霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~   作:犬型大

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103悪あがき1

「おい、エリシオ!」

 

「ゲルディットさん! ……ドアは開いてますよ」

 

 不穏な何かを感じた直後、ゲルディットがドアを蹴破って焼却場に入ってきた。

 一瞬ゲルディットが不穏な気配の正体かと思ったが、違うようだ。

 

 別にドアを蹴破りやしなくとも、鍵なんてかかってないのだから普通に入ってくればいいのに。

 後で直さなきゃいけないじゃないか。

 

「お友達が来てるぞ」

 

「お友達?」

 

「俺たちのな」

 

 ゲルディットは俺に剣を投げ渡す。

 それだけで、お友達というのがなんなのか察する。

 

「おい、そこの!」

 

「は、はい?」

 

 ゲルディットはプニマッツのことを見る。

 この二人に面識はないようだ。

 

 急に現れた男に睨まれるような鋭い視線を向けられたプニマッツは、困惑しきりであった。

 

「俺は悪魔祓いのゲルディットだ。そのジジイ、見張ってろ」

 

「あ、悪魔祓い……!」

 

「なるほどな」

 

「か、監視はお任せください!」

 

 悪魔祓いは聖騎士の中の部門のようなものであるが、悪魔と戦う性質上扱いは聖騎士の上になる。

 緊急時において、聖騎士は悪魔祓いの命令に従う。

 

 プニマッツも悪魔祓いと聞いて背筋を正す。

 そしてマーデルは険しい顔をして俺とゲルディットを睨んでいた。

 

「それで、お友達はたくさんはいますか?」

 

「全員呼んだら盛大な結婚式になりそうなぐらいにはな」

 

 俺とゲルディットは焼却場の外に出る。

 お友達とは別に本当のお友達ではない。

 

「ほれほれ、騎士さんも頑張って〜」

 

 常に炎の地響きのような音が鳴っている焼却場ではなかなか気づきにくかったが、外に出てみると意外とひどい状況だった。

 以前に見た手足が人間のものに付け替えられたケモノ型の魔物が襲いかかってきていて、パシェたちが戦っている。

 

 魔物は十数体はいそうで、焼却場の警備に当たっていた聖騎士も駆り出されている状態だ。

 デラがパシェと聖騎士に神聖力を送り、デラ自身も聖騎士から神聖力を受けている。

 

「怪我しても治してあげるからチャキチャキ戦う!」

 

 デラの戦闘スタイルは他の人とやや異なっている。

 多くの人が剣を使い、聖の聖騎士でも魔物と積極的に戦う。

 

 対してデラは盾にメイスという戦闘スタイルだ。

 悪魔相手の場合、盾を使う人は少ない。

 

 力が強いことも多い悪魔相手だと盾で攻撃を受けてなんかいられない。

 回避か攻撃によって相手の攻撃を防ぐという手段がよく取られるのだ。

 

「ほっ!」

 

 今回は魔物相手なので戦いにも参加しているが、悪魔相手となると完全にサポートに徹して回避と盾で逃げ回るのがデラのやり方だった。

 武器がメイスなのは乱雑に振り回してもいいし、いざとなれば攻撃を防ぐためにも使える。

 

 剣よりも壊れにくい金属の塊ぐらいで使っている。

 ただデカめでゴツいメイスで殴られると痛い。

 

 魔物の逆さの頭がデラに殴られて、目が飛び出している。

 

「お前は俺とデラに神聖力を。役割変更だ! 聖騎士どもは聖騎士どもでフォローしあえ! デラはパシェとエリシオに!」

 

「分かりました」

 

「はーい」

 

 ゲルディットが指示を飛ばす。

 俺は指示に従ってゲルディットとデラに神聖力を向ける。

 

 そしてデラから俺に神聖力が送られてくる。

 複数人に神聖力を送ることができるということは、デラも神聖力がかなり強い人のようだ。

 

「サポート君、大丈夫そう?」

 

「ええ、デラさんがいてくれるなら」

 

「あは、口が上手ね」

 

 一応新人かつ聖の聖騎士っぽく振る舞うために、そんなに前に出ないでデラを守るように戦う。

 魔物が飛びかかってきて、俺は軽くかわしながら斬りつける。

 

 見た目もそんなに怖くないような魔物だが、能力もそんなに高くない。

 ただ人間の足を前足として振り下ろしてくるのは、奇妙で気持ち悪い。

 

 強い武器として機能していないこともまた魔物らしい感じがある。

 

「まだ出てくるのか」

 

 ただいかんせん、数が多い。

 森の奥からさらに魔物が走ってくる。

 

 今のところ魔物の血に塗れるようにして暴れるパシェのところに多く魔物が集まっているけれど、町の方に行きやしないかとヒヤヒヤしている。

 

「なんだ? なんかデカいの……パシェ! 気をつけろ!」

 

 魔物の群れ、第三波。

 その中に一際大きなものが見えて、俺は目を細める。

 

 手足が人のものじゃない。

 全身が毛に覆われたケモノのような見た目はしているのだけど、なんだか普通のケモノとは形が違う。

 

 悪魔だ。

 ざわつく幽霊と、俺の本能が危険を告げる。

 

「がああああっ! 退け!」

 

「可愛くないワンちゃんだね」

 

「んー、顔が気持ち悪い」

 

 目の前を走る魔物を煩わしそうに殴り飛ばし、悪魔が一気に飛び出してくる。

 もうちょっと犬っぽければ可愛いのに、悪魔の犬顔は可愛さが皆無だった。

 

 デラもパシェも同じような感想を抱いている。 

 

「あれがエダモスディの正体か」

 

 言葉で形容するなら頭に二本のツノが生えた狼男。

 それがエダモスディの真の姿であった。

 

「うっ!」

 

 低く滑空するようにパシェに飛びかかってエダモスディは腕を振る。

 パシェを取り囲む魔物が前足である人間の足を伸ばしてパシェに絡みつく。

 

 そのせいで回避ができずに、エダモスディの攻撃を剣で受けて吹き飛ばされた。

 

「くっ……うっ……くそっ、なんで貴様らこんなところにもいる!」

 

 よく見るとエダモスディの背中から血が滴っている。

 本来ならエダモスディとはタランたちが戦っているはず。

 

 こんなところにいるということはタランたちから逃げてきたようだ。

 

「魔物は悪あがきってことか」

 

 奪った死体は多い。

 放出しないで取っておいた魔物も意外といたようだ。

 

 エダモスディは全ての魔物を解き放ってどうにか逃げ仰せようとしている。

 ただ、じゃあなんでこんなところに来たんだ?

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