もしも庵歌姫に加茂家の同級生がいたら   作:暇人

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五話:幻痛と踊る鮮血

理央と歌姫が扉を押し開けると、古びた蝶番が重たげな音を立てた。

その向こうに広がっていたのは、がらんとした体育館だった。

 

天井は高く、薄暗い空間の中に、割れた窓から差し込む月明かりだけが細く伸びている。

壁際には使われなくなって久しい跳び箱やマットが寄せられ、バスケットゴールの網は半ば千切れて垂れ下がっている。最後に人の声が響いてから、もう随分と時間が経っているのだと分かった。

 

理央と歌姫はしばらく無言のまま、懐中電灯の光で体育館の内部をざっと見渡した。

だが、今のところ目立った異常はない。呪霊の姿も、濃い呪いの気配も感じられなかった。

歌姫は肩の力を少し抜く。

 

「……なんか、拍子抜けね。ここまで来たから身構えたけど、特に何もなさそうじゃない」

 

歌姫は体育館の中央を軽く見渡しながら言った。

理央はすぐに答えず、代わりに光をゆっくりと床へ落とす。

 

「……歌姫、床をよく見てください」

「え?」

 

歌姫は理央のライトが照らしている場所に視線を向ける。

埃が積もった体育館の床板。よく目を凝らして見ると、不自然な跡がいくつもあった。

()()()()()()()()()()()()()。それが体育館の中央へ向かって、整列するように並んでいた。

奇妙な痕で出来た列に歌姫は眉をひそめた。

 

「……これは…なんだろ?理央はわかる?」

 

理央はしゃがみ込み、奇妙な痕がある床を指先でなぞってみる。その部分は、圧力がかかり続けたようにわずかに凹んでいた。

 

「おそらく……膝の跡…」

「膝?」

「はい。よりはっきり言えば()()()()……でしょうか」

 

体育館の床に、こんな数の正座跡がずらりと整列するように並んでいる。そう認識すると、歌姫はこの空間が途端に薄気味悪く見えてきた。

 

「……それ、本気で言ってるの?」

 

歌姫が顔を引き攣らせながらそう言った、その時

 

 

 

――バシン

 

 

 

体育館の奥から、不意に何かを弾くような音が響いた。二人は音のした方角へ即座に顔を向ける。

 

「ちょっと、今の何……!?」

「少なくとも、ただの物音ではなさそうです」

 

 

――バシン

 

 

先ほどよりも少し大きい音で再び鳴り響く。

「なるほど…」

理央はゆっくりと立ち上がり懐中電灯の光を、音のした方へ向けた。

光は体育館の奥をなぞり、壁を照らして天井へ届く。

 

次の瞬間、歌姫は息を呑んだまま動けなくなる。

それは体育館の天井に足をつけ、逆さに立っていた。

三メートルはあろうかという歪な体。顔には無数の目が不規則に並び、裂けた口で笑っている。肩から伸びた腕は、先端で無数の鞭に枝分かれしていた。その一本が、今まさに床を叩く。

 

――バシン

 

呪霊の身体の奥から、粘りつくような呪力がじわりと溢れ出す。

これまで孤児院で祓ってきた低級呪霊のそれとは、まるで質が違っていた。

 

「……ぃぃいいい子にっにしてあげぇる」

 

声は女とも男ともつかず、歪んだ不協和音のような響きが、脳をじかに撫でられるような不快感を与える。

 

「……っ、なんなのよ、こいつ……!」

 

呪霊の目が二人を捉えた、その瞬間。理央は呪霊の全身から立ちのぼる粘ついた呪力の中に、ほんのわずかな“呪力の起こり”を捉える。動きそのものは大きくない。呪霊本体も動いていないが、何かを企んでいることはわかった。

 

「――歌姫、下がっ」

理央の警告が最後まで紡がれる前に、さっきまで天井に居た呪霊の姿がふっと消える。

 

「え――」

 

歌姫が何が起きたのかを理解するより先に、体に衝撃が走る。理央の左手が、有無を言わせず歌姫の身体を後方へ弾き飛ばした。

 

歌姫は踏みとどまる間もなく後方の床へ尻餅をつく。

その視界の先で、いつの間にか下へ降り立った呪霊が無数の鞭を振り抜く。理央は右腕を盾のように差し出してその一撃を受けた。

 

バヂィッ!

 

鞭が弾ける音とともに制服の腕部分が裂け、黒い布片が宙に舞う。

 

「……歌姫、大丈夫ですか」

 

理央は至って平静で、呪霊の一撃を正面から受けた直後とは思えなかった。理央の落ち着きに少し驚きながら、歌姫は慌てて頷く。

 

「だ、大丈夫……!」

 

しかしそう返した直後、床にぶつけた腰から、信じられない痛みが突き上げてくる。骨が砕けたと錯覚するほどの激痛で、歌姫の顔が青ざめる。

 

「――っ!?」

 

声が潰れ、まともに息も吐けない。

 

(今ので骨折した!? いや、そんなわけ……!?)

