復興文明拡大記 過ちを繰り返しながらも、進め―― 作:えぴっくにごつ
発電所の施設上空、アイザックの真上に飛来し現れたのは、エクスティアのヴァーティー・ホーク。
地上の敵部隊が応援で呼んだか、理由は知らないが。
それが最悪のタイミングでの襲来したのだ。
ホバリングにて発電所施設の敷地の上、戦闘の場の真上に滞空したVH機は。
その機体下に備えられた40mmチェーンガンのターレットを、まるで喰らう獲物を探しているかのように旋回させている。
「――ッ」
しかし、アイザックは直後には動いた。
アイザックは自身の遮蔽個所としていた施設機器を飛び出し――なんと、そのVH機の眼下の元へと飛び出した。
そしてその手に持つ大口径リボルバーを向けるアイザック。VH機の目を自身に向けさせ、そして真正面から勝負を仕掛けるつもりだ。
「ッ!アイザック、よせッ!!」
背後から、先の指示のために射撃位置を変えようとしていたドゥインが、しかしそれに気づいて足を止め。
アイザックのその行動を止めようと、声を張り上げる。
しかしその前に。
『ならばお望み通りにしてやる』とでも言うように、VH機の40mmチェーンガンの砲口がアイザックを睨み下ろす。
そして次にはそのチェーンガンが唸り、アイザックの身を弾き消し飛ばすかと思われた。
――衝撃音が。
突然のそれが響き。
そして爆発、爆炎が――「ヴァーティー・ホーク機」の機体で巻き起こり、包みこんだのは直後瞬間だ。
「ッ!」
予期せぬ事態、光景に、思わず微かに目を見開くアイザック。
そのすぐ間近上空で、VH機は安定を失い。次には瞬く間に錐揉み状態に陥りながら、向こうへ落ちて行き。
そして発電所の敷地の外へと落ちて消え、次には墜落を知らせる爆音と振動が響き届いた。
「――ッ」
――そして直後、入れ替わるように。
上空また低めの高度を、劈くまでの音を降ろし届けて。何かの飛行物体がアイザックの背後側方から向こうへと飛び抜けた。
それは、アイザック等にとって見知った姿。
Fu-70 ストレングスアーム。
AF 航空隊の戦闘飛行隊の戦闘機。
先に要請した航空支援要請を、近くをパトロールしていた飛行隊が聞き留め。
それがまさに今、間一髪の所で駆け付け、VH機を撃ち仕留めて撃墜へと至らせたのだ。
そんな敵VH機の撃墜が今に巻き起こったその元。向こうに見えるは、頼りのVH機が墜とされたことから、エクスティアの兵たちが狼狽する姿。
だがその中でも隊長クラスなのかPA兵の一体が、何か声を荒げて叱咤する様子を見せ。
PA兵を中心にエクスティアの兵たちは、こちらへの攻撃を継続しようとする動きを見せる。
ドゥンッ――と。
しかし、エクスティア兵たちのそれを阻むように。鈍くも劈く音が響き届いたのは、瞬間。
そして同時、今に声を荒げる様子を見せていた隊長クラスらしきPA兵が。千切られるかの如き様でそのアーマーに大穴を空け、まるでボロ切れのように吹っ飛んだのだ。
そのPA兵が、ガシャンと鈍い音を立てて地面に叩きつけられ、沈む姿を見たのも一瞬。
またも、鈍くも劈く音声が響き届き。
直後には隣近くに位置していた別の一体のPA兵が。またもボロ切れの如きで吹っ飛ぶ。
「ッ」
そんな向こうに立て続いた光景に、また目を剥くアイザック。
しかしそれ以上に狼狽の拡大を見せるのは、VHばかりか頼みのPA兵まで沈められる事態に陥った、向こうのエクスティアの兵たちだ。
だが。そのエクスティアの兵たちには、さらに畳みかけるように事態が襲う。
アイザックの背後から、直後にエンジン音と気配が聞こえ届く。
アイザックが振り向き見れば、次には発電所施設のゲート扉のから複数台の車輛と、そして他複数名のシルエットが踏み込んで来て現れた。
AFの、前身観測隊の先行隊の各班各員だ。
