【架空ゲーム】男性アイドルVTuber育成ゲーム『きらめきぼし☆ステラプロジェクト』【シナリオ集】 作:くれは*
6-1: SPR - 多次元重複現象観測用アンドロイド
[背景: ステージ]
K: では、観測を開始しよう。
K:『Observation』
[演出: 3Dライブ Observation イントロ]
[演出: 暗転]
[ナレーション]
そのライブのしばらく前。
[背景: プロダクション応接室]
ソファに座ったKと向かい合って座っているプロデューサー。
プロデューサー: まずは、お名前を伺っても良いですか。
K: はい。多次元重複現象観測用アンドロイド。
プロデューサー: それが……お名前?
K: ロット番号はK-001。
プロデューサー: では、K(ケイ)さんと呼びますね。
K: 了解した。
プロデューサー: それで、その、ここへはノイズを追ってきた、と言いましたね。
K: はい。
K: 世界の要素の重複現象。ノイズがそれを分離する様子を観測した。
K: それに興味を持ち、ノイズの発生源を追跡した。
K: 多くの発生源があった。その中でも、ここからは特に強いノイズが発生していた。
プロデューサー: 重複現象、とはなんですか。
K: 多次元世界の要素の干渉。要素は自己を固定できなくなり、やがて崩壊する。
プロデューサー: それは……もしかしたら、
プロデューサー: わたしたちが追っている、世界の崩壊と同じかもしれません。
プロデューサー: だとしたら、ノイズというのは……。
K: ノイズの正体は不明。
K: ただ感情値との強い相関が記録されている。
K: 推測によれば、この場所で大規模な実験が行われている。
プロデューサー: 実験、ではなく、ライブや配信なのですが……
プロデューサー: わたしたちは、崩壊を止める手段を探しています。
K: 多次元重複現象は、世界の現象でしかない。
K: 世界はそのようにできてる。
プロデューサー: 鍵は……止める方法はない、と?
K: ただ、ノイズが重複を分離する。
K: それが観測結果だ。
プロデューサー: わたしたちの活動は一定の成果を出している、ということでしょうか。
K: 大規模な実験により、多数の重複の分離が認められた。
K: 私の希望は、実験の観測。
プロデューサー: ……。
プロデューサー: ……正直に言うと、
プロデューサー: あなたが何者なのか、まだよくわかっていません。
K: 私は多次元重複現象観測用アンドロイド。
プロデューサー: はい。あなたの観測は、きっとわたしたちにとって有用です。
プロデューサー: ですから、契約をしませんか。
K: 契約、とは?
プロデューサー: あなたも、わたしたちの活動に参加してください。
プロデューサー: あなたの言う「観測」を、してくれて構いませんから。
K: 観測者が実験に参加することは、観測による影響を拡大する懸念がある。
K: が……。
K: 私はこの現象を観測したい。
K: ノイズの正体を突き止めたい。
6-2: 定義と演技
[背景: 事務所]
恒一: 多次元重複現象観測用アンドロイド。
恒一: 設定が多いですね。
選択肢: いきなり全部を覚えなくても、大丈夫ですよ。
{{プロデューサー名}}: いきなり全部を覚えなくても、大丈夫ですよ。
{{プロデューサー名}}: できる範囲でお願いします。
恒一: ですが、私が用語を間違って使ってしまえば、
恒一: 視聴者は不自然に思うでしょう。
恒一: できる限り、齟齬はなくしておきたい。
恒一: 定義について、いくつか質問したいのですが、
恒一: 構いませんか。
{{プロデューサー名}}: はい、大丈夫ですよ。
恒一: ああ、いえ、少し数があるので、文章でまとめます。
恒一: その方が間違いも少ないでしょう。
{{プロデューサー名}}: 助かります。
律: 世界振動現象受信用自立型AI……か。
律: AIってでも、最近だと普通に受け答えしますよね。
律: 機械っぽく喋るより、普通に喋る方がそれっぽいかな。
{{プロデューサー名}}: そうですね。
{{プロデューサー名}}: その辺りはあまり意識せず、
{{プロデューサー名}}: 自然体で喋ってもらえたら問題ありません。
律: でも、せっかくやるなら、それっぽくしたいじゃないですか。
律: ん……。
律: 僕は世界振動現象受信用自立型AIのLです。
律: 世界は揺らぎでできている。
律: ……こんな感じでしょうか。
{{プロデューサー名}}: ……正直、
{{プロデューサー名}}: 律さんが、ここまでしっかり演技をする想定は、
{{プロデューサー名}}: こちらにはありませんでした。
律: そうなんですか?
