転生して型月版・沖田総司になったけど、労咳を克服したら明神弥彦の母になっていた件 〜るろ剣世界で最強のママやってます〜   作:だいたい大丈夫

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勝敗は、必ずしも強さだけでは決まらない。


折れなかった刃

「……」

 

緋村さんが、逆刃刀を下段に構える。

 

たったそれだけの動作なのに、そこから放たれる本気の殺気、あるいは『気』という名の物理的な圧力が、夜の空気をビリビリと振動させている。

 

『うわぁ……懐かしいわね、このピリピリする感じ。新選組の屯所で土方さんが機嫌悪い時か、斎藤さんがタバコ切らした時くらいの凄まじいプレッシャーよ。左之助、あんたこれに耐えられるの?』

 

「飛天御剣流――土龍閃(どりゅうせん)!!」

 

構えていた逆刃刀を力任せに、しかも強引に道場の前庭の地面へと叩きつける。

 

ドガァァァァン!! という轟音とともに、地面が深々と抉り上げられる。

 

逆刃刀の凄まじい衝撃波が地を走り、無数の石礫や硬い土の塊が、散弾銃から放たれた弾丸のように、恐ろしい速度で左之助の巨体へと襲い掛かる!

 

「ちょっと!!緋村さん何してくれてんのよ!!そこは明日、ウチが出入りさせてる大工の棟梁に綺麗に整地し直してもらう予定の場所なのに!!庭の景観が台無しじゃない!!後で追加の請求書回すわよ!!」

 

縁側から思わずドケチな苦情を叫ぶが、もちろん戦闘中の男たちの耳には届かない。

 

「関係ねえ!!!」

 

その飛んでくる無数の石礫の散弾の嵐に向かって、全く怯むことなく、むしろ自分から突っ込んでいく。

 

顔の頬が切れ、首筋から血が飛び散り、シャツの腕の部分がズタズタに引き裂かれていく。それでも左之助は目をカッと見開き、痛みを完全に無視して、斬馬刀を構えたまま、一直線に『突き』の体勢で突撃する。

 

『バカ!あのバカ!!顔に傷がついたらどうするのよ!!お嫁にいけなくなるじゃない!!あ、男だからお婿か!どっちでもいいけど、私のカワイイ手下の顔に傷をつけるなんて許せないわ!!』

 

緋村さんの体を串刺しにせんと迫る。

しかし。

 

「……あれ?」

 

弥彦が間の抜けた声を出す。

 

左之助の渾身の『突き』が空を切る。その突きの延長線上に、さっきまでそこに立っていたはずの緋村さんの姿はすでにないのだ。

 

『出たわね、神速!』

 

私の動体視力は、緋村さんの動きをバッチリと捉えている。

 

緋村さんは石礫を放った直後、左之助が突っ込んでくるその勢いを完全に逆手にとり、すれ違うようにして一瞬で左之助の完全な死角、つまり背後へと回り込んでいる。

 

これこそが、飛天御剣流の真骨頂。相手の動きを読み切り、スピードで圧倒する戦法だ。

 

「はっ!!!」

 

左之助の背後、完全にガラ空きになった死角から、緋村さんの短く鋭い気合いが響く。

 

一閃。

銀色の軌跡が夜の闇を切り裂く。

左之助の左脇腹を、これ以上ないほど正確に捉える。

 

「がっ!!」

 

肋骨に確実にヒビが……いや、下手したら数本折れているほどの凄まじい衝撃だ。普通の人間なら、ショックで泡を吹いて即座に気絶するか、痛みにのたうち回って戦闘不能になるレベルの一撃。

しかし。

 

「このっ!!なめるなァ!!」

 

左之助は口から血混じりの唾を吐き出しながら、苦悶の声を上げつつも、痛みを無視する。

 

そして、脇腹を打たれたその勢いすらも強引に自分の回転力に変換し、体を捻って巨大な斬馬刀を『横薙ぎ』に振り回す。

 

「……頑丈だな」

 

