転生して型月版・沖田総司になったけど、労咳を克服したら明神弥彦の母になっていた件 〜るろ剣世界で最強のママやってます〜 作:だいたい大丈夫
原作設定をベースにしていますが、一部キャラクターの関係性や歴史背景を独自解釈で再構築しています。
特に本作では「沖田総司が生存していた場合」という仮定のもと、明治期の物語を描いています。
原作ファンの方にも楽しんでいただければ幸いです。
深夜。
月明かりだけが、開け放たれた障子越しに板間を白く、静かに照らし出している。
私は一人、道場の端に立てられた極太の巻藁(まきわら)と向かい合っていた。
虫の音すら聞こえない静寂の中。
私の脳裏には、数時間前に神谷道場で、私自身が緋村さんに向かって感情のままに叩きつけた言葉が何度も何度もリフレインしている。
『――私たちは……新選組は……そんなくだらない男に斬り伏せられる程度のものだったの!?』
あの時、私は確かに涙を流した。
死んでいった仲間たちへの深い鎮魂と、歴史の敗者としての絶対に譲れない誇り、そして何よりも……。
『…………そうだ』
『私たちは……いや、私はまだ……負けていない。新選組としての私の戦いは、まだ終わっていないんだ』
幕末の動乱。
鳥羽伏見の戦いでも、甲州勝沼でも、そして最後の地である箱館・五稜郭でも……刀を振るって戦うことができなかった。
歴史の修正力なのか、ただの運命のいたずらなのか。あの時、私は弥彦を妊娠していたせいで、重いつわりと体調不良に襲われ、戦場という名の死地に立つことを許されなかった。
布団の中で、ただ遠くから聞こえる砲声を聞きながら、仲間の無事を祈ることしかできなかった。
『もし、あの時私がいれば……』
奥歯を強く噛み締める。口の中に、かすかに血の味が広がる。
『もし私が、あの戦場に立っていれば……近藤さんも処刑されずに済んだかもしれない。土方さんも銃弾に倒れず、蝦夷の地を切り開けたかもしれない。原田さんや、烝君だって……!』
もちろん、歴史の「もしも」なんて無意味なのは分かっている。一個人の剣客の力で、あの巨大な時代のうねりや、最新兵器を前にした近代戦の戦局を覆せたかどうかなんて、誰にも分からない。
それでも。
『だから私は、まだ自分の魂の奥底で、幕府が負けたという現実に心から納得していない。私が、沖田総司が本気で最前線で剣を振るい続けていたなら、新選組は絶対に、絶対に負けていなかった……!』
「…………ふっ!!」
溜まりに溜まった鬱憤と、やり場のない行き止まりの感情を全て吐き出すように、肺の底から鋭い呼気を放つ。
同時に、筋肉のバネを限界まで収縮させ、神速の踏み込みから、手にした刀を一閃させる。
ズバァァァン!!
夜の道場に、爆発音のような凄まじい轟音が響き渡る。
一列に並べられていた五本の極太の巻藁が……すべて一瞬にして一刀両断に、へし折られて吹き飛んだ。
バラバラになった藁の破片が、月明かりの下で雪のように舞い散る。
「……ふう」
私は木刀をだらりと下げ、荒くなった呼吸を整える。
少しだけ、胸のつかえが取れた気がする。やっぱり体を動かすのが一番のストレス発散ね。
「お見事です。流石は琴さん。相変わらず、常識外れの腕力と踏み込みですね」
その時。
背後の暗がりから音もなく、ふわりと温和で、少しだけ幼さの残る少年のような声が響いた。
「…………宗次郎君」
私は刀を下ろしたまま、ゆっくりと振り返る。
そこには、道場の入り口の月明かりを背にして、ニコニコと無邪気な笑みを浮かべた、着物姿の少年が立っていた。
瀬田宗次郎。
裏組織を束ねる包帯ミイラ男、志々雄真実の最側近にして、最強の特攻部隊『十本刀』の筆頭。天賦の剣の才を持つ『天剣』の宗次郎である。
「お久しぶりです、琴さん。夜分遅くに失礼します」
本当に、どこからどう見ても、ただの人の良さそうな、ニコニコした優等生の少年にしか見えない。それが一番恐ろしいところなんだけど。
「あんたが志々雄くんのそばを離れて、わざわざこの東京まで一人で来るなんて珍しいわね。なんか重要なことでもあったの?それとも、また佐渡島さんがヒステリー起こして家出してきたの?」
