復興文明拡大記 過ちを繰り返しながらも、進め―― 作:えぴっくにごつ
「……そういえば、オフィサーとマエナは?」
そんな所に関わる会話が一区切りした所で。レフィンは他二人、彼女たちの長であるオフィサーと、マエナと呼ばれていた少女の所在が気に掛かり。
二人の姿を探して周囲を軽く見回しながら、ステラに尋ねる。
「二人とも、ここのシャワー借りに行ってるよ」
「……マエナとオフィサーが、一緒に?」
次にステラが述べたそんな回答に。しかしそれを聞いたレフィンは、さらに訝しむ色で返す。
「うん――あっ、丁度来た」
それにまたステラが肯定で返した直後。彼女は背後に気配を感じ、そして次に振り向き見つけた「その」姿から、場の皆に知らせる声を上げる。
空港ロビー空間の向こうより、今に上がった二人。オフィサーとマエナが歩き向かってくる姿が見えた。
「ふふっ、久しぶりに体を癒やすことができましたね」
「あ、あぁ……」
言葉を交わしながら現れた二人は、どちらもボディスーツの下半身部分だけを、ズボン代わりにツナギのようにして纏い。上半身はインナーのトップだけという簡易な姿。
その格好と、そして漂うホワとした雰囲気から、湯上りの様子であることは一目で判別できた。
「マエナ……まさか、オフィサーと一緒に入ったの?」
そんな現れた二人に、間髪入れずに一番にレフィンがぶつけたのは。何か微かな困惑の色を混ぜてのそんな言葉。
「あっ、レフィン。えぇ、ご迷惑を掛けたお詫びに、お体を流させてもらおうと思って」
そんなレフィンのぶつけた質問に、それを向けられたマエナはほんわりと、そしてキョトンとした色で答える。
「オフィサー、マエナ……『異性』同士でそれは……」
「……」
「えぇ?オフィサーも身は女性ですし、問題ないかと……?」
そんな回答を受け、次にまたレフィンが向けたのは、少し濁す色でのそんな異を唱える言葉。
それにオフィサーはバツが悪そうに、そして見れば少し赤らめた顔で、視線を逸らすが。
マエナにあっては、「ハテナ」という様子で返す。
「ん?」
そんな少女たちの会話の内容に、含まれたワードに。引っかかる所を覚えたのはアイザックと中尉。
そして中尉が代表するように声を割り入れ向ける。
「あぁ。オフィサーはね、心が……と言うか元は男性なの」
そのアイザック等の疑問を察し、次にはステラがそんな明かし暴露する旨を、あっけらかんとした色で紡いで見せる。
「オフィサー」
「あぁ、それは別に伝えて構わない……隠していることでもない」
その次、レフィンはまずは一度、オフィサーに『そのことを話していいか』確認する声を向け。
オフィサーはそれに、構わない旨で回答。
「私たち強化人間のボディは、適齢の歳の「女」しか適合しない……そんな『人間で無くなった女』である私たちに、少しでも近しい形となり寄り添うためと、オフィサーはその身を女に変えたの――」
そして次にレフィンが紡ぎ明かしてみせたのは、そんな事実だ。
エクスティアの生み出した技術、「強化人間」は。そのボディには適齢の『女』の精神しか適合できないのだという。
その適齢とは『少女』と定義される程度の若さである事。
そしてその少女たちはその若い精神で、『人間で無くなり、兵器となる』。
言葉に漂う通り、それは過酷なもの。
その少女たちの長となったオフィサーは、その彼女たちに少しでも寄り添うために。
また別のエクスティアの持つ技術で、男性であったその体を女性へと変じる措置を行った。
とのことであった。
「半端ではない覚悟だな」
「いや……己に戦う運命を貸した彼女たちに比べれば、自己満足でしかないさ……」
そんな境遇、身の上が明かされたオフィサーに。アイザックはその覚悟を察し、評する言葉を向けたが。
それにオフィサーは、憂い自嘲する声色で返す。
「そんなことはありません!オフィサーは元より、並みではないそれで私たちに寄り添ってくれた!その上、私たちのために自らの身を変えることまで……っ」
オフィサーの憂いに、意義の言葉を上げたのはレフィン。
「だから私は……オフィサーから絶対に離れません……っ」
そして次に紡がれたのは、レフィンの決意の言葉。
「オフィサーは、私たちにとって支えなんですよ?」
「だから、もうちょっと自分の貴重さを自覚して欲しいんだよね~」
続け、オフィサーの隣に立つマエナが、柔らかい声でそんな伝える言葉を向け。
ステラも揶揄う色でそんな言葉を向ける。
「皆……ありがとう……」
彼女たちの間には、昨日今日のそれではない強い結びつきがある。
それがその様子からだけでも、明確に伝わってきた。
「だから……もっと私たちの献身を受けて欲しいんですよ?」
「っ……」
しかし、そこから話題は戻り。
オフィサーの隣に立つマエナが、次にはオフィサーの体に柔らかい動きですり寄る。
「!、マエナ……っ」
「オフィサーは私たちに寄り添うためにこの体になってくれたんです。だから私たちからも、お近づきになるべきでは?」
そんなマエナの行動に、レフィンは咎める声を上げるが。
一方のマエナが宣うのはそんな言葉。
「っ……!ならば……オフィサーっ」
「えっ」
そんな旨を受けたレフィンは、次には何か火が付いた様子で。
踏み出しオフィサーに近づくと、マエナが居る側とは反対に位置取り。オフィサーの腕を取って体にすり寄った。
「次は、私がオフィサーの湯浴みにお供しますっ」
「いや、そこまでしなくても……っ」
そしてまるで競うように宣言したレフィンに、オフィサーは困惑の声を上げる。
「ふふ、レフィンもまた先日で恩が増えましたもんね。じゃあ、皆でオフィサーに尽くしちゃいましょうかっ」
そんなオフィサーとレフィンのやり取りを反対から見ながら。しかしマエナにあってはまた柔らかい様子で微笑みつつ、そんな揶揄うような言葉を紡ぐ。
中身は男性である美女を、美少女二人が囲い。ある種では取り合う様子。
オフィサーは少女たちから、少なからずの「重い感情」を向けられている様子が垣間見えた。
「いつもこうなの?」
「まあねー」
そんな様子の美女と少女たちを、呆れ混じりの生温い視線で見つつ、尋ねた中尉に。
ステラはまた生温い声色で、そんな肯定の回答を返す。
「姦しいことで」
次には中尉は、両手を翳すジェスチャーでまた呆れを示しつつ。アイザックに振り向き共感を求める視線を向けたが。
方やアイザックは、「いかなる形も自由だ」と。否定も肯定も無い様子で、いつもと変わらぬ淡々とした顔色様子を見せるのみであった。
「何にせよ、本国から君等を担当する省庁職員が到着するまで、もう少し掛かる。それまでゆっくり、好きにしていてくれ」
そして場を締めくくる様に、もしくは姦しくやり取りをする少女たちを放って置くように。
アイザックはそんな言葉を紡ぎ伝え、そして身を翻して場を後にしようとする。
「ん?これからまた、何かするの?」
しかしその動き様子にステラは察するものがあり。
アイザックを呼び止め、そんな尋ねる言葉を向ける。
「これからまた、「目的」の一つを確保しに行く」
それに軽く振り返りつつ、しかし歩みは止めず。
アイザックが伝え返したのは、そんな明かす言葉であった。