 

ただ軽く腰をついただけだ。打ちどころが悪かったにしても、急にこんな痛みになるはずがない。

 

一方、呪霊の鞭を受けた理央の右腕には、赤黒い痕がくっきりと浮かんでいた。

鞭で打たれたのなら痛いのは当然だ。だが、理央の腕を走っていたのは、()()()()()だった。

肉を裂かれ、骨の髄をぐちゃぐちゃに掻き回されるような激痛が、傷口を起点にこれでもかと主張してくる。

 

(ただの鞭打ち一発で、ここまでの痛みが……)

 

理央は右腕を軽く振り、裂けた制服の袖口を見下ろす。痛みは鬱陶しいが、あくまでも増幅されるのは痛みだけで、動きに支障がないことを確認する。

そして、歌姫が同じように激痛に襲われている様子を見て確信した。

 

この呪霊の術式は、痛みの()()

肉体的なダメージではなく、そこから生じる“痛み“だけを異常な倍率で膨れ上がらせているのだろう。軽い打撲でも、骨が砕けたと錯覚するほどの痛みに変えられる。相手を動けなくするには効果的だ。

 

(この呪力の質、そして術式持ち……一級か)

 

呪霊は痛みに困惑する自分たちを見て、愉快そうに笑っていた。

 

「……歌姫」

 

名前を呼ばれ、歌姫は痛みに顔を歪めたままどうにか顔を上げる。

 

「この呪霊の術式は、受けた衝撃や損傷に伴う痛みを増幅させるものみたいです」

「転んだだけで、こんな……!?」

 

歌姫の声がわずかに裏返る。馬鹿みたいな話だと思ったが、今自分の身体に走っている激痛が、それを冗談ではないと物語っていた。

 

「そしてこの呪力の質……恐らく、一級相当です」

「一級?……」

 

その二文字が持つ重みは、入学してまだ一ヶ月程度の歌姫でも分かる。

呪霊の中でも特級に次ぐ危険度。

 

「はい。ですから歌姫はそのまま下がっていてください」

「でも!」

 

反射的に食い下がろうとした歌姫の言葉を、理央は静かに遮る。

 

「歌姫はもう十分頑張ってくれました。ここからは僕の出番です」

 

歌姫はぐっと唇を噛んだ。今すぐ立ち上がって反論したいのに、痛みがそれを許さなかった。

 

「……無茶、しないでよ」

 

歌姫が縋るように言うと、理央は振り返らずに小さく笑った。

 

「大丈夫です、伊達に一級術師やってませんから。それに……痛みとは()()()()です」

 

呪霊は無数の目をニヤつかせている。

自身に向かってくる理央を嘲笑っているようで、両腕の鞭が蠢く。

 

理央は静かに左手を負傷した右腕へ添える。次の瞬間、理央は左手の爪で、迷いなく右腕の傷口を抉る。

ぐちゅっ――鞭で打たれた赤黒い肌から鮮やかな血が溢れ出た。

 

「……あ」

 

理央の突飛な行動に、歌姫は祖母から聞いた話が脳裏をよぎる。

 

 

呪術界御三家にはそれぞれ、象徴とも言える相伝術式があるのだと。

 

 

禪院家の十種影法術、五条家の無下限呪術。

 

 

そして加茂家の相伝術式

 

 

 

赤血操術

 

 

 

理央の呟きと共に腕から流れ出た血が浮かび、細く鋭い刃を形作っていく。歌姫がその異様な光景に息を呑んだその時、呪霊が動く。

無数の鞭が一斉にしなり、理央へ向かって振るわれる。それは一本どころではなく十数本、いや、それ以上だ。

理央は自身に襲いかかるそれを見据える。

 

苅祓…!

 

短い呟きと同時に刃となった血液が空を走り、鞭の束へ横一文字に向かう。

 

――ズバンッ!

 

次の瞬間、叩きつけられるはずだった無数の鞭が、まとめて断ち切られた。

血の刃に裂かれた鞭が、ボトボトと地面に落ちる。

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!」

 

呪霊は痛みに悶えるように叫んだ。

その悲鳴は、泣き喚く子供と怒号を上げる大人の声が無理やり一つに捻じ曲げられたようだった。

体育館の壁が震え、梁の上に積もった埃がぱらぱらと落ちる。

 

「……?」

 

腕を切断された呪霊は起き上がらず、大袈裟なほど身をよじって悶え苦しみ続けていた。ただ腕を裂かれた呪霊の反応にしては随分と大仰で、理央の顔に思わず疑問が出るほどだった。

 

「まさか」

(呪霊の痛覚も()()になっている……?)