緋村さんが、打たれ強さと、痛みを無視した強引すぎる反撃に、思わず目を見開いて感嘆の声を漏らす。

 

さすがの元人斬りも、急所をフルスイングで殴られて即座に反撃してくる人間は想定外だったらしい。

 

左之助の横薙ぎの軌道の下をくぐるように、その場で真下へと深く沈み込むように回避する。

 

斬馬刀の刃が、再び緋村さんの髪の毛を数本掠め取っていく。惜しい。

 

「逃がすかよ!!俺の、打ち下ろしで!!!」

 

さらに無理な体勢から、遠心力で持って行かれそうになる重い斬馬刀を強引にコントロールし、頭上へと刃を持ち上げる。

 

そのまま、沈み込んだ緋村さんを上から叩き潰そうと、渾身の力を込めて打ち下ろしのモーションに入る。

 

だが、相手は伝説の剣客だ。

 

「……その前に、幾度でも撃てる」

 

深く沈み込んだ体勢のまま、緋村さんの両目が見開かれる。

 

次の瞬間。

緋村さんの逆刃刀が、沈み込んだ下段の死角から、爆発的なスピードで跳ね上がる。

 

下から上へ。右から左へ。斜めから、正面から。

 

目にも止まらぬ、神速の連続攻撃が、左之助の体を包み込む。

 

「飛天御剣流――龍巣閃(りゅうそうせん)!!!!」

 

ダダダダダダダダッ!!!

 

打撃の暴風雨。いや、目に見えない無数の龍の牙が、一斉に左之助の全身に食らいつく。

 

私の目から見ても、その連撃の速度と正確さは尋常ではない。腕、肩、胸、腹、太もも。左之助の急所を、逆刃刀が容赦なく、そして的確に打ち据えていく。

 

「がはっ……!!ごふっ……!!」

 

左之助の口から、鮮血が噴き出す。

打撃の音だけが、静かな夜の道場に響き渡る。

 

「つ、つええ……!!なんだ、この速さ……!!」

 

左之助の巨体が、その連撃の衝撃によって宙に浮きそうになる。

踏みとどまろうとする両足が、地面の砂利をズリズリと後方へ削っていく。

 

最後の一撃が左之助の鳩尾に深く突き刺さる。

 

「が、はぁっ…………!!」

 

そして。

バタン!!!

 

ついに左之助の体がその連撃のダメージに耐えきれず、大木が倒れるように、背中から地面に仰向けにダウンしてしまう。

地面が揺れ、土煙が薄っすらと舞い上がる。

 

「さ、左之助……!!」

 

弥彦が、思わず悲鳴のような声を上げて一歩前に出る。

 

左之助は、大の字になって夜空を見上げている。

ピクピクと痙攣する筋肉。全身の骨が悲鳴を上げ、内臓が焼け付くような痛みを感じているはずだ。

 

『……今の俺なら、勝てると思ったが……』

 

『全然、格が違う……。スピードも、技のキレも、何から何まで……次元が違いすぎる。これが、本物の維新志士……幕末の地獄を生き抜いた、最強の……人斬り抜刀斎……』

 

左之助の目に、絶望と、そしてどこか清々しいような諦めの色が浮かんでいるのがわかる。

 

自分の背負ってきた過去の重み、そして喧嘩屋としてのプライド。それら全てをぶつけても、全く歯が立たない絶対的な壁。それを肌で感じてしまったのだ。

 

「……ふう」

 

緋村さんが、小さく、静かに息を吐き出す。

そして、逆刃刀の刀身についた土埃を軽く払うような仕草をして、ゆっくりと、音を立てて鞘に納めかける。

 

「もうこれで、無意味な戦いは終わろう」

 

緋村さんの声が、先ほどの殺気立ったものから、いつもの穏やかで、少し悲しげな声に戻っている。

 

「お主の腕力と打たれ強さ、見事であった。だが、これ以上の戦闘はただの命の削り合いになるだけでござる。……何よりも、拙者はお主に、これ以上剣を向けたくはないのでござるよ」