VHが撃墜され、その脅威が去ったことで、各班は施設の外で合流再編成を果たし。この場に応援へ駆けつけたのだ。
「各員、展開しろッ」
その応援を指揮しているのは、スーパーヒューマンの本部付きの中尉。
彼はその巨体で堂々と現れ立ち構え、各員にその独特の低い声色で発し伝えながら。
自身もその太い腕に構えたショットガンを、向こうへ撃ち向けている。
そんなSHの本部付き中尉を中心に、到着した各班各員は敷地内に展開していき。エクスティア部隊を相手取って戦闘を開始した。
「ハッ」
そんな様子光景に、窮地を脱した事実を感じ。アイザックは安堵ともつかぬ声を零す。
「アイザック!」
そこへ背後より声が届き、次にはそこへ急く様子でドゥインが駆け寄って来る。
「まったく、なんっつー無茶をッ!」
「考えてなかったワケじゃない。向こうが撃つ瞬間に避けて、コックピットを狙うつもりだった」
次にまずドゥインが寄越したのは、アイザックの今の「手」に苦言を呈する言葉。
しかしそれにアイザックはいつもと変わらぬ、淡々とした様子で考えを明かし返すだけ。
「だとしてもだぜッ……はァ、〝守護天使ズ〟が間に合って良かった」
そんなアイザックにまた苦い声を零しつつも、しかしそれ以上言及はせず。
ドゥインは間に合ってくれた飛行隊の応援に、そして今の「狙撃」の存在についてを零す。
「飛行隊。そして〝アーウェン〟には礼を言っておかないとな」
ドゥインのそんな言葉に答えながら。
アイザックはまずは、上空向こうを旋回して地上援護の態勢に入った戦闘機飛行隊の姿を見上げ。
それから身を翻して、反対の向こうを。その「存在」の居る方向を見た。
発電所のメイン施設より少し遠く、発電所の付随施設である小さな鉄塔の上の足場。
そこに、大口径対物ライフルを構える配置する。そして、独特の姿格好をした一名の存在があった。
顔には、フルフェイスゴーグルマスクを装着。
さらに併せて、縁を詰めたデザインのヘルメットを装着し。
身体の服装のベースは、VAC AF標準の作戦行動服だが。その上から軽量アーマーを付け、さらにその上からはジャケットを羽織る姿が特徴的。
――ストロング コマンドー。
VAC AFにて特別作戦を担うコマンドーの中でも、特に「強力」な者が指定される枠。
姿服装はそのストロングコマンドーが用いる装備であり。
すなわちその存在が、そのストロングコマンドーであることを証明した。
「――ったく、一つ貸しだぞ」
そのストロング コマンドーは――アーウェン スィーエ 臨時幹部は。
フルフェイスゴーグルマスクを着けるが故の掠れた声で。
淡々とそんな一言を、スコープから外した目で向こうの太陽光発電所施設を見ながら呟いた。
VAC側の応援、増援の到着によって、状況の利を覆されたエクスティア部隊側は。少なからずの狼狽を生じ、態勢に綻びを見せ始めた。
質の良い火器に物を言わせての抵抗を試みるエクスティア兵たちだったが。
しかしそれも、合流を成した前進観測隊の数の有利に押され、削られて行く。
「PA残存二体ッ」
「パルスグレネード、行くぞッ!」
そしてそのエクスティア部隊の中で、中心となって戦う残る二体のPA兵たちは、特に苛烈な戦いにて抵抗を見せていたが。
それにも対抗策は及んだ。
交戦するAF側の隊員内、一名がその手中で準備を完了した獲物を。パルスグレネードを次には投てき。
大きく弧を描いて飛んだそれは向こうに、エクスティアの兵たちの足元へ放り込まれ、落ちた瞬間に炸裂。
独特の爆音を響かせ、同時に可視化された電気の膜、波でPA兵たちを覆い襲った。
「っ!くっ……!?」
その影響を主として受けたのは、二体の敵PA兵たち。
内の片割れのPA兵は、その炸裂の最中にダイレクトにあったために。パルスグレネードの効果の影響で、PAの動力を失い膝を突いた。
