ここ最近エスコン8をやりこんでいた今日この頃です。
まぁそれはともかく、今回はサンドクローとヒナの対決です。
もちろん、まともに真正面から戦って勝てるわけがありませんが、彼も彼で必死に行きあがこうと粘ります。
それはもう、どんな手を使ってでも……です。
というわけで、本編をどうぞ
追記①:今回はいろんな意味でやばい描写が入ります。覚悟を持ってご覧ください。
追記②:今日は二本立てです。なんか筆が乗って書いたら間に合いました
まるで電動ノコギリの駆動音のようにも聞こえる凶悪な連続した銃声。
削り殺さんとばかりに放たれた無数の銃弾が薙ぎ払われるように展開される中、サンドクローは横へと駆けるようにして躱していた。
彼は横に走りつつ、ついでにそこらへんに捨てていたTommyを拾い上げて近くにあった瓦礫の裏へと滑るこむように隠れた。
急ぎ手持ちの銃全てをリロードするが、その間にも隠れていた瓦礫が少しづつ削れて行く。
何とかギリギリTommyに新しいマガジンを付けたあたりで再び駆けだすと、隠れていた場所の瓦礫がついに耐え切れなくなり跡形もなく銃弾の雨によって粉々に粉砕された。
お返しとばかりにサンドクローも彼女へとTommyの連射を叩きこむが、当たったところで陶器のごとく白くきれいな肌どころか軍服のような意匠を感じる制服にも傷一つ見当たらない。
彼はまるでそうなることは分かりきっていたかのように冷静に立ち回ってはいたが、その一方でその表情は渋くなっていた。
舌打ちをしつつ、牽制するようにTommyで弾をばらまきながら再び瓦礫を盾にするように引き撃ちの戦術に切り替えた。
「クソが!よりにもよってなんでお前がここに……!
そもそも、ここはそっちの管轄のゲヘナじゃないだろうが!」
「あぁ、それなら問題ないわ。今の私はゲヘナの風紀委員長じゃない。
ここにいるのはシャーレの一部員……空崎ヒナよ」
「シャーレ……あぁクソ、そういうことかよ!」
瓦礫の間をくぐりつつ、淡々と追いかけてくるヒナが口にした言葉で彼はなぜ彼女がここにいて自分を捕まえに来ているのかを悟った。
シャーレは連邦生徒会長直々に設立されており、彼女はこの組織に特権を付与して先生へとそのすべてをゆだねた。
その特権というのが「所属や学籍によらず、不特定多数の生徒の協力を仰ぐことができる」ことと「あらゆる規約や法律による規制や罰則を免れることができる、超法規的権限」だ。
この二つはその言葉通り、ありとあらゆる学園から既存の組織の所属を変えることなく部員としてシャーレに所属させることができ、かつその活動についてはあらゆる規則や法的制限を取っ払うことができる。
つまりこのキヴォトスにおいてシャーレ……もとい先生の旗の下であれば、たとえ他校の風紀委員長であろうともシャーレの部員として管轄外の学園へと武力介入が可能になるということだ。
……最も、その権限を持っている本人はあまりそのような権限の使い方をしたがらないのだが。
そう、したがらなかったはずだったのだが……。
「……ここまでやるか、シャーレの!」
サンドクローは自分の読みがことごとく外れたことに苛立ちつつ、してやられたことを悟って恨み節のような言葉を吐くことしかできなかった。
「"サンドクロー……
私はね、できれば君をこんな形で傷つけたくも捕まえたくもなかった。
……でもね、今の君はホシノの誘拐に間接的にも関わっている。
悪いけど……私は先生として
この時、サンドクローは気づいた。
シャーレの先生は自分に対して何かに気づいたかのような言動をしていたが……
恐らく、自分の意図とは違う方向で解釈し勘違いしているのだと。
いや、それ自体は仕方ないというか当然だ。
なにせ彼は先生に対してこの件に関することを何も教えていない。
むしろ何も言っていないのにそれに気が付いているというのなら、もはやそれは人を超えた化け物である。
しかし問題はそこではない。
よりにもよって先生は彼を本気で倒す気であり、そのために手段を選ばず立ち向かってきたことであった。
何も選択としては間違っていない。
だが、サンドクローはここで先生が自分に対しての対抗策を用意してくるとは想定してない。
そもそもなぜ事前にそんなものを用意できたのかも疑問だが、分かっていたとしても日和見を決め込むとタカを括っていた。
サンドクローは先生のことを、言い方は悪いが舐めていた。
平和主義の脳みそお花畑と認識していたが……
どうやら、それはサンドクローにとって最も致命的な慢心となってしまったらしい。
「……クソが!」
もう何度目になるかもわからない口汚い言葉を吐き出しつつ、サンドクローは遂に弾が切れたTommyをその場に投げ捨て、Wyattを構えてヒナへと連射で炸裂弾を叩きこんだ。
しかし、まるで動きを読んだかのようにヒナは彼の銃撃をことごとくかわし、だんだんと逃げ場のない場所へと追い込んでいった。
だがそこで終わるサンドクローではない。
「こうなりゃ仕方ねえ……ありったけ持っていけ!」
「……!ダイナマイト……!」
彼は懐に残していたダイナマイトをすべてばら撒き、そのうちの一本を炸裂弾で起爆させて連鎖爆発を引き起こさせた。
「"ヒナ!!"」
爆炎の中に飲み込まれた彼女に先生は叫ぶが、そう間もなくしてほぼ無傷のままヒナは爆発の中から飛びだしてきた。
だがそれで目くらましになった隙を突き、サンドクローは反転してヒナへと詰め寄った。
「……ッ!」
「オオォォォォォッッ!!!!」
その手には二丁のシングルアクションアーミーが握られており、その二つの銃口はヒナの頭に至近距離で狙いを定めていた。
――ズダダダダダダダダダダダダァン!