 

 

 

◇◇

 

 

 

「それは聞き捨てならないぞ!抜刀斎!!」

 

「……琴殿?」

 

鞘から手を離して驚いたように私を振り返る。

 

「無意味な戦い?冗談じゃないわ!」

 

「意味はある!!これ以上ないくらいに、この戦いには重い意味があるんだ!!そして、それをまだ、あのバカは……左之助は、あんたに半分も見せていない!!」

 

そのまま視線を、地面に大の字になってダウンしている左之助へと移す。

 

「立て!!!相楽左之助!!!」

 

「そんなところで寝てる場合じゃない!!お前の背中に背負ったその『惡』の名に賭けた想いは、仲間への無念は、その程度の打撃で折れるようなもんだったのか!?違うはずだ!!」

 

「…………」

 

私の檄が飛んだ直後。

 

完全に気を失っていたかに見えた左之助の、指先が微かに動いた。

 

『……相良隊長……』

 

偽官軍の汚名を理不尽に着せられ、無念のまま処刑された赤報隊隊長・相良総三の、さらし首にされた無惨な生首。

 

そして、泥と血にまみれて踏みにじられた「赤報隊」の赤い旗。

 

『……相良隊長!!!負けられねえ!俺はこんなところで、維新政府の犬だった男に負けるわけにはいかねえんだよ!!』

 

左之助の全身の筋肉が、ギリギリと音を立てて収縮し始める。

 

『俺達赤報隊に……何も悪くねえ相良隊長に…。その上で、自分たちはのうのうと偉そうに生きている維新政府のクソ犬どもに……絶対に、絶対に一矢報いてやる!!』

 

「……!?」

 

「消えかけていた闘気が、前以上に…………!」

 

ゆらり、と。

 

口からダラダラと血を流し、全身の骨がミシミシと悲鳴を上げているであろう全身打撲の状態で、左之助がゆっくりと、しかし確実に立ち上がる。

 

そして、重い鉛のように感じられるであろう腕で、斬馬刀を拾い上げ、『突き』の構えを取った。

 

「……行くぜ」

 

左之助の目は、完全に血走っている。しかし、その瞳の奥の炎は、先ほどよりもさらに純度を増して赤く燃え盛っていた。

 

「最強の維新志士さんよ!!俺の喧嘩は、まだ終わっちゃいねえぞ!!」

 

「……」

 

「それで良い!遺志を継いで立つ男の決意は、そんな物理的なダメージごときで簡単に折れてはいけない!!いいぞ左之助、その意気よ!!男を見せなさい!」

 

「赤報隊……」

 

薫ちゃんが震える声で呟く。

 

「それって、勝手に年貢半減のお触れを出した、『ニセ官軍』の……!?」

 

「薫、それは違うぜ」

 

「赤報隊は、ニセ官軍なんかじゃない。あいつらは……明治政府に都合よく使い倒されて、最後は自分たちの嘘を隠すために、トカゲの尻尾切りにされただけの、ただの哀れな犠牲者だ」

 

「俺も、ヤクザのシノギの中で、上の都合で下の人間が切り捨てられる理不尽なんて、腐るほど見てきたからな。……左之助のあの目は、本気だぜ」

 

「俺は負けねえ!!」

 

「絶対に負けられねえ!!!!」

 

「……相楽左之助……、赤報隊の生き残り……か」

 

緋村さんは静かに目を伏せる。

そして、納めかけた刀を再び抜き放ち構えた。

 

「……あの荒削りだが、妙に隙のない理にかなった三段攻撃。先ほど自慢げに話していたが……やはり、貴殿の教えでござるか?」

 

「そう!」

 

「戦いにおいて、小手先の余技や器用な剣術なんて不要!新選組の、そして天然理心流の思想は至ってシンプルよ!どんな強敵相手でも、一撃で確実に粉砕する『絶対の必殺技』が一つあれば事足りる!!!!」