そしてもう片方のPA兵も、相棒より被害は微かに軽い様子ではあったが。しかしその動作固くし、支障を生じた様子を見せる。
そのPA兵たちを案じ、援護すべく、何人かの軽歩兵たちが駆け寄ろうとしたが。
だが次にはその兵たちは、響き届いた鈍くも劈く音に合わせて、立て続けにもんどり打った。
そしてその場に反対正面より踏み込み現れたのは、AF隊員等の隊形。その各射撃が、今にエクスティアの兵たちを撃ち、退け蹴散らしたのだ。
AF側の各員は展開し、周囲近くに残るエクスティアの兵たちを。問答無用の様相で、無数の火器からの銃火にて、端から撃ち仕留めて浚えて行く。
「……!」
そんな最中、二体のPA兵の内の片割れ、動きに支障を見せながらもまだ立っている一体が。
動作の歪になったPAをしかし必死に動かし、膝を突いた相棒を庇うように立ち。そしてその腕に持つプラズマライフルを向け、抵抗を試みるべく撃とうとした。
ガァンッ、と。
しかし、そのPA兵の腕に持たれていたプラズマライフルが、強烈な衝撃で弾かれたのは直後だ。
「ぅぁ!?……な、!?」
衝撃に、事態に。驚き声をPAヘルメット越し響かせるPA兵だが。
しかし次にはそのPA兵は、ヌッ――と。己の前に巨大な気配が立ち、影が立ったことに気づく。
「ぇ……――」
ドグッ、と。
そのPA兵が、「それ」が何かを見止め認識する前に。
PA兵に、その腹部に凄まじい衝撃が襲った。
「こぁ……っ」
そして見れば、PA兵は掠れた声を漏らしながら。そのPAに包まれる大きな体は、しかし宙に軽く浮かび、そしてくの字に曲がり――拉げていた。
「――」
それを成した正体は、PA兵の目の前に踏み込み立っていた、本部付き中尉のスーパーヒューマン特有の巨体。
その、PAすらを越える巨体の、その凶悪なまでの腕っぷしによるフックの一撃が。PA兵の腹部に「入っていた」のだ
PAの装甲をまでもを、拉げんばかりの一撃で叩きこまれたその拳骨に。
PA兵はPAを纏いながらも、その体内へのダメージを、内臓臓器の損傷破裂を免れることはできず。
吐血したか、次にはPAヘルメットの僅かな隙間や接合部から血を滲ませ零し。
次には本部付き中尉の腕、フックにて宙に持ち上げられたまま。ガクリと脱力、
「無力化された」ことを知らせた。
「……っ……!」
その片割れのPA兵が退けられ、開けた進路の背後。そこに、動作もほとんど不可能に陥っており膝を突くもう一体のPA兵の姿がある。
そしてそのPA兵は次には、己の目の前に立つシルエットを見た。
「投降しろ」
それは、他ならぬアイザックだ。
応援各隊の元に続き、合流して今にこの場に立ったアイザックは。
ただ冷静な色で、淡々とした声色で。PA兵にそんな宣告の言葉を向ける。
「……!」
そのPA兵が、しかし次に見せたのは最後までの抵抗の意志。
ほとんど動作不能と陥ったPAにて、しかし唯一僅かに動く片腕で。背後に隠していたレーザーピストルを抜き、それをアイザックに向けて撃とうとした。
――ドゥンッ。
しかしそれは、そのレーザーピストルのものではない、別の発砲音にて阻まれた
それは、ジョンソンが向けて撃った大口径リボルバーの銃声。
そして向こうにカラカラと落ち転がったのは、PA兵の手にあったレーザーピストル。
PA兵の抵抗射撃を認めるよりも早く、アイザックはそれを撃ち退けて阻止したのだ。
「――」
そして。
次にアイザックは一歩詰め、膝を突くPA兵の横に立つと。
動きのほとんど聞かないPAヘルメットの後頭部を抑え、押して曲げ。PAヘルメットと胴体の接合部の弱い部分を、強制的に露出させ。
大口径リボルバーの銃口を、そこに突き立て――
――鈍い銃声を響かせた。
ガシャッ、と。
