ぬらりひょんの孫は一人にあらず   作:ゲオザーグ

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最近目にしたAI動画に影響されて投稿しましたww
特に「蔵ノ怪」さん作がお気に入りで、リンク先作業用BGM代わりにループしてましたww
https://youtu.be/NRvD90SSUxs



()(みやこ)(かか)蟷螂斧(とうろうふ<

 時は慶長。天下人豊臣秀吉が世を去り、太平の世は早くも再燃した戦火に燃えていた。そうした不穏な世の裏では、関ヶ原で石田三成を破り、実質覇権を握った徳川家康率いる諸国の大名軍に対抗すべく、秀吉の妻淀君が呼び寄せた立身出世を狙う浪人達と共に、人ならざる者——(あやかし)も多々京の(みやこ)へと集い、規模の大小を問わず、しのぎを削っていた。

 そしてとある寺の裏にもまた、その争いに敗れた1体の妖が倒れ伏し、石灯籠に身を寄せて何とか身を起こす。

 

「(ハァ、何とも無様なもんだ。尤も所詮独り者の物見遊山如きじゃ、遅かれ早かれこうなる運命(さだめ)か……)」

 

 宝珠(ほうじゅ)を掴み、笠に伏せた上半身は、着物をズタズタに切り裂かれ、髪こそ乱れたまま血で固まりこそすれども、その顔立ちは十分美人と評すに値する。ただし、髪の隙間から覗く額には黒曜石の如き黒光りする複眼が3対6個並び、左上のそれは中程から切り落とされたものの、右の上下と左下には、先端が鋸刃(のこば)を見せつける鋭利な鎌となった節足が、両腕に並ぶ。そして同じく切り刻まれた節足が支えていた下半身と、背から千切れ落ちた羽は、大きさこそ違えど蟷螂(かまきり)のもの。彼女の名は『八目蟷螂(やつめどうろう)』。多くの妖が徒党を組む中、単身で名を挙げてきた猛者であったが、訳あって敗れ去り、文字通り虫の息となり果てている。

 

「あぁ……ありがとうございます!ありがとうございます妖様!」

 

「礼はいいさ、啖呵切ってこの様じゃね。しかし弱肉強食は世の常と言え、下らん世迷い事に踊らされるような奴等が……羽虫よろしく鬱陶しいったらありゃしねぇ……」

 

 傷だらけの左半分に比べ、無傷な右側の腹の下から這い出てきたのは、幼い赤子を抱えた年若い女性。昔から徳の高い僧や巫女、汚れ無き赤子の様な(とうと)き命を食えば力が増す『生き胆信仰』は妖達の間で知れ渡っていたが、特にここ最近都ではその傾向が激しく、この母親も少し前に赤子を狙われ、別の妖に偶然助けられたばかり。一方八目蟷螂自身も、かつては運悪く遭遇した旅の僧や棄てられた赤子を空腹に駆られ食らったことはあれど、特に美味くもなければ肉も少なく、むしろ鹿や猪、熊でも仕留めた方が食いでもあって腹に溜まる故、わざわざ襲って食う価値もないと見逃しており、母子を助けたのも、ねぐらとしていた近くの森まで響く喧騒に腹を立てて来てみれば、「くだらない」と見下していた信仰に駆られた輩の仕業とあって、耳障りな連中へ対する腹いせついでの嫌がらせに等しかった。

 そうして雑兵を蹴散らし、親玉格にも粘り勝ってみせたはいいものの、激戦で負った数多の傷は彼女の命を削られ、最早その命は風前の灯で、刻々と死が迫る。このまま果てるのも已む無し。そう腹を括り、涙を流し、何度も礼を言いながら去って行く母親を眺めながら、しかしせめて伴侶をつがい、彼女の様に次代を繋ぎたかったと叶わぬ願いに思いを馳せていたところに、声をかけてくる者がいた。

 

「何じゃ何じゃ、随分手酷くやられたもんじゃのう。骨のある奴なら仲間に誘うつもりでいたが、その様じゃ(さかずき)を交わすより先にくたばりそうだわい……」

 

「アンタも生き胆目当てかい?生憎獲物はついさっき逃げちまってな。追えってんなら、五体満足でもお断りだよ」

 

「要らん要らん、ソイツ等と一緒にすんな。生き胆(そんなもん)に頼らずとも、ワシは魑魅魍魎(ちみもうりょう)(ぬし)になるのよ」

 