 

「おおおおおおおおおお!!!!!」

 

左之助が先ほどよりもさらに重く鋭い突撃を開始する。

道場の地面が、再び爆発するようにえぐれる。

 

しかし、緋村さんは冷静だった。

左之助の放つ、必殺の巨大な斬馬刀の『突き』

 

緋村さんはそれを真正面から受け止めることはせず、スッと半身になり、突き出される斬馬刀の横腹に自らの逆刃刀をスライサーのように添える。

 

そして、左之助の凄まじい突進力をそのまま利用して、自らの体をコマのように高速回転させ、一瞬にして左之助の背後、完全な死角を取るカウンターを狙う。

 

「飛天御剣流――龍巻閃(りゅうかんせん)!!!!」

 

緋村さんの必殺のカウンターが、無防備な左之助の首筋へと迫る。

 

「読めてんだよおおお!!!!」

 

左之助は、前への突きの勢いを異常な腕力と足腰で強引に殺し、そのまま背後へと振り

返って、カウンターを仕掛けてきた緋村さんを巨大な斬馬刀で強引に迎撃しようとする。

肉を切らせて骨を断つ、完全に相打ち覚悟の狂気の沙汰だ。

 

だが。

 

「……それも、読んだ」

 

通常の龍巻閃の軌道から、さらに空中で自らの体を捻り、螺旋の凄まじい遠心力を刃に乗せた、さらに強力で重い一撃へと瞬時に派生させる。

 

「飛天御剣流――龍巻閃・凩(こがらし)!!!!」

 

ドゴォォォン!!!

 

「がはあああああ!!!」

 

左之助の口から、先ほどとは比べ物にならない量の鮮血が、噴き出す。

 

「左之助!!」

 

弥彦が叫ぶ。

 

だが――倒れない。

左之助は、地面に崩れ落ちそうになる体を、巨大な斬馬刀を杖代わりに地面に深々と突き立てることで、執念だけで立ち留まったのだ。

 

膝はガクガクと震え、全身から滝のように冷や汗と血が流れている。それでも、その両足はしっかりと地面を踏みしめている。

 

「……まだ……立っていられるのでござるか……」

 

精神力と耐久力に、本当に驚いたように息を呑む。

 

「良いぞ左之助!お前はまだ倒れていない!!膝は地に着いていない!!つまり、まだ負けていない!!!」

 

「ゼェ……ハァ……ゼェ……」

 

左之助は、荒く、血の混じった息を吐きながら、ゆっくりと、本当にゆっくりと、満身創痍の体で、斬馬刀を再び引き抜く。

 

そして、三度、大上段からの『突き』の構えを取った。

もう、その構えには先ほどまでのスピードも威力もないかもしれない。だが、そこに込められた気迫だけは、これまでのどの攻撃よりも研ぎ澄まされていた。

 

「……その技は、すでに完全に見切ったでござる。何度やっても同じこと、もはや拙者にはカスリもせぬよ」

 

「そんな事は……関係ねえよ」

 

左之助が、口の端から血を流しながら、ニヤリと笑う。

 

「俺には……これしかねえんだ。いや、これ以外は使わねえ」

 

左之助は、チラリと、背後で応援している私を見る。

 

「姐さんに貰った、この技は……俺の、俺たちの意地なんだ。これだけは、絶対に負けねえんだよ」

 

「……退けないのでござるか?」

 

「引くわけがねえ!死んでも退けねえ!!」

 

左之助の雄叫びが響き渡る。

 

「よく言った!!!」

 

私は立ち上がり、夜空に向かって、新選組時代に嫌というほど叫んだ、あの言葉を。

 

「行くぞ左之助!忘れるな!新選組改め、集英組隊規!!!」

 

呼応して、左之助も血まみれの顔で、腹の底から叫びを上げる。

 

「士道に背くこと、あるまじきこと!!!!」

 

「敵前逃亡は士道不覚悟!!!!倒れるなら前に倒れて、敵の喉笛に食らいついて食いちぎれ!!!!」

 

「おうよ!!!」

 

渾身の突きが放たれる。しかし、そのスピードは明らかに落ちている。

緋村さんは、最小限の動きで、スッと首を傾けるだけでそれを躱す。

 

続く横薙ぎ。

 

左之助の悲鳴のような咆哮とともに放たれるが、それも緋村さんの残像を斬るだけで、空しく空を切る。

 

そして、最後の一撃――全てを懸けた『打ち下ろし』!