絶命に至ったPA兵の大きな体が、しかし音を立てて儚く地面に沈む。
敵PA兵の頑なな抵抗、投降拒否の意思を見止めて汲んでの。AFにおいては常態的に行われている「処置」であった。
周りの隊員等が淡々とした色でそれを見守る中、アイザックはリボルバーを上げて、そして周囲を見回す。
今のその光景をもって、この場周囲に動くエクスティアの兵はいなくなり。
一次窮地に陥った状況は、しかしAF 前進観測隊の勝利と終わった。
「――外は?」
周囲の確認から、アイザックは近くに立つSHの本部付き中尉に尋ねる。
「後続グループが展開中。基準小隊と戦車班も、間もなく到着合流との通信を受けてます」
「よし、外はそれに任せる。内部を引き続き掌握するぞ」
それに本部付き中尉からは各隊班の動きが回答され。
それを受けたアイザックは、それに施設外部を任せ。自分らは引き続き発電所施設内部の確保掌握に掛かる旨を示し。
そしてアイザックを筆頭に、各班各員はまた動き始めた。
発電所施設の内部に残る残存戦力はわずかで、容易く制圧は完了。
併せてエクスティアの後方部隊の人員、技術師と思しき数名の身柄の確保に至っていた。
「損傷はひどくは無いな」
今は各隊各員が発電所施設内の掌握調査に動く中。
アイザックとドゥインも、制圧が完了した施設内部を簡単な調べを兼ねて、周り歩んでいる。
「――代佐。奥で気になるものを見つけました」
そんな所へ、内部の掌握に動いていた隊員の一名が、向こうから現れそんな声を寄越してきた。
「気になるもの?」
「何かはまだわかりません。しかしとりあえず見て頂きたいです、こちらへ」
尋ねるアイザックに、しかし隊員もいささか疑問を抱いている様子で答え。
その隊員からの求める旨を受け、アイザック等は施設の奥へと向かった。
案内されて赴いた先は、発電所施設のおおよそ中心奥に位置する場所。そこはまた何か物々しい機械機器、施設が所狭しと並んでいる。
そして併せて、その周囲のそこかしこには。エクスティアが持ち込んだ思しきいくらかの機器が、雑多に広げられていた。
「何をしてたんだ?」
「何か」をしていたのであろう、ここに居たエクスティアの残したその痕跡に。訝しむ声を零すドゥイン。
「ッ」
しかしアイザックがその数多の機器の内から、中の何かを見つけ気づいたのは直後だ。
「?、アイザック、どうした」
「あれは」
アイザックの様子の変化に気づいたドゥインが声を掛けるが。
しかしアイザックはそれに詳細には答えず、次には迷う様子無く「そこ」へ。
数多の機械機器が並ぶ中でも、その中心に居構えるように存在する、また仰々しい何らかの機械機器に歩み近寄る。
「おい、どうした?ん、これは……っ?」
少し慌てそれを追いかけ追い付いたドゥインは、次には前に立って見たその仰々しい機械機器の、漠然とした異質さに気づいて声を零す。
「――」
そんなドゥインの前で、アイザックはその機械機器にさらに一歩を詰め。
その表面を軽く撫でる。
「ここは――ただの太陽光発電所じゃない」
「え?」
そして、次にアイザックが発したのはそんな言葉。その声色には、珍しく驚きの色が混じっている。
「トンデモないものを、見つけたぞ――」
そして、アイザックが紡いだのはそんな示し促す言葉。
―特異点エネルギー発電―
そのアイザックの手元、撫でた機器の表面。そこにはそんな記述が刻印されていた。
見つけたそれは。‶無限のエネルギー〟への手掛かりであった――
半端な所ですが、シーズン1完的な感じでここで一旦区切りとなります。
続きは漠然とした構想はしてますが、皆目未定。
描きたいシーン、シチュエーションだけをただ欲望のままに書き綴った結果です。
本当に申し訳ない。
ここまでお付き合い頂けたみなさん、ありがとうございました。
またいつか。