 その妖が手にした刀で示す先には、周囲に転がる先程対峙し殺めた異形の連中。後ろに長く伸びた髪を除けば、姿は人と大差ないが、奴等が比べ物にならないその身に宿す力――『(おそれ)』の違いは、八目蟷螂にもすぐわかる。

 

「しかし誰にやられたか知らんが、この程度の烏合の衆共々十把一絡げに果てるには惜しいの……ちょうどいいか、ちと待っとれ」

 

 名乗ることなくどこかへ飛び去った妖が戻って来た時、その腕には、どこぞの貴族の姫らしき1人の人間を抱えていた。姫を抱えたまま八目蟷螂に近寄った妖は、彼女の手が届く距離に降ろす。

 

「この妖が……」

 

「見ての通り酷い有様でな。せめて峠を越せるくらいまではできんか?」

 

「わ、わかりました。やってみます……!」

 

 妖に言われるまま、貴族の姫が八目蟷螂の腹にできた一際大きな傷に手をかざすと、徐々に塞がっていく。同様に各所の傷を塞いでいけば、脚をやられたため動けはせずとも、だいぶ楽にはなった。その特異な力を目の当たりにした八目蟷螂は、生き胆信仰に溺れた奴等が一際口にしていた存在を思い出し、眼前の姫が何者か気付く。

 

「病傷を癒やす異能……アンタ、噂に聞く珱姫(ようひめ)か……なるほど、生き胆狂い共が、こぞって狙う訳だ」

 

「そしてワシはぬらりひょん!ちょうど珱姫を手下共に顔合わせさせようと思ったところにお前さんが倒れてたんでな、ついでに助けてもらった訳よ!」

 

「アンタがぬらりひょんか。その畏、只者じゃないとは思ったが、噂に違わぬだけあるね。八目蟷螂だ、よろしくな」

 

 八目蟷螂の傷を塞ぎ終え、霧散しつつある襲撃者の骸に手を合わす『珱姫』を眺めていたところに名乗った妖――『ぬらりひょん』。彼率いる『奴良組』の快進撃は八目蟷螂も耳にしており、畏の強さにも納得する。

 

「さて、そろそろ手下共んとこに向かわにゃならんが、脚も羽もないとなりゃ、どうやって連れてくか……」

 

「そこに関しちゃ安心しな。おかげで動くくらいなら何とかなるさ」

 

 このまま珱姫を連れて配下の元へ行こうにも、八目蟷螂は脚も羽も失い、満足に動けない身。このまま置いていくのは論外だが、さすがに巨大な腹を引きずって無理矢理動かすのは辛かろうし、力自慢の部下を読んで運ばせようにも、まだ盃を交わしてない相手を託すのも、とぬらりひょんが頭を悩ませていると、声をかけた八目蟷螂の下半身を煙が覆い、晴れた先には人と変わらぬ2本の脚が。これなら見失いさえしなければ、そのままついていけそうだ。

 

「おぉ、そんな便利な能力持ってたか。ならいいか、行くぞ!」

 

「え、きゃあ!?」

 

 悩みが無事解決した途端、連れて来た時同様珱姫を抱えたぬらりひょんが向かったのは、島原の一角。そこに屯していた大小様々な妖達に珱姫を紹介したぬらりひょんは、続けて珱姫越しに八目蟷螂の肩を掴んで続ける。

 

「そしてコイツは八目蟷螂!珱姫を迎えに行く道中で死にかけとったが、ほっとくには惜しかったんで、ついでに助けてもらってきた!」

 

「生憎盃はそれどころじゃなかったんでまだ交わしちゃいないが、後でそのつもりだから、よろしくな」

 

 前から話していた珱姫に加え、偶々拾ってきた八目蟷螂。どちらも美人とあって、雪女の『雪麗(せつら)』は「ふーん」と不満気に唸りながら睨むが、他の妖達に囲まれ狼狽える珱姫に対し、八目蟷螂は全く動じず、それどころか早くも幹部格の『木魚達磨』や『一ツ目入道』相手に動じることなく話しかけようとしたところを、武闘派筆頭の『牛鬼』から、「まず総大将(ぬらりひょん)と盃を交わしてこんか!」と突き飛ばされ笑いを誘う様は、到底今来たばかりとは思えないほど馴染んでいた。




話を時系列純ってことで、まずは過去編から
早速登場したオリキャラ八目蟷螂は主要キャラでこそありますが、タイトル通りオリ主は彼女じゃないですww
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