霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~   作:犬型大

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70お買い物2

「開けてくださいよー!」

 

 最近の悪夢はやたらとリアルだな。

 ドンドンとドアが叩かれるのを無視して、もう一度寝ようかなと俺は考えていた。

 

「スペシャルゲストも呼んでるんですよ!」

 

「スペシャルゲスト……?」

 

 ただじゃ俺が応じないと思ったのか、クレンシアは策を用意してきたようだ。

 しかしスペシャルゲストがギュドスだったら、流石の俺もクレンシアに怒るぞ。

 

「開けて確かめてみてくださいよー!」

 

 スペシャルゲストとやらは気になる。

 こうして連れてきたということは、俺が買い物に行くことを承諾するような相手ということになる。

 

 そんな相手思いつかない。

 ゲルディットやパシェでもいれば話は別だが、そんなことに応じるとも思いにくい。

 

「誰だ……?」

 

 そうなるとクレンシアが自信満々で開けてみろというスペシャルゲストを想像ができず、開けてみたい欲には駆られる。

 

「分かった。そのスペシャルゲストがくだらなかったら行かないからな」

 

 好奇心に負けた。

 つまらない相手だったらなんと言われようと二度寝を敢行する。

 

「それで、スペシャルゲストって……」

 

「じゃーん! スペシャルゲストのクーデンドさんです!」

 

「や、やあ、エリシオ」

 

 ドアを開けてみると、そこにはクーデンドがいた。

 軽く手を上げて、照れくさそうに笑顔を浮かべている。

 

「クーデンド……」

 

 負けた。

 俺は天を仰ぎながらそう思った。

 

「なんでお前がここにいる?」

 

「それは……クレンシアさんに声をかけられたから」

 

「エリシオさんのことを知りたくて少し前にお友達になったんです!」

 

 クレンシアはにっこりと笑っている。

 全く知らなかった。

 

 いつの間にクレンシアはクーデンドに接触したのか。

 同じ場所にいても部署の違いからクーデンドに会うことは少ない。

 

 それこそ昼飯の時ぐらいだろう。

 昼間だって訓練が割と時間通りに終わる聖騎士研修生と違って、クーデンドは仕事が忙しくてばらつきがある。

 

 俺と昼を食べてない時で、どこかのタイミングでクレンシアはクーデンドに声をかけたようだ。

 

「一緒にお買い物に行くと言ったら、たまたまお休みな重なってたんです!」

 

「そうか」

 

「どうですか?」

 

 クレンシアは笑顔で胸を張る。

 

「分かったよ……着替えてくる」

 

 負けたと思った時点で負けである。

 確かに、ここにいる人の中で唯一といっていいほどの、俺を納得させられる相手だ。

 

 クーデンドを連れてこられたら認めるしかない。

 俺はサッと着替えて部屋を出る。

 

「もしかして、迷惑だった?」

 

 クーデンドは不安そうな顔をする。

 

「いや、お前に会えたのは嬉しいよ。ただストーカー女がついてくるもんだからな」

 

「なんですか、その言い方!」

 

 冗談っぽく肩をすくめる俺に、クレンシアは怒ったように口を尖らせる。

 

「……友達できたんだね」

 

「いや、違う」

 

「あら? 私はお友達のつもりでしたよ?」

 

 否定する俺の言葉をクレンシアがさらに否定する。

 友達というより、一方的に付きまとわれているというのが俺の認識だ。

 

 親の顔が見てみたいなんて思うが、親の顔は一度見たことあった。

 

「この三人で行くのか?」

 

「いいえ、他にも何人かいますよ」

 

 他にもいる、と聞いて俺は眉をひそめる。

 

「もちろんギュドスさんはいませんよ!」

 

 クレンシアはどうですか? と言わんばかりの顔をする。

 

「それはよかった」

 

 俺が顔をしかめたのはもちろんギュドスのせいだ。

 アイツがいたら楽しいお買い物も楽しくなくなってしまう。

 

 だが流石のクレンシアもそこらへんは配慮してくれたらしい。

 ギュドスがいたら今からでも部屋に引きこもってやるつもりだった。

 

「ギュドス?」

 

「第一のストーカーさ」

 

「私はストーカーじゃありません!」

 

 話しながら大教会の外に出てみると、一緒に買い物に行く何人かがすでに待っていた。

 俺と同じ聖騎士研修生たちだ。

 

「ペリフェ、お前も行くのか」

 

 その場にいる一人を見て俺は驚く。

 背の高い、顔の整った男はペリフェという名前だ。

 

 魔物を攻撃する最初の訓練の時に、俺と同時に前に出たあの研修生だった。

 勉学の成績は知らないが、剣の腕や体力など聖騎士として必要な資質は高いレベルにある。

 

 無駄話をしない、俺好みの性格をしている。

 こんなお買い物に行くような人ではないので、ちょっと意外だった。

 

「しつこく誘われたからな……断れなかった」

 

 やや寡黙というだけで、性格が悪いわけでもない。

 俺のような良い性格をしていたら断ることもできたのだろうけど、クレンシアの勢いにはペリフェも勝てなかったらしい。

 

「まっ、諦めてさっさと買い物しようぜ」

 

 クレンシアよりもペリフェとは友達になりたい。

 俺はペリフェの肩に手を置いた。

 

 ペリフェの方も俺を悪くは思っていないと思う。

 互いに剣の実力があるので、ペアになって戦うことも何回かあった。

 

 だからそれなりに認め合っている、つもりだ。

 

「それではいきましょう!」

 

 クレンシアが先頭になってみんなを引き連れていく。

 およそ二ヶ月ぶりに大教会の敷地の外に出る。

 

 相変わらず町中は賑わっている。

 悪魔や魔物の脅威に晒されることなく過ごすことができるのだから、みんな穏やかだ。

 

 へんに騒ぎでも起こせば町から追い出されるので、基本的にトラブルなんかも少ない。

 なんか人間味が少なくて、俺は町の雰囲気があまり好きじゃない。

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