 

理央の頭の中で、今までの情報がパズルのように組み合わさっていく。

 

(痛みを増幅させる。この術式の発動条件として最も有り得るのは、目で捕捉することだ)

 

それは呪力の起こりが呪霊の目から発せられたこと。呪霊と接触していないにも関わらず、歌姫に術式効果が現れたことから推測できた。

 

(発動条件の緩さにしては、効果が強すぎるとは思った。何かこの呪霊にとって、不利な要素がなければ釣り合いが取れないと感じるほど……)

 

その疑問に、たった今答えが出た。

 

呪霊の様子を見るに、この術式は相手だけではなく術者自身の“痛み”にも作用している。

痛みを武器にする代わりに、自分もまた痛みに囚われる――ひどく歪んだ、いかにも呪いらしい術式だ。

 

(なるほど、これなら)

 

「思ったより楽に行けそうですね」

 

次の瞬間、理央の体内で血流が変わり、心臓の鼓動がどくん、と一段深くなる。

それに呼応するように、体の内側を巡る血が一斉に加速して、筋肉の奥へ、骨の隙間へ、指先の毛細血管に至るまで、呪力を帯びた血液が押し流されていく。

 

赤鱗躍動

 

静かな宣言とともに、理央の頬からこめかみにかけて、赤い紋様が浮かび上がる。理央の体温が一気に上がる。心臓が脈打つたび、心地いい全能感が体を駆け巡った。

 

「だぁめぇ……だめなこ……だめぇぇ……」

 

片腕を切断された呪霊は、先ほどの痛みからようやく体勢を戻し、鞭の腕を再生していた。

そして先ほどまでのニヤけ面はどこへやら、無数の眼球は怒りで理央へと釘付けになっていた。

 

「ふふっ、お互いまだまだ元気ですね」

 

理央は口元に薄い笑みを浮かべながら、すっと腰を落とす。片腕を前へ、もう片方をわずかに引き、無駄のない動きで構えを取った。

 

「では、続きといきましょうか?」

 

そう言った瞬間、理央の姿が消えた。

 

「……え?」

 

少なくとも歌姫の目にはそう見えた。

しかし実際には消えたわけではなく、ただ速すぎて、理央を捉えきれなかっただけだ。

床板から音が軋むと同時に理央はすでに呪霊の横へ回り込んでいた。

 

「いぃいこになりなさぁぁい!!!」

 

呪霊は鞭を振り抜く。しかし、その一撃は理央の残像だけを裂いた。

そして、理央の周囲で浮かんでいた血が、刃よりも小さく、細く、鋭く、針のような形状に変わり始めていた。

 

赤針(せきしん)棘祓(おどろばらい)

 

静かな声とともに、血の針が呪霊の全身へ散弾のように降り注ぐ。一本一本は小さく、破壊力はない。

だが、赤い針には呪力が凝縮されており肉を突き刺すには十分な鋭さがあった。

 

「――ッ、ぁ、いあぁぁあッ!!」

 

細く貫通力もない赤針では数十本刺しても致命傷にはなり得ない。しかし痛みに敏感な呪霊には耐え難い苦痛だろう。

 

「痛いですか?まだ始まったばかりですよ」

 

理央は苦し紛れに振るわれた鞭をあっさりと避けきり、呪霊の背後へ大量の赤針を放ち刺す。

歌姫はその光景をただ呆然と見上げていた。模擬戦で理央が強いことは散々わからされたつもりだった。しかし、いざ実戦を目の当たりにすると、模擬戦で経験したそれとはまるで別物だった。

 

「……すご」

 

自身が全く見えない速度の鞭を、瞬間移動するかのように躱し、一方的に攻撃を叩き込む。

 

(これが1級呪術師……)

 

教師や祖母から聞いた「呪術界を牽引する精鋭」という言葉が、やっと理解できた気がした。

 

「――ァアアアアアッ!!」

 

呪霊は怒声とも悲鳴ともつかない声を上げ、無数の鞭を四方八方へ叩きつける。

だが、そのどれもが理央を捉えない。

 

「痛みで自棄になってきましたね。もはや狙いも何もない」

 

理央が赤針のみを使っているのは、単に血液の消費を抑えているわけではない。大きく傷つける必要がないからだ。

 

(痛覚が敏感なら、浅い傷でもかなりの痛みが蓄積する。そして、痛みの蓄積はそのまま行動の乱れへと繋がる)

「……そろそろ潮時ですかね」

 

理央は動きを止めて呪霊の真正面へと立ち、指を鳴らす。

パチン

その音に呼応して、呪霊の体に突き立っていた赤針が崩れ、赤い糸のようにほどけていく。

血の糸は呪霊の身体を伝い、まるで織物のように複雑に交差していく。

そして、張り巡らされた血の糸が一斉に引かれ、呪霊の巨体が後方へと引きずられた。

 