宗次郎君は困ったように眉尻を下げる。
「いやだなあ。僕だって、もう立派な大人になる年齢ですよ?子供じゃあるまいし、たまには志々雄さんの護衛を外れて、一人でお出かけや観光くらいしますよ。東京は文明開化で美味しい牛鍋屋さんがあるって聞いたから、食べに来たんです」
「はいはい、嘘ばっかり。あんたが一人で行動する時は、大抵ろくでもない血生臭い用事の時だけじゃない」
「……まあ良いわ。どうせ客間に泊まっていくんでしょ?いいわよ、布団用意してあげるから。明日の朝、帰る前に弥彦にちゃんと顔を見せて行きなさいよ。あの子、あんたのこと、すごく強くて優しい兄貴分だって随分慕ってるんだから」
「はい、それはもちろん。弥彦君にも久々に会いたいですし。……でも」
「今日ここに来たのは、観光でも弥彦君に会うためでもありません。志々雄さんからの、正式な用件、つまり『お仕事』の依頼があります」
「…………何?」
「十本刀『閃剣(せんけん)』の沖田に、志々雄さんからの直接の指令です」
「『閃剣』なんていう大層な二つ名、私は名乗った覚えはないんだけど。で、標的は誰?」
「現在、この東京府内で、政府の要人や高官を夜な夜な次々と暗殺して回っている、神出鬼没の辻斬り。『黒笠』こと、鵜堂刃衛。彼が次に狙うと予告している、陸軍省の政治家・谷十三郎を……」
宗次郎君はそこで一呼吸置き、ニコッと笑う。
「琴さんが秘密裏に護衛し……その場に現れた『黒笠』を、確実に殺害せよ。とのことです」
「へえ…………」
鵜堂刃衛。黒笠。原作では知っていたものの‥‥。
「刃衛……アイツ、まだ生きていたの」
「新選組の隊士のくせに。人斬りの狂気と血の味に完全に飲まれて、脱走する時に、自分を止めようとした私の可愛い部下たちを、何人も卑怯に斬り捨てて逃げやがった……あのクソッタレの裏切り者が」
ギリ……。
ギギギギギ……!!
凄まじい剣気と、どす黒い殺気が、まるで実体を持ったオーラのように道場内に溢れ出す。
その異常な重圧により、道場の床の板間や、太い大黒柱が、メキメキ、ギギギ……と音を立てて悲鳴を上げて軋み始める。
「アハハ……」
宗次郎君が、いつものニコニコ顔を崩さないまま、それでも額からタラリと冷や汗を一筋流す。
「怖いなあ。僕に向けられている殺気じゃないと分かっていても、少しでも動いたら首が飛びそうで、本当に斬られそうですよ。さすがは幕末最強の一角。そんな物騒な顔をしないで下さいよ、琴さん。道場が壊れちゃいますって」
「……ごめんなさいね。ちょっと昔の、本当に腹立たしい怒りが湧いちゃって。我を忘れるところだったわ」
「……で?依頼の意図がよくわからないんだけど。政治家を、しかも陸軍省の偉いさんを黒笠から助けて護衛するだなんて、あの国盗りを企む志々雄くんは、いつからそんな政府寄りの慈善事業家になったのよ?黒笠に暗殺させた方が、政府の混乱を招いて志々雄くんにとって都合がいいんじゃないの?」
「アハハ、慈善事業だなんて、志々雄さんが聞いたら笑いますよ」
「志々雄さん曰く、『腐った林檎は、箱の中の周りの林檎をすべて腐らせるまで、箱の中に放置しておくのが一番だ』そうです」
「……なるほど?」
「谷十三郎のような、私利私欲にまみれ、強欲で、しかも上に立つ者として致命的に無能な政治家は、黒笠に殺させるよりも、生かして政治の中枢に置いておいた方が、あの憎き明治政府を内側から勝手に腐敗させて、ボロボロにしてくれますからね。国力を削ぐには最高の逸材なんです。だから、それを黒笠みたいな無関係な狂人に、勝手に掃除されちゃあ困る、ってことです」
「なるほどね……」
「相変わらず、最高に性格の悪い、そして恐ろしく合理的で冷酷な思考だこと。政府の腐敗をあえて助長させるために護衛するなんて。……まあ、嫌いじゃないわよ。そういう悪党らしい考え方」
「引き受けてくれますね?」
「ええ。黒笠の首は、私の部下たちの無念を晴らすためにも、私が絶対に取らなきゃいけないからね。護衛のついでに、あの狂人を確実に地獄へ送ってあげるわ。志々雄くんに、快諾したと伝えなさい」
