実は予約投稿の都合上、二月の二十八日にまとめてこれを書いてるので話すネタが尽きだしてる今日この頃です。
さて、今回は主人公について新たな設定を公開します。
一応彼の肉体年齢的には生徒と変わらないぐらいですけど…
ブルアカ創作においてもっとも重要な要素について、今回ようやく明かします。
まぁ明かしたところで彼が化け物なのは変わりないのですけど()
というわけで、本編をどうぞ
「おいおい、無視は良くねぇなぁ?せめてアンタらが俺の仕事を邪魔しないかどうかぐらいは答えてほしいんだが……そこんとこ、どうするつもりなんだ?」
未だ伏せて動かない先生たちに対し、少年は挑発するかのような調子で語りかけていた。
どうやら依頼は受諾したものの、その依頼されたVIPが現在どこにいるのかについては詳しく知らないらしい。
「……先生、ここは私が」
近くに伏せていた先生へとそう声をかけ、武器を置いた状態で両手を上げながらハスミが立ち上がった。
遮蔽物の裏から出てきたハスミの姿に、少年は驚いた様子で手に持っていた異様に大きなリボルバーの銃口を少しそらした。
「ほう?誰かと思えば正義実現委員会の副委員長殿とはな。
ここはアンタらの領分じゃないはずだが、なんでそんなところに?」
「……目的はあなたと同じです。
貴方も先生の護衛のためにここに来たのでしょう?」
「「先生」……か。なるほど、そういえばVIPがそう呼ばれていたな。
と、いうことはそこに隠れているのが?」
「えぇ。ですので、ソレをこちらに向けるのはやめてくれませんか?」
「おっと、こりゃ失礼。俺も依頼された護衛の対象を撃つつもりはないからな」
少年が軽くくるくるとリボルバーを回しながら腰の方へとしまうと同時に、他三人の生徒と先生も立ち上がってその姿を見せた。
「……?おいおい副委員長殿、あんたいつの間にゲヘナアレルギーを克服したんだ?」
「……今回は先生の護衛がありますから。それに、アレルギーというわけではありません」
「あくまでアレルギーってのは例えなんだがなぁ……。
……んで、そこの軟そうな野郎がVIPってことでいいのか?」
ジロリと少年は鋭い視線を先生に向け、全身を探るように見渡していた。
「"……連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの顧問教師の○○だよ。君がリンちゃんが言ってた護衛の子……でいいのかな?"」
「
……連邦生徒会がずいぶんと必死に頼み込んできたが、なるほどなぁ?」
バイクのエンジンを停止し、少年はカツカツと先生へと歩み寄った。
そこで初めて気が付いたが……彼の頭上にはヘイローがなかった。
「……VIPだってんのに防弾ベストの一着も用意せず、ヘイローなしの大人を護送か。
アイツらはそんな配慮ができない程に動転してるわけか?」
先生は目の前の少年に対し、どこか妙な違和感を感じつつも「生徒」へと接するように声をかけた。
「"……あまりあの子たちを責めないであげて。
みんな自分のできることを必死に取り組んでるんだよ?"」
「……なるほど。こりゃ底なしのお人よしか。
まぁそれについては別にいいんだが……せめて装甲車ぐらい用意してくれりゃあ楽だったろうに」
少年は首のあたりを軽く掻きつつ、バイクに戻ると一丁の古い自動拳銃を取り出して先生へと差し出した。
「"……えぇっと、これは……?"」
「おいおい、まさかこのまま丸腰で歩いてくのか?
せめて自分の身ぐらいは最低限守れるように持っときなNewcomer?」
少年は受け取りを拒否しようとする先生の手を無視し、安全装置を付けた状態で腰ベルトへと差し込んだ。
先生はそれを返そうとするも、少年はさっさとバイクに乗ってエンジンをかけた。
「アンタらはそこのVIPを守りながらゆっくりとピクニックでもしてな。
目的地でバカ騒ぎしてる迷惑客はこっちである程度片づけといてやる」
「"ちょ、ちょっとま……"」
「Hi-Yo Trigger!Yee-haaw!」
先生の停止もむなしく、少年はアクセルをふかしてバイク……トリガーと呼んでいたそれを走らせて進行方向へと消えていった。
「……先生、彼が行ってしまった以上は仕方ありません。
私たちも後を追いましょう」
「"……大丈夫なの?あの子、たった一人で……"」
「……ヤツならそう簡単に死ぬこともないはずです。
先生、とにかく私たちもシャーレビルに向かいましょう」
どこか不機嫌そうなスズミに手を引かれ、先生もまたシャーレビルへと向かい始めたのだった。
先生たちが通る度、道端には何人ものスケバンやヘルメット達が積まれていた。
全員漏れなく気絶しており、うち何人かは頑丈そうなロープでしばり上げられてすらいた。
「"これは………"」
「酷い………これが、噂のサンドクローのやり方なのかしら……?」
先生とユウカはあまりの惨状に顔を顰めていた。
よくよく見ればスケバン達の銃は全て破壊されており、徹底的に制圧されていることが見て取れる。
「………ユウカはあの子のことを何か知ってる?」
「あ、えっと………実は私も噂程度にしか………」
「そういうことでしたら、私が説明します」
先生の質問に困ったような顔で返すユウカに助け舟を出すように、自身の拳銃を構えて周囲を警戒しながらチナツが説明をし始めた。
