三度目の侍   作:最強系妄想おじさん

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3話投稿の2話目です。お気を付けください。


第九話「世界の均衡」

 

 

聖地マリージョア。

 

赤い大地の上。

静まり返った会議室に、重い声が落ちる。

 

「モンキー・D・ルフィ……またあの小僧か」

 

五老星の一人が杖を鳴らす。

 

「クロコダイルに続き、ゲッコー・モリアまで」

「七武海が二人続けて敗北。三大勢力の均衡が揺らぐ」

 

「七武海は抑止力だ。崩れれば、四皇が動く」

 

短い沈黙。

 

「……モリアは続投だ。表向きは“健在”とする」

 

「問題はそこではない」

 

空気が変わる。

 

「火拳のエース」

「公開処刑の準備は整っている」

「白ひげは必ず動く」

 

「世界が揺れるぞ」

 

静かに、だが確信をもって。

 

「均衡は保たねばならぬ」

「多少の波は、飲み込む」

 

その場に、麦わらの名は深く残らない。

 

だが一人が、ぽつりと呟いた。

 

「……やはり“D”か」

 

その一言だけが、わずかに空気を重くする。

 

会議は終わる。

 

世界は、動く。

 

――

 

海軍本部、マリンフォード。

 

元帥室に怒号が響く。

 

「なにィ!? お前の力がありながら逃げられただと!?」

 

机を叩く音。

 

センゴクだ。

 

目の前に立つのは、バーソロミュー・くま。

 

無言。微動だにしない。

 

その沈黙は、言い訳の色すら持たない。

 

「……命令は遂行した」

 

低い声。

 

「遂行だと!? 麦わらの一味は健在だぞ!!」

 

沈黙。

 

くまは表情を変えない。

まるで感情という機構を持たぬ機械のように。

 

その横で――

 

「ぶはははは!!」

 

大笑い。

 

ガープだ。

 

「さすがワシの孫じゃ。センゴク、怒鳴っても腹は減るぞ。せんべい食うか?」

 

「貴様は黙ってろガープ!!」

 

怒号。

 

だがガープは止まらない。

 

「逃げたもんは逃げた。若い芽は簡単に折れん」

 

センゴクが深く息を吐く。

 

「今は火拳のエースが最優先だ」

 

その言葉に、部屋の温度が下がる。

 

「白ひげが動けば、全面戦争だ」

「海軍は全戦力を割く」

 

それは覚悟の宣言だった。

 

くまが踵を返す。

 

扉へ向かう背に、センゴクが低く告げる。

 

「……今更お前が何をしようと、世界は止まらん」

 

くまは止まらない。

 

ただ一言。

 

「……だろうな」

 

感情は、そこにはない。

 

扉が閉まる。静寂。

 

ガープだけが、せんべいをかじっていた。

 

「……嵐になるぞ、センゴク」

 

センゴクは答えない。

 

視線は遠く、海へ向いている。

 

――

 

その頃。

 

グランドラインの海を、一隻の船が進んでいた。

 

笑い声を乗せて。

 

まだ小さい。

まだ未完成。

 

だが。

 

風は確実に、そちらへ流れ始めている。

 

その風が、やがて嵐になることを、

世界はまだ知らない。

 

世界の均衡は、静かに軋んでいた。

それは、崩壊の前触れ。

 

もう誰にも、止められない。

 

――確実に。

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