さて前回までは第三者視点でしたが、今回からは彼の視点からの話となります。
割と彼の性格というか、言動はかなり酷いですけど……
コンセプトからして善人じゃないですし仕方ないね()
というわけで、本編をどうぞ
今日も今日とて暴れるスケバン。
なんとも活きがいいことだが、俺にとっては格好の獲物だ。
「……うぅ……クソがよぉ……!」
「恨むんならこんな朝っぱらからバカ騒ぎを始めた過去の自分を恨みな」
縛り上げてジタバタともがき続けるスケバンを肩に担ぎつつ、俺は何時ものように役所へと向かっていた。
このスケバンはそれなりに首についてた値札が高く、張り紙でキヴォトス全域指名手配されるほどの凶悪犯だった。
やらかしたことといえば銀行複数の襲撃に加えて連邦生徒会の備蓄倉庫の破壊とそれなりのものだったが、共犯者たちが捕まっている中で唯一逃げおおせていたラッキーガールがコイツだった。
まぁ、まさか朝飯を買おうとドライブスルーのバーガー店で順番待ちしていたところで出くわすとは思わなかったが。
おかげで朝飯も店長の謝礼で無料提供されたこともあり、今日は朝からかなりついていた。
「ひゃっ!?ちょ、変なところ触んなこの変態!」
「知るかボケ。テメェの薄っぺらい体なんぞに興味はない」
「んだとゴラァッ!!クソッ……この縄を解きやがれ!!
ぶっ殺してやらぁ!!!!」
「解けと言われて素直に解く間抜けがいるか?
どうやら頭の中も貧相らしいなぁ?」
「テンメェェェぇぇぇッッッッ!!!!」
軽くトリガーを走らせながらスケバンと遊んでやっていると、目的地の役所が見えてきた。
流石にこのまま中に連れて行くとやかましいことになる為、駐車場に止まると同時にスケバンへと腰から引き抜いた相棒……「BIG Iron」の銃口を向ける。
「ヒッ!?お、おい待て……」
「悪いがここから先は騒がないのがマナーでな。
なぁに、起きれば豚箱のなかでしばらくは雨風しのげるさ」
――ズダァァァァァンッ!!
「ぎゃッ!?!?!?」
白目を剥いて気絶したスケバンを再び肩に担ぎ上げ、俺は役所の中へと入っていった
「………はい、こちらが賞金となります」
「ふむ……まぁ悪くないな」
いくらばっかりの札束を受け取りつつ、俺は手頃な仕事がないかと傭兵用の掲示板へと目を走らせる。
ほとんどが低賃金の工事現場の警備や飲食店の護衛であり、これといってめぼしい仕事は見当たらない。
今のところ裏の方も仕事が薄い為、これといって稼ぎは期待できそうにない。
となればバウンティハントだろうかと賞金首のリストを確認していこうとしたところで、突然職員に呼び止められた。
その職員から突然指名依頼が入ったと言われたのだが……
「……デリバリー?なんでまた俺にそんな依頼を?」
「さ、さぁ……?私どもも大変困惑しておりまして……」
何でも、昼になったら依頼主の元へと飯を届けてほしいとのことだった。
報酬は手渡しで、購入にかかった費用はあちらが全部持ち。
三人前での注文とのことだが……
「……罠か?にしてもあからさまな気がするが……」
「それは我々にも図りかねますが……依頼主の方は一応、連邦生徒会に所属している方なのでそのようなことはないはずです」
心底よくわかっていないと言わんばかりの顔の職員は依頼書を取り出し、幾つかの資料とともに俺に手渡してきた。
受け取って確認してみると……
「……連邦捜査部S.C.H.A.L.E?」
聞き馴染みのない組織名が依頼書に書かれていた。
依頼者も「先生」とだけしか書かれておらず、それ以外に名前は見当たらなかった。
「えぇっと……つい先日こちらから緊急で護衛依頼を回したところなのですが……」
「………………あぁ、あのお人好しのか」
そういえばそんな名前だったと今更ながら思い出した。
資料によると設立以降目立った活動はないものの、生徒達の悩みや困りごとを解決する事を目的に色々と動いているらしい。
報酬は……デリバリー系の仕事としては相場を通り越して適正価格を少しだけ上回る金額だった。
「………面倒だな」
……だが、拒否すればそれはそれで面倒なことになりそうなのだ。
致し方ないが、ここは受けることとしよう。
