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ギデオン「疲れたらいつでもこの洞窟に来て…!ここの席、君が座れるように空けておくから…」
それでは今話からガヴィアが登場します。
ぽとり1個目
「完璧じゃなくていい」
「少し欠けたままでも」
小さく笑う。
「光ってなくてもいいって君が教えてくれたよね」
風が静かに通り過ぎる。
草が、さわりと揺れる。
少し離れた岩の影から、小さな声。
「……ん。」
振り向くと、ガヴィアがいる。
いつからいたのか、わからない。
土の上にしゃがんで、指で地面をなぞっている。
ギデオンが少し目を細める。
「……聞いてた?」
ガヴィアは少しだけ首をかしげる。
「……ん。」
答えなのか、違うのか、わからない。
あなたは聞く。
「何?」
ガヴィアは草を一本拾う。
口に当てる。
すー。
やっぱり鳴らない。
でも、ガヴィアは少しだけうなずく。
「……ある。」
「何が?」
少し間。
ガヴィアは地面を指でとん、と叩く。
「……ここ。」
意味はよくわからない。
でも、ギデオンが小さく笑う。
夜風がもう一度吹く。
草が揺れる。
遠くで虫が鳴く。
誰も何も言わない。
それでも、少しだけわかる。
今ここにあるものは、
名前をつけなくても、
たぶん、
消えない。
ガヴィアが、もう一度だけ小さく言う。
「……ん。」
それは、草笛よりも小さい音で、
でも、
ちゃんと届く。
夜は静かだ。
星は遠い。
でもその下で、
三人の影が、少しだけ重なっている。
それだけで、
たぶん、充分だった。
ガヴィアが、もう一度だけ小さく言う。
「……ん。」
そのとき。
洞窟の外から、
かすかな音が届く。
ぴー。
風にまぎれて、
細く、頼りない音。
あなたは顔を上げる。
ギデオンも耳を澄ます。
草笛の音。
さっきまで、二人とも鳴らせなかった音。
誰が吹いているのかは、わからない。
姿も見えない。
でも、確かに聞こえる。
ぴー。
少しだけかすれて、
でもちゃんと、鳴っている。
ギデオンが小さく笑う。
「……誰か、できたんだね。」
あなたも笑う。
「わたしたちじゃないけどね。」
ガヴィアが、ぽつり。
「……いった。」
「何が?」
少し間。
「……あったやつ。」
意味は、はっきりしない。
でも、
なんとなくわかる。
わたしたちは草笛を吹けなかった。
でも、
ここにあったものは、
風に乗って、
洞窟の外まで届いたのかもしれない。
ぴー。
もう一度、草笛の音。
夜の草原に、
小さく広がっていく。
ガヴィアが、静かにうなずく。
「……ん。」
洞窟の中には、
さっきの時間が残っている。
ガヴィアが、土を少しだけ指で崩す。
さらり、と乾いた音。
耳を澄ませるみたいに、少し首を傾ける。
「……まだ。」
何が、とは言わない。
でも、
風の向こうで、
草笛の音は、
夜のどこかへ
ゆっくり広がっていった。