霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~   作:犬型大

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97誰が裏切り者か2

「エリシオ、あの二人をどう思う?」

 

 エダモスディの方はタランたちに任せるしかない。

 俺たちは死体の入手に関わる方を集中して追いかける。

 

「少なくともあの二人は悪魔ではないと思います」

 

 上級悪魔が下級の悪魔を従えていることや悪魔同士が協力しているということがある。

 人に化けられるような能力を持った悪魔は、危険度が高くて三等星以上に分類される。

 

 仮に焼却場に悪魔がいるとしたら三等星級の悪魔がもう一体いることになるのだけど、俺はその可能性はないと思っている。

 理由は単純で、山ほど幽霊がいるからだ。

 

 あんなに幽霊がいるということは、悪魔からしてみれば食べ放題バイキングみたいなものと変わりない。

 だが幽霊はつまみ食いされているような様子はない。

 

 ならマーデルもプニマッツも悪魔ではない。

 

「ただ悪魔崇拝者の可能性は捨てきれませんね」

 

 悪魔ではないからといって、悪魔に協力していないとは限らない。

 

「どちらと言われてもまだ分かりません。ことあるごとに俺のこと辞めさせようとしているのはマーデルさんの方ですけどね」

 

「それはお前が年寄りを労わりもせず嫌味ばかり言うからじゃないか?」

 

「嫌味ばかり言う年寄りを労る趣味はないんですよ」

 

 ゲルディットのなんだか実感のこもった言葉に、俺はなんだか実感を込めた言葉を返す。

 

「デラさんは、この二人に慣れましたか?」

 

 デラはテーブルに頬杖をついて眠そうな目をしている。

 何を見てるわけでもなくぼんやりとしていた。

 

「んー? んー。まあ何か口うるさく言われることないし、嫌いじゃないよ」

 

 デラは俺に軽く微笑みを返す。

 こう言うのをダウナー系とでもいうのかな。

 

「お前が来てから魔物の出没も減っている。しっかりと魔物は討伐されているから向こうが持っている魔物も少なくなっているはずだ」

 

 死体が供給されなくなっても、手元に魔物が残っていることは十分にありうる。

 ただ魔物が出る頻度はこれまでよりもかなり落ち着いている。

 

 悪魔が飽きたんじゃなければ、俺が死体の入手場所である焼却場に現れたからだと繋がってくるだろう。

 

「堪え性のある悪魔ならまだ尻尾を出さないだろうが、エダモスディならそろそろ我慢の限界になるだろう」

 

「エダモスディなら?」

 

 なぜそんな特定の仕方をするのかと俺は眉をひそめる。

 

「エダモスディはおよそ二年前、妻の死をきっかけに変わったそうだ。元々温厚な人柄だったらしいんだが、二年前からキツイ性格になった……と聞いている」

 

 人物の性格が突然変わってしまうのは悪魔が取り憑いたから。

 そんなことを言われることもある。

 

 ウーリエは悪魔に取り憑かれて父親であるソコリアンダを殺した。

 そんな感じで悪魔にそそのかされておかしくなることもあるのだ。

 

 ただそのまま放っておけば精神的におかしくなって、壊れてしまう。

 悪魔が取り憑いている可能性も否定はできない。

 

 ただ二年間もおかしいなら取り憑いているのではなく、悪魔が化けていると見るべきだ。

 

「性格として我慢ができていない。二年間も魔物を放ってきた相手がエダモスディなら、急に供給を止められて我慢できるはずがない」

 

「つまりほっといても、もうすぐ動き出す……ってことですね」

 

「ああ、そうだ。このまま監視を続けろ」

 

「……分かりました。頑張ります」

 

「ふふ、頑張ってね」

 

「頑張れ」

 

 結局尻尾を掴むまでは根気よく死体を処理し続けるしかない。

 焼却場の仕事は幽霊も多いし大変なんだぞと思うが、パシェやデラにはその苦労は伝えられない。

 

 鬱憤ばらしも兼ねて、ゲルディットの奢りでたらふく料理を食べた俺は機嫌を戻して焼却場に帰った。

 頑張ってんだから少しぐらい財布を寂しくしてやったって構わないはずだ。

 

 個室まであるレストランだから安くはないだろう。

 ゲルディットが悲しそうな顔をしていた気がするけれど、俺は知らない。

 

「戻りました〜」

 

「おや、君は?」

 

「あれ? お客様ですか?」

 

 焼却場に戻ると知らないおじさんがいた。

 五十代ぐらいだろうか、白髪混じりの落ち着いた茶髪を整髪剤で撫で付け、質の良い服を着ている。

 

「エダモスディ領主様ですか?」

 

 人相書きは覚えている。

 割と上手い絵だったなと俺は思い返す。

 

「私のことを知っているのかい?」

 

 座ってマーデルと話していたおじさんは立ち上がる。

 背は高くて俺よりも頭半分ほど大きい。

 

 普通に殴り合ったらちょっと負けてしまいそうな感じ。

 

「そうか、君が話に出てきた新しい子だね。ブマリビュート・エダモスディだ。この辺りの領主を任されている」

 

「よろしくお願いします」

 

 エダモスディが手を差し出してきたので応じて握手する。

 目の前にいるのが、今回のターゲットだ。

 

 これまでに聞いている話から悪魔の可能性は濃厚だと思っていたが、会ってみて確信する。

 

「つまみ食いされてるな……」

 

 焼却場にいたはずの幽霊の数が減っている。

 建物の外に多く幽霊がいるものだから変だと思った。

 

 エダモスディが訪れたことと幽霊が減ったことに関係がないだなんて思うほど俺はピュアじゃない。

 そうなると結論は一つしかない。

 

 こいつは悪魔だ。

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