだし…どうしよう。

お、お助けください神様!!

お助けください!

 

ー錬金術使えるから砂で何か創ってみたら?ー

 

ヘェア!?なんか声が聞こえた!

と言うよりも錬金術?

何よそれ?あれ…何か…頭の中に記憶が……

念じるだけ…念じるだけで発動する?

そう考えた瞬間、私の目の前の砂が急に爆発し、ある物の形作りを始める。

それは…。

「サーフボード?」

そう、サーフボードだ。

この砂漠のど真ん中でサーフボード…どうしろと言うのだ。

というより何これ!私どうした!何が起こった!

なぜ砂がサーフボードになった!

訳が解らないよ!?

どうしよう…そうだ!

さっきみたいに頭の中に意識を向けたどうにかなるかも。

そうして私は自分の内側へ意識を向けた。

その瞬間、私は知ってしまった…私の中にある物を…私という存在を。

響く、響いてきた…その声はまるで天と地を覆い尽くすような…そんな絶望と苦痛と憎悪をごちゃ混ぜにしたような絶叫が、私の内から聞こえだした。

「ひっ!?な、何これ…あっつ!?」

と、突然頭に激痛が走る。

その瞬間、私の頭の中に大量の知識、記憶などか流れ込んできた。

「何これ…知らない……知らない、知らない、知らない知らない知らない知らない!こんなこと…私は知らない!!」

人体錬成、賢者の石、錬金術、そして真理の扉と…私の正体が。

違う、私は人間だ…そんな物じゃない、私は、私は!!

「私は、私は『賢者の石』なんかじゃあない!!」

自らの内へ叫んだ。

すると嘘のように、ピタッと声が止んだ。

「はあはあ…行こう、良く解んないけど、私は力を使える」

サーフボードに足を乗せ構える。

あとはイメージ…砂がうねり、まるで波のように私をあの町へ押し流すイメージを。

直ぐにそれは効果を発揮した。

紅い稲梓を少し発しながらも、砂が波のように動き始めた。

そう、まるで大海原の大きな波の……ように………ってこれは

「イメージが強すぎたぁ!?これじゃあ波どころか、荒波だ!!」

ヤバイ、これは波に乗るどころか巻き込まれる!

「ひ、避難する準備だぁ!!」

が、自分のイメージで造り出したもの。

どのくらいの威力と速度かは大体予想できている。

そしてその予想は大当たりで、人が走ってどうにかなるスピードでは無かった。

ああ、短い新人生(?)だったよ…

私は半ば諦めて、自らが造り上げた砂の荒波に飲み込まれたのであった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。