「ありがとうございます。……それじゃあ、僕のお仕事の話はこれでおしまい。ところで、弥彦君、最近元気ですか?背、伸びました?」
「ええ。よく食べてよく寝るから、随分と大きくなったわよ。それに最近は道場にも通い始めて、少しずつだけど剣術の腕も強くなっているわ」
「へえ!それはすごいなあ。弥彦君、きっと立派な剣士になりますね」
「だからね。そのうち、宗次郎君もあの子に、たまには剣術の稽古をつけてあげてよ。左之助っていうバカな大男もウチの組に転がり込んできたし、賑やかになるわよ」
「またまたあ」
宗次郎君は、照れたように手を振る。
「僕の『縮地』なんて、琴さんの縮地と三段突きの完成度に比べたら、まだまだ足元にも及びませんよ。琴さんの方が、圧倒的に速くて実戦的なのに。僕が教えることなんてないですよ」
「だからよ」
「私の稽古は実戦本位すぎて、加減ができないから、弥彦みたいな成長期の子供はすぐに骨が折れたり内臓が破裂したりしちゃうの。だから、まずは宗次郎君が、その天性のセンスで優しく基礎の動きや足捌きを教えてあげなさい。……で」
刀をスッと宗次郎君の鼻先に突きつけ、極上の笑顔のまま言い放つ。
「そのあと、あなたの縮地の稽古は……この『閃剣』の私が、たーっぷりと、朝までしごいてつけてあげるから♡覚悟しなさいよね?」
「うへえ……」
「琴さんのシゴキ、冗談抜きで死ぬほど痛くて怖いんだよなあ……。志々雄さんの理不尽な稽古より容赦ないし、刀で本気で殴ってくるし……。僕、明日京都に帰る体力が残ってるかなあ……」
「ニコニコしながら文句言われても、全然説得力ないわよ?ほら、もう夜も遅いんだから、さっさと寝なさい。母屋の奥の客間、布団敷いて空けとくから。明日の朝は、赤べこ特製の牛すじ煮込み定食よ」
「わあ!それは楽しみです!」
ペコリと頭を下げて、道場から母屋の方へと歩いていった。
私は一人道場に残り、夜空に浮かぶ月を見上げる。
「黒笠……鵜堂刃衛」
あの頃、守れなかった命。裏切り者に斬られた、仲間たちの血の感触。
今度こそ、私がこの手できっちりと落とし前をつける。
◇◇
朝からウチの組事務所は活気に満ち溢れ、威勢の良い声があちこちから響き渡っている。カタギの皆さんにご迷惑をおかけしないよう、地域密着型の爽やかな朝の挨拶を徹底している成果ね。
お気に入りの真っ白な割烹着を身にまとい、厨房の大きな鍋の前で、赤べこから仕入れた極上の牛すじを煮込んだ特製の味噌汁を、お玉でゆっくりかき混ぜている。
「おはようございます!姐さん!!」
我介は私を見るなり、ピシッと気を付けの姿勢を取り、腰をきっちり九十度に曲げた見事な直角のお辞儀をして、腹の底から大声を張り上げる。
「おはよう、我介。今日もいい声出てるわね。ご近所迷惑にならない程度にね」
「あ、そうだ我介。昨日の夜遅くから、宗次郎君がうちの客間に来ているわ。あんたたち、いつものように粗相のないよう、きっちりと最大限の礼儀で歓迎しなさいよ。あの子、ニコニコしてるけど怒らせたら私より怖いんだから」
「へいっ!!承知いたしやした!!瀬田の兄貴ですね!!すぐに野郎どもを集めてご挨拶に伺いやす!!」
相変わらず素直でよろしい。
「瀬田の兄貴ィ!!ようこそ関東集英組へおいでくださいやした!!野郎ども、頭を下げろォ!!」
我介の号令に合わせて、ズラーッと廊下に整列した数十人の屈強な若い衆たちが、一斉に床に手をつき、見事な深いお辞儀をする。
「「「瀬田の兄貴ィ!!おはようございやす!!!」」」
ヤクザ映画も真っ青の、迫力満点すぎる極道の朝の挨拶風景である。
「あはは……。皆さん、おはようございます。朝から元気ですね」
宗次郎君は、ペコペコと軽く頭を下げながら、苦笑いをして自分の頬をポリポリと掻く。
「だから、いつも言ってるじゃないですか。その『兄貴』って呼ぶのは本当によしてほしいなぁ、我介さん。僕の方が皆さんよりずっと年下なんですから。なんだか僕が悪の組織の幹部みたいで、すごく居心地が悪いですよ」
「滅相もございやせん!!」
「年齢なんて関係ねえです!瀬田の兄貴は、うちの琴の姐さんの大事な弟分であらせられやす!姐さんの弟分ってことは、俺たちから見れば雲の上の存在、大幹部も同然です!兄貴と呼ばせてくだせえ!!」
