【架空ゲーム】男性アイドルVTuber育成ゲーム『きらめきぼし☆ステラプロジェクト』【シナリオ集】 作:くれは*
3-1: SPR - 日常の中の変異
[背景: ステージ]
問: 歌うので聞いてください!
問: 『Full Power!!』
[演出: 3Dライブ Full Power!! イントロ]
[演出: 暗転]
[ナレーション]
そのライブのしばらく前。
[背景: 通学路]
男子高校生: 問(とい)ー! また明日な!
問: ああ、またな。
立ち止まって手を振りあう問。
その脇を未知が歩いてゆく。
未知: (今日も、特に何もなかった)
未知: (いつも通り、退屈な日)
そして、後ろからジャージ姿の走がランニングしてくる。
走: すーはっ……すーはっ……。
三人の距離が縮まった瞬間、世界が歪む。
背景がぐにゃりと曲がり、三人以外の人影が消える。
問: な、なんだこれ……!
未知: ……っ!
走: え……?
足を止めて、辺りを見回す三人。
走が、足を進めようとすると、それを拒むような薄い膜があるのがわかる。
走は不思議そうに、その膜に手を当てる。
問: お、おい、触って大丈夫なのか?
走: 特に、痛いとかはない、けど。
未知: (何これ……え、何これ……)
走の様子を見て、未知も恐る恐る膜をつつく。
未知: ……確かに、あるね。……向こうに、行けない、みたい。
問も膜をぺたぺたと触る。
問: なんだこれ。気持ち悪い。
背景で、世界がさらに大きく歪み出す。
走: えい。
走が、膜を蹴るが、膜は柔らかく勢いを吸収し、向こう側に行ける手応えはない。
問: お前、急に何するんだよ。爆発とかするかも知れないだろ。
走: なんとか、破れないかと思って。
未知: ……し、慎重に……した、方が……良い、ような……。
?: 少し、じっとしていてください!
突然の声に、3人はびくりと固まる。
同時に膜が裂けて、その隙間から普通のーいつも通りの世界が見える。
?: こっちへ!
その裂け目から、3人に向かって手が伸びてくる。
最初に動いたのは走だった。
走はその手を取って、引っ張られるままに隙間から出てゆく。
未知: あ、お、俺も……!
次に差し出された手に、未知はつかまる。そして裂け目から出てゆく。
そして、また差し出される手。
?: 急いで!
問: なあ、これはなんなんだ? 一体何が起こってるんだ?
?: それは後で! 今は脱出が先!
問は最後に周囲を見回して、それから差し出される手を掴んだ。
3-2: 高校生を演じる高校生
[背景: 事務所]
{{プロデューサー名}}: 全員高校二年生、同じ学校の生徒、普通の高校生、という設定にしてあります。
成: 普段の俺たちと、大体同じだな。
悠: じゃあ……あんまり心配、いらない、かな……?
玲: 俺の陸上部って設定も、そのままだ。
{{プロデューサー名}}: ですが、あまり学校での出来事などは、配信で話さないようにしてください。
{{プロデューサー名}}: 特に特徴的な出来事などは、身バレの可能性が上がります。
成: 特徴的な出来事?
悠: 行事……とか?
玲: 確かに、行事の日が同じとか、そういうのはバレそうだよな。
{{プロデューサー名}}: そうですね。行事の日程、プログラムの内容、
{{プロデューサー名}}: そういうところから学校が特定される可能性はあります。
{{プロデューサー名}}: 行事以外にも、例えば学校の先生のあだ名とか、
{{プロデューサー名}}: 小テストがあったとか、先生がこんなことを言った、
{{プロデューサー名}}: 宿題を忘れたとか、購買で買ったパンのこと、
{{プロデューサー名}}: そんななんでもない情報を結びつけて、
{{プロデューサー名}}: 中の人を特定してくる人たちは、存在します。
悠: ええ……こわ……。
玲: 部活のこととかも、あんまり言わない方が良さそう。
成: うーん……それだと、
成: 学校のことは喋らない方が良いってことに、なりませんか?