 

「……そんな、やけくそのしみったれた強さでは、拙者は倒せんよ」

 

緋村さんは、今回ばかりは回避行動をとらなかった。

逆刃刀を横に構え、左之助の巨大な斬馬刀の打ち下ろしを下から強引にかち上げ、その重い鉄塊である斬馬刀そのものを真っ二つにへし折ろうとする。

 

飛天御剣流の神速と破壊力、そして緋村さんの腕前なら、いかに巨大な鉄塊とて、刃の角度を合わせて打ち込めば容易に真っ二つにへし折ることができる。

 

『刃が……返された!まずい!これは……俺の斬馬刀が……斬られる!!』

 

左之助の脳裏に、最悪の結末がよぎる。

 

『それだけは……嫌だ!』

 

『姐さんが、俺のためにあんなに一生懸命研いでくれた、この刀だけは……へし折らせるわけにはいかねえ!!』

 

左之助は、全身の筋肉の繊維が千切れるのも構わず、振り下ろす途中だった、凄まじい運動エネルギーを持った斬馬刀の軌道を、強引に物理法則を完全に無視して、上へと「かちあげる」ような動きを見せる。

 

「なっ!?」

 

これには、さすがの緋村さんも完全に意表を突かれる。

斬馬刀をへし折るつもりで、そこにある前提で放った緋村さんの渾身の刀が、空を切り、力が完全に抜けてしまう。

 

緋村さんの動きが、ほんの一瞬、完全に止まる。

 

その一瞬の隙。

防御を完全に捨て、相打ちすらも拒否し、武器である斬馬刀すらも上空へ放り投げた左之助。

彼の、完全にフリーになった巨大な右拳が、ロケットのように後ろから引き絞られる。

 

「このおおおおおおお!!!!!」

 

左之助の、今日一番の、文字通り命を削った渾身の右ストレートが、完全に無防備になった緋村さんの顔面へと迫る!

 

『入った!!』

 

私も、弥彦も、誰もがそう思った。

これなら、緋村さんでも避けられない。勝負あったか。

 

………………ペチン。

 

「………………あ……れ……?」

 

渾身の右ストレートの拳が、緋村さんの頬に触れるか触れないか、あと一ミリという距離で、左之助の体は完全に限界を迎えていたのだ。

 

ピタリと止まった拳は、勢いを失い、ただ指先が軽く緋村さんの頬を叩いただけで終わった。

 

そして、その音を合図にするように。

 

「…………」

 

左之助の体は、全身の力を失い前のめりに崩れ落ちていく。

 

地面に顔面から激突するかに見えた左之助の体を、私はいつの間にか縮地で間合いに入り、下から受け止めた。

 

「……っ」

 

私の腕の中で、左之助は完全に気を失い、静かに寝息を立て始めている。

バカみたいに重い体だ。

 

「……前のめりだ」

 

「ちゃんと守ったわね。それで良い。よくやったわ、左之助」

 

道場に、戦いの終わりを告げる夜風が静かに吹き抜ける。

 

左之助が空へ放り投げた斬馬刀が、少し離れた地面に突き刺さる。

 

折れなかった斬馬刀が、主の最後まで諦めなかった戦いを称えるように、月の光を浴びて、私が研ぎ澄ました刃を誇らしげに鈍く輝かせていた――。




左之助は負けたと思いますか?
それとも、何かを掴みましたか?

第一回キャラクター人気投票(コメントもぜひ感想欄に)

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