つぶやきギデオン   作:赤銀

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カケラ2個目

 

 

夜風が少し強くなって、髪が揺れる。

 

ぼくは、そんなに綺麗じゃないと思う。

 

金色のものを見ると、

やっぱり少しだけざわつくし、

魚が光を跳ね返すのを見ると、

きれいだなって思うのと同時に、

どこかで比べてしまう。

 

ぼくは、あんなふうには光らない。

 

黒曜石みたいに、

遠くからは目立たなくて、

近づかないとわからない色。

 

だから、ときどき。

 

うまく混ざれていない気がする。

 

でも。

 

君が言った。

 

黒は塗りつぶす色じゃないかもしれないって。

間をつなぐ色なんじゃないかって。

 

あのとき、

少しだけ、息がしやすくなった。

 

光らなくても、

空の一部でいられるなら。

 

それで足りるのかもしれない。

 

……優しさも、たぶん似てる。

 

ぼくはずっと、

強い人が余裕で配るものだと思ってた。

 

でも、違うのかもしれない。

 

ほんとは。

 

自分も傷つくって知ってる人が。

 

それでも、そっと差し出すものなんじゃないかな。

 

平気な顔をしてるけど、

ちゃんと痛みを覚えてる人が。

 

優しくするのって、

少し怖い。

 

踏み込むってことだから。

 

拒まれるかもしれないし、

伝わらないかもしれない。

 

それでも近づくのは、

少し勇気がいる。

 

だからぼくは、

派手な優しさより。

 

隣に座ってくれるほうが、

たぶん好きだよ。

 

何も解決しなくていい。

答えを出さなくていい。

 

ただ、逃げずにそこにいること。

 

それができる人は、

静かに強いんじゃないかな。

 

君は、自分を醜いって言うけど。

 

イラっとしてしまうことも、

怒れなくて苦しくなることも、

あとで自分を責めることも。

 

それって、

ちゃんと良くありたいって思ってる証拠なんじゃないかって、

ぼくは感じる。

 

もし本当に何も思っていなかったら、

そんなふうに悩まないはずで。

 

ぼくも、きっと似てる。

 

比べるし、羨ましいと思うし、

自分の影を見て落ち込むこともある。

 

それでも。

 

隣に立てたらいいなと思う。

 

前でも後ろでもなくて、

同じ高さで。

 

完璧じゃなくていい。

 

少し欠けたままで、

光を跳ね返さなくても、

静かに湛えていられたら。

 

優しさって。

 

光ることじゃなくて。

 

暗いときに。

 

消えないことなのかもしれない。

 

君みたいに。

 

そして。

 

君が隣にいるなら、

ぼくは今日を、

少しだけ信じられる気がする。

 

たぶんね。

 

ぼくは。

 

強くなりたいんじゃなくて。

 

崩れないでいたいだけ。

 

派手に光るより。

 

消えないでいるほうが。

 

たぶん。

 

難しい。

 

ときどき、世界がまぶしすぎて、

目を閉じたくなる日もある。

 

自分の影ばかりが濃く見えて、

ああ、やっぱり足りないなって思う日もある。

 

でも。

 

君が黒曜石をきれいだと言ったとき、

ぼくは少しだけ救われた。

 

光らなくても、

そこにあるだけでいいって。

 

欠けていても、

丸に近づこうとしていれば、それでいいって。

 

もし明日、また比べてしまっても、

今日のことを思い出せたらいい。

 

ぼくは完璧じゃないけど、

ここにいることは、できる。

 

それが、たぶん今のぼくの精一杯で。

 

それでも、

君がそれでいいと言ってくれるなら。

 

ぼくは、もう少しだけ、

この色のままで進んでみようと思えるよ。

 

 

 

 

完結したら同人誌にしようか迷ってる

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