「――ァ?」

 

糸の先端は、体育館の壁や柱に刺さった赤針と繋がっていた。理央は高速で動き回る最中に赤針を撃ち込んでいたのだ。

 

「赤縛……!」

 

短い呟きと同時に、張り巡らされた血の糸が一斉に締まり上がる。

次の瞬間には鈍い衝突音を響かせて、呪霊の巨体が体育館の壁へ叩きつけられた。

無数の血の糸は四方から呪霊の体を縛り上げ、まるで壁そのものに縫い付けられたかのように封じていた。

 

「――ァァァァッ!!」

 

呪霊は咆哮し、怒りに任せて拘束を千切ろうとする。しかし、暴れれば暴れるほど絡み合った血の糸同士が互いを引き絞り、さらに拘束力を増していく。

 

「あらら、大人しくしていればまだ楽だったでしょうに」

 

呪霊は理央の言葉が理解できないのか、あるいは理解しても止まれないのか、さらに激しく身体をよじる。だがそのたびに血の糸は締まり、壁へ押し付けられる力が増していく。

 

「…………」

 

歌姫は瞬きを忘れたように見入っていた。

あんなに細い血の糸が一級呪霊の体を完全に封じている。

一本一本を呪力で強化して、それを何本も操る。莫大な呪力出力と繊細な呪力操作がなければできない芸当だった。

 

「……はは……何よ、それ……」

 

思わず漏れたのは、感嘆とも呆れともつかない乾いた笑いだった。

もう驚くとか凄いとか、そういう段階ではない。

ただ、自分がとんでもないものを見せつけられていることだけは、嫌というほどわかった

 

「では、幕引きといきましょうか」

 

理央の言葉に伴い周囲に残っていた血が一箇所へ収束し、理央の掌の前に小さな血の塊を作り上げる。理央はその塊を、両手で挟み込む。

 

「百斂」

 

低い声とともに、膨大な呪力が血へ流れ込む。

呪力により赤い液体だったものは一瞬で密度を増していく。赤い塊はみるみる縮み、やがて飴玉ほどの大きさに収まる。

理央は両手で挟み込んだ構えのまま呪霊へと向ける。

 

 

「穿血」

 

 

理央の掌からパァンッ!と空気を弾く鋭い破裂音が響くと同時――

音速を超えた一撃が呪霊を穿つ。

血の奔流は呪霊の胸を貫いたまま止まらず、その延長線上にあった頭部までを一息に切り抜ける。

 

「――ひ、ぎッ」

 

その声は悲鳴にもなりきれないまま、潰れるように途切れた。

まるで超高熱の刃が通り過ぎたみたいに、胴から顔面へかけて細い裂け目が走る。

直後、その線を境に巨体の上半分がずるりと傾いだ。

 

 

そして……

 

呪霊の巨体が、内側から崩れた。

 

崩れた呪霊の身体は抵抗する間もなく、黒い塊となって散っていく。

 

呪霊を貫いた血の奔流は、そのまま背後の壁をも切り裂き、体育館の空間を一直線に貫通していた。

 

それを見届けた理央は、息を吐いて腕を下ろす。

そして理央は床に座り込んだままの歌姫へと振り返った。

 

「……終わりましたよ、歌姫」

「……ほんとに、倒したんだ」

 

情けないくらい掠れた声だった。

言葉にしきれない感情が胸の内でごちゃ混ぜになって、歌姫は小さく息を吐いた。

理央はそんな歌姫に歩み寄る。

 

「想定外はありましたが、任務は終了です。帰りましょうか」

 

ついさっきまで命がけの戦いをしていたとは思えないくらい、理央の声はいつも通りだった。歌姫の胸の奥に残っていた緊張が、ようやくほどけた。

 

「にしても疲れましたね。早くご飯を食べて寝たいです」

 

その一言に、歌姫は思わず吹き出してしまう。 

あれだけの戦いを見せておいて、そんな普通の人の仕事終わりみたいなことを言うのが可笑しかった。

 

「プッ……フフフッ…あんたでも疲れるのね」

 

歌姫は床に手をつき、軽く伸びをするようにして立ち上がった。

 

「?僕を何だと思っているんですか。歌姫」

「うーん、化け物一歩手前?」

「ひどい評価ですね」

「でも、今のでちょっと訂正したわよ」

 

理央はそこで少し黙って、わずかに口元を緩めた。

 

「それはそれは、光栄です」

「褒めてないっての」

 

そんなふうに言い合いながら、二人は並んで体育館をあとにした。

 

壊れた壁の向こうから吹き込む夜風が心地よくて、さっきまでの緊張が少しずつ溶けていくようだった。

 

散々な初任務だったはずなのに、不思議と悪くない終わり方だなと、歌姫は思った。

 

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