目が覚めると、そこは見渡す限りの砂漠でした。
これが私が体感した生まれ変わった世界だった。
……ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑ!?
ちょ、おま!?
一体…どうしたと言うのだこの光景。
見渡す限りの砂、砂、砂。
いや一ヶ所だけ四角形の建物らしきものがあるね…あれに人が住んでいると良いけど…
て言うか神様(?)、いきなりこんなところとか死ねと言うのですかぁ!!
四角の建物までの距離もかなりありそうだし…どうしよう。
お、お助けください神様!!
お助けください!
ー錬金術使えるから砂で何か創ってみたら?ー
ヘェア!?なんか声が聞こえた!
と言うよりも錬金術?
何よそれ?あれ…何か…頭の中に記憶が……
念じるだけ…念じるだけで発動する?
そう考えた瞬間、私の目の前の砂が急に爆発し、ある物の形作りを始める。
それは…。
「サーフボード?」
そう、サーフボードだ。
この砂漠のど真ん中でサーフボード…どうしろと言うのだ。
というより何これ!私どうした!何が起こった!
なぜ砂がサーフボードになった!
訳が解らないよ!?
どうしよう…そうだ!
さっきみたいに頭の中に意識を向けたどうにかなるかも。
そうして私は自分の内側へ意識を向けた。
その瞬間、私は知ってしまった…私の中にある物を…私という存在を。
響く、響いてきた…その声はまるで天と地を覆い尽くすような…そんな絶望と苦痛と憎悪をごちゃ混ぜにしたような絶叫が、私の内から聞こえだした。
「ひっ!?な、何これ…あっつ!?」
と、突然頭に激痛が走る。
その瞬間、私の頭の中に大量の知識、記憶などか流れ込んできた。
「何これ…知らない……知らない、知らない、知らない知らない知らない知らない!こんなこと…私は知らない!!」
人体錬成、賢者の石、錬金術、そして真理の扉と…私の正体が。
違う、私は人間だ…そんな物じゃない、私は、私は!!
「私は、私は『賢者の石』なんかじゃあない!!」
自らの内へ叫んだ。
すると嘘のように、ピタッと声が止んだ。
「はあはあ…行こう、良く解んないけど、私は力を使える」
サーフボードに足を乗せ構える。
あとはイメージ…砂がうねり、まるで波のように私をあの町へ押し流すイメージを。
直ぐにそれは効果を発揮した。
紅い稲梓を少し発しながらも、砂が波のように動き始めた。
そう、まるで大海原の大きな波の……ように………ってこれは
「イメージが強すぎたぁ!?これじゃあ波どころか、荒波だ!!」
ヤバイ、これは波に乗るどころか巻き込まれる!
「ひ、避難する準備だぁ!!」
が、自分のイメージで造り出したもの。
どのくらいの威力と速度かは大体予想できている。
そしてその予想は大当たりで、人が走ってどうにかなるスピードでは無かった。
ああ、短い新人生(?)だったよ…
私は半ば諦めて、自らが造り上げた砂の荒波に飲み込まれたのであった。