霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~   作:犬型大

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93潜入捜査官エリシオ2

「今回は聖のデラをそちらに加えて、四人ずつで動いてもらおうと考えています」

 

 ここまで俺たちのパーティーは魔に偏っていた。

 なんとなく戦えてはいたけれど、これから悪魔と戦うと想定した時に聖の力は欲しかった。

 

「よろしくねぇ〜。ゲルディットさんとも初めてだけど、噂は聞いてるよ。新人サポート君もよろしくね」

 

 デラはベッドの上でヒラヒラと手を振る。

 真面目さはなさそうだけど、堅苦しさもなさそうでいい。

 

 少なくとも小言は言わなそうな感じだ。

 一応俺はサポートということになっているので、デラたち五人も俺を悪魔祓いのサポートだと思っているようだ。

 

「それで、状況はどうなっている?」

 

「では改めて順を追って説明します。事の発端はこの地域における魔物の出現が増えていると聖騎士から報告があったのです」

 

 魔物の報告は教会になされ、データとしてしっかり共有される。

 どうにも魔物が多いとちゃんとしてる聖騎士なら気づくこともある。

 

「そこで悪魔祓いのサポートチームとこの地域の聖騎士が協力して調査を開始しました」

 

「それで魔物の仕業だと?」

 

「調査の段階でも魔物との戦闘が何回かあったそうです。やはり魔物が多い……しかしその原因が分からなかったと」

 

「なるほどな。理由が分からない魔物の増加……つまりはどこかに悪魔がいるということだな」

 

 魔物ってやつは勝手に増えるものじゃない。

 悪魔に作り出されて生まれる。

 

 作り出された後にそこらに放り出されることもあるので、近くに悪魔がいない野生の魔物もいる。

 ただ調べてわかるほどに魔物が多いなら、近くに悪魔がいると推測できるのだ。

 

「なぜ領主を疑っている?」

 

 スタギイン地方で魔物が増えていることから悪魔がいると推測することまでは俺も納得できる。

 ただ、そこからエダモスディの名前が浮上した理由は分からない。

 

「この地図を見てください」

 

 タランは地図をテーブルの上に広げる。

 ミルド王国の地図らしく、バツ印がいくつもつけてある。

 

「印はここ最近で魔物が発見された場所です」

 

「多いな」

 

 ゲルディットは地図を眺めて目を細める。

 ここ最近がどれぐらいの期間なのか知らないが、こんなに魔物が出たら聖騎士は戦わずとも過労死してしまいそうだ。

 

 俺だったら別の場所への異動願いを出す。

 

「だがこの辺り……スタギイン地方の、特にエダモスディが領主のところでは魔物が極端に少ない」

 

「本当だ」

 

 よく地図を見ると、バツ印に囲まれたようなところがある。

 それはちょうど俺たちがいるスタギイン地方であった。

 

 バツで囲まれているのは嫌だなと顔をしかめてしまう。

 こんなふうに目に見える形で出されると素人でも分かるだろう。

 

「だがそれでも候補はいくらでもいるだろう」

 

 確かにスタギイン地方が怪しいということは分かる。

 悪魔も万能じゃない。

 

 疑われないように自分の身近を避けるために、分析すると何かの空白が生まれたりする。

 頭悪めだったり、悪魔としての経験が浅いとこんなこともあり得る。

 

 しかし、これではスタギイン地方が怪しいというだけだ。

 疑うべき住民全員で、特定なんかできないだろう。

 

「そうですが……今回は魔物が多すぎます」

 

 タランは地図のバツ印に視線を落とす。

 

「これだけ魔物が出るということはそれだけ多くの素体が必要になるということです。言ってしまえば、大量の死体ですね」

 

 魔物は人から作られる。

 多くの魔物がいるということはそれだけ死体も必要になってくる。

 

 ならば、そんなにたくさんの死体をどこから手に入れたのか?

 

「大量の失踪なんかはありません。一般人に死体を手に入れるのは無理でしょう」

 

「だからエダモスディ……か」

 

「確実ではありません。なので更なる証拠が必要となります」

 

 普通の人が死体を手に入れるなんて、一体でも難しい。

 そんなことをできる人は限られる。

 

「そこで新人サポートの君にやってもらいたいことがある」

 

「俺にですか?」

 

「怪しいところを調べてもらいたい。いわゆる、潜入捜査というやつだ」

 

「潜入捜査……」

 

 俺が本当にピカピカの新人サポーターならワクワクして仕事を引き受けることだろう。

 ただ俺はすぐに思った。

 

 めんどくせぇ。

 

 ーーーーー

 

「君がエリシオ君だね。よろしく。司教のヨストラムスだ」

 

「よろしくお願いします」

 

「確かに整った顔をしてるな。若い頃の私そっくりだ」

 

「それは……光栄です」

 

 ふくよかで人の良さそうな笑顔を浮かべるヨストラムスに俺は苦笑いを浮かべる。

 エダモスディが住むコームダスという町にある教会に俺はいる。

 

 ヨストラムスは俺が自分の若い頃にそっくりだというが、残念ながらその面影は感じられない。

 

「女性問題……ストーカーで異動か。女性のいない部署を希望か。大変だな」

 

 俺は教会に新入りの聖職者としてやってきていた。

 ただ、普通の新入りはすでに配属先が決まって仕事を始めている時期だ。

 

 どうにか自然な形で教会に入り込むために、俺は女性問題で異動してきたことになっている。

 といっても俺が手を出したわけではない。

 

 女性が俺に惚れてしまって困ったことになったから教会を移ることになったのだと説明してある。

 顔がいいからできる技だ。

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