また暇な時にコツコツ書いてたやつを投稿です。
さて、本来なら先生たちが相手にするはずの戦車隊を一人で引き受けた彼はどうするのでしょうか?
一応彼の持ってる武器の大部分は西部劇とかを参考にしてはいますけど、トンプソンみたく西部劇の時代からズレてはいる古い銃を使うことがあります。
流石にほぼ単発のリボルバーやレバーアクションライフルだけでは幾つかの状況で厳しいですからね……
でも、RPG-7とかみたいな対戦車兵器とかは一切使いません。
なくてもどうにかなる……というのもありますけど、さすがにその辺使いだしたら設定がさらにガタつくんで……
というわけで、本編をどうぞ
――ガギャンッ!ズドォォォォンッ!
『ぎゃぁぁァァァッ!?!?!?』
『クソッ、また一台やられた!!』
「怯むんじゃねぇ!相手はたかが一人だぞ!」
爆発音とともに仲間の悲鳴が聞こえ、巡航線車を指揮するスケバンはなんとか味方を鼓舞しながらヤツと交戦していた。
先ほど撃破されたのを含めると軽戦車二台と装甲車一台が既にお釈迦に。
巡航戦車も指揮者が乗っている車両も含めて両方とも残ってはいるが、片方は履帯をダイナマイトで破壊されて動けない状態にされてしまっている。
相手はリボルバーとダイナマイトしか持ってない生身の相手……
しかし、砲身を歪まされて暴発したり装填されていた砲弾をリボルバーで撃ち抜かれて誘爆で撃破されたりと、スケバン達の被害のほうが甚大になってきた。
相手、サンドクローもまた幾らかダメージを負っているが……
その殆どは軽く血が出ている程度の擦り傷や切傷に軽度の火傷と、致命的とは言い難い軽傷ばかりである。
もちろん、まともに砲弾を食らえばヘイローの無い彼は文字通り消し飛ぶ羽目になるが……
それはあくまで、まともに当たればの話である。
ヘイローがないにも関わらず彼の俊敏さはキヴォトス人のそれに匹敵するものがあり、戦車の旋回が間に合わない速さで動き回っているために破片は当たれども直撃は一切受けていないのだ。
破片に至ってはやけに頑丈なコートの影響で身体には殆どダメージを与えておらず、露出している部分に少し掠る程度の被害しか無い。
詰まるところ、幾ら戦車が圧倒的に頑丈で火力があるとはいえど彼に対しては相性が悪いのだ。
しかも彼自身様々な手で戦車にダメージを与えており……
――ガコンッ
「よぉ」
「はぇ?」
唐突に上から聞こえた少年の声に、あっけにとられつつ上を向く。
見上げたその先には、先ほどまでそこら中を駆け回っていたはずのサンドクローが居た。
その顔には不気味なほどによい笑顔を浮かべており、よく見ればその手にはジジジと音をたてて燃える紐がついた
「さっきの砲撃の礼だ。泣いて喜びな」
――ガンッ、ズダァァァァァン!バギャッ!
サンドクローは手に持つそれを戦車のなかに放り込み、勢いよくハッチを閉めたかと思えば何かに一発銃撃した。
状況をのみ込んだスケバンは慌ててハッチを開けようとしたが、何かが引っかかっているかのようにハッチが開かない。
「なっ!?お、おい待ってくれ!ちょっと!い、いやだ助け……」
――ドゴァァァァァァンッ!!!!!
