【架空ゲーム】男性アイドルVTuber育成ゲーム『きらめきぼし☆ステラプロジェクト』【シナリオ集】 作:くれは*
1:解釈を深める
[背景: 事務所 会議室]
{{プロデューサー名}}: 明日から、さっそくユニット曲のレッスンが始まります。
{{プロデューサー名}}: 何かあれば、なんでも言ってくださいね。
恒一: 少し、確認したい。
恒一: この後、もうしばらく会議室を使いたいのだが、
恒一: 構わないだろうか。
{{プロデューサー名}}: はい、しばらくは予定もありませんし、構いませんよ。
恒一: 雨谷くんも時間は大丈夫だろうか。
恒一: 歌詞について、ふたりで話して解釈を深めておきたい。
律: 読み合わせ、ですね。
律: 良いですよ。
律: その方が、ちゃんと歌えそうです。
{{プロデューサー名}}: では、何かあれば声をかけてくださいね。
恒一: わかった。
律: ありがとうございます。
[演出: 暗転]
[背景: 事務所 会議室]
律: ひずみから生まれ出る存在ってなんでしょうね。
恒一: 私は「存在は無自覚」なんだと解釈した。
恒一: つまり、人は存在することに無自覚である、と。
律: なるほど……じゃあ、ひずみから生まれ出るっていうのは?
恒一: なんらかの矛盾した状態、ではないだろうか。
恒一: そして人は、その状態に無自覚である。
律: 難しいですね。
律: でも、次は少しわかる気がします。
律: Kが「観測されなくてもそこにある ──と仮定する」と歌う。
律: そしてLが「あるいは 何もない」と歌う。
恒一: これは、シュレディンガーの猫、だな。
恒一: 観測されるまで状態はわからない。
恒一: だから仮定はあくまで仮定であり、
恒一: Lはそれに対する反論を試みている。
律: そうですね。
律: LがKに向かって歌う場面だ。
恒一: そうだな。
恒一: LがKの仮定に向き合っている、ということか。
律: ……そうですね。
2:正確に
[背景: レッスンスタジオ]
ボイストレーナー: この歌は個人パートが多くて練習が大変かもしれませんが、
ボイストレーナー: こうやって揃って練習できるタイミングで、
ボイストレーナー: お互いの歌声を知っておいてくださいね。
ボイストレーナー: 収録のときの歌いやすさが違いますから。
恒一: なるほど、そういうものか。
律: はい、頑張ります。
ボイストレーナー: では、フレーズごとに見ていきましょう。
[背景: 楽譜]
観測が必要だと仮定して
──なんのため?
もとより
意味は未定
[背景: レッスンスタジオ]
ボイストレーナー: 音程は取れていますね。
律: ……。
律: すみません、今のところ、もう一回良いですか。
ボイストレーナー: 何か気になりますか。
律: 気になるっていうか……
律: なんだろう、少し、違ってた気がして……。
ボイストレーナー: どんなふうに違いましたか。
律: ……うまく、言えないんですが。
律: Kが……。
律: いや、やっぱりなんでも……。
ボイストレーナー: ……。
ボイストレーナー: 雨谷さんも、城戸さんも、相手のパートを聞きながら歌う、
ボイストレーナー: ということを意識してみてください。
ボイストレーナー: では、もう一度、今のところから。
[背景: 楽譜]
観測が必要だと仮定して
──なんのため?
もとより
意味は未定
[演出: 暗転]
[背景: レッスンスタジオ]
ボイストレーナー: では、お疲れ様でした。
恒一: ありがとうございました。
律: ……ありがとうございました。
[SE: ドアが開く]
[SE: ドアが閉まる]
律: 今日のレッスン……恒一さんは、どうでした?
恒一: 正確に歌えるようにと、考えていた。
律: 正確に……そうですね……。
律: ……そうですよね。
3:足りないもの
[背景: レッスンスタジオ]
[SE: ドアが開く]
{{プロデューサー名}}: こんにちは、お疲れ様です。
恒一: プロデューサー、お疲れ様です。
律: ……お疲れ様です。
{{プロデューサー名}}: 調子はどうですか。
恒一: 課題もあるが、正確に歌えるようになってきたと思う。
律: ……そうですね。
律: でも……。
{{プロデューサー名}}: 律さんは、何か気になることがありますか。
律: 気になる、というか。
律: 僕はLです。
律: Lとして歌っています。
律: だけど、その……手応えが、わからなくて。
{{プロデューサー名}}: ……。
選択肢: Lを演じすぎていませんか?
