前回の投稿の少し前、なんか面白い作品を見つけたのでちょっと集中してそれを一気見してたんですが……
丁度あと数話で読み切る所で前回の話を投稿したところ、まさかのその作品の作者さんが本作をお気に入り登録と高評価をなさってました()
いやぁ……世の中広いようで狭いという言葉はあれど、こんな偶然があるとは思わなんだ()
普段だったら最新話まで読み切ってからお気に入り登録するかどうかを考えますが、作品自体普通に面白かったのも含めて発見直後に珍しく読みかけながらもそのままあちらの作品も登録しちゃいましたね。
具体的に誰とは今のところ申し上げませんが……
本当にありがとうございます。
とまぁここまであんまり本編と関係はありませんでしたが、とりあえずアビドス編はこの話の次に投稿予定のエピローグで〆となります。
というわけで、ここまでの長文はさておき本編をどうぞ。
シロコがサンドクローの腹にナイフを突き立てたその直後。
彼女の耳に入ったのは、囚われていたはずの自身の先輩の声。
「……!?ホシノ先輩!?」
「あ……えっと……い、いやぁごめんねみんなぁ~……」
あまりの光景にホシノは驚愕するも、すぐに意識を切り替えてシロコの方へと向き合った。
駆け寄るシロコに合わせ、次々に現れては駆け寄ってくる後輩。
ここからどうするのかとちらりとサンドクローの方を見やると、だらりと垂れ下がった片腕で親指を天に向けるかのように力のないサムズアップをしていた。
様子を見る限り今は意識はないようだが、彼女たちや後ろに控えている便利屋……
そして、先生と共にサンドクローを逮捕しようとしていたヒナの目を引き付けて時間を稼げということだろうか?
元々の作戦通りならそういうことになるが……
違うところといえばサンドクローが現在戦闘不能状態であり、本来の台本通りならここからホシノが追い払う形で介入して今回の件は収めるということだったはずだ。
なぜかヒナというイレギュラーがいるとはいえあっさりと負けているのか。
ホシノは半分呆れつつも、助けられた借りぐらいは返そうとアドリブで陽動をすることにした。
ひとしきり後輩たちからもみくちゃにされつつただいまと返した後、後輩たちからはどうやって抜け出してきたのかと質問が飛んできた。
ここからどう説明すべきかと悩んでいると、シロコが何かに気づいたようにホシノの後ろへと拳銃を向けた。
「……そこにいるのは誰?隠れてないで出てきて」
「ひぃん!?ま、待って待って!?私は敵じゃないよ!‼」
ホシノが振り返ると、先ほどまで隠れていたらしいユメが両手をあげながら物陰から出てくるのが見えた。
いつの間にかあのカラスのような服を脱いでおり、代わりにホシノにとってとても懐かしく思えるアビドスの制服を身にまとっていた。
「え……!?アビドスの制服!?」
「誰……でしょうか?」
「……まさか、そんな……!?だって、あの人は……!?」
シロコ以外のアビドスの面々が彼女の姿……主に見慣れた自分たちの学校の制服を着ていることに驚愕するが、その中でもノノミだけがそれ以外の理由で驚いていた。
その驚愕は何もアビドス生だけではなく、その後ろでサンドクローの身柄を拘束しようと彼に歩み寄ろうとしていたヒナにも伝播していた。
「……どういうこと?なぜ彼女が……?」
「"……?ヒナ、何か彼女について知ってるの?"」
「えぇ……知っているといえばまぁそうなのだけど……」
先生が何かわけを知っているらしいヒナへと質問を投げていたが、投げられた本人も驚きと困惑でうまく説明ができない様子だった。
「……ん、とりあえずあなたは誰?なんでアビドスの制服を着ているの?」
シロコは銃口を下すことなくユメへとそう問いかける。
……しかし、その銃口を腕を掴んで下ろさせる人物がいた。
「シロコちゃん、ちょっと待ってくれないかな?あの人は敵じゃないから」
「……?先輩……?」
静かだが、どこか怒りのオーラのようなものを滲みだしたホシノがシロコの腕をつかんでいた。
声のトーンこそいつもと変わらないが、どこか冷たさを感じるように低く静かな口調だった。
いつもとは違うホシノのその様子に気圧されたからか、シロコは腕の拘束が溶けると同時に拳銃へとセーフティをかけ、腰につけたホルスターへとそれをしまった。
「あ~……えぇっと……と、とりあえず自己紹介からかな!!」
若干ホシノの怒気にあてられたのか少しひぃんと鳴きつつも、ユメは気を取り直して目の前の後輩たちへと改めて向き直った。
「アビドス高等学校生徒会長、梔子ユメです!後輩のみんな、初めまして!」
彼女の放った言葉に、その場がシンと静まり返った。
そして、そう間もなくして……
「「えぇぇぇぇぇぇッ!?!?!?」」
セリカとアヤネの二人の驚愕の声がその場に響き渡った。
〈少女説明中……〉
「えぇ……?つまり、先輩は昔死にかけたところをサンドクローに助けられて……?」
「それで、表向きには亡くなったということにしながら潜伏してて?」
「サンドクローさんの指示で今日、ホシノ先輩を助けに来た……ってことですか?」
「うん!あ、でもサンドクロー君が助けてくれたこととかはあまり他言しないでね?