「いや、弟分っていうか……うん、まあ、いいですけど……」
志々雄くんのところの特攻部隊『十本刀』の筆頭も、ウチの暑苦しいヤクザたちの過剰なスキンシップにはタジタジのようだ。
「宗次郎兄ちゃん!!来てたのかよ!!」
その時、庭に面した縁側から、ドタバタと元気な足音が響き、木刀を片手に持った弥彦が広間へと勢いよく飛び込んでくる。
朝一番から神谷道場で素振りの稽古をしてきたのか、額には薄っすらと汗をかいている。
「あ、弥彦君。おはよう」
「朝から剣術の稽古?えらいなあ。……ん?なんだか、前回会った時よりまた少し背が伸びたかな?顔つきも少し精悍になった気がするよ」
「おう!」
「稽古も毎日休まずやってるし、母さんの作る山盛りの飯も残さずガツガツ食ってるからな!身長だってどんどん伸びてるぜ!この調子でいけば、すぐにお前……宗次郎兄ちゃんの背もあっという間に追い抜いて、腕っぷしでも勝ってやるからな!首を洗って待ってろよ!」
十本刀最強の男に向かって「腕っぷしで勝つ」と堂々と宣言する十歳の子供なんて、世界中探してもこの子くらいしかいない。無知って本当に恐ろしいわ。
「あはは、それは楽しみだなあ。弥彦君に負けないように、僕も修行しないとね」
宗次郎君は全く怒る様子もなく、ニコニコと穏やかに笑って弥彦の頭をポンポンと撫でる。
「でも、僕もまだ成長期だから、少しずつ背が伸びてるんだけどなあ。追い抜くのは結構大変かもしれないよ?」
「へっ!負けねえぜ!」
弥彦と宗次郎君が、本当の兄弟のように仲良く笑い合っている。
「ははは!良い心がけね、弥彦!」
お盆を大きな座卓の真ん中に置き、腰に手を当てて笑う。
「たくさん食べて、たくさん稽古して、立派な男になりなさい!どうせなら、宗次郎君を追い抜くついでに、そこの部屋の隅っこで丸まって転がってる、役立たずの左之助よりもデカくなりなさいよ!」
私が広間の隅を指差す。
そこには、昨夜の緋村さんとの激闘により、全身を真っ白な包帯でミイラ男のようにぐるぐる巻きにされた左之助が、客間から移動してきて、組のせんべい布団にくるまって丸くなっている。
私の大きな声と朝ご飯の匂いに反応したのか、その布団の巨大な塊が、モソモソと芋虫のように蠢き始める。
「あぁん……?なんだ朝っぱらからうるせえな……。誰が転がってるって……?」
「ふわぁぁ……」
まだ半分寝ているようなトロンとした目で弥彦を見下ろし、鼻でフンッと笑う。
「はんっ、弥彦のチビがこの俺よりデカくなるだと?冗談は顔だけにしろよ。お前みたいなヒョロヒョロのチビが俺の身長を超えるなんて、百年早いぜ。毎日赤べこで牛乳を樽ごとガブ飲みして、牛を一頭丸食いしたって、絶対無理だと思うぜ?諦めて一生チビのままでいろ」
「んだとコラ不良チンピラ!!」
「誰がチビだ!!俺はこれから成長期が来るんだよ!!ていうかお前、ウチの組にタダで居候させてもらって、母さんに手当てまでしてもらってる分際で、朝からデカい口叩くな!さっさとその赤べこのツケと飯代を体で払え!!この穀潰し!!」
「あぁん!?ガキのくせに生意気な口ききやがって!俺は怪我人だぞ!怪我人を労わる心ってもんがねえのか!!」
左之助も負けじと立ち上がろうとするが、包帯まみれの体が悲鳴を上げたのか、「痛ててて……!」と顔をしかめて再び布団にへたり込む。
「こらこら、朝からみっともない喧嘩しないの!近所に響くでしょ!」
「左之助、あんたもいつまでも布団でゴロゴロしてないで、さっさと井戸に行って顔洗ってきなさい。ご飯にするわよ!今日はあんたの好きな、牛すじの味噌煮込みよ!宗次郎君も、遠慮しないでたくさん食べてね!」
「はい、いただきます。琴さんのご飯、いつも本当に美味しいから、昨日の夜からずっと楽しみにしてたんです」
左之助は、「痛てて……」とぼやきながらも、牛すじの匂いに釣られてノロノロと井戸へ向かい、バシャバシャと適当に顔を洗ってから、ドカッと座卓の前にあぐらをかいて座る。
「ん?なんだ姐さん。このニコニコした優男のガキは。俺、こいつの顔見るの初めてだぞ」
