霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~   作:犬型大

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13生来の色男1

「お疲れ様。悪かったな、色々聞いて」

 

「いえ……大丈夫です」

 

 部屋を出たウーリエの目は赤くなって潤んでいる。

 ソコリアンダ殺人事件の聴取が始まった。

 

 色々な人を呼びつけて、ソコリアンダがどんな人だったかや交友関係、殺される理由に思い当たることはあるかなど聞いていく。

 もちろんソコリアンダのお付きであったウーリエにも話を聞いた。

 

「犯人……捕まるといいですね」

 

「そうだな」

 

 質問される中でソコリアンダのことを思い出したのか、ウーリエは時折泣きそうになっていた。

 

「メルシッダとノーワ……ですか」

 

「司祭のメルシッダに、司祭長お付きのノーワか。ここに来てまた人が増えた」

 

 部屋の中に戻る。

 小さめの窓が一つあるだけの小さい部屋の真ん中にはテーブルが置いてあり、ゲルディットが椅子に座っている。

 

 ウーリエに話を聞いた結果二人の名前が出てきた。

 親しくしていたかもしれないという質問で、メルシッダとノーワという女性の名前が挙がったのだ。

 

 どちらも若い女性。

 ここに来て増えた容疑者にゲルディットは深いため息をつく。

 

「ヒッチとデルクンドの妻と会っていたこともある……品行方正な人柄の裏側で、意外と遊び人だったのか?」

 

 俺としては若い女性なことはむしろありがたい。

 ソコリアンダにまとわりついていた生霊の正体かもしれないと期待を寄せる。

 

 さらにはヒッチとデルクンドの妻と会っていたこともあるとウーリエは証言した。

 これで生霊四人分の容疑者は浮上したわけである。

 

「だが他の人から女性関係の話は聞こえてこない。上手くやっていたのか、ウーリエがめざといのか」

 

 ウーリエからは四人の容疑者の名前が出たものの、他の人からは俺が知るようなソコリアンダの表の話しか出てこない。

 良い人、真面目、それがソコリアンダの評価だった。

 

「メルシッダ司祭に話を聞いてみよう。エリシオ、パシェ、探して連れてきてくれるか?」

 

「分かりました」

 

 パシェは相変わらず寡黙だ。

 時々部屋に鎧を飾っている人がいるが、そんな装飾品の鎧のように部屋の隅に立っていた。

 

 ただ余計なことをしゃべったり、人のことを色々聞き出そうとする奴よりよほどいい。

 沈黙に気まずさがない奴は嫌いじゃない。

 

 パシェが俺の後ろをついてくる形で教会の中を移動する。

 異様なデカい鎧を連れているので、みんな俺を避けていく。

 

「メルシッダ司祭様はいらっしゃいますか?」

 

「メルシッダかい? いるよ。メルシッダ!」

 

「何でしょうか?」

 

 聖職者たちの休憩室にメルシッダはいた。

 教会の中をたらい回しに探さず、一発で見つけられて運が良かった。

 

「メルシッダ司祭、ソコリアンダ大司教について話をお聞きしたくて。お時間よろしいですか?」

 

「……はい」

 

 ほんの一瞬だけどメルシッダの瞳が揺れた。

 鼻のところにそばかす、髪はモジャモジャと癖が強い。

 

 顔は知らないが、ウェーブの強い髪は生霊の中の一人にいた。

 メルシッダの可能性は高い。

 

「これからよろしいですか?」

 

「もちろんです。捜査には協力します」

 

 ソコリアンダと付き合いがあれば瞳ぐらい揺れるかもしれない。

 記憶に留めつつも余計な先入観を持たないように、俺は変な推測を避ける。

 

「おっ、エリシオじゃないか」

 

「先生。どうも」

 

 メルシッダを連れて移動していると、俺の一般教養を担当している先生が声をかけてきた。

 悪魔祓いなんかやめておけと言った心優しい先生だ。

 

「もう悪魔祓いの仕事手伝ってるようだな」

 

「内容は悪魔祓いじゃないですけどね」

 

 俺は困ったように笑顔を浮かべる。

 パシェに対して先に行っているようにと軽くジェスチャーで伝えると、パシェは鎧をガシャリとさせながら小さく頷いた。

 

「ソコリアンダがあんなことになるなんてな」

 

「大司教様とは知り合いなんですか?」

 

「あまり深い関わりというほどではないが……俺の後輩だ」

 

「そうだったのですか」

 

 意外な繋がりがあるのだなと俺は驚く。

 

「あいつが大司教になったのも驚いたがな」

 

「昔はそんな人ではなかったのですか?」

 

 ソコリアンダの昔を知る人は他にいなかった。

 これはチャンスかもしれないと話に踏み込んでみる。

 

「あいつは有名な遊び人だった」

 

「えっ!?」

 

 予想外の言葉だった。

 今のソコリアンダの姿からかけ離れている。

 

 確かにその気配は生霊に憑かれていることから感じていたが、はっきりと言葉で言われるとは思いもしなかった。

 

「驚きだろう? あまり死んだ者を悪く言いたくはないが、事実は事実だ。女性と見るや声をかけにいくような軽い男がソコリアンダだった」

 

「全く……想像できませんね」

 

「そうだろ? だが……ある時からぱったりと女遊びをやめた。あれだけ叱られてもやめなかったのに。何があったのかは知らん」

 

 先生は肩をすくめる。

 

「手を出した女性に殺されかけたんじゃないかとか、本当に惚れた女ができたなんて話もあった。誰も真相は知らないようだがな。しかし女遊びをやめてから真面目になったソコリアンダはいつの間にか大司教にまでなっていた」

 

 若い頃にそんなでも大司教になれるものなのだな。

 

「元々口が達者で、人の話を聞く上手い奴だった。それを女遊びじゃない方向で発揮したんだろうな」

 

 確かに。

 女性を上手く乗せる技術をもっと一般的な方向に使えば、人望を集められるかもしれない。

 

 なかなか面白い話を聞けた。

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