はい、今回の話ですが……大きな原作改変が入ります。
もう既に色々かわり果てていますが、ここの変更はブルーアーカイブという作品の二次創作群の中で共通した大きな改変点です。
まぁもうお気づきの方も多いでしょうがね。
というわけで、答え合わせも兼ねて本編をどうぞ
……暗い。
しかも、何も聞こえない。
私の身体はよくわからない拘束具のようなもので縛られているせいで、動くどころか身じろぎ一つもできない。
私は……私は取り返しのつかないミスをした。
今頃アビドスは……後輩たちはどうなっているのだろうか?
最悪、先生がなんとかしてくれれば良いが……それも望みは薄い。
カイザーもそうだが、一番の懸念はアイツ……サンドクローだ。
アイツは……アイツは危険だ。
多分だが、カイザーは間違いなくアイツを雇うだろう。
アイツは金次第で誰にだってつく。
今までも……これからもそうなのだろう。
それならば間違いなく、カイザーはアイツを雇って後輩たちや先生へと銃口を向けるだろう。
私は……私は、アイツが何を思って今まで私に挑んでは負けてを繰り返していたのかが分からない。
何故私に固執する?
何故シロコちゃんとの約束を守っている?
なのになんで……私たちを平気で潰そうともできる?
もう嫌だ……考えるのが億劫だ。
ただでさえこんな場所に閉じ込められて、後輩たちが危ないのに何もできないということで苦しいのに……
私は……私は、アイツに何を期待していたのだろうか?
――カチッ、カチッ、カチャリ
ん……?
なんの……音だろうか?
私は突然耳の中へと響いてきた謎の音に疑問を覚え、顔を上げてこの部屋の入り口へと目を向けた。
それと同時に重々しい音と共に扉が開き、その奥から………
「……………………ッ!」パァ
「だ……れ……?」
全身黒尽くめのローブを着て鳥の仮面みたいなものを着けた、まるでカラスのような見た目の人物が現れた。
なんというか……顔も声も分からないのに、見覚えのある気がする雰囲気で喜んでいるように見えた。
カラスのような人は扉を明け放つと私に駆け寄り、一言何かを喋るでもなく私の拘束を解き始めていた。
……ん?
「……いやいや、アンタ何してるの!?
こんなところに忍び込んだ上に私を助けたら……!!」
「………………!」ダキッ
「うへッ!?」
拘束を全部外した途端、ガラスの人は私に抱きついてきた。
黒いダボダボとしたローブで分かりづらかったか、頭に何かすごく大きな物が当たって……
……あたっ……て………?
……いや、そんなはずは……!
だって、この感触は……でもあの人は……!!!
「ユメ……先輩……?」
思わず、私の口からは大切だった……
そして、もうこの世にいないはずの大好きな人の名前が出ていた。
カラスの人は何かに気づいたかのようにバッと一回離れたあと、おもむろに仮面へと手を伸ばした。
カチリと何かのスイッチが押される音がしたかと思えば、小さくモーターが動くような駆動音が鳴って仮面がカラスの人の伸ばされた手へと収まった。
カラスの人……彼女がその手を退けた時、私の中に色々な感情が混じって目にうっすらと熱いものが滲み出していた。
仮面の奥から現れたその顔は、あの時と全く変わらない。
仮面が外れたのと同時にフードの中から溢れた髪も、あの日と全く変わらない。
雰囲気も、表情も、立ち振る舞いも……
何もかもがあの時のままだった
「ごめ〜ん、ホシノちゃん!この仮面つけてたら話せないのすっかり忘れてたよ!」
声……全く変わらない。
何もかもが、あの砂の中に埋もれたはずの過去……
私にとって大切な、あの日々のままだ。
「せん……ぱい……?なんで……?先輩は……もう、死んで……?」
「大丈夫だよ、ホシノちゃん」
私は再び、彼女に抱きしめられた。
先ほどとは違い、今度は何故か機能していなかった鼻も彼女の優しく懐かしい匂いを感じ取っていた。
「私は死んでないよ。
色々あってしばらくアビドスから離れちゃってたけど……
もう、ホシノちゃんを置いていかないから」
「あ………ぁぁ………」
………もう、私は限界だった。
「あぁぁぁぁああぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!」
私は、泣いた。
みっともなく大声を出して。
涙も止まらないし、鼻の奥もツーンと痛む感覚がする。
それでも、私の心は泣くことをやめてくれなかった。
「ごめんね………一人にさせちゃって、ごめんね……!」
「ヒグッ………わだじも゙………ごべん、なざい……!」
ここから先、しばらくの私の記憶はない。
覚えてるのは、温かいユメ先輩の体温と同じくらい温まる優しい言葉だけだった。
「ホシノちゃん、落ち着いた?」
「うぅ……ごめんなさい」
しばらくして私の心が目一杯に涙を流した所で、ユメ先輩は抱擁を解いて私の目を覗くように見ていた。
思わず彼女の変わらない優しさに笑みがこぼれつつも、先ほどまでの醜態を思い出して気恥ずかしくなってしまった。
「色々と積もる話もあるけど、急いでここから出ないと!」
「それは良いんですけど、先輩………
私、武器とか全部没収されてて……」
「あ、それならさっき回収してきたよ!