「賞金稼ぎのサンドクロー………本名、経歴、出身地といった全てが謎に包まれたならず者です。
学籍どころか身分を証明する書面一つすら無いせいで、傭兵登録以外の公的な書類上では存在していないことになってる厄介な相手です」
「でも、それだけならそこら辺の不良生徒と大差ないような気がするんだけど?」
「確かにこれだけだったらそうなのですが………
問題は彼は極度の自由主義者でして。
しかもそれなりの実力と異様に高い逃走能力のせいで、ヴァルキューレどころか治安維持組織の総力をもってしても捕まえられないということです」
そう語りつつ、チナツもまた苦々しい顔をしていた。
先頭に立つトリニティの二人も彼女のその言葉に苦虫を噛み潰したかのような顔をしており、先生とユウカ以外は全員彼とは何かしら苦い出来事があったらしい。
「"でも………あの子の頭にはヘイローが……"」
「はい、それのせいで私達も対応や扱いに困っているのです」
先生のその疑問にそう返しつつ、チナツは再び彼について語り始めた。
「彼はヘイローこそ持っていませんが、戦闘能力が高すぎるせいで下手に部隊を差し向けたところで壊滅させられるケースが多いのです。
かと言って私たちゲヘナ風紀委員のヒナ委員長やトリニティの正義実現委員会のツルギ委員長のようなトップクラスの実力者が出動したところで、すぐに逃げられるかして毎回取り逃すことになっています……」
「……おまけに、彼はヘイローがないせいで私たちよりも身体が脆い。
彼のあの服には防弾素材が使われているとの話ですが、それでも下手をすれば私たちが犯罪者になりかねないのです」
チナツの言葉に続き、ハスミもまたそう語った。
キヴォトスにおいて殺人は禁忌と言っていいレベルの罪だ。
もし、彼女達の銃弾の当たりどころが悪かったせいで彼を殺してしまえばどうなるか?
……いくら相手がならず者であろうとも、その罪は撃ち殺してしまった生徒へと向いてしまう。
その事実を知り、先生はまた一層顔に渋い表情を浮かべていた。
「"……でも、今彼が私たちを助けてくれてるって事は何かがあるのかい?"」
「……我々では扱いかねる彼ですが、他の不良たちとは違って話を通す方法があります。
それがお金……彼に仕事として依頼してお金を渡せばある程度こちらから干渉することができます」
対処法は簡単なことだが……それ故に難しい。
突然のお金の話に、先生は頭を抱えた。
それではまるで……
「……恐らく先生もお気づきだとは思いますが、彼は自分の命を人質にしています。
その為、彼についてはヴァルキューレも指名手配をせずに仕事を適度に与える対応を……
私たち風紀委員会のような自治区の治安維持組織は、それぞれ独自に金銭等を用意して敵対を避けているのが現状です」
……"自分の命を人質"
その言葉を聞き、先生はどうしようもなく心からの迷いを持ってしまった。
「"私は……あの子も生徒として導きたい。でも………"」
「先生、ヤツは生徒じゃありません」
冷めた目で前方を確認しつつ、スズミがそう口を開いた。
「ヤツは確かに、私たちと同じぐらいの年齢と推定はされていますが………
ですが、他の不良たちとは違って学歴がどこにも無い存在しない、ここにいるべきではない人間です。
ヤツを野放しにするのもそうですが、生徒として受け入れるのは………」
「スズミさん………」
彼女のその言葉に、ハスミは苦い顔をしつつもどこか思うところがあるような表情をしていた。
空気が死んでしまったその時、先生の持つ通信機にリンからの着信が入った。
『先生、先ほどこの騒ぎを巻き起こした生徒を特定しました』
『容疑者は狐坂ワカモ。百鬼夜行連合学院を停学になった後、矯正局に収監されていました』
『………しかし、矯正局から脱獄後は行方を晦まして居たはずなのに、何故このタイミングで……?』
「"それは分からないけど……リンちゃん、そのワカモってこと例の賞金稼ぎの子が交戦する可能性ってどれぐらいあるの?"」
『十中八九、交戦しているでしょうね。
実はかなり前にはなりますが、狐坂ワカモと彼が交戦した記録があります』
先生の問いにリンがそう返すと、通信機の向こうでパソコンのキーボードを叩く音とマウスのクリック音が聞こえた。
『……経緯は不明ですが、偶然居合わせた二人の交戦によって周辺一帯の被害は甚大。
目撃者の証言では双方かなりの深手を負いつつ、ヴァルキューレの到着前に撤退していったとされています』
「……マズイですね。私達も急ぎましょう!」
「くッ、せめてシャーレビルに被害を出させないようにしなければ……!」
リンのその言葉に、彼の脅威をよく知るトリニティの二人は駆け出し始めた。
「先生!私達も急ぎましょう!」
「あー、もうッ!なんで私たちまで走らないといけないの!」
「"ひぃ……!み、みんな待ってぇ……!"」
先に走り出した二人に続き、先生を護衛するように立っていたユウカとチナツ……そして先生自身も走り出した。
駆け出す五人の先……
シャーレビルの周辺からは不吉な黒煙が上がっていた。
いかがでしたか?
はい、彼はヘイロー無しです。
つまり紙耐久、銃弾一発でも貫通すればお陀仏になりかねないか弱いはずの生き物です。
……なんでこれで生きてるんでしょうかね?
というわけで、また明日をお楽しみに