つぶやきギデオン   作:赤銀

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カケラ4個目

 

 

あなたとギデオンは、洞窟の外の林に入る。

 

ぱき。

 

細い枝が折れる。

 

あなたが拾い上げる。

 

軽い。乾いている。

 

ギデオンは少し太めの枝を選ぶ。

 

両手で持ち、そっと力をかける。

 

ぱきん。

 

きれいな音。

 

「音がする。」

 

小さく言う。

 

「中が、ちゃんと乾いてる。」

 

あなたは枯葉を集める。

 

茶色くて、薄くて、すぐに崩れそうなやつ。

 

木屑も少し。

 

両手にのせると、ほろほろこぼれる。

 

「燃えやすいの、必要だよね。」

 

ギデオンはうなずく。

 

「いきなり太いのは、つかない。」

 

洞窟の前に石を並べて、小さな円を作る。

 

その中に枯葉を置く。

 

上に細い枝。

 

さらに三角に太い枝を組む。

 

骨組み。

 

ギデオンが黒曜石を取り出す。

 

炎のない夜の中で、石は静かに光を吸っている。

 

カチン。

 

金属と打ち合わせる。

 

シュッ。

 

火花。

 

もう一度。

 

カチン。

 

ぱち。

 

枯葉の端が赤くなる。

 

あなたがそっと息を吹く。

 

ふう。

 

煙。

 

じわ、と小さな炎が立ち上がる。

 

細い枝に移る。

 

ぱち、ぱち。

 

火は、急がない。

 

小さいものから、少しずつ。

 

ギデオンが炎を見つめる。

 

「いきなり大きくしないほうが、続く。」

 

あなたはうなずく。

 

「無理に燃やすと、すぐ終わるよね。」

 

炎はゆっくり育つ。

 

細い枝が燃え、太い枝へ。

 

骨組みが赤くなり、安定する。

 

あなたは栗を取り出す。

 

殻に切れ目を入れ、火の近くに置く。

 

ギデオンが覗き込む。

 

「……これ、知ってる。」

 

炎の光が瞳に映る。

 

「前に、精霊が見せてくれた。」

 

少し考える。

 

「ウニだよね。」

 

あなたは笑う。

 

「似てるけど、違うよ。」

 

栗は温まり、静かに音を立て始める。

 

ぱち。

 

そして突然。

 

ぱんっ。

 

殻が弾ける。

 

ギデオンが一瞬だけ跳ねる。

 

真顔のまま。

 

「……中に、何かいる?」

 

あなたは首を振る。

 

「いないよ。実だよ。」

 

殻が開き、茶色い実が見える。

 

炎に照らされて、ほくほくしている。

 

ギデオンはじっと見る。

 

「似てるけど、違う。」

 

「うん。」

 

少し間。

 

「似てるけど違うのって、面白いね。」

 

焚き火がぱち、と弾ける。

 

あなたは尋ねる。

 

「君はどっちが好き? ウニと栗。」

 

ギデオンは少し考える。

 

炎を見つめたまま。

 

「比べられない。」

 

「どっちも、別の良さがある。」

 

あなたはうなずく。

 

「そっか。」

 

しばらく沈黙。

 

炎の音だけ。

 

ぱち、ぱち。

 

ギデオンがぽつりと。

 

「枝も、そうかも。」

 

あなたは顔を上げる。

 

「細いのと、太いの。」

 

「どっちが強いとかじゃない。」

 

炎が揺れる。

 

「細いのが先に燃えて、太いのを支える。」

 

「どっちもないと、続かない。」

 

あなたは、焚き火を見る。

 

枯葉はもう形を失っている。

 

でも、そのおかげで今の炎がある。

 

「似てるけど違う。」

 

ギデオンが続ける。

 

「でも、どっちも必要。」

 

栗をひとつ割る。

 

湯気が立つ。

 

あなたは差し出す。

 

ギデオンは受け取り、小さくかじる。

 

「……あったかい。」

 

炎は、急がない。

 

比べない。

 

ただ、それぞれの速さで燃える。

 

あなたは思う。

 

無理に光らなくてもいい。

 

太い枝にならなくてもいい。

 

いまは、枯葉みたいでもいい。

 

ちゃんと火はつく。

 

炎が、ぱち、と音を立てる。

 

夜は冷たい。

 

でも、二人の前だけは、あたたかい

 

 

 

完結したら同人誌にしようか迷ってる

  • 本で持ちたい
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