ウェスタン•オブ•キヴォトス   作:SCOPEWOLF

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どうもおはようございます。
新シナリオの考察をしていた結果、SAN値チェックでファンブルしてそこそこダメージを受けた今日この頃です。
輝くトラペゾヘドロンとか、もろにアイツですやん……
ニャルっとした這い寄る混沌がチラついてますやん……
そもそもシナリオの入りがTRPGやないですかやだぁ……
しかもPV、アレ多分先生の潜在意識とかを使って生み出した泡沫の夢の世界とかそんなんですやん……
オノレ許さんぞ色彩がよぉ……!
とまぁそんなことはさておいて話をこちらに戻しましょう。
さて、今回は少しシリアス寄りなお話となります。
下手したら闇落ちフラグとかになりそうですけど……先生という安全装置がいる以上、多分なんとかなるでしょう。
というわけで、本編をどうぞ


10.正義とは

「ちぃッ!!」

 

――ズダァァァァァンッ!ズダァァァァァンッ!

 

「くっ……止まりなさい、サンドクロー!」

 

夜闇に包まれたトリニティの一角にある大きな商店。

 

逃走しつつ巨大なリボルバー拳銃「BIG Iron」を発砲するサンドクローを追跡するのは一人の少女……

 

トリニティ自警団所属「守月スズミ」は遮蔽物をうまく使いつつ、に閃光弾を投擲しながら足止めをおこなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、サンドクローは依頼でトリニティへと来ていた。

 

依頼内容はとある宝石商に流れてしまったらしい盗品の奪取。

 

この盗品は元々とある学園で保管されていた美術品扱いの宝石だったのだが、つい数日前に起きたヘルメット団の襲撃によってほかの美術品と共に強奪された。

 

盗られた美術品のうちいくつかは裏市場に流されていた所をなんとか奪還したらしいが、この宝石だけはその前に売られてしまったらしい。

 

その買い手というのがここ、トリニティ自治区に大きな店舗を構える大物宝石商だった。

 

そしてこれまた厄介なことに、この大物宝石商というのがトリニティ内においてのみではあるもののそれなりのネットワークを構築しているということが判明していた。

 

このネットワークの影響によりトリニティに通報を入れたところで、その証拠を早々に握りつぶされるかして逮捕どころかその盗品自体の無事も保証できないということだった。

 

その結果、白羽の矢が立ったのが言わずもがなのサンドクローであった。

 

報酬もなかなか良く、仕事自体についてもうまくいったのだが……

 

ここで大きな誤算が生じてしまった。

 

というのも襲撃時刻は夜であり、警備がそれなりにいるとはいえ簡単に蹴散らせる程度の雑魚であることも考慮してスピード重視で突入したのだが……

 

その騒ぎを聞きつけ、トリニティ自警団が総出で突入してきたのだ。

 

すでに目標のブツは確保して専用の防弾ケースに収納はしていたが、ここで捕まってしまえば何もかも水の泡。

 

懐にしまったケースの中身が元は盗品だったことを知らない自警団たちは、取り返したこれを宝石商へと返却してしまうだろう。

 

とまあそんなわけで現在、銃撃戦をしながらサンドクローは外に向けて逃走していた。

 

「クソが!まさかてめえらが来るたぁなぁッ!」

 

「くっ、逃がしません!!これでッ!!!」

 

しかしそれを人一倍正義感が強いスズミが逃すはずもなく、彼に向けて複数の閃光手榴弾を連続して投げつけていた。

 

 

 

――キィィィィィンッッ!!!

 

 

 

「……ッ!もうその手は見飽きた!」

 

しかしサンドクローも伊達に経験を重ねてるわけではないらしく、閃光手榴弾を投擲するのが見えた途端に目を塞いで外めがけて大きく跳躍した。

 

「なぁッ!?しま……」

 

スズミが気づいた時には時すでに遅し。

 

 

――ガシャァァンッ!

