つぶやきギデオン   作:赤銀

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カケラ5個目

 

 

洞窟の外は、すっかり白くなっていた。

 

夜の気配を残したまま、雪が静かに積もっている。

 

音が、吸い込まれていく世界。

 

あなたが最初に踏み出す。

 

きゅっ。

 

小さな音。

 

ギデオンも続く。

 

きゅ。

 

少し驚いたように足元を見る。

 

「……鳴る。」

 

あなたはしゃがみ込む。

 

両手で雪を集める。

 

冷たいけど、すぐに慣れる。

 

「かまくら、作ってみる?」

 

ギデオンは少し考えてからうなずく。

 

二人で雪を集める。

 

積んで、押して、削って。

 

大きくはならない。

 

人ひとり、ぎりぎり入れるくらい。

 

不格好な白い半球。

 

あなたが中に入る。

 

「せまい。」

 

ギデオンも入る。

 

肩が触れる。

 

「……あったかい。」

 

外は冷たいのに、中は静かで、少しだけぬくもりがこもる。

 

しばらく、何も言わない。

 

ただ、白い天井を見上げる。

 

「雪だるまも作ろうか。」

 

かまくらを出て、今度は丸を作る。

 

ぎゅ、ぎゅ。

 

上と下を重ねる。

 

ちょっと傾く。

 

ギデオンがそっと直す。

 

石を目にする。

 

葉っぱを口にする。

 

少し曲がっている。

 

あなたが笑う。

 

「なんか、眠そう。」

 

ギデオンがうなずく。

 

「……悪くない。」

 

風が少し強くなる。

 

雪が舞う。

 

あなたは川のほうを見る。

 

「凍ってるかな。」

 

二人で歩く。

 

川は白く閉じている。

 

流れは見えない。

 

あなたは雪を丸めて、そっと川の上に転がす。

 

ころ。

 

ころころ。

 

途中で岩に当たり、止まる。

 

もう一つ。

 

今度は少し勢いをつける。

 

ころころころ。

 

坂で跳ねて、くるっと回って止まる。

 

ギデオンはしゃがみ込む。

 

止まった雪玉を見つめる。

 

「……動かない。」

 

「うん。」

 

あなたは言う。

 

「でも、溶けたら流れるよね。」

 

ギデオンは少し考える。

 

「……たぶん。」

 

あなたは小さな葉っぱを雪玉の中に差し込む。

 

「これ、春になったら流れるかな。」

 

風が、凍った川を撫でる。

 

ギデオンは立ち上がり、静かに言う。

 

「いまは、止まってるだけ。」

 

少し間。

 

「流れが消えたわけじゃない。」

 

あなたは川を見る。

 

確かに、氷の下に水はある。

 

見えないだけ。

 

「休むって、」

 

ギデオンが続ける。

 

「止まることじゃないと思う。」

 

白い息が、夜に溶ける。

 

「流れを、あずけること。」

 

「いまは動かなくてもいいって、許すこと。」

 

あなたは雪玉を見る。

 

岩に当たって止まっている。

 

でも、葉っぱは中にある。

 

「溶けるまで、待つのも。」

 

ギデオンは少し笑う。

 

「……強さ。」

 

雪は静かに降り続く。

 

かまくらも、雪だるまも、凍った川も。

 

すぐに変わらない。

 

でも、変わらないままでもいい時間がある。

 

あなたは隣に立つ。

 

ギデオンも並ぶ。

 

川は凍っている。

 

でも、下ではきっと流れている。

 

そのまま、二人でしばらく眺めている

 

 

完結したら同人誌にしようか迷ってる

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