さて、ついにサンドクローと先生の対決ですが……
はたして、先生はサンドクローを倒せるのか?
そもそも、先生自体は彼に銃口を向けられるのか?
というわけで、本編をどうぞ
――カタタタタタタタタッ!
「ちぃ、すばしっこい!」
「ん!アンタの撃ち方は分かってる!」
「"シロコ、カウントしたら一旦下がって!
アル、合わせて援護をお願い!"」
「了解よ!」
やはり、というべきか。
奴の指揮がある為かシロコの動きがいつもよりも良い。
オマケに陸八魔の奴の援護射撃もいつにもまして的確になっている。
ここまで直接見る機会は無かったが、シャーレのアイツはどうやら生徒の潜在的な力を引き出す"ナニカ"があるらしい。
恐らくその媒体となっているのはシャーレのアイツが持っているあのタブレット……
噂だと、アレはあの連邦生徒会長が残したオーパーツの一つらしい。
どういうものなのかはよく分からんが、おそらくはあのタブレットに指揮をする為の情報だかが映っているのだろう。
まぁこれが本気でやりあってるのだったらシャーレのアイツを真っ先に狙うしかないだろう。
しかし、ここでこいつらと……
特に、シャーレと本気でやりあうわけにはいかん。
そりゃ依頼の遂行も大事なんだが、この場合さっさとカイザーとは手を切ったほうが良い。
なんせカイザーはよりにもよって誘拐……
それもアビドスという、仮にも連邦生徒会に学園としての認証を受けている学園の重要人物をだまして連れ去ったのだ。
万が一にもここを切り抜けられたところで、後からヴァルキューレ以外にも他の自治区の連中も混じって面倒なことになるのは間違いない。
俺はそんな泥船に乗せられ続けるのはごめん被る。
……ま、ちょうどいい機会でもありはするんだが。
まぁ、アイツもその面倒ごとの辺りについてはよくわかってるだろう。
だからこそあんなことを言ったんだろうが……
俺がそんなことをわからんはずがないだろう。
「ふぅっ……甘い!」
――ダーーンッ!ズダァァァァァァァァンッ!ガギィィィン!
「はぁッ!?うそでしょ!?」
「"銃弾を……銃弾で撃ち落とした……!?"」
馬鹿め。
俺を狙っているのがわかっているならどう弾が飛んでくるかなんぞ容易にわかる。
ご丁寧にカウントまでついてりゃ完璧だ。
いつどこから弾が飛んでくるか分かっているなら……
俺はアイツのカウントに合わせてTommyを二丁とも投げ捨て、BIG Ironを引き抜いて陸八魔の奴が撃った弾を撃ち落とすようにぶっ放した。
「ん……まずい……!」
「だろうなぁシロコ……テメェのライフル、ちょうど弾切れだろ!」
――ダァァンッ!バンッ、ガギャッ!
ちょうどいい感じに下がろうとして体勢が崩れていたシロコへと一気に近寄り、至近距離で奴の相棒「WHITEFANG 465」にWyattの鉛玉をお見舞いした。
Wyattの弾は特別製、炸裂しちまえば着弾したところに小さな爆発で大穴を開ける。
少なくとも、一般的なライフルのフレームに使われてる鉄板ぐらいなら対爆処理がない限り簡単にぶち抜ける。
そのまま俺は体をひねり、シロコの首にサマーソルトキックの要領で蹴りを入れた。
「ガッ……!?」
「"シロコ!?"」
「くッ!!それ以上やらせは……」
――ダァンッダァンッダァァンッ!
「きゃあぁぁッ⁉」
「反応が遅い!」
俺は蹴りを入れた体勢のまま陸八魔の奴にワイアットを向けており、あいつが蹴りで宙に浮いたシロコの奴に気を取られた隙をついて三発ほどWyattを連射。
ぶっ放した弾は陸八魔の足と得物にうまいこと着弾し、体勢を崩すどころかそのままあいつのライフル「ワインレッド・アドマイアー」を破壊して無力化してしまった。
……それなりに育ったと思ったが、まだまだのようだな。
「ぐぅ……あ、ぁあッ!?わ、私の銃が……!?」
「ゲホッゲホッ……うぉえッ……!」
「おいおいお前ら、この程度でこうもやられるたぁどういうことだ?
俺はこんな簡単にやられるような鍛え方はしてないはずだが?」
「"……!サンドクロー、もうやめるんだ!これ以上は……!"」
シロコと陸八魔の奴をかばうようにシャーレのアイツが飛び出してきた。
そう、飛びだして来たんだが……
あれだけ忠告してやったにも関わらず、防具どころかその手には武器の一つも握られていなかった。
「だから言ってるだろう、シャーレの?
俺を止めたきゃ力で止めろってな。
……テメェの腰に下げてるそいつは飾りか?」
「"………ッ!?"」
俺の言葉にシャーレのアイツは腰のホルスターを隠すように後ろへと回していた。
「お前はアホか……この状況になってもソレを使わないつもりか?
なら、ソイツは何のための銃だ?」
「"これは……この銃は生徒を守るための……"」
「その生徒がやられかけてるってのに、お前はソレを使わないつもりか?