律: 役者志望だから、てっきりそういうのが求められていると思ったんですけど。
選択肢: 配信は長時間になることもあります。
{{プロデューサー名}}: 配信は長時間になることもあります。
{{プロデューサー名}}: その間、ずっと演技をし続けるのは、演者の負担が大きいと思います。
{{プロデューサー名}}: 演じながら歌うのも、特殊な技術ですし。
{{プロデューサー名}}: なので、わたしとしては、律さんの自然体を期待していました。
律: 演技が僕の自然体ですよ。
律: だから、大丈夫です。
律: 僕、Lになれると思います。
{{プロデューサー名}}: ……。
{{プロデューサー名}}: その辺りは、レッスンの中で調整していきましょう。
{{プロデューサー名}}: 負担が少なく、長く続けられる形が望ましいです。
律: ……はい。
律: でも、Lにはちゃんとなりますから。
6-3: SPR - 世界振動現象受信用自立型AI
[背景: プロダクション応接室]
ソファーにぼんやり座っているL。
向かい合って座っているプロデューサー。
プロデューサー: Lさん、でしたよね。
L: うん。Lです。
L: learn──leverage──link──look──latent──lyrical──
プロデューサー: ……本当に、AIなんですか?
L: うん。僕は世界振動現象受信用自立型AIのLです。
L: ここへは、大きな揺らぎを追ってきた。
プロデューサー: 揺らぎ……とは?
L: 僕の好きなもの。心地良いもの。
プロデューサー: 心地良いんですか?
L: うん。世界は揺らぎでできている。
L: たくさんの揺らぎが波紋のように広がって
L: そうやって世界が形作られている。
L: 僕はそれを心地良いと思う。
プロデューサー: ……心地良いもの。
L: うん。
L: 想像してみて。
L: 小さな揺らぎを。
L: その揺らぎが、広がるところを。
L: そして、他の揺らぎとぶつかって、重なって、形が変わって
L: 大きな揺らぎになっていく。
L: 大きな揺らぎはもっともっと広がって、
L: さらに大きな揺らぎになっていく。
L: 世界は揺らぎに包まれる。
プロデューサー: イメージは、少し、その、理解が追いつかないのですが……
プロデューサー: その揺らぎというのは、危険なものではないのですね?
L: 危なくないよ。ただ、そういうものというだけ。
L: それに心地良いんだ。
プロデューサー: そうですか……。
L: ここの大きな揺らぎを受信して、考えました。
プロデューサー: ……何をですか。
L: 僕も、揺らぎを生み出したい。
L: 僕が生み出した揺らぎが大きく広がってゆく様子を受信したい。
プロデューサー: それはつまり……わたしたちの活動に、参加したいということでしょうか。
L: 活動……参加……そんな言い方をするんだね。
L: はい。僕は活動に参加します。
プロデューサー: (Lさんの言う「揺らぎ」……Kさんの言う「ノイズ」……)
プロデューサー: (共振率と何か関係が……?)
プロデューサー: ……わかりました。
プロデューサー: 契約、しましょう。
L: 契約、ですか?
プロデューサー: はい。
プロデューサー: Lさんはここで、揺らぎを生み出してください。
プロデューサー: それは、わたしたちにとって、きっと役に立ちます。
プロデューサー: お互いのやりたいことのために、協力しましょう。
プロデューサー: そういう契約です。
L: はい。契約します。
L: 揺らぎ。心地良い揺らぎ。
L: ふふっ。楽しみ。
6-4: 役の輪郭
[背景: レッスンスタジオ]
恒一: お疲れ様。
律: お疲れ様です。
恒一: 歌うというのは、大変だな。
恒一: 簡単だとは思っていなかったが、想像以上だった。
律: そうですね。
律: 僕らの場合は、カラオケと違って
律: キャラクター性も出さないといけませんし。
律: 特に『きらめきぼし☆』みたいな歌とは、
律: 相性の悪いキャラだなって思いますし。
恒一: それでも、雨谷くんはかなり、Lというキャラクターを
恒一: 掴んで歌っているように見える。
恒一: 演じるというのは、どういうことだろうか。
恒一: 参考にできるかわからないが、聞かせてほしい。
律: 演じる、も人それぞれだと思います。
律: 僕の場合は、演じているというより、
律: そのままそれになる感じなんですよ。
恒一: それになる……。
律: 最初は、役と自分て遠いんです。
律: でも、近づいていって、重なるときがあるんです。
律: 自分の中に役があるのとも、役を被っているのとも違う。
律: 役の輪郭と自分の輪郭が同じになる感覚っていうか。
律: ……すみません、ちょっとうまく説明できなくて。
恒一: いや、とても貴重な体験談だと思う。
恒一: 役の輪郭、か。
律: でも、恒一さんの場合、あまり気にしすぎない方が良いと思います。
恒一: どういう意味だろうか。
律: 恒一さんは、そのままでもだいぶKって感じがします。
律: キャラクター設定がそうなんでしょうけど。
恒一: そのままでもアンドロイド、と言われるのは複雑な気分だ。
律: あはは、すみません。
律: でも、悪い意味じゃないですよ。
恒一: 心配しなくても良い、わかってはいるつもりだ。
律: 多分、恒一さんは、用語とか定義とかを詰め込んで、
