復興文明拡大記 過ちを繰り返しながらも、進め――   作:えぴっくにごつ

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チャプター11:「遭遇接敵から、危機」

 フォークラン国際空港からいくらか離れた場所に、アイザックが言ったその目的の「場所」、「施設」はあった。

 

 ――ユグラス太陽光発電所。

 中規模の発電所施設。特徴として、副次的に研究施設を伴い内包するものであるらしい。

 

 事前の航空偵察にて、この太陽光発電所はすでに放棄された様子が確認されている。

 VACは、大陸中央部の復興再興計画の初動の一環としてこれを確保し。修繕復旧から、この地域の電力源の一つとする腹積もりであった。

 

 中規模の発電所のため、賄える電力量はいくらが限定的なものではあるが。しかしそれでも貴重な電力源であることに変わりは無い。

 

 その発電所の確保の任務が与えられたのが、またアイザック率いる第14前進観測隊であった。

 

 

 大戦争前に敷かれた、今は損傷が目立つ道路を道標に辿り。軽車輛や中型車輛、トラックなどからなる十輛程の車輛が、間隔を空けた二グループに分かれて縦隊にて進んでいる。

 第14前進観測隊からピックアップされた先行隊だ。

 これをアイザックが自ら率い、現在は発電所へ先行中。前進観測隊の内の基準小隊や戦車班などの隊主力は、さらに後方から後続する形をとっている。

 

「航空偵察の限りでは、発電所はすっからかんだって話だろ?」

「空から見ただけじゃ確約は無い」

 

 その隊形の先頭を進む汎用軽量四輪駆動車の上で、ハンドルを操るドゥインと助手席のアイザックが言葉を交わしている。

 内容は、作戦や目的の太陽光発電所に関わる各事項。

 

「甘い見積もりはするなって言うんだろ?けど、〝ストロング コマンドー〟の応援まで借り受けるとは大げさな気がするが」

「「彼女たち」が襲われていた生体兵器の存在の懸念もある。備えるに越した事は無い――見えたな」

 

 そんなように、各事項についての会話を交わす間にも車輛車列は進み。

 間もなく開けた荒野の向こうに、その目的である太陽光発電所施設は見えてきた。

 

 他建造物がほとんど無い周辺で、いささか物々しい施設が存在感を放っている。

 

「あれか。あそこが使えりゃ、この辺りの電力がちっとは安定するんだが」

 

 向こうに目的の発電所を見止め。ドゥインがそんな軽口を零す。

 

 その直後だ。

 

 ヌッ――っと。

 発電所施設の影となった向こう側より、「それ」が。大きな全形を持つ影が「飛び上がり」姿を現したのは。

 

「はっ?」

「ッ」

 

 唐突に現れ見えたそれに、ドゥインは思わずの素っ頓狂な一声を上げ。

 一方のアイザックは険しく目を見開く。

 

「……はぁッ!?「ヴァーティ・ホーク」だァッ!?」

 

 そして次にはドゥインも、すぐさまその影形、「機影」からその正体に当たりを着け。

 そしてその名称を、驚きの色で発し上げた。

 

 ヴァーティー・ホーク(以降VH)。それは大戦争前に開発された、戦闘攻撃から輸送まで幅広い任務を可能とする、中型の多目的VTOL機。

 太陽光発電所の影より、飛び上がり現れたのはそのVH機が二機。

 

 そして補足すると、VH機にあってはVACもそのいくらかは保有、レストアから運用しているが。

 それ以上にVHの多くを主として運用するのは。

 ここまでVACが幾度も争ってきた、やや過激な思想を持つテクノロジー保護保管集団や、『自称』戦前政府の正統後継組織などなどであった。

 

 そして現状に合って一番良くない事実は。

 此度の大陸中央部への拡大戦略、作戦に置いて。VACはVH機を持ち込み展開させていないということ。

 

 すなわち、現れたVH機は少なくとも未確認の存在。最悪敵の可能性があった。

 

「後続車輛グループ、散会退避しろ。前グループは速度を上げて当車に続け、このまま発電所に突っ込むッ」

 

 その最悪の事態を見越して、アイザックは通信にて指揮下の各車グループに指示を張り上げ送る。

 

 そして、その最悪の事態は次には本当となった。

 その指示の間にもこちらに切っ先を向け、低空を迫っていたVH機の内の片割れが。

 次には機体に備える40mmチェーンガンのターレットをこちらに向け、そしてその唸りを上げた。

 

「ッ」

「うぉッ!?」

 

 寄越された巨悪な火線はアイザック等の戦闘車輛を狙ったものだったが。

 しかし紙一重でドゥインがハンドルを切り、車輛が進路を変えたため。撃ち降ろされた火線は車輛の傍の空を切り、地面を叩きこそぐのみに終わり。

 直後にVH機は、こちらの真上を掠めて後方へと飛び抜けた。

 