 

 

体を丸めたサンドクローが窓にぶつかったことでガラスが大きく音をたてながら粉々に砕け、ここが建物の三階であることもお構いなしに彼は外へと飛び出していった。

 

急いで窓から身を乗り出すと、サンドクローはすでにトリガーへと騎乗していた。

 

「逃がしません!」

 

もはや閃光手榴弾では間に合わないと悟り、ライフルで彼めがけて乱射する。

 

が、しかし数発帽子とコートには当たったものの貫通することはなく………

 

 

――ブルォンッ!!ブオオオオォォォォッ!!!

 

 

そのままバイクのエンジンがかけられ、轟音を轟かせながら夜闇に包まれたトリニティ市街へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、スズミはすかさず正義実現委員会へと通報を入れたのだが………

 

帰ってきた返答とやってきた部隊は彼女の思ったようなものではなかった。

 

というのも彼の襲撃と同時刻、依頼人がトリニティの生徒会であるティーパーティーへと通報を入れていたのだ。

 

この通報というのが被害者であるはずの宝石商についての不正などの証拠付きのものであり、これを聞きつけたティーパーティは彼の後詰めで宝石商の店舗へと立ち入り調査を実施。

 

宝石商と数名の後ろ暗い物を抱えた部下たちを緊急で一斉検挙することとなった。

 

一方でサンドクローについてはお咎めなし。

 

彼のやらかした不法侵入と窃盗について、依頼者のティーパーティーとの取引によって事前に決められていた捕縛作戦の一貫であったこと………

 

詰まるところ、表向きには合法な手続きのうえでやった行動ということになっている。

 

そんな彼を正義実現委員会が逮捕できるはずもなく、思うところはあれど彼を見逃すことしか彼女たちにはできなかった。

 

 

 

「………何故ですか!相手は犯罪者なんですよ!

いくら盗んだ相手が悪党だったからって見逃すなど…!」

 

「………これもティーパーティー、ひいてはトリニティの為です。

エデン条約を控えている今、ゲヘナ以外の学園と余計な外交的軋轢を生んでしまうわけには……」

 

「それでも……それが正義だとでも言うんですか…!!

そんな事が犯罪者を見逃す方便になるとでも……ッ!」

 

「……この話はここでおしまいです。

申し訳ございませんが、これは私たちでは覆せない決定事項です」

 

いつものクールな態度からは考えられないほどに感情的になっているスズミ。

 

しかし彼女の心からの訴えをいくら浴びせようとも、それに対応しているハスミ……ひいては正義実現委員会には届かない。

 

いや、声は届いてはいるが……それをよしとすることが出来ない。

 

彼女たちも本心では絶好の逮捕のチャンスだと認識している。

 

だが、彼女たちが何よりも優先すべきなのはトリニティの安全。

 

サンドクローの行為が正義だとは認めたくないが、一方で自分たちの一存ではどうすることもできないと彼女たちは認識している。

 

彼女達の思う正義に比べて大なり小なり汚らしいかもしれないが……

 

彼もまた誰かの正義のために動いている。

 

絶対正義ではなくとも、それは尊重されなければならない。

 

そうでなくては世の中は回らないし、守ることもできないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……こんなこと、私は認められません……!」

 

ダンッと壁に拳を叩きつけ、スズミはその場で崩れ落ちる。

 

何故、こうもうまくいかない。

 

どうして、あるべき正義を誰も……自分も守れない。

 

……彼女の心に、一人の男の姿が映った。

 

「サンドクロー……!私は……私は貴方を許せない……!

絶対に……何があっても……ッ!」

 

彼女の目には憎しみの色が浮かんでいた。

 

正義……その言葉に疑念を抱きながら。




いかがでしたか?
結局、正義って言葉に絶対は無いですからねぇ……
絶対的な正義も、絶対的な悪も……それはあくまで理想論でしかないですから。
実際は善も悪も併合したうえで正義というのは成り立ち、その形も人によって変わりますから。
今すぐである必要はありませんけど、正義を振りかざして行く道を歩むのならいつかは彼女たちも知る必要があることではありますよね。
というわけで、また次の話をお楽しみに

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