三度目の侍 作:最強系妄想おじさん
「冥王レイリー……あんた迄、出る幕かい?」
ボルサリーノは、うんざりした様子で“伝説”に問いかける。
伝説は侍をチラリと見て言った。
「若い芽を摘むんじゃないと言いにきたんだがね……」
この場の空気が、わずかに弛緩しかける。
その時――
「コイツらにはかなわねぇ!! 全員逃げる事だけ考えろォ!!」
ルフィが叫んだ。
疲労した体を引きずりながら、一目散に逃げ始める。
「潔し……!! 腹が立つねぇ〜」
今回の件で緊急出動したボルサリーノにとって、麦わらのルフィに逃げられてはメンツが立たない。
しかし、今はそれどころではない。
この自分を相手にして余裕を崩さない“侍”。
さらに“伝説”――。
この二人をどうにかして、足止めしなければならない。
「戦桃丸君、頼めるかぁ~い」
それを聞いた戦桃丸が、即座に指示を出す。
「任せろ、叔父貴!!
PX―1、麦わらの一味を捕まえろ!!」
「わいも行く!!」
ボルサリーノはぼやく。
「わっしもやらなきゃねぇ〜。2対1。
今日は割に合わないねぇ〜」
ボルサリーノは光と化し、上空へと滞空する。
そして、光を放った。
「八尺瓊勾玉!!」
無数の光弾が降り注ぐ。
侍と冥王は、まるで分かっているかのようにそれを避け、光弾は一つも当たらない。
─────────
麦わらの一味は、必死に逃げていた。
侍は麦わらをフォローしようと動く。
だが――
光が、その前に落ちる。
ボルサリーノが、あらゆる能力を動員して妨害していた。
ルフィは走りながら振り返り、侍を見て呟く。
「侍、あんなに強かったのか!!」
「ヨホホ……私が攻撃しても効かなかったのに、どうして……」
ルフィは前を向き、全力で走りながら叫ぶ。
「全員バラバラで逃げろ!!
3日後にサニー号で!!」
くまの“ような”大男に追いつかれ、大男を足止めしようとした仲間達は、続々とやられていく。
その光景を見たルフィは、堪らず叫ぶ。
「やめろォォォ!! お前ぇ!!」
疲れきったゾロを担ぎ、必死で逃げるウソップの前に――
左手に本を抱えた“くま”が、再び現れる。
「え~~〜〜〜!!!?」
「……またもう一人〜!!!?」
突如として現れたくまが、静かに問いかける。
「旅行するなら……どこへ行きたい……?」
ぱっ。
くまが掌を振るった瞬間、ゾロは消えていた。
「ゾロ!?」
ウソップが担ぎ逃げる最中、落としてしまったゾロを皮切りに――
次々と仲間が飛ばされていく。
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光の粒子がわずかに乱れ、ボルサリーノは肩で息をする。
「やれやれだねぇ〜……」
それでも、足は止めない。
戦桃丸が麦わらを捕らえるための時間を稼がなければならない。
パシフィスタが麦わらの一味を捕らえる――
そう思った、その時。
戦場に、くまが現れる。
侍が麦わらの方へ向かおうと、一歩踏み出す。
ボルサリーノは指先から、侍の進行方向へレーザーを放つ。
レーザーが着弾し、地面が爆ぜる。
「……行かせないよぉ〜」
光のビームを連続で放ち、侍の進路を妨害する。
同時に、冥王とは光の剣で斬り結ぶ。
侍と冥王を、同時に抑える。
その代償は大きい。
大将でも楽ではない。 ──いや、しんどすぎる。
ボルサリーノの奮闘の甲斐あって、足止めには成功していた。
しかし――
突如現れたくまが、捕縛の邪魔をする。
続々と、麦わらの一味を飛ばしていた。
途中でくまは、レイリーの前に立ち、何かを話す。
そして麦わらのルフィを残し、一味を飛ばし終えた。
「おめェどういうつもりだい……くまァ」
ボルサリーノはそう問いかける。
だが、くまは答えない。
ルフィは、くまが飛ばした仲間がいた場所を掴もうとする。
だが、空を切るだけだ。
「……仲間一人も救えないっ……!!!!」
そう言うルフィを、くまは最後に飛ばした。
「もう……会うことはない」
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この日――
麦わらの一味は壊滅した。