さて、今の時刻は大体11:55頃。
そこら辺の弁当屋に立ち寄って三人分の飯を買い付けてシャーレビルに到着したのだが……
「………どうやって入れと?」
参ったことにシャーレビルのエントランスは自動化されており、学生証等による認証がないと入れない仕組みになっていた。
勿論だが俺がそんな物を持ってるはずもなく、その場で立ち往生するほか無かった。
そうして待ちぼうけて少し経ったところで突然エントランスのドアが開き、中から二人の人影が現れた。
「"や、サンドクロー!"」
「せ、先生!?本当に呼んだんですか!?」
片手を挙げてこちらに話しかけてくるお人好し……先生とやらに対して、隣の生徒が信じられないかのような顔で抗議している。
「……時間通り、依頼の品を持ってきた。報酬は?」
「"あっ、ちょっと待ってね。その前にレシートをくれないかな?"」
そう言われて弁当のレシートだけを差し出すと、先生は金が入っているらしい封筒に加えて財布の中から取り出した金を上乗せして渡してきた。
確認すると依頼通りの額が入っており、弁当の費用もそのままの金額で支払われていた。
「……確認した。
それじゃあ俺はここで……「"ちょっと待って!"」……なんだ?返品や返金は受け付けないぞ?」
「"いや、そうじゃなくてね?
君も昼食を一緒にどうかなって"」
……こいつは正気か?
「先生、正気ですか!?いくら指名手配されてないとはいえ、相手はテロリストモドキの危険人物ですよ!?」
「"大丈夫だって!流石にしっかりお金を払う依頼主を攻撃したりはしないでしょ?"」
「……まぁそうだな。金払いさえしっかりしてるなら俺からは何も言わん」
信じられないと言わんばかりの顔で青髪の生徒……おそらく制服からしてミレニアムと思われる生徒がこちらを見てくる。
だが、俺も別に好き好んで暴力を振るっているわけではない。
必要外にぶっ放せば弾の無駄遣いになる上、相手次第では後が面倒なことになる。
だが………
「とはいえ、俺があんたらと飯を食ってやる義理もない。
悪いが断らせて………」
「"ふっふっふ………私がそれをみこしてないとでも思ったかな?"」
意味有りげに笑い出したかと思うと、先生は懐からもう一つ封筒を取り出した
「"お昼を一緒に食べて、ついでに色々とお話をしてくれるならこのお金もあげるよ?"」
そう言われて差し出された封筒の中身を確認すると………
「………16万か。それなりってところだが………」
「せ〜ん〜せ〜い〜?」
差し出された金額に対して呆れていると、ミレニアムの生徒が先生に対して抗議するかのような声を上げていた。
「なんでそんな無駄遣いをしてるんですか!!
お金はもっと大事にしてくださいって昨日言いましたよね!?」
「"ちょ、ユウカ落ち着いて!これは経費、必要な出費だからぁぁ!?"」
まるでダメな旦那を叱る女房のごとく、ユウカと呼ばれた生徒は先生に対してイカリの声を上げていた。
俺は一体、何を見せられているのだろうか?
「"あー……コホン。と、とりあえずみんなでご飯食べつつちょっとお話でもしよう?"」
「……………………はぁ」
仕方ない。
あまり気乗りはしないが、これだけ金を払いつつ奢られるのであれば乗らないのだわけにもいかない。
断ったところでしつこく食い下がってきそうな気もするからな。
「まぁ、それぐらいなら構わん。
だが……俺を騙す気なら容赦はしない」
「"じゃあ何も問題ないね!私は別に君を騙すつもりはないから!"」
……よく分からん奴だが、何が狙いなのだろうか?
疑問に思いつつ、俺は先生に案内されるままシャーレオフィスへと足を踏み入れた。
いかがでしたか?
いやぁ、流石にどうかとは思いましたけど……
アクション映画とかの悪役サイドのワンシーンをイメージしつつ設計したらなんかこうなりました。
尚死体撃ちというか、無抵抗の相手に銃をぶっ放すのは普通にキヴォトスでもマナーが悪いです。
良い子のみんなは無抵抗の相手をいたぶるようなことはしないでね?
さもないとどこからか.308ウィンチェスター弾が飛んでくるかも?
というわけで、また次の話をお楽しみに