復興文明拡大記 過ちを繰り返しながらも、進め―― 作:えぴっくにごつ
VAC AFの手によって、街とその近辺から生体兵器の群れは一掃され、街はVACの掌握下に入った。
VAC AFは当初より航空偵察にて、この街の存在は掌握していた。
そして当初の予定では、この街は簡易な中継点としてのみ利用する予定であり。そのための班のみを残して、前進観測隊は行動を再開進行する予定であったのだが。
しかし思わぬ敵性存在、生体兵器群との遭遇と。そして何より『拾い物』があったことから、前進観測隊は調査他のために一時停止、逗留することになった。
場所は街の内にある、打ち捨てられた小さな市民センター施設。
前進観測隊は、そこをこの街での調査行動のための臨時指揮所としていた。
「……」
センター施設のメイン空間内の端。そこに少女たちの集う姿がある。
彼女たちの視線は、ソファに横たえられ、今に衛生員から手当てを受ける黒髪ショートボブの少女に集まっている。
先にオフィサーに抱き庇われていた、マエナと呼ばれていた子だ。
「――うん、一時的なショックのものだ、命に別状はない。しかし驚いたな、応用できるチューナーが手元にあってよかった」
衛生員は、次には囲う少女たちに振り向いてそんな伝える言葉を。何か驚きを少し示す言葉と合わせて紡いだ。
「しばらく安静に、何かあればまた声を掛けて」
「すまない……ありがとう」
そしてしかし、衛生員はそれ以上何らかに言及や追求することはせず。
少女たちが微かにだが安堵した色を見せたのを見ると、自分は外れる旨を示す。
衛生員にはオフィサーが代表して礼を返し、衛生員はそれを聞いて返し、場を離れていった。
「……驚きは、こっちもだよねー……」
その衛生員が場を離れたのを見送った後に、そんな言葉を零し呟いたのはステラ。
「簡単とはいえ、マエナの体を『チェック』から『メンテナンス』して見せた……」
「地上は荒廃し、あっても小さなコミュニティばかりと聞いていました……それなのに「彼等」は組織として完成し、一定水準の技術を携えているように見えます……」
つづけ、オフィサーにレフィンが零し紡いだのはそんな言葉。
それは彼女たちの「認識」と、実際に相対したVACの姿から、その「齟齬」に驚愕を示すもの。
「オフィサー……」
「!」
しかし次に、オフォサーたちの元からか細い声が響き聞こえる。
見れば皆からマエナと呼ばれていた黒髪ショートボブの少女が気づき、オフィサーたちを見上げていた。
「お手数を……お掛けして申し訳ありません……」
「何を言ってる、大事が無いようでよかった」
自分が足枷となってしまったことを、悔やむ様子で詫びる言葉を述べて来たマエナ。
それにオフィサーはそれを少し咎めるように返し。しかし同時にマエナの前にしゃがみ、その頬を撫でてやった。
「!、オフィサー、彼等が来たようです」
その直後、レフィン耳打ちにてオフィサーに促し伝える。
オフィサー始め皆が振り向けば、センター施設の玄関入り口より、複数名の戦闘行動服姿の者等が、現れ順に入ってきた姿が見えた。
それこそアイザックと。そして前進観測隊の士官、隊長クラスに、ドゥインなどの主要曹からなる者等。
各役目のために他所要に出向いていた各々が、それを終えて場に集ったのだ。
「――待たせたな」
その現れたアイザック等は、オフィサー始め少女たちの前に雑多に立つと。
代表してアイザックが、まずはそんな一声を述べた。
「……」
しかし少女たちの側には。一応己たちの窮地を救ってくれたとはいえ、未だに得体の知れぬアイザック等に対して。
今も警戒する色が多分に見えた。
もっともそれには、現れ集った内にやはりユーダイドやスーパーヒューマンの隊員の姿があったことも理由であったが。
「警戒するな――と言っても無理な話か」
そんな少女たちの様子に不快を覚えるでもなく、アイザックは「当たり前か」と言うように言葉を零す。