「ッ――ヤロッ!」

 

 そしてそれに一拍遅れるも、応じる動きを見せたのは後席荷台に同乗する車載機関銃の射手。

 射手は悪態を吐きながらも車載の汎用機関銃を旋回させて、飛び抜けたVH機を追いかけて応射の機関銃火線を撃ち上げ始めた。

 

「ラーズ一等士、そのまま続けろッ」

「ったく、やってくれるッ」

 

 アイザックは射手の隊員に、そのまま対空射撃を続ける指示を張り上げ。

 その隣で必死にアクセルを踏み込み、ハンドルを操りながらも。ドゥインが悪態を吐く。

 

「――ジョーン10より周辺ユニットッ。こちらはユグラス太陽光発電所に到着も、不明の航空戦力の襲撃を受けるッ。ヴァーティー・ホークが二機、他にも潜む可能性。急行可能な航空ユニットがあれば、応援願うッ」

 

 一息を着く間もなく、次にはアイザックは車載の広域無線機を取って再び声を張り上げる。

 VAC AF 航空隊は地域広くに航空パトロールを出している。

 そのいずれかが、通信を受け取り急行してくれることを期待してのものだ。

 

「ッ」

 

 その直後、車輛の近くでまた地面を叩くように、連続的な砂煙が上がる。

 どちらかは不明だがVH機の片割れが旋回から戻り、再びこちらを狙って機関砲射撃を寄越し襲ったのだ。

 

 直撃は免れたが、少なからずの衝撃で車体が揺れ、安定を失う。

 

「このまま突っ込むぜッ!」

「あぁ、構わんッ」

 

 しかしその揺れる車上の上で、ドゥインは張り上げジョンソンは答える。

 回避行動を兼ねて速度を上げて走っていたことから、そうこうしているうちに発電所施設はすぐそこまで迫っており。

 

 そして直後、発電所施設の外周に設けられた塀の、その一点にある半端に閉じられたゲート扉に。

 アイザック等を乗せた汎用軽四輪駆動車は突っ込み。

 そしてゲート扉を叩き殴る様に押し開いて、その敷地内へと踏み入った。

 

 

 発電所のゲート扉を衝突のそれで押し開け、内部の敷地へと踏み入ったアイザック等の車輛。

 

「っとぉッ」

 

 直後にドゥインは急ブレーキを踏み。車輛はその向こうの建物施設に激突する直前、なんとか停止するに至った。

 合わせて一拍遅れ、アイザック等の車輛に続いていた中型汎用車輛が敷地内に走りこんできて。

 アイザックらよりは微々たるものだが緩やかに、それでも荒い様子で急停車する姿を見せた。

 

「降車ッ、散会展開しろッ!」

 

 一応遮蔽を期待できる場所に、荒野に居るよりはマシな施設内に飛び込んだはいいが。状況はそれで安堵できるには程遠く。

 アイザックはすぐさま各方各員に指示を張り上げる。

 

「チッ」

 

 そして始めたその動きの最中にも、アイザックは歓迎しがたいものを見て舌打ちを打つ。

 

 向こう奥側に見える、雑多な造りの発電所施設の元。通用口他、いくつかのアクセス個所より。

 ワラワラと人影が、武装した者たちが駆け出て来て姿を現した。

 

 それはいずれもが、黒を基調とした質の良さそうな、洗練されたデザインの軽歩兵装備に身を包み。そして訓練された「兵隊」の動きで展開。

 そして有無を言わさぬ様相で、次にはその装備を、レーザーやプラズマ火器などの高威力武器を用いて、こちらに射撃攻撃を仕掛けて来たのだ。

 

「ぬォッ!?」

「ッ、応戦しろッ!」

 

 アイザックにドゥインは、慌て車輛なり近くの施設機器なりを遮蔽物として飛び込みカバー。

 そしてドゥインは驚く声を零しながらも、自身のマークスマン・カービンを取り出し構え。

 アイザックにあっては愛用の大口径リボルバーをホルスターより抜き。そして一瞬を惜しむ様相で、雑さを構わず撃ち放ち始めた。

 

 まずアイザックが向けたとにかくの射撃行動に。それに晒された向こうの一人の敵軽歩兵が、微かだが動揺から行動の遅れを見せる。

 

「そこッ」

 

 そしてそれを見逃さず、直後にドゥインがマークスマン・カービンを突き出し向け、素早い照準から射撃。

 それは見事に敵軽歩兵に命中し、その敵を討ち屠った。

 

 他、前身観測隊の内のこの場に居る各員も、各個に順次射撃攻撃を開始。

 発電所の施設内、中庭空間で、苛烈な戦闘が始まった。

 

「ワンダウンッ――ッ、エンブレムが見えた。あのお姉ちゃんズが付けてたのと同じだッ」

「だろうな、エクスティアだ」

 

