三度目の侍 作:最強系妄想おじさん
3話投稿の2話目です。お気を付けください。
聖地マリージョア。
赤い大地の上。
静まり返った会議室に、重い声が落ちる。
「モンキー・D・ルフィ……またあの小僧か」
五老星の一人が杖を鳴らす。
「クロコダイルに続き、ゲッコー・モリアまで」
「七武海が二人続けて敗北。三大勢力の均衡が揺らぐ」
「七武海は抑止力だ。崩れれば、四皇が動く」
短い沈黙。
「……モリアは続投だ。表向きは“健在”とする」
「問題はそこではない」
空気が変わる。
「火拳のエース」
「公開処刑の準備は整っている」
「白ひげは必ず動く」
「世界が揺れるぞ」
静かに、だが確信をもって。
「均衡は保たねばならぬ」
「多少の波は、飲み込む」
その場に、麦わらの名は深く残らない。
だが一人が、ぽつりと呟いた。
「……やはり“D”か」
その一言だけが、わずかに空気を重くする。
会議は終わる。
世界は、動く。
――
海軍本部、マリンフォード。
元帥室に怒号が響く。
「なにィ!? お前の力がありながら逃げられただと!?」
机を叩く音。
センゴクだ。
目の前に立つのは、バーソロミュー・くま。
無言。微動だにしない。
その沈黙は、言い訳の色すら持たない。
「……命令は遂行した」
低い声。
「遂行だと!? 麦わらの一味は健在だぞ!!」
沈黙。
くまは表情を変えない。
まるで感情という機構を持たぬ機械のように。
その横で――
「ぶはははは!!」
大笑い。
ガープだ。
「さすがワシの孫じゃ。センゴク、怒鳴っても腹は減るぞ。せんべい食うか?」
「貴様は黙ってろガープ!!」
怒号。
だがガープは止まらない。
「逃げたもんは逃げた。若い芽は簡単に折れん」
センゴクが深く息を吐く。
「今は火拳のエースが最優先だ」
その言葉に、部屋の温度が下がる。
「白ひげが動けば、全面戦争だ」
「海軍は全戦力を割く」
それは覚悟の宣言だった。
くまが踵を返す。
扉へ向かう背に、センゴクが低く告げる。
「……今更お前が何をしようと、世界は止まらん」
くまは止まらない。
ただ一言。
「……だろうな」
感情は、そこにはない。
扉が閉まる。静寂。
ガープだけが、せんべいをかじっていた。
「……嵐になるぞ、センゴク」
センゴクは答えない。
視線は遠く、海へ向いている。
――
その頃。
グランドラインの海を、一隻の船が進んでいた。
笑い声を乗せて。
まだ小さい。
まだ未完成。
だが。
風は確実に、そちらへ流れ始めている。
その風が、やがて嵐になることを、
世界はまだ知らない。
世界の均衡は、静かに軋んでいた。
それは、崩壊の前触れ。
もう誰にも、止められない。
――確実に。