「きゃあッ!?」
さすがに至近距離での十二連射は効いたのか、ヒナは顔を少しだけ歪ませながらたたらを踏まされた。
だが、彼女もまた最強と評されるゲヘナの風紀委員長。
一瞬怯みはしたもののその手からいったん銃を手放し、彼へと肉弾戦を仕掛ける。
「はぁぁっ!!」
「ぐッ……!?」
体勢の立て直しがてら放たれた頭突きがもろに腹に直撃し、サンドクローは軽く体を宙に浮かされて吹き飛ばされた。
すぐに体勢を立て直して着地するが、その時にはすでに彼女のグローブが嵌められた細腕が目前に迫っていた。
「がぁぁッ!?ゴフッ、ガガガガガッ!?!?!?!?」
「りゃぁぁぁぁぁッ!!!!」
もはや鬼気迫るというべきか、普段の冷静沈着な様子とはかけ離れた表情と声でサンドクローへと拳や蹴りの連撃を叩きこむヒナ。
サンドクローも必死にガードしようとするが、そもそもの身体スペックで力負けしている彼の腕は早々に拳に弾かれていた。
なんなら、左腕の肘辺りから方からゴキリと嫌な音が鳴っていた。
「これで……いったん寝てなさい!」
「ごぶあぁぁぁぁぁぁッッッ!」
――ドガァァァァァァァン、ズドォォォォォンッ!
最後にサンドクローの腹部へと中段蹴りが放たれ、彼は大きく吹き飛ばされて瓦礫の山へと叩きつけられた。
ただでさえ崩落して頑強さなどない瓦礫たちがその衝撃を受け止めることができるはずもなく、そのまま彼の身は瓦礫を貫通するように吹き飛ばされてカイザーたちが戦っていたはずのエリアの廃墟に着弾した。
「がッ……はぁッ……!ぐ……ぐぞっだれ……が……!」
だがそれだけの攻撃を受けてなお、彼はまだ倒れはしなかった。
防弾仕様の服など彼女の攻撃の前では肌を直接傷つけないだけの防護フィルムのような役割しか果たしていなかったが、全身の骨が折れかけたり何なら関節が外れたりしていてもなお彼は意識を保っていた。
彼はなんとかその場に立ち上がり、外れた左腕の関節をゴキリという痛々しい音と共に嵌めなおして腰のホルスターに唯一残っていたBIG Ironを引き抜いた。
周りを見渡せば機械の残骸だらけ。
奥には全身ズタボロ穴だらけの状態のゴリアテが転がっており、その近くには頭部パーツを軽く凹ませて伸びているカイザー理事の姿もあった。
どうやら彼らは先に片づけられてしまったらしい。
「"サンドクロー、もうそれ以上は君も戦えないはずだ。
悪いようにはしないから、ここはおとなしく捕まってくれないかな?"」
若干ふらりとした体勢で立ち上がったサンドクローに対し、先生は降伏するように勧告した。
先生としても、これ以上は彼の命にかかわると判断した故にだろう。
だが、それに応じるほどにサンドクローは往生際が良いわけがなかった。
「く…はは……俺も、舐められたもんだなァ……」
BIG Ironを構えつつ、口から垂れてきた血をぬぐいながらサンドクローは彼の目をにらんだ。
「俺が捕まるのは……俺が死んだときだけだ。
俺はなァ……ここでつかまりゃ死んだも同然なんだぞ……
そう簡単に……捕まるわけが……ねぇだろうがァッ!!!!!」
サンドクローはそう叫ぶと同時に腰につけたポーチから一本の注射器を取り出し、自分の腕へと乱雑にぶっさした。
「"……!?サンドクロー、いったい何を……!?"」
「あァァァ……後がきついからあんまり使いたかぁなかったがなァ……
もうこうなりゃヤクでも使わなきゃやってられないんだよ」
彼が注射器の中身を自身に注入したとたん、目に見えて彼の様子が変わっていた。
顔中が赤黒く変色し、目は真っ赤に充血している。
その様子からして、サンドクローが摂取したのは明らかに危険な薬物であった。
「……あれは、まさか「バッファロー」……?