左之助は、箸の先で失礼にも宗次郎君を指差す。
「ウチの組の新しい若い衆か?いや、それにしてもヒョロヒョロすぎるな。……あ!もしかして姐さん、こいつ、あんたの隠し子か!?弥彦の種違いの兄弟か何かか!?」
「……ッ!!」
私は無言のまま、縮地の歩法で一瞬にして左之助の目の前へと移動する。
そして、手に持っていた熱々の味噌汁がついたお玉の柄を、一切の躊躇なく、神速のスピードで左之助の鳩尾(みぞおち)へと垂直に叩き込む。
天然理心流の平突きを応用した、完璧な急所攻撃だ。
「ぐふぉっ!!?」
「痛えええええ!!な、何すんだ姐さん!!肋骨折れてるところにクリティカルヒットしたぞ!!殺す気か!!」
「誰が隠し子よ!!このバカ!!」
「よく考えなさい!宗次郎君の年齢を見てみなさいよ!十代半ばは過ぎてるでしょ!私が十代前半の超未成年で産んでなきゃ、年齢の計算が全く合わないでしょ!!私は永遠の十七歳だけど、実年齢で考えても無理があるわよ!私の純真な乙女のイメージを勝手に汚すんじゃないわよ!!」
「ぜぇ……はぁ……だ、だってよぉ……」
「じゃあこいつ、一体何者なんだよ……。ただの客にしちゃ、ウチの我介たちが異様にビビってペコペコしてるじゃねえか……」
「宗次郎君はね」
コホンと咳払いをして、お玉を胸の前で抱える。
「私の剣の……そうね、剣術の流派は全く違うんだけど、まあ『弟弟子』みたいなもんよ!私の知り合いのところで、すごく厳しい剣の修行をしている、優秀な男の子なの!」
「……お、弟弟子……?このヒョロガキがねえ…。」
私はその様子を見て、心の中でクスクスと笑いながら、全員の分の白ご飯をお茶碗に山盛りに盛り付けるのだった。
今回は「黒笠編」の導入回になります。
原作では剣心が戦う相手ですが、本作では沖田総司との因縁という形で再構成してみました。
新選組の隊士だった鵜堂刃衛と、同じく新選組の沖田総司。
二人の決着をどう描くか、作者としてもかなり悩みながら書いています。
よろしければ
・今回の琴(沖田)の心理
・宗次郎との関係
・黒笠戦の展開予想
など、感想をいただけるととても励みになります!
第一回キャラクター人気投票(コメントもぜひ感想欄に)
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明神琴(沖田総司)
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河上彦斎(お彦)
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明神弥彦
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緋村剣心
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相楽左之助
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神谷薫
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高荷恵
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四乃森蒼紫
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志々雄真実
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瀬田宗次郎
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鵜堂刃衛
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宇佐美
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水野
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我介