{{プロデューサー名}}: はい。
{{プロデューサー名}}: VTuberの設定は「高校生」にしていますが、
{{プロデューサー名}}: 中身まで高校生である必要はありません。
{{プロデューサー名}}: なので、「自分たちは高校生を演じている」と
{{プロデューサー名}}: そう思って配信すると、良いかもしれません。
成: 俺たち、本当に高校生なのに、高校生を演じるんですか?
悠: 混乱する……。
玲: 大変そう。
{{プロデューサー名}}: 高校生VTuberだけど、中身は本当は高校生じゃないかもしれない、
{{プロデューサー名}}: 視聴者にそう思ってもらえるような言動を心がけましょう。
成: だったらもっと、かけ離れた設定の方がやりやすかったと思います。
悠: 確かに……。
玲: なんで、俺たちの設定は「高校生」なんですか?
{{プロデューサー名}}: みなさんの魅力は素直なところなので、
{{プロデューサー名}}: 素直な感じで高校生をやってもらった方が良い、
{{プロデューサー名}}: そう判断しました。
{{プロデューサー名}}: 無理に大人っぽさを演じるのは……その、
{{プロデューサー名}}: みなさんの魅力を損なうことになりそうだな、と思ったので。
成: ……そうかもしれない。
成: 確かに実年齢より上の世代を演じろって言われても、
成: できる自信はないや。
悠: そうだね……それ、きっと……どこかで、ボロが出る。
玲: つまり、今の設定なら、うっかりしてもごまかしやすいってことだろ?
{{プロデューサー名}}: そうですね。そういう見方もできます。
{{プロデューサー名}}: わたしも、モデレーターの方も協力します。
選択肢: あまり緊張しすぎずに、
{{プロデューサー名}}: あまり緊張しすぎずに、まずは楽しく配信をしてください。
成: できるだけ、頑張ります。
悠: ……自信は、ない、けど。
玲: うん、やってみるよ。
3-3: SPR - 異世界に繋がる
[背景: プロダクション応接室]
ソファーに問・未知・走が3人並んで座っている。
プロデューサーが紙コップをトレイに載せて運んでくる。
プロデューサー: こちら、どうぞ。
プロデューサー: そんなに緊張しなくても、大丈夫ですよ。
プロデューサーは、紙コップを3人の目の前に置く。
問: あ、あの、ありがとうございます。
無言で頭を下げる未知。
走: いただきます。
自分の前に置かれた紙コップを手にとって、口をつける走。
問: それでっ! あの、家には帰れますかっ!?
プロデューサー: はい、大丈夫ですよ。
プロデューサー: 説明が終わったら、ちゃんと家に帰れます。
プロデューサー: だからまずは、説明させてください。
上目遣いにプロデューサーの表情を伺う未知。
プロデューサー: この世界とは別の世界ー
プロデューサー: ステラ位相と呼ばれる世界があります。
未知: い、異世界……ってこと?
プロデューサー: そうです、異世界です。
プロデューサー: その異世界が、崩壊に向かっています。
走: それが……どういうこと?
プロデューサー: ステラ位相とこの世界は相互に影響しあっていて、
プロデューサー: つまり、ステラ位相が崩壊すると、この世界にも影響があるんです。
問: さっきの変なのは、その、異世界が関係しているってことですか?
プロデューサー: そうです。
プロデューサー: その影響で、あなた方は巻き込まれてしまったんです。
未知: そんな……。
未知: (信じられない……けど、さっきのは、本当……だった)
プロデューサー: あなた方が巻き込まれた原因は、
プロデューサー: あなた方に、ほんの僅かにですが、ステラ位相との共振率──
プロデューサー: ええと、異世界との相性のようなものでしょうか、繋がりやすさ、とか、
プロデューサー: それが、あるんです。
走: 異世界との……繋がりやすさ?
問: 俺たち全員にですか?