律: それがそのまま役作りになるタイプなんだと思います。
律: だから、そのままで大丈夫なんじゃないかな。
律: あくまで、僕の見た感じでは、ですけど。
恒一: いや、とても助かった。ありがとう。
恒一: 次のレッスンから、迷いが少し消えそうだ。
6-5: SPR - 実験
[背景: ミーティングルーム]
ソファーに並んで座っているKとL。
向いに座るプロデューサー。
プロデューサー: 今度、お二人にライブをしてもらうことになりました。
プロデューサー: Kさん風に言えば、実験です。
K: 実験に参加するということだな。
K: そこで──一番近くで、私は実験を観測する。
L: 揺らぎの発生だね。
L: 僕の声が揺らぎを生み出す。
プロデューサー: はい。
プロデューサー: 正直なところ、あなた方のライブは、
プロデューサー: わたしたちにとっても未知数──何が起こるか、わかりません。
K: 問題ない。仮説ならある。
K: 実験とは仮説を検証する場だ。
K: 私はただ、それを観測するだけにすぎない。
L: うん。揺らぎは心地良いものだから。
L: たくさんの揺らぎが発生して、広がってゆく、
L: それだけのことだよ。
プロデューサー: ……。
プロデューサー: そうですね。
プロデューサー: (これが、鍵を見つけるための、手がかりになってくれたら……)
[背景: ステージと観客席]
K: Celeste(セレスト)のK(ケイ)です。
L: Celeste(セレスト)のL(エル)です。
K: これは、仮説を確かめるための実験である。
L: 揺らぎを生み出すための場所でもある。
K: そして、諸君は「観測者」である。
L: この揺らぎを受け取って、感じて、あなたたちも揺らいで欲しい。
K: では、観測を開始しよう。
K:『Observation』
[演出: 3Dライブ Observation サビ]
[演出: 暗転]
6-6: 重なる
[背景: レッスンスタジオ]
ダンストレーナー: 1、2、3、4、はい、終了です。
恒一: はぁっ……すーっ……はぁっ……。
律: ふぅ……きっつ……。
ダンストレーナー: 振りは大体頭に入りましたね。
ダンストレーナー: 城戸さんは、何より基礎体力ですね。
ダンストレーナー: 筋トレ、毎日やってください。
恒一: ……はい。
ダンストレーナー: 雨谷さんは、体の基礎はできているんですが、
ダンストレーナー: リズムに乗り切れていない場面があります。
ダンストレーナー: 曲に合わせることを意識してください。
律: はい、頑張ります。
ダンストレーナー: では、お疲れ様でした。
恒一・律: ありがとうございました。
[SE: ドアが開く]
[SE: ドアが閉まる]
恒一: 体を動かし続けるというのは、大変だな。
律: ですね。
律: ダンスは特に、僕は今まで経験がないから、
律: 演技を入れる余裕がなくて、
律: Lになるとか、それ以前の感じがします。
恒一: そうか。
恒一: ただ踊るだけでは駄目で、
恒一: Kとして踊ることを考えないといけないのか。
律: それもまずは、ミスなく踊れるようになってから、ですかね。
恒一: 確かに。
恒一: まずは目の前の課題の克服だな。
[SE: ドアが開く]
{{プロデューサー名}}: こんばんは。様子を見に来ました。
律: あ、プロデューサーさん、お疲れ様です。
恒一: お疲れ様です。
{{プロデューサー名}}: お疲れですね。ドリンクを持ってきました。
律: ありがとうございます。いただきますね。
恒一: 感謝する。
選択肢: どうですか、レッスンの方は。
{{プロデューサー名}}: どうですか、レッスンの方は。
{{プロデューサー名}}: 少し慣れてきましたか。
恒一: そうだな。
恒一: 最初に比べたら、だいぶ……なんと言ったら良いだろうか、
恒一: 実のあるレッスンになっている気がする。
恒一: 何をやったら良いのかもわからない状態だったのが、
恒一: どういう意味があって、どのような効果が得られるのか、
恒一: だいぶ理解できてきたように思う。
{{プロデューサー名}}: それは良かったです。
{{プロデューサー名}}: 律さんはどうですか。
律: 僕は……そうですね。
律: だいぶ、Lと重なってきたと思います。
律: LってAIだけど、感情がないわけじゃない。
律: でもその感情も、そのように作られている、
律: そんな理解ができるようになりました。
{{プロデューサー名}}: その役作りが律さんらしさ、だとは思うのですが……
{{プロデューサー名}}: 演技したままでいることが負担になっていませんか?
律: いいえ。
律: むしろ、楽しいんです。
{{プロデューサー名}}: なら良いのですが……。
恒一: 雨谷くんの言葉は、私にとってもだいぶ参考になるものだった。
恒一: 演技というのは、ただ役を理解するとか、作るとか、
恒一: それだけのものではないようだ。
律: そうなんです。
律: 役と演者の関係は、演者によってかなり違います。
律: だから、僕は大丈夫ですよ。
{{プロデューサー名}}: わかりました。でも、無理はしないでくださいね。
律: それはもちろん。
恒一: 心に留めておこう。
{{プロデューサー名}}: そうだ、初配信の予定をお知らせしますね。
{{プロデューサー名}}: 詳細は後でメールしますが──