「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!?!?!?!?!?」」」」
命乞いも虚しくダイナマイトの導線が燃え切り、戦車のなかにいたスケバンたちを四方八方に吹き飛ばしながら巡航戦車クルセイダーⅠ型は木っ端微塵に消し飛んだ。
そこからはもうただの一方的な蹂躙が広がっていた。
まともに動けなくなったもう一台のクルセイダーもダイナマイトを内部に放り込まれて吹き飛ばされ、最後に生き残った軽戦車も白旗を上げたにも関わらずサンドクローの銃撃を装填していた砲弾に受けてしまい、哀れにも爆発四散した。
生き残りのスケバンたちも必死に命乞いをしていたが、全員漏れなく頭を撃ち抜かれてお縄となった。
後に残ったのは屍のごとくぐったりと気絶したスケバンの山と無数の戦車の残骸……
幾らか壊れたビルの瓦礫の山に座り込みつつ、サンドクローは近くの自販機で買った缶コーヒー片手にその場で待機していた。
どうやら先に行かせた先生たちも無事に事態を収めることが出来たらしく、空に浮く飛行船に映されたニュースには連邦捜査部シャーレがスケバン達の暴動を鎮圧したという臨時ニュースが流れていた。
……もちろん、彼についての報道は一切無い。
彼はあくまで一次的に雇われただけであり、非正規の戦力なのだから。
コーヒーを飲みつつ彼が愛銃の点検をしていると、シャーレビルの方から依頼主の七神リンと護衛対象だった先生が現れた。
リンの手には分厚い封筒が二つ握られており、サンドクローはそれを見るなりコーヒーを飲み干して空き缶をゴミ箱へと放った*1
「……お待たせしました。護衛の報酬と、こちらで確認した限りの懸賞金です」
リンから手渡された封筒を受け取るやいなや、彼は封筒を開けて中の札束を数え始めた。
――ペラ、ペラ、ペラ………
「……確認した。懸賞金もそれなりといったところか」
既に彼の脳内では高速で算盤を弾いており、弾薬費やしばらくの生活費に貯蓄と金以外の事は頭になかった。
「依頼は完了した。失礼す……「"ちょっと待ってくれないかな?"」……ん?」
とりあえず弾薬の補充をしようかとサンドクローが自身の愛車であるトリガーに跨ったところで、それに待ったをかけるように先生が前に出てきた。
「……………あぁ、護衛対象のお人好しの野郎か。依頼なら後でそいつに出し方でも……」
「"いや、そうじゃなくて……君、傷だらけでしょ?
あっちでチナツに待機してもらってるから手当てを……"」
「お断りだ」
先生は固まった。
あまりにも早すぎるその答えに、面食らわされてしまったのだろう。
「"で、でも君……傷だらけ……"」
「お断りだと言っている」
なんとか食い下がろうとするも、返ってくるのは拒絶の言葉であった。
「"えぇっと……でもそのままだと……"」
「生憎、俺はあんたらとは身分が違うんでね。
この程度の傷なら自力でどうにでもなる」
「"だ、だけど……!"」
「いい加減しつこいぞ!
……この際だ、アンタにこれだけは言っておこう」
一旦トリガーから降りてツカツカと先生の目の前まで歩み寄ると、サンドクローは先生の胸に指を拳銃のような形にして突きつけた。
「俺はアンタの生徒ではないし、誰の下にもつくつもりもない。俺は俺の為に生きて死ぬ……俺に話を持ちかけるんなら金を用意して出直しな」
それだけを言い切るとサンドクローはトリガーへと再び跨ってエンジンをかけた。
「……言っとくが、俺はそう安くはないぞ!
寄越す仕事は考えることだな……Hi-Yo Trigger!」
掛け声とともにアクセルを吹かし、サンドクローはあっという間にその場を去っていった。
残された先生はどこか複雑な面持ちで彼の後ろ姿を見ることしかできなかった。
「"…………リンちゃん"」
「だから言ったでしょう……彼は絶対に受け入れないと」
落ち込んだ声色で先生はリンに話しかけるが、頭の痛そうにした彼女の答えに押し黙るしか無かった。
「彼は指名手配こそされていませんが……それでもその身柄を狙われやすい。たとえそれがチナツさんのような治安維持組織の医療担当者であっても、彼は警戒して身を預けるようなことはしないですから」
「"でもそれじゃあ……!"」
「先生……」
リンの呆れの混じったその声に、先生の抗議の声は押し止められた。
「……確かに、彼は孤立しています。
それこそ、彼に助け舟を出す者など一人もいない程には」
「ですが……その状況を生み出し、その選択をし続けているのは彼自身なのです」
そう語りつつ、リンは眼鏡の位置を直した。
「誰も彼を救おうとはしませんし、彼もまた誰かに助けを求めることを拒みます。
たとえ先生でも、彼に言うことを聞かせるのは限りなく不可能に近いでしょうね」
そう言いつつ、彼女はシャーレビルのほうへと歩み始めた。
名残惜しむかのように先生は彼の去った方向を見つめ、そしてリンの後をついてこの場を去っていった。
そうしないうちに彼らが去っていったその現場には様々な生徒たちが集まり、施設の復旧や縛り上げられたスケバン達の収容と忙しなく仕事をし始める。
いつもと変わらない日常を繰り返す彼女達を照らす夕日は、まるで空が燃えているかのように赤かった。
いかがでしたか?
まぁ、さすがにリボルバーとダイナマイトだけでやるとなったらこうなりました。
戦車の中に爆弾をぶち込むのについてはMGSでスネークさんがよくやってましたし、これはこれで戦術としてはあり……だと思いたいですね。
というわけで、また次の話をお楽しみに