なんで数年前の規制で無くなったはずの危険薬物を持っているのかしら?」
「"……!ヒナ、大丈夫!?
もしかしてだけど……あれが何かわかるの!?"」
瓦礫の山に空いた穴を潜り抜け、先ほど手放していたデストロイヤーを回収してきたヒナが先生の隣へと並び立った。
ヒナの何か知っているらしい様子に、先生は彼女の心配をしつつもサンドクローが何を使ったのかを問いかけていた。
「……戦闘用薬物「バッファロー」。
かつてブラックマーケットでドーピング目的の傭兵とかが使っていたものなのだけど……
あまりにも副作用や依存性が強かったうえに、果てにはスケバンから一般の生徒まで広がりかけたからキヴォトス全域で製造や所持が禁止された危険薬物よ。
もう何年も前に根絶していたはずなのだけど……まさか、その生き残りがあったなんてね」
「"危険薬物……!?"」
先生は彼女の言葉に開いた口がふさがらなかった。
彼も外の世界にいたときに、危険薬物がいかに恐ろしいものなのかを学校やその他の様々な媒体で知っていた。
そして彼の元いた国でもそうだが、ここキヴォトスでは酒やたばこ等が比較にならない程に規制が強いことを赴任時に調べた法律関係の書籍で知っている。
故に、なぜそんなやばいものを彼が所持していたのかと驚愕したのだった。
「つい最近、裏のマフィア共がコイツを密造していてなァ……
まぁ依頼でその密造していた工場だとかは全部潰したんだが、その時に何本かくすねといたってわけだ」
「……なるほどね。
数か月前にブラックマーケットの一部のマフィアグループがヴァルキューレに収監されたって話は聞いてたけど、そういうことだったのね」
サンドクローのうち明かしたその事実に、ヒナは合点がいったかのように溜息を吐いていた。
「……何本かってことは、まだ何本かあなたは隠し持ってる。
そういうことでいいのかしら?」
「あー……生憎だが、これが最後の一本でな。
残りはさっき全部お釈迦になった」
そう言いつつ、彼は先ほど注射器を取り出したポーチを逆さにした。
中からはパラパラと液体で濡れた注射器の容器だったらしい破片が降り注ぐかのように落下しており、数滴の何らかの液体と共に砂の上へと落ちていた。
「あら、ちょうどよかったわ。処分の手間が省けたってわけね」
「おかげさんで切り札の一つが丸々なくなっちまったがなァ……!」
サンドクローは先ほどまでのふらふらとした様子から打って変わり、吹き飛ばされる前よりも素早い動きで廃墟地帯の出口の方へと逃げ出し始めた。
「くッ、待ちなさい」
――ドルルルルルルルルルルルルルッッ!!!
急なサンドクローの動きに一瞬反応が遅れるも、ヒナはすぐに切り替えてデストロイヤーを彼へと向けて引き金を引いた。
しかし、ヒナが先ほど与えた肉体のダメージや着弾した弾の衝撃を受けていながらも止まる様子が見えない。
どうやら薬物の影響か、痛覚などが麻痺して本来であれば動きを止めるような状態であっても体を動かすことができるらしい。
「まずい……逃げられる……!」
「"くッ……!待つんだ、サンドクロー!"」
先生はサンドクローに止まるように叫ぶが、彼の脳内にあるのはこの場から早急に離脱することだけだ。
あと少し走ればカイザーの基地の兵舎があり、その近くであればすぐにでもトリガーを呼び出して逃げることができる。
先生とヒナも彼を追うように走るが、これでは間に合わない。
もはやサンドクローに逃げられてしまう。
そう思われた時だった。
――ドゴォォォォォォンッ!!!
「なッ⁉」
あと少しで出口から出る。
その瞬間、出口付近の廃墟が爆発を起こして崩落した。
結果道が塞がれてしまい、サンドクローはその場に急停止した。
「これは……」
「ふふふ……ぬかったわね、サンドクロー!」
突然上から聞こえた声に反応し、サンドクローは近くの廃墟の上階を見上げた。
そこにいたのは……
「……ん、今度こそは負けない」
「いや~、悪いね眼鏡ちゃん?私まで治療してもらってさ~」
「あ、あはは……と、とにかく今はあの人を捕まえることを優先してください!」
「サンドクローさん、今日が年貢の納め時ですよ~♪おとなしくしてくださいね~?」
「よくもさっきはやってくれたわね!今日という今日は絶対許さないんだから!」
「あ、アル様を傷つけた報いを受けてください!ぶっ殺します!」
便利屋68とアビドス生たちがところどころボロボロながらも、万全な状態で出揃っていた。
いかがでしたか?
正直オクスリについてはどのみち入れる予定ではありましたけど、もうここで入れることにしました。
一応言っておきますが、危ないオクスリの使用は大人だろうが子供だろうが動物であろうがやってはいけません。
良い子のみんなはマネしないでね案件ですね。
そして結果的に追い詰められましたが……
彼はここから一体どうなるのでしょうか?
というわけで、また次の話をお楽しみに。