プロデューサー: はい。先ほど計測させてもらいました。
プロデューサー: 個別にだと、ほとんど感じられないくらいですが、
プロデューサー: 3人が揃うと、その値が上がります。
未知: ……それって、どういう……?
プロデューサー: つまり、あなた方は
プロデューサー: 3人揃って力を発揮するタイプ、ということです。
ぽかんと顔を見合わせる3人。
3-4: ここにいる理由
[背景: レッスンスタジオ]
ダンストレーナー: 基礎トレ、だいぶ慣れてきましたね。
ダンストレーナー: 10分休憩したら、ダンスの振りをやっていきましょう。
成・悠・玲: はい!
悠: ……疲れた。
成: はい、二人とも、水。
玲: ありがとう。
悠: 原は、あんまり、疲れてなさそう……に、見える。
玲: このくらいなら。陸上部の練習の方がきついから。
成: そっか、原は運動部だっけ。
成: やっぱり普段から、体動かしてた方が良いよな。
玲: トレーナーさんが教えてくれた基礎トレだけでも、
玲: 毎日やってたら、きっと違うと思う。
悠: 大変、そう……。
成: なあ、なんでオーディション受けたんだ?
悠: ……え?
玲: なんで?
成: だってさ、吉野は正直、意外だった。
成: こういうの、自分からやりたいって思うタイプじゃないって
成: 見えてたから。
成: あ、こういう言い方、失礼か。ごめんな。
悠: ……いいよ。
悠: 自分でも……そう、思ってる、から。
悠: うーん……。
悠: うまく言えない、んだけど。
悠: 目の前で、オーディションのチラシ、捨てたやつが、いて、
悠: それを、拾ったらさ……プロデューサーさんに
悠: 見学だけでもって、言われちゃって、
悠: チラシも、受け取っちゃって、
悠: それで……なんとなく。
悠: 自分でも……それ以上、わからない、んだ。
玲: 俺、それ見てた。
悠: え……。
玲: それを見て、なんか、こう……
玲: うん、俺もよくわかんないや。
玲: とにかく、なんか、俺もチラシ欲しくなったんだ。
悠: 飯岡は……?
成: 俺?
玲: そうだ、お前も話せ。
成: 俺は……そうだな……
成: 俺も、吉野がチラシ拾うの、見てたんだ。
悠: え……。
成: 見てたっていうか、あの時、すぐ近くにいた。
成: 俺も、拾おうと思えば拾えた。
成: でも拾わなかった。ただ、見てただけだった。
成: でも、吉野は拾った。
成: 俺、なんか悔しくて。自分が拾わなかったこと。
成: だから、動いてみようって思ったんだ。
悠: ……。
玲: なんか、結局、よくわかんないな。
悠: そう……かも。
成: 何か始めるって、そういうことかもな。
玲: わかったようなこと言うなよ。
悠: あはは。
3-5: SPR - 3人揃って
[背景: プロダクション応接室]
プロデューサー: できれば、我々と契約して欲しいんです。
問: 契約?
未知: (……何、させられるんだ?)
走: どうしてですか?
プロデューサー: ステラプロダクションの活動は、世界の崩壊を食い止めるためにある。
プロデューサー: そして崩壊を食い止めるためには、共振率の高い存在が、必要です。
問: でも、俺たち、そのキョウシンリツ? は高くないんですよね?
プロデューサー: 確かに、個々でみるとほとんどありません。
プロデューサー: 3人揃うと上がりますが、それもかなり不安定です。
走: じゃあ、俺たちは役に立たないんじゃ。
プロデューサー: そんなことありません!
プロデューサー: たとえほんのわずかでも、あなたたちにあるのは可能性です!
未知: 可能性……。
プロデューサー: はい、みなさん3人揃うことで、
プロデューサー: 不安定な数値も、もっと高くなる可能性がある。
プロデューサー: むしろ、不安定だからこそ、その可能性を持っている、と言っても良いです。
問: でも、いったい何をすれば良いんですか?