{{プロデューサー名}}: Lを演じすぎていませんか?
{{プロデューサー名}}: Lの前に、律さんは、何を気にしているんでしょうか。
{{プロデューサー名}}: 律さんが見えないのは……心配です。
律: 演じすぎる、というか……
律: 僕は演じている方が自然なので……
律: 今の僕はLなんです。
律: だから、Lとしての僕が僕です。
{{プロデューサー名}}: ……では、Lは何が物足りないのですか。
律: ……それは、
律: Kが……いや、でも……。
恒一: 雨谷くんは、Kへの要求があるということだろうか。
恒一: もしそうなら私の問題だ。
恒一: 確認しておきたい。
律: ……どう、なのかな。
律: Lは、足りないと言っているんです。
律: でも、それが何かは……。
{{プロデューサー名}}: ……。
{{プロデューサー名}}: わかりました。
{{プロデューサー名}}: 何かあれば、いつでも言ってくださいね。
律: ……はい。
{{プロデューサー名}}: 収録日は、お渡ししたスケジュールの通りです。
恒一: 了解した。
律: ……はい。
4:Lとして
[背景: 収録スタジオ]
律: よろしくお願いします。
スタッフ: よろしくお願いします。
スタッフ: 城戸さんは別撮りで収録済みなので、
スタッフ: それに合わせて収録お願いします。
律: はい。わかりました。
スタッフ: では、スタート。
[BGM: Observation インスト]
[背景: 楽譜]
観測開始
[背景: 収録スタジオ]
律: (……正確な声、だ)
[背景: 楽譜]
観測されなくてもそこにある
──と仮定する
あるいは
何もない
[背景: 収録スタジオ]
律: (Kの言葉に、Lが返す)
律: (KとLの対話……だと、思っていた)
[背景: 楽譜]
観測が必要だと仮定して
──なんのため?
もとより
意味は未定
[背景: 収録スタジオ]
律: (……KとLは会話しているようで)
律: (すれ違っているのかもしれない)
律: (僕と恒一さんのように)
律: (僕とプロデューサーのように)
[背景: 楽譜]
観測の中で
生まれ出る感情
ノイズとして 消えてゆく
なお残るのは「存在」「存在」
[背景: 収録スタジオ]
律: (それでもLは、揺らぎを歌う)
律: (なら僕も、歌うだけだ)
[BGM: Observation インスト 終了]
スタッフ: お疲れ様でした。
スタッフ: サビのところなんですが──
5:【Celeste】オリジナル曲『Observation』宣伝動画【ステラ/K/L】
K: 観測者諸君! Celesteの多次元重複現象観測用アンドロイドKだ。今日も観測を開始する。
L: 受信者のみんな、Celesteの世界振動現象受信用自立型AIのLです。今日も揺らぎを感じよう。
K: 私たちのオリジナル曲『Observation』のMVがついに公開された。
K: 諸君はもう、観測してくれただろうか。
L: 心地良く揺らぐ音楽、になったから、
L: みんなに聞いてほしい。
K: 新しい曲とはすなわち、新しい実験であり、新しい発見でもある。
K: 今回のMV作成を通して、私は新しい仮説を手に入れた。
K: その仮説は、今後の実験の中で検証されていくことになるだろう。
K: その実験にはぜひ、観測者諸君にも参加してもらいたい。
L: 音は、止まることと、揺らぐことの繰り返し。
L: 心地良く揺らぐことって、案外難しいね。
L: でも、楽しかったよ。
L: 僕は、いっぱい揺らいだと思う。
L: ライブではもっともっと揺らぐから、
L: 聞きにきてほしいな。
K: では、観測者諸君、
L: 受信者のみんな、
K: 諸君の観測を待っている。
L: 気に入ったら、いっぱい見てね。
[END]