 そして、また再びの近距離狙撃を成功させたドゥインが。その際に見えたものをアイザックに伝える。

 敵の彼らの装備には、先日保護に至ったレフィンたちがその装備に記していたものと同じエンブレムが見えたのだ。

 すなわち、襲い来て今に相手取る彼らの正体は、エクスティアであった。

 

「敵は少なくとも小隊規模ッ、装備が良いぞあいつらッ」

 

 次には近くで位置して戦うユーダイドの隊員が、その独特の声色で敵戦力の推測値を知らせる声を張り上げ寄越す。

 またその背後では、別の隊員が扱う汎用機関銃が我武者羅に唸り。向こうのエクスティア兵たちに制圧火力をばら撒いている。

 

「ッ、PA兵ッ!」

 

 しかしそこへ、また別方に配置する隊員より。急く色で「ある名称」を張り上げて、伝える声が届く。

 

「!」

「ッ」

 

 そしてアイザック等もほぼ同時に、知らせられた「それ」の姿を見た。

 

 向こう、施設の奥側より。

 戦闘の場となり銃火が飛び交うこの内へ、しかし「ドシン、ドシン」と異様な足音を立てて。

 堂々と接近してくるいくつかの「影」があった。

 

 人よりも太く大きく。そしてまるで昔の重騎士の類のように、漆黒の「鎧」を全身い纏う姿。

 しかしそんな印象に反して、その姿からするのは「駆動音」。そして内の一体のその腕には、ガトリングレーザーという凶悪な得物が下げ構えらている様子が見える。

 

 ――パワー・アーマー。

 

 大戦争の前にテクノロジーを惜しみなく投入して開発された、機械仕掛けの鎧。

 そんな脅威の際たる存在が、向こうに出現していたのだ。

 

「冗談――ッ!」

 

 現れたPA兵は計四体。

 それが前衛と後衛に分かれる形を取っているのか、前後に距離を取って二体づつのバディで迫る。

 

 その大変に歓迎しがたい存在が、敵側に出現した光景に、ドゥインが悪態を吐きかけたのも束の間。

 直後には、PA兵の内の一体が装備するガトリングレーザーが唸りを上げ。

 その凶悪な火線が、こちらに飛び来て薙ぐように襲い始めた。

 

「ッ――!」

 

 まずそれに晒されたのは、こちら側の展開配置のど真ん中に止まっていた中型汎用車輛。

 それがガトリングレーザーの火線の多くを諸に受け、次には発火。

 そこを遮蔽としていたが、慌て飛び退いた隊員等をしかし追いかけるように。次には車輛は爆発炎上した。

 

「マズイぜッ」

「援護する、退避しろッ!」

 

 それを目撃し、瞬間には迷う間もなくアイザックやドゥインは、また自身の火器を突き出しばら撒く。

 

 その援護の元に、今に敵火線や車輛爆発に襲われた隊員等は退避、別の遮蔽個所へと飛び込んだが。

 しかしその際に、退避しようとした隊員。それを援護しようとした隊員、合わせて数名が。その隙を狙って襲い来た敵火線食われ、負傷。

 あるいは――命を落とした。

 

「報告しろッ」

「ウェイハ伍長が戦死ッ!重傷二名ッ!」

 

 それを目撃したアイザックは報告を要請する声を張り上げ。それにそれ以上の大声で返答が返り来る。

 

「ッ」

 

 受けた報告に、一瞬苦い顔を作るアイザックだが。今は悲観に沈んではいられない。

 

「マズイぜッ!奴さんズは強力な上、こっちは隊が分断されちまってるッ」

 

 その傍らでドゥインは的確な狙撃行動で、敵兵を一体づつを確実に仕留めながらも。状況の不利を訴える。

 向こうからは、PA兵たちが嫌味なまでに堂々とした様で、両者の銃火が飛び交う中を歩み迫り。

 さらに、敵は応援が駆け付けたのか。その手数が、攻撃の銃火が増えた様子がまた伺える。

 

 現状、装備面でも単純に手数でも。こちら側が不利だ。

 

「班は後ろへッ。負傷者を奥へ隠し、再編しろッ。ドゥイン、お前さんは高所へ上がれッ」

「ッ、了ッ」

 

 しかしその最中でも、アイザックは現状できる限りの行動を考え指示する。

 そして自身はまたスピードローダーで再装填を終え、向こうの敵に大口径リボルバーを向けて撃ち放つ。

 

「ッ!」

 

 だがその直後。轟音が響き届き、風圧が降り来て付近に砂埃が舞い上がり、その攻撃行動を阻んだ。

 アイザックは上がった砂埃を堪えつつ、すかさず真上を見る。

 

 そこに、敵機が。ヴァーティー・ホークが飛来、その巨体を現した光景があった。




軽量汎用四輪駆動車と中型汎用車輛は、どっちもSAS ランドローバーもしくはそのアレンジ派生っぽいイメージ。
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