洞窟の外は、すっかり白くなっていた。
夜の気配を残したまま、雪が静かに積もっている。
音が、吸い込まれていく世界。
あなたが最初に踏み出す。
きゅっ。
小さな音。
ギデオンも続く。
きゅ。
少し驚いたように足元を見る。
「……鳴る。」
あなたはしゃがみ込む。
両手で雪を集める。
冷たいけど、すぐに慣れる。
「かまくら、作ってみる?」
ギデオンは少し考えてからうなずく。
二人で雪を集める。
積んで、押して、削って。
大きくはならない。
人ひとり、ぎりぎり入れるくらい。
不格好な白い半球。
あなたが中に入る。
「せまい。」
ギデオンも入る。
肩が触れる。
「……あったかい。」
外は冷たいのに、中は静かで、少しだけぬくもりがこもる。
しばらく、何も言わない。
ただ、白い天井を見上げる。
「雪だるまも作ろうか。」
かまくらを出て、今度は丸を作る。
ぎゅ、ぎゅ。
上と下を重ねる。
ちょっと傾く。
ギデオンがそっと直す。
石を目にする。
葉っぱを口にする。
少し曲がっている。
あなたが笑う。
「なんか、眠そう。」
ギデオンがうなずく。
「……悪くない。」
風が少し強くなる。
雪が舞う。
あなたは川のほうを見る。
「凍ってるかな。」
二人で歩く。
川は白く閉じている。
流れは見えない。
あなたは雪を丸めて、そっと川の上に転がす。
ころ。
ころころ。
途中で岩に当たり、止まる。
もう一つ。
今度は少し勢いをつける。
ころころころ。
坂で跳ねて、くるっと回って止まる。
ギデオンはしゃがみ込む。
止まった雪玉を見つめる。
「……動かない。」
「うん。」
あなたは言う。
「でも、溶けたら流れるよね。」
ギデオンは少し考える。
「……たぶん。」
あなたは小さな葉っぱを雪玉の中に差し込む。
「これ、春になったら流れるかな。」
風が、凍った川を撫でる。
ギデオンは立ち上がり、静かに言う。
「いまは、止まってるだけ。」
少し間。
「流れが消えたわけじゃない。」
あなたは川を見る。
確かに、氷の下に水はある。
見えないだけ。
「休むって、」
ギデオンが続ける。
「止まることじゃないと思う。」
白い息が、夜に溶ける。
「流れを、あずけること。」
「いまは動かなくてもいいって、許すこと。」
あなたは雪玉を見る。
岩に当たって止まっている。
でも、葉っぱは中にある。
「溶けるまで、待つのも。」
ギデオンは少し笑う。
「……強さ。」
雪は静かに降り続く。
かまくらも、雪だるまも、凍った川も。
すぐに変わらない。
でも、変わらないままでもいい時間がある。
あなたは隣に立つ。
ギデオンも並ぶ。
川は凍っている。
でも、下ではきっと流れている。
そのまま、二人でしばらく眺めている
完結したら同人誌にしようか迷ってる
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本で持ちたい
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電子書籍がいい
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ここだけで十分