プロデューサー: はい。わたしたちと契約して、アイドル配信者として活動をしてください。
未知: アイドル……!?
走: 配信者!?
プロデューサー: 観客や視聴者への呼びかけと応答、
プロデューサー: それによって生まれるエネルギーが、
プロデューサー: 世界の崩壊を食い止めるんです。
また、ぽかんと顔を見合わせる3人。
[背景: ステージと観客席]
大勢の観客の前で、緊張した面持ちの3人。
問: RYN(リイン)の問(とい)です。
未知: ……未知(みち)、です。
走: 走(はしる)です。
問: えっと……すっごく緊張しています。
観客席から起こる笑い声。
未知: (うわあ……どうしよう)
走: でも、歌うから!
未知: あ、えっと……はい!
3人で顔を見合わせて頷きあう。
問: 歌うので聞いてください!
問: 『Full Power!!』
[演出: 3Dライブ Full Power!! サビ]
[演出: 暗転]
3-6: 名前で呼んでも良いか?
[背景: レッスンスタジオ]
ダンストレーナー: では、今日のレッスンは終わりです。
ダンストレーナー: 家で基礎トレ、忘れずにやってくださいね。
ダンストレーナー: お疲れ様でした。
成・悠・玲: ありがとうございました。
[SE: ドアが開く]
{{プロデューサー名}}: みなさん、お疲れ様でした。
成: プロデューサー、お疲れ様です。
悠: ……です。
玲: っす。
{{プロデューサー名}}: どうでしょうか。レッスンには慣れてきましたか。
成: どうだろう……。
悠: ……まだ……あんまり。
玲: ダンスはまあまあかな。歌は、難しいです。
{{プロデューサー名}}: ゆっくりで大丈夫ですよ。
{{プロデューサー名}}: それでも、みなさんちゃんと成長していますから。
成: 成長、してるのかな。
{{プロデューサー名}}: 実感、できませんか。
成: だって、まだ通しで踊ることもできていないし。
成: 歌だって、まだ歌詞を理解して歌えてる感じもないし。
悠: お、俺なんか……理解、どころか……覚えるので、精一杯、で……。
成: こんな状態で、いつ本番ができるんだろうって、不安になるんです。
悠: ……俺も……歌って踊るなんて、無理かも……って。
{{プロデューサー名}}: 玲さんは、どう思っていますか。
玲: 俺は……ずっと、陸上やってたから、
玲: なんとなくわかるんです、成果が出るのには時間がかかるって。
選択肢: そうですね……。
{{プロデューサー名}}: そうですね……。
{{プロデューサー名}}: みなさんは、お互いにもっと話し合うのが良いと思います。
成: 話し合う?
{{プロデューサー名}}: みなさんは、それぞれ違いますよね。
{{プロデューサー名}}: だから、話してみると、
{{プロデューサー名}}: 意外なところが見えてくるかもしれません。
{{プロデューサー名}}: 得意なことも、苦手なことも。
悠: ……俺、得意なことなんてない、けど。
玲: そんなこと、ないと思う。
悠: え?
玲: この中だと、悠が一番、なんていうか、
玲: よく見てる? っていうか、慎重?
悠: ビビり、なだけ……だと思う。
成: あはは。
悠: え、何……?
成: そういうことなんだ。
玲: 何が?
成: 今みたいにさ、俺ら、もっと話したら、
成: 自分がどう見えてるのか、とか、
成: どうしたいのか、とか、
成: ちょっとはわかるのかもって。
悠: ……ごめん、ちょっと……わからない、かも。
玲: 俺も。
成: とにかく、ひとりで考えすぎない方が良いって、
成: わかったんだ。
{{プロデューサー名}}: 話し合い、できそうですね。
悠: え……そうなのか、な?
玲: わかんない。でも、俺は大丈夫な気がする。
成: そこも話し合えば良いんだと思う。
成: あ、そうだ。
成: 吉野も原もさ、名前で呼んでも良いか?