「ええと、まずは救ってくれた事に礼を言いたい。……しかし、君等は一体……」
それに応じ返したのは、オフィサーの美女。彼女はまずは救ってくれた事についてを例で返し。
しかし合わせて、探る様にアイザック等の身分正体を尋ねる言葉を紡ぎ向ける。
「そうだな、改めて名乗ろう――自分等は、VACだ」
それにまた応じ答えるように、次にアイザックはまずは自分らの組織――国の名称を名乗って見せた。
「ぶいえーしー……?」
しかしそれだけでは当然分からないか。今度はステラが「ハテナ」と言うようにキョトンとした顔を浮かべて、疑問の声を零す。
「ここより西側、西海岸を起点にユニステラス大陸の1/4程を領土と定めた――「国」だ」
それに今度は、またアイザックがVACの、自分等の国についての簡単な説明を紡ぎ述べてみせる。
「国……だって?」
「まじ……?」
それにまた、驚きの声を零すはオフィサーにステラ。
「――にわかには信じられない」
しかし、そこで毅然とした声が一つ飛んだ。
「私たちは、地上は全て無に帰したと聞かされて来た。再び文明など産まれようがない程に、破壊し尽くされて崩壊したと」
声の主は少女の一人、レフィン。
彼女はオフィサーを押し退け、いや庇うように前に出ると。凛と、そして毅然とした眼に視線でアイザック等を刺し、そんな言葉を。
彼女たちが知る限りの「常識」を、述べて訴えて見せる。
「そして……人類に仇成す、恐るべき「異形」が跋扈していると」
そしてレフィンが続け紡いだのは、そんな言葉。
それは同席する、前進観測隊のユーダイドやスーパーヒューマンの隊員を示し。
そして同時にその彼等に明確な警戒の意識を向けて明かすものだ。。
「レフィンっ!」
しかしそれは、取る側からすれば明確な無礼となりうる言葉。
そんな発言をしたレフィンを叱り咎めるように、次には声を張り上げた。
「命令じみたことを言いたくないが、言葉には気を使ってもらいたい」
そしてアイザックの側も、言葉をいくらか選んでのものだが。
抱える指揮下に対するそんな発言を受けて、少し冷淡に作った声で言葉を紡ぐ。
「ウチの面子は、みんな元は咎無き「人間」だ――荒事を望むわけじゃ無いが、身内を良くない風に言われて、ヘラヘラしてるほど人間は出来ちゃいない」
そしてアイザックが紡いだのは、静かに淡々とした声での、しかしそんな「忠告」、「警告」の言葉。
前述通り、ユーダイドやスーパーヒューマンは恐ろしくも見える容姿を持つが。
それが環境汚染や薬学暴走の影響を受けてしまったが故であり、彼等は元は咎無き「人」。
そんな形の指揮下各員を、侮蔑の意で表現されることを、アイザックは認めはしなかった。
「別に、聞き流しますが」
方や、当の本人たちの内から代表するように。
基準小隊の小隊長であるユーダイドの女中尉の彼女は。「なれっこ」だとでも言うように、やれやれといった様子でそんな言葉を零して添えたが。
「すまないっ」
そんなアイザックからの忠告に、謝罪の声を上げながら。
レフィンをまるで生徒でも下がらせるように己の背後にし、前に出てきたのはオフィサーの美女だ。
「貴方方への無礼、この子に変わって謝罪する。そして、現れた貴方方の部隊の規模、それに共通規格で揃えられる形を見る所に、国というのも虚言ではないのだろう……」
オフィサーはまた重ねて詫びるこの場を述べ。
合わせて推察から核心づける、いやどこか自分に言い聞かせるような色で、そんな言葉を紡ぐ。
「あなたが、この子たちの代表か?」
「えぇ」
アイザックにあってはそれ以上の今の件への追及は得ず。話を変えてそう尋ねる言葉をオフィサーに向け。
それにオフィサーは肯定で返す。
「そうだな……私たちも身分正体を明かそう――『エクソティア』、それが私たちの属する組織だ」
そしてオフィサーは次に、少し意を決するような色を見せた後に。
そう、己たちの身分正体であるらしい名称を紡いで見せた。