そのへんの事を下手に言っちゃうとカイザーさんたちとサンドクロー君でちょっと揉めることになっちゃうから!」
「ん、にわかに信じがたいけど……
ホシノ先輩がそれで納得してるなら、私たちも信じるしかない」
ユメからの説明に対し、アビドス生達の反応は何とも言えないものだった。
まさか先ほどまで戦っていたサンドクローが、本当はアビドスを遠巻きに助けていたというその事実。
到底受け入れるのは難しいのだが、自分たちの敬愛する先輩のホシノもそれで納得しているために、思うところは多々あれど信じざるを得ないのである。
便利屋68の面々も彼女の話を後ろから聞きつつ驚いてはいたが、何か思いあたる節があったのか特に何も言うことはなかった。
しかしその一方、先生は衝撃を受けていた。
自身のサンドクローの行動の読み違いもそうだが、何より普段悪人ぶった行動が目立つサンドクローが人助けをしていた。
それも、誰に言われるでもなく自分の意思でである。
申し訳なさも確かにあるが、それ以上に彼を一人の"生徒"として見ている教師としては思わず感激してしまっていたのだ。
しかしそれ以上の爆弾をホシノが投下したことにより、彼の頭は更にぐちゃぐちゃにかき乱されることとなる。
「でも、まさか先輩が潜伏しながら農場で働いていたなんて……
しかもその農場、サンドクローが経営してるなんて初めて聞きましたよ」
そのホシノの言葉に、その場の一同はピシリと音を立てたように固まった。
「あ、ホシノちゃんそれは……!?」
「……あ」
ユメが慌ててホシノに声をかけるが時すでに遅し。
ホシノのしまったと言わんばかりの様子からして、どうやらまだ言うべきではない機密事項だったらしい。
「あ〜〜……えぇっと……みんな、おじさんがさっき言ったことは一旦聞かなかったことにして?」
「……ホシノ先輩、それはちょっと無理があると思う」
シロコの返しにホシノは思わず天を仰ぐが、どうやら良い感じに隙を作れたらしい。
――ブルォン、ブルォォンッ
とこからともなく、特徴的なバイクのアイドリング音が響いてきた。
その場の全員がハッとしてサンドクローが倒れているはずの場所を見ると、そこには血溜まりだけを残して彼の姿が消えていた。
慌ててヒナを先頭にアビドス生達が廃墟地帯の外へと出ると、そこには腹から血を垂らしつつ今にも逃げようとするサンドクローの姿があった。
「なっ……!?アレで動くの……!?」
思わず彼の腹へとナイフを刺した張本人であるシロコはそんな言葉を漏らしていた。
ゴキブリ並みにしぶといサンドクローが、さすがにアレで死ぬことはないだろうとはシロコは思っていたが……
まさか、意識を取り戻した上でまだ逃げられるだけの耐久力があったのは想定外だった。
「……でも、ここで逃がすわけには…………ッ!?」
そう言いながらヒナが彼にデストロイヤーを向けた直後、彼女の前に突然青白い炎の壁が出現した。
炎の壁はまるでサンドクローには手を出させないと言わんばかりに彼女たちの射線を塞いでおり、ヒナは壁ごと撃ち抜かんとトリガーを引いたがその弾は全て炎が巻き付くかのように飲み込んで消し去ってしまった。
「"これは、一体……?"」
先生は困惑しつつも辺りを見渡す。
すると遠くの廃墟の中からこちらを見つつ、手に青白い炎のようなものを浮かばせた人物がいることに気がついた。
先生がよく目を凝らして見てみると、それはまるでカラスのような見た目の格好をした小柄な人物……
先生は直感的に、その人物が生徒であると気がついた。
壁の向こうからバイクの走り去る音が聞こえた直後に炎の壁も消え、その推定生徒と思われるカラスのような人物はゆらりと闇に溶けるかのように消えていった。
「"アレは……あの子は一体……?"」
先生はサンドクローを逃して悔しがるシロコ達の傍ら、先程の謎の人物達に思考が持っていかれていた。
この日から数日後、カイザーはアビドスからの完全撤退を宣言した。
アビドス高校が背負っていた借金は全て返済され、それを成した元生徒会長である梔子ユメは留年扱いながらも再び生徒会長へと復帰。
アビドスの土地の権利もまた、カイザーが全て手放したことによってアビドスを蝕んでいた問題は全て解決に向かっているように見えた。
……しかし、それでもまだアビドスの苦難は続く。
終わらない砂嵐の驚異もそうだが、何よりもカイザーが手放した土地の権利がどこに行ったのかを彼女達はまだ知る由もなかったのである。
彼女たちがそれを知るのはまたもう少し先の話だが……
その影には一人の男の姿が潜んでいることを、ユメとホシノは朧げながらも感じ取っていた。
いかがでしたか?
はい、だいぶ色々端折ってますがこれでアビドスを巡る色々な問題は一旦解決です。
端折った理由ですが、ここから先の話はそんな鮮明に書く必要がないというのもまぁありまして……
まぁ、次の話を書く時に軽く何があったのかも説明されるでしょう、たぶん……
というわけで、また次のエピローグをお楽しみに。