敵に変な情を向けて守るべきを守れない。
それがお前の目指す"先生"って奴なのか?」
「"…………"」
……だんまりか。
やはり、コイツは甘ty……「"……それでも"」……ん?
「"……それでも、私は生徒に銃を向けたくない"」
「……はぁ?」
呆れた。
どうやらこいつの頭は未だに寝ぼけているらしい。
「いいか、シャーレの?
俺はテメェの生徒じゃない。今の俺は……テメェの敵だ」
俺は手に持ったままのWyattを背負い戻し、BIG Ironの銃口をシャーレのアイツへと向けた。
銃口を頭に向けているというのに、アイツの目は俺の目をただ見据えていた。
「俺は誰かの庇護下にいるつもりもなければ、テメェの言いなりになるつもりもない。
テメェの言う生徒ってのはそういう……「"それは違うよ"」……何?」
俺の声にかぶせるかのように、シャーレのアイツは否定の言葉を吐いた。
何が違うというのだ?
アイツが言う生徒ってのはそういうもんだろう?
「"別に私は君を従えようとは思ってないし、みんなだってそうだよ。
私はあくまでみんなが青春を送れるように守り、責任を負う。
君が傭兵として生きることを否定はしないし、その過程でほかのみんなと衝突しちゃうことを咎めるつもりもないよ。
もちろん、みんな仲良くしてくれたらいいなとは思うけどね"」
「……何が言いたい?
お前は俺に何を求めている?」
「"特に私は何も求めてないよ。
ただ……君が一線を超えないよう、守りたいだけなんだ"」
……わけが分からん。
本当にこいつは何をしたいんだ?
「"確かに君は今、私たちと敵対している。
……でも、それは君という生徒を切り捨てていい理由にはならない"」
「何を言っている……?敵は敵だろうが。
それ以上でもそれ以下でもない、敵なら情けも容赦もかける必要がないだろう?」
「"たとえ敵でも、生徒は生徒だよ。私は生徒に暴力を振るわない。
たとえそれが君でも……私は銃を向けるつもりはないよ"」
「……ソレ、非殺傷弾だろうが。
ま、当てられるかどうかは別としても足止めぐらいにはなるだろうがな」
「"……確かにこの銃を買ったときは生徒たちを止めるのに使えると思ったよ。
でもね……私は、「先生」はそれじゃいけないとあとで気づいたんだ"」
バカなのか?
……いや、コイツはただのアホだったか。
「あのなぁ……そんなんでキヴォトスで生きていけると思ってんのか?
アンタ、ただでさえ銃弾一発で致命傷になるぐらい脆いだろうが。
そんな甘い考えで生きていけるほどここが優しくねぇってのは散々教えてやっただろうが」
「"……それでも……それでも私は、生徒に銃を向けたくない!
一度でも銃を向けたら私は「先生」ではなくなる!
私は……私は「先生」だから!"」
「はぁ…………そうかよ」
本当に飽きれたもんだ……こいつは現実ってのを一度知らないと学ぶ気はないらしい。
カチリと音をたて、BIG Ironのハンマーを起こした。
……当然だが、ここでこいつの脳天をぶち抜いちまえばまずいことになる。
だがまぁ……足の一本、神経さえ撃ち抜かず治療可能な範囲でぶち抜くだけならあとは金とハッタリでどうにでもなる。
「せ……せん、せい…!に、げて……!ゴホッ……!」
「ダメよせんせ……ぐぁ……ッ!?」
後ろでかばわれてる二人はシャーレのアイツを助けようとしているが、いまだに喉をやられた衝撃や足を爆発で負傷した状態でうまく動けるわけもない。
……ま、どうせ後で
これぐらいの被害ならあとで高い賠償さえ払えばどうにでもなる。
ひとまずは妄言を垂れるだけ垂れ流すこのアホの口を黙らせることと……
――ドゴォォォォォォンッ!!
……おっと、どうやら時間切れらしい。
まぁちょうどいいタイミングだったかもしれないな。
ただ……想定より早い気がするが……?
「ようやくご到着か、ホル…………は?」
「……まさか、貴方が本当にやらかすとは思わなかったわ。
覚悟はできてるのかしら?」
俺の予想に反し、吹き飛んだ廃墟の瓦礫の山の向こうから姿を現したのはここにいるはずがない女…
「……どういうことだ?
なぜお前がここにいる、空崎ヒナっ!?」
「今は答えてあげるつもりはない。
ここで今、貴方を捕まえてからじっくりと聞かせてあげるわ」
それだけを答え空崎は俺に銃口を……
「終幕:デストロイヤー」という名前らしいマシンガンを俺に向け、神秘とかいう力で紫色に光る光弾のような銃弾の嵐をぶつけてきた。
いかがでしたか?
さてここからヒナによるサンドクロー蹂躙劇……の前に一つ別の場所の話が挟まります。
え、サンドクローが蹂躙されるのは確定なのかって?
そりゃまぁ……彼、ヒナやホシノみたいな最強格には基本的に勝てませんし。
悲しいけど彼、"傭兵としては"最強なだけですから。
というわけで、また次の話をお楽しみに