事前に聞いてはいたけど、今ここのカイザーの人たちは後輩ちゃんたちの対応に追われてて警備が手薄だったからあっさり取ってこれたの!」
「ゆ、ユメ先輩が計画的……!?もしかして偽物!?」
「ひぃん!?ひどいよぉ!
私もちゃんとやるときはやれるからね!?」
「……………………冗談ですよ」
「え、なにその間!?私もしかしてそんなに信用無いの……!?」
再び「ひぃん」と鳴く先輩に、思わず昔を思い出して笑いがこみ上げてきた。
ただ、少し気になることがある。
笑うのはお預けだ。
「……先輩、事前に聞いてたって言ってましたけど……」
「あっ、それについては移動しながら話すよ!
あんまり時間かけたら怒られちゃうし!」
そう言いつつ、ユメ先輩は私の手を取ってどこかへと向かって走り始めた。
「せ、先輩!?一体どこに行くんですか!?」
「後輩ちゃんたちがいるところだよ!
あ、助けたばかりで聞くのもどうかとは思うけど、ホシノちゃんこのあと戦える?」
「え?ま、まぁできますけど……
いったい何と……?」
「えっとねぇ……
カイザーさんたちとサンドクロー君!」
そこから廊下を走りつつ、ユメ先輩から事情とか諸々を聞いた。
……あのクソ野郎、やってくれたな?
感謝二割恨み八割ぐらいの感情を抱きつつ、私の脳内ではあの憎たらしい顔にショットガンをお見舞いするシミュレートが行われていた。
「あ、あはは……でもあんまり怒らないであげてね?
あの子も色々助けてはくれてたし、他にも色々……」
「……ユメ先輩?」
「ひぃん、はい……」
「終わったら後でお説教です」
「えっと……情状酌量の余地は……?」
「よくそんな難しい言葉を言えましたね。
でも、駄目です」
「ひぃぃん…………」
まさか、先輩もグルだったとは思ってもみなかった。
……まぁ、大部分はアイツが悪いからそこまで酷く怒る気もないのだが。
「……とにかく!
私はアイツを軽く脅して追っ払って、あとはカイザーをしばけば良いんですよね?」
「あ、うん!そういう作戦みたいだよ!
……一応「多少はこっちを殴っても問題ない」っては聞いてるけど、ほどほどにしてあげてね?」
「………………まぁ、考えときます」
「ひぃぃん……
ホシノちゃん、お願いだからできるだけ穏便にしてぇ……」
それはまぁ、アイツ次第だろう。
いくらカイザーの目を欺くためとはいえ、手加減アリでも後輩たちをボコボコにしているのだ。
正直その場で撃ち殺してやりたいが、そういうわけにもいかない。
あれでもアビドスの為に動いてくれてはいたのだから。
「あ、そろそろ着くよ!」
「…………」
ユメ先輩の言葉に、私は気を引き締め直して銃を構える。
手順は単純、一発サンドクローに発砲して下がらせた後に脅す。
そしたらアイツも上手いこと演技をして退却。
後はカイザー理事をしばいてユメ先輩も交えたOHANASIをして借金問題をチャラにする。
アイツらしい小賢しい策だが、まぁあっちもあっちで保身の為の建前がいるんだろう。
……私にカイザーの契約違反を引き起こすように仕向けさせるなんて、アイツにアゴで使われてるようで癪に障るが。
先ほどまで銃声が鳴り響いていたが、今は音がない。
恐らくだが、後輩たちはやられてピンチという盤面だろう。
こんなマッチポンプじみたことをさせられるのは本当に嫌だが……
助けられてる手前、文句は言えない。
そもそも騙されてた私が悪いのだから。
廊下の角を曲がり、私たちは旧アビドス本校舎から飛び出して後輩たちと先生がカイザーやサンドクローと交戦しているだろう地点へと大急ぎで向かった。
「……え?」
しかし、どういうことだろうか?
たどり着いたその場所で、私が見たのは……
「うぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」
「しまっ………………ぐぁぁッッ!?」
全身がズタボロになって後ろに大きく飛び退ったのだろうサンドクローの腹に、特攻を仕掛けたらしいシロコちゃんがコンバットナイフを突き刺していた。
いかがでしたか?
とりあえず申し上げますが、ご安心ください。
サンドクローはナイフで刺したぐらいでは死にません。
え?普通のヘイローがない人間なら死んでるだろって?
……まず、サンドクローは本当に人間なのかという点からしてあれなので、そこはお気になさらず。
もちろん、スペック的に死ぬときゃ死にますけどね?
彼は死にづらいだけで死なないわけじゃ無いですし……
そして、ユメ先輩生存ルートの世界であることが今回明かされましたね。
もちろん、今までどこで何をしていたかについても後に語ります。
具体的には現在のアビドス編のエピローグ辺りで。